魔女×王子 お花見騒動アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/24〜04/28
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●本文
桜舞う季節。僕もついに高校三年になり、周囲では進路の話が騒がしくなってきた。少し前までは、僕も普通の大学、普通の会社に入って、平凡な生活を送るなんていう漠然とした進路があったのだけれど。突然、魔法の国の王様になれなんて、いまだに半信半疑で困ってしまう。
それとは別に、また新しい問題が出てきた。今年から妹がうちの学校に入ってきたのだ。はぁ、魔女の女の子達だけでも大変なのに、いったい僕はどうなってしまうんだ。
〜声優募集〜
TVアニメ『魔女(おとめ)が王子(ぼく)を狙ってる』の声優を募集いたします。新人・ベテラン関係なく、広く参加者を募集いたしますので、奮ってのご応募をお待ちしております。
〜作品内容〜
主人公『伊藤悠李(いとう・ゆうり)』は平凡を愛する普通の高校二年生。冬休みも終わり、学校は三学期の初め。今年は三年に進級し、進路も真剣に考えなければと思っていた悠李の前に、突然魔法の国の使者と名乗る人物が現れる。
使者は、悠李が魔法の国の王子であり、18歳になった際には王位を継承するために魔法の国に戻らなければならないと告げる。そして、それまでに花嫁を娶るように言われるのだった。
その日から、悠李の前には花嫁候補という『魔女っ子』たちが次から次へと現れ。悠李の花嫁の座を狙って様々な騒動を巻き起こす。平凡を愛する少年悠李は、突然そんなとんでもない騒動の当事者となってしまうのだった。
〜次話あらすじ〜
暖かい風が吹きぬける頃。春休みも終わり、学校では新学期が始まる。さて、3年に進級した悠李であったが、自分の進路について憂鬱な日々を送る。突然魔法の国の使者に王子と告げられ、言われるがままに王位を継承することが本当に良いことなのだろうかと。
悠李には、もう一つ大きなことが起きる。悠李の妹が、悠李と同じ学校に入学してきたのだ。魔女っ子騒ぎで悠李がドタバタとしているうちに受験していたらしい。寝耳に水なことに驚く悠李。
そんなこんなで、魔女っ子と妹に振り回される悠李。友人の提案で、彼女達と花見に行くことになったのだが、もちろん魔女っ子達はこの機会に悠李と仲良くなろうと騒ぎを起こし。妹も、兄の周りに現れた女の子達に悠李を取られたような気分になる。はたして、悠李は無事に花見を終えることが出来るのだろうか。
〜悠李の家族設定〜
伊藤悠一 悠李の父。大学で考古学を教えている、伊藤家の家長。学生の頃に、本当の悠李の父(魔法国の王様)と親友であった。魔法国の存在は、当時の事件(悠李の父の花嫁騒動)で知っており。赤子の悠李を預かり、育ての親となる。
伊藤由香里 悠李の母。かつて魔法国に暮らしていた魔女であり、過去の花嫁騒動のさいに、当時の王子(悠李の父)と親友であった悠一に出会い結婚。その後、悠李を預かり育てることになる。魔女であることは悠一以外には秘密。
伊藤美由 悠李の妹。悠一と由香里の娘で、今年悠李と同じ高校に入学。魔法国の存在は、悠李と同じように知らずに暮らしていた。兄である悠李を慕っているが、血のつながりがないことはもちろん知らない。母が魔女なので、多少の魔法の素養がある。
〜募集キャラ〜
悠李の妹(女性限定)1名
花嫁候補の魔女っ子(女性限定)2〜4名
主人公の友人(男性限定)1〜2名
魔女っ子のマスコットキャラ(男女可)若干名
その他 悠李の両親など
〜作品備考〜
主人公伊藤悠李役には最近売り出し中のイケメン声優、南方雄治(みなかた・ゆうじ)を起用。
毎回新しく3〜5名の魔女っ子が登場し、主人公の花嫁になるべく様々な騒動を起こします。
担当は、審査のうえイメージにあったキャラを担当していただきます。得意なタイプなど希望がありましたら、事前に申し出てください。
魔女っ子の基本設定として、『変身する』『変身後は想像を具現化する魔法を使える』『決め台詞』があります。これらを踏まえて希望を出してください。
●リプレイ本文
●魔女×王子 冒頭OP
「お兄ちゃ〜ん、ブイ!」
「美由、どうかしたの?」
ホワイトデー、魔法の国から帰宅した伊藤悠李(CV:南方)を待っていたのは妹の美由(CV:姫乃 唯(fa1463))のピースサインであった。満面の笑みを浮かべた彼女の様子に、不思議そうに見つめる悠李の前に、一枚の葉書を見せる美由。
「合格通知‥‥伊藤美由の本校の入学を許可します。私立夢乃路学園‥‥って、うちの学校じゃないか!」
「うん! えへへ、これからは一緒に学校に行けるねっ、お兄ちゃん!」
「え、えええ〜〜〜!!」
高校入学の話が寝耳に水の悠李は、腕に抱きついてくる妹に驚きの声をあげるのだった。
●『お花見騒動』
ある日の夜、悠李の家に光の玉が飛び込んでいく。
「来るべき日が近づいておりますじゃ。お二人も、お心の準備をされませい」
「わかっています、あの子の運命ですもの」
「私達は、あいつを預かったときから、もう心の準備はできていますよ」
光の玉は居間に待っていた悠李の両親、悠一(CV:梁井・繁(fa0658))と由香里(CV:鈴木 舞(fa2768))の前で毛むくじゃらの老人のような小人バルダザール(CV:河田 柾也(fa2340))の姿になり、重々しく悠李の王位継承について告げる。二人は落ち着いた様子で、その言葉に頷くと、懐かしそうな遠い目をするのだった。
「いまのあいつを見ていると、あの時を思い出すな。なぁ、母さん?」
「そうですね、懐かしいわ‥‥あの子はどんな娘を選ぶのかしら‥‥そして、王としての選択しなくてはならないのね‥‥」
「魔法の国に行ってきただぁ? くっそ〜、羨ましい! 俺も行きたかったぜ!」
「羨ましいことじゃないよ〜。突然飛ばされて、植物や昆虫に追いかけられたり、崖から落ちたり大変だったんだから!」
4月に入り、春休みが終わって高校の新学期が始まった。高校三年に進級した伊藤悠李とその友人柿本悟(CV:桐尾 人志(fa2341))は、始業式が終わった教室で『白い花騒動』の話をしていた。
「そんな貴重な体験、普通ならできないんだぜ? 少しぐらい大変な目にあったっていいだろ?」
「他人事だと思って‥‥僕はもっと平凡に生きたいのに〜」
悟の話に、悠李は大きくため息をついて机につっぷす。連日の騒ぎに疲れている様子であった。それを呆れた様子で見る悟。
「おまえなぁ‥‥あ、そうそう、聞いたぞ。美由ちゃん、うちに入るってな?」
「‥‥はぁ〜〜〜」
「なんだよ嬉しくないのか?」
続く悟の言葉に、よりいっそう大きなため息をつく悠李。妹である美由の入学も、悠李にとっては悩みの種であるようだった。
場所は変わり、西洋風の広いお屋敷。
「お兄様には振り向いてもらえなかった‥‥でも‥‥」
物思いにふけるブラコン魔女グレース(CV:緑川メグミ(fa1718))。しかし水晶玉には、彼女の兄ではなく悠李の姿が映っている。
「王子‥‥」
バレンタインの回想シーン、グレースの指の怪我を心配する悠李の姿。すでに傷の治った自分の指を見つめながら、それを思い浮かべたグレースは、一瞬頬を染める。
「うーん、やはり私は王子のこと‥‥好きなのかな〜? でも、あんな庶民育ちの王子を‥‥? そ、そうよ! 今からでもきちんと躾ければお兄様に勝るとも劣らない立派な男子にできるはず!」
物思いに耽っていたグレースであったが、なにやら思い立ったようにグッと顔をあげる。その手には、『源氏物語』と書かれた表紙の本が握られているのだった。
日は進み入学式後。学校で悠李に話しかけようとする美由であったが、多くの魔女っ子達に追いかけられる悠李の姿に、驚きと苛立ちを見せる。
「どうしたんだよ美由?」
「ふ〜ん‥‥お兄ちゃん、学校では女子にモテモテなんだね。美由、知らなかったよ。何よ、デレデレしちゃって‥‥」
「ははは、兄貴がモテモテで他の娘に嫉妬しちゃった? 相変わらずだね、美由ちゃんは」
「そんなんじゃないもん!」
学校が終わり、悠李と悟と共に帰る美由であったが、膨れっ面でツーンとしてしまうのだった。そして、その様子に困り顔の悠李と、笑ってからかう悟。
「そうだ! 今度桜の花見をしようぜ。20年ぶりに咲いた桜の木を知ってんだ! なぁ、皆誘っていこうぜ」
「花見? うん、行こう! ねぇ、お兄ちゃん?」
「え、あ、うん‥‥そうだね」
そんな状況で、悟が花見を提案する。花見と聞いてすぐに嬉しそうに笑う美由に、悠李は嫌な予感を感じながらもしぶしぶといった様子で頷いた。
「おお、満開だなぁ〜」
「‥‥なんで、他の娘達がこんなにいるの‥‥」
「まぁ美由ちゃん、花見は大勢のほうが楽しいだろ?」
そんなこんなで、開催されることになったお花見だが、悟が魔女っ子達も誘ったからさぁ大変。悠李の周りに集まった少女達で、桜の木はとても賑やか、むしろ何かが一瞬即発といった状況になるのだった。
「あちらの世界ではゆっくりと花を愛でるという機会も余りありませんでしたからのう‥‥むぎゅ!」
「一番ネスト‥‥歌います‥‥貴方のこと〜、ずっと愛してます〜、世界が二人を離しても〜‥‥」
花見の席では、バル爺が優雅に花を愛でようとするが、存在を気付かれずに魔女の誰かに踏みつけられ。しかも、歌を披露しようとした音楽魔女ネスト(CV:稲馬・千尋(fa0304))に無意識で蹴飛ばされてしまう。
「え、なに、このけむくじゃら‥‥」
(「む、この娘、たしかに魔力を‥‥なるほど由香里殿の娘であるからじゃな‥‥」)
蹴飛ばされて転がったバル爺を美由が拾い上げる。バル爺は、そんな彼女に魔女の器を感じたようであった。
「二番! サトル&ユーリ歌います!」
「サトル〜、は、はずかしいよ‥‥」
さて花見は続いて悟と悠李が、昔の女性アイドルユニットの曲を振り付けを踊りながら歌う。悟はノリノリ、悠李は恥ずかしそうだ。他の者達も、歌を歌ったり踊ったりして、花見は盛り上がっていった。
「あの‥‥王子様、お弁当作ってきました‥‥」
「あ、君はあのときの‥‥うん、ありがとう‥‥」
そんな中、割烹着魔女カオリが顔を真っ赤にしながら、質素ながら可愛らしいお弁当を差し出す。悠李は、以前助けてくれた魔女の姿に少し照れくさそうにしながら、そのお弁当を受け取ろうとして。
「ユーリ! 王子として、そんな庶民なお弁当より、私の豪華なお弁当を食べて!」
「ひゃ!?」
ドーン! とちょっといい雰囲気だった二人に割って入り。グレースがカオリを突き飛ばし、見た目豪勢なお弁当を差し出した。お弁当には、何故かマムシやらスッポンやら混ざってる。
「ダメ! お兄ちゃんは美由のお弁当を食べるの! お兄ちゃん、もっとお弁当食べなきゃ。はい、あーんして!」
「あら‥‥ユーリの妹さん? それじゃ、私が王子を取ったら、彼女は私と‥‥ううん、でも逆光源氏計画は進めるもん!」
それを見た美由も、慌てて自分の作ったお弁当を差し出す。割って入られた美由に、一瞬自分を重ねるグレースだが、すぐに首を振って決意を固めた様子。二人は言い争いながら、悠李にお弁当を勧めるが。
「はい、王子。あ〜んしてぇ‥‥んふ、美味しい?」
「んぐ!?」
「な! 横から入ってなにしてるの!」
「ああ! お兄ちゃんに、抱きつくなんて!」
「うるさいわよ、ペチャパイズ。文句はその貧相な身体を成長させてからになさいな」
「!!」
「あ、あのぅ、お弁当‥‥」
そんな風に二人が言い争っている隙に、いつのまにか疾風魔女エル(CV:槇島色(fa0868))が悠李に抱きついてサンドイッチを口に銜えさせる。そして豊満な身体を悠李に押し付けるように抱きつき、妖艶な笑みを浮かべてるのだった。なんと、彼女はグレースの持って来ていた媚薬入りジュースを飲んで酔っ払っていたのだ。抗議するグレースと美由にも、ピシャリと言い放ち絶句させる。ちなみに、カオリはすでに蚊帳の外だ。
「ああ、もう五月蝿いわねぇ‥‥風よ、この者達を黙らせて」
「きゃ〜! なにこの風! スカートが‥‥!!」
「おお、天国だ‥‥」
さらに暴走したエルは、魔法で風を起こす。風はグレース達のスカートを巻き上げようとして、彼女達はスカートを抑えるので必死になる。そしてその様子に、嬉しそうな声で歓声あげる悟。
「‥‥うるさい」
そんな混乱した状況の中、歌を歌った後満足そうに桜を見ていたネストが、顔をしかめて変身する。そして、まるで子守り歌のような旋律の歌を歌い出した。
「う、ううん‥‥私の王子様‥‥好き‥‥よ」
ネストの歌声に、魔法の媚薬に酔っていたエルは、あっさり眠ってしまう。そして、ようやく風も収まり、その場の混乱も収まった。
「‥‥風で桜が散らなくて‥‥よかった‥‥」
小さく安堵の息を吐き、柔らかく微笑むネスト。最初の頃、騒ぎばかり起こしていた彼女も、少しずつ変わってきているようであった。
「どうやら騒ぎは収まったようだな」
「そうね‥‥ふふ、懐かしいわねあなた。私達も昔はあんな感じだったのかしら?」
「はは、君は色々な騒動を起こしていたからね」
「まぁ、そんなこと言って‥‥あなたや、あの人も同じようなものだったでしょう?」
「うん、まぁ、あのときのあいつもこんな感じだったからなぁ‥‥」
悠李達の花見の様子を、悠一と由香里は少し離れた場所で眺め、懐かしそうに笑いあうのだった。