魔女×王子 思い出の日アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/22〜05/26
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●本文
僕が王子としてこんな騒動に巻き込まれたと同じように、いまの魔法の国の王様(つまりは本当の父)も当時は大変だったらしい。王様はその頃どんな感じだったのだろうか。僕と同じような悩みを持ったのだろうか。‥‥王様は、何を選択し、何を得て失ったのか‥‥。
〜声優募集〜
TVアニメ『魔女(おとめ)が王子(ぼく)を狙ってる』の声優を募集いたします。新人・ベテラン関係なく、広く参加者を募集いたしますので、奮ってのご応募をお待ちしております。
〜作品内容〜
主人公『伊藤悠李(いとう・ゆうり)』は平凡を愛する普通の高校二年生。冬休みも終わり、学校は三学期の初め。今年は三年に進級し、進路も真剣に考えなければと思っていた悠李の前に、突然魔法の国の使者と名乗る人物が現れる。
使者は、悠李が魔法の国の王子であり、18歳になった際には王位を継承するために魔法の国に戻らなければならないと告げる。そして、それまでに花嫁を娶るように言われるのだった。
その日から、悠李の前には花嫁候補という『魔女っ子』たちが次から次へと現れ。悠李の花嫁の座を狙って様々な騒動を巻き起こす。平凡を愛する少年悠李は、突然そんなとんでもない騒動の当事者となってしまうのだった。
〜次話あらすじ〜
20年前の物語。当時の王子、現在の魔法国の王マイト(舞斗)が、花嫁候補の魔女っ子達の騒動に巻き込まれるお話。
夢乃路舞斗は、人柄の良い気さくな少年で、成績は優秀、学園の生徒会長を務める人気者。忙しいながら充実した毎日を過ごしていた彼であったが、彼にはもう一つの顔があった。
それは、魔法の国の王子として、花嫁候補の魔女っ子たちに狙われているということである。ある日突然、魔法の国の次期国王として花嫁を娶るように言われた舞斗。最初は戸惑っていたが、少しずつ魔女っ子たちに好意を抱いていく。
しばらく立ち、舞斗の誕生日が近づいてきた頃、ある大きな事件が起きる。次期国王である舞斗の命を狙う刺客が現れたのだ。刺客は、事故を装い舞斗を殺すため、学園の旧校舎に彼を呼び出し、校舎に火をつける。
校舎は炎に包まれ、王子の身を案じた一人の魔女っ子と共に、校舎に閉じ込められる舞斗。刺客が張った結界のため、魔女一人の魔法では脱出できず、舞斗を必死に守りながら力を使いきり倒れる魔女の姿に、自分ではなく彼女を守りたいと想う気持ちが舞斗の力を覚醒させる。
そして、舞斗の魔法は刺客の結界を吹き飛ばし、異変に気付いた親友悠一と他の魔女によって助け出される。この事件をきっかけに、舞斗は最も大切な女性に気付き、彼女を妻として王位を継承するのだった。
その後、舞斗には息子が生まれ。舞斗の時と同じように、幼いうちに現代世界に預けられる。それが悠李であり、悠李も舞斗と同じ運命をたどっていくのであった。
〜回想編登場人物〜
夢乃路舞斗 当時(20年前)の魔法国王子であり、現在の国王。本編主人公伊藤悠李の本当の父親。花嫁候補の魔女っ子たちにアタックされても、持ち前の気楽さでなかなかなびかなかったが、ある事件をきっかけに一人の少女を選ぶ。
魔燐(マリン) 舞斗の花嫁候補の一人である魔女っ子。身体が弱く、魔法の力もそれほど高くないが、絶えず舞斗の身を案じ、一途に想う少女。後々の舞斗の妻であり魔法国王妃、悠李の生みの親。悠李を生んですぐ他界。
伊藤悠一 舞斗の親友であり、学園の副生徒会長。騒動に巻き込まれる舞斗を助けたり、逆に助けられたりしている。後に魔女の一人と結婚、舞斗の息子悠李を預かり育ての親となる。
由香里 舞斗の花嫁候補の一人である魔女っ子。当時は王妃になることを強く願い、様々な騒動を起こしていた。しかしいつのまにか、騒動に巻き込まれた悠一と親しくなり、舞斗の王位継承の後に悠一と結婚。悠李を預かり育ての親となる。
〜募集キャラ〜
夢乃路舞斗(男性)1名
魔燐(女性)1名
伊藤悠一(男性)1名
由香里(女性)1名
その他 他の花嫁候補、魔女のマスコット、刺客など
〜作品備考〜
担当は、審査のうえイメージにあったキャラを担当していただきます。得意なタイプなど希望がありましたら、事前に申し出てください。
魔女っ子の基本設定として、『変身する』『変身後は想像を具現化する魔法を使える』『決め台詞』があります。これらを踏まえて希望を出してください。
〜おしらせ〜
『魔女(おとめ)が王子(ぼく)を狙ってる』は今回で最終回となります。次回から、装いも新たに『魔女(おとめ)が王子(ぼく)を狙ってる 〜カラフルピュア〜』の制作が開始されます。
●リプレイ本文
●魔女×王子冒頭
それは、大騒ぎした花見が終わってしばらくした後、悠李(CV:南方)の自室に遊びに来ていた柿本悟(CV:桐尾 人志(fa2341))が、お目付け役のバルダザール(CV:河田 柾也(fa2340))に質問したことから始まった。
「へぇ、それでさ、やっぱりその王様にも、いまのユーリみたいな花嫁騒動があったのか?」
テーブルの上に立ったバル爺を囲んで、悠李と悟は興味深く話を聞く。バル爺は、長い髭をさすりながら話し始めるのであった。
「そうですのぉ、あれは今から二十年ばかり前の事ですじゃ‥‥」
●「思い出の日」
「マイト〜!」
「やぁおはよう、悠一君」
若かりし頃の悠李の育ての父、伊藤悠一(CV:柿本)の呼ぶ声に、振り返る長髪の美少年。気さくそうな笑みを浮かべた彼は夢乃路舞斗(CV:ディノ・ストラーダ(fa0588))、彼らが通う夢乃路学園の理事長の息子であり、生徒に慕われる生徒会長、そして‥‥。
「王子〜♪」
「おはようございます、由香里さん」
学園の制服姿の女生徒、そして魔女でもある由香里(CV:鈴木 舞(fa2768))に呼び止められ、にこやかな笑みを浮かべる舞斗は、花嫁候補の魔女達に狙われる魔法国の王子だった。
「なんだお前、またなにか企んでるんじゃないだろうな?」
「なによ、あんたに関係ないでしょ。私はあんたなんか眼中にないんだから、黙ってて」
「お前が騒動起こすたびに、俺まで巻き込まれるんだからな!」
「そんなこと知ったことじゃないわ! 私は王子と結ばれて、ひいては魔法国王妃になれればそれでいいのよ!」
「て、てめ! そんなわがまま魔女に、舞斗どころか貰い手が現れるわけねぇだろ!」
「なんですってこの馬鹿!」
「はははは、相変わらず二人とも楽しそうですね」
口げんかをする悠一と由香里を、楽しそうに笑いながら、舞斗はスタスタと学園の校舎へと向かっていく。その先には、可愛らしい顔立ちの少女が一人。
「おはようございます、魔燐さん」
「あ、おはようございます舞斗様‥‥」
「この間は助かりました、ありがとうございます」
「いえ‥‥当然のことをしたまでですから」
魔燐と呼ばれた少女(CV:楊・玲花(fa0642))は、礼を述べる舞斗に微笑んで首を振った。それを見て、舞斗も柔らかい微笑みを浮かべるのであった。
「舞斗! 置いてくなよ!」
「王子様〜、今度一緒にデートしましょ!」
「いきましょうか魔燐さん」
「はい‥‥」
ようやく口げんかを終えた悠一と由香里の声に、舞斗は魔燐に笑みを向けて、校舎へと入っていく。それに付き従うように、魔燐もしずしずとその後を追うのであった。
「へえ、イイオトコじゃないの」
その様子を、建物の影から見ている謎の影(CV:仙道 愛歌(fa2772))。その声には、どこかしら危険な雰囲気が漂っている。
「んふ‥‥王子、アンタはアタシの獲物‥‥」
そう残し、影は一瞬のうちに消える。そして、楽しそうに笑う舞斗のアップが映り、それとは対照的な不穏な雰囲気を表現する音楽が流れるのであった。
「この間借りた本を返しにきました」
「はい、結構よ」
放課後、図書室へ寄った舞斗は、カウンターにいる司書の女性に本を手渡す。司書の美人のお姉さん風の女性、名はルーン(CV:稲馬・千尋(fa0304))、彼女も魔女であった。
「それにしても、そろそろ好きな娘もできた? 王子?」
「いやぁ、悠一君にも言われましたが、皆さん魅力的なのですが、まだ花嫁といわれてもピンとこなくて‥‥」
「もぅ、あんまりモタモタしてないで早く選んじゃいなさいな。もちろん、私はいつでもOKよ♪」
「ははは‥‥」
困ったように笑う舞斗に、ルーンは余裕のある大人の女性のように、持っていたペンを自分の唇に添えてウィンクする。舞斗は少し照れた様子で頬を赤くして、頬をポリポリと掻くのだった。
その後、図書室を後にした舞斗は、帰宅しようと昇降口の自分の靴箱を開ける。するとそこには一通の手紙が放り込まれていた。
「‥‥旧校舎にて待つ。ずいぶんと端的な内容ですね。また魔女さんでしょうか‥‥」
手紙を読んだ舞斗は、それをそれほど不審と思わず。呼び出しの場所、木造の旧校舎へと向かう。
「舞斗‥‥さま? 何かいやな予感が‥‥カリン、バルダザールさんを呼んできて」
「カーテローゼ! もぅ、何度言ったらわかるのよ! それはともかく、ジジイを呼んでくればいいのね?」
旧校舎へと向かう舞斗を見かける魔燐。彼女は、理由のわからぬまま不安そうな表情を浮かべ、カバンに掛かっていた人形に息吹を吹きかけ使い魔にする。使い魔カリン(蒼流 凪(fa3623))は、人形のときとは比べ物にならないグラマラスな身体(手乗りサイズ)の女性の姿で、悪魔のような翼を広げ空へと飛び立っていく。そして魔燐は、自分も舞斗の向かった旧校舎へと向かうのであった。
「みつけたわよジジイ! 魔燐が呼んでる!」
「魔燐の使い魔か。しかし、いまはマイト殿を探すが先決。おぬしに関わっとる暇はないのじゃ」
使い魔カリンはバル爺を見つけると二丁拳銃をパンパン撃ち鳴らし、バル爺にそれを突きつけた。
「その舞斗が、なんか一人で旧校舎に向かってるって魔燐が言ってんのよ! 魔燐はイヤな予感がするって!」
「なんじゃと!?」
カリンの報告を聞いたバル爺は、急いで旧校舎へと飛び出すのであった。
旧校舎の廊下を歩いていた舞斗の前に、白いエナメルのボンデージルックの女性が現れる。女性はニヤリと笑うと、舞斗を誘うように目を細めた。
「どちらさまでしょうか?」
「『白い牙』のアミィ‥‥アンタを殺しにきた刺客ってやつさ!」
アミィは、言うが早いか鞭を炎に変え、それを振るうことにより、木造校舎はあっというまに炎に包まれた。そこに現れたのは舞斗を気になって追いかけてきた魔燐。
「舞斗様!」
「ふふ、すでにこの校舎に結界を張ってある。アンタたちは、炎に包まれて死ぬってわけさ!」
「なぜこんなことを!」
「アンタに王位を継承してほしくないヤツラもいるってことさ!」
逃げようにも、校舎には魔法の結界が張られ、見えない障壁によって外に出ることのできない舞斗たち。かろうじて魔燐の力で炎に包まれずにすんでいるが、それも時間の問題であった。
「だめ‥‥私の力じゃ、結界を破るどころか、炎の勢いを止めることさえ‥‥きゃぁ!」
「魔燐!」
「ご無事ですか舞斗様‥‥。ごめんなさい、お役に立てなくて‥‥」
炎の勢いを抑えるために魔力を放出し続ける魔燐であったが、元々力の弱い彼女には耐え切れるものではなかった。追い討ちをかけるように、天井が崩れ、炎の柱が彼女を襲う。かろうじて舞斗を庇った魔燐は、ついに力を使い果たし倒れてしまった。
「頼みの魔女も、力尽きたようだねぇ」
「魔燐‥‥例えこの身が燃え果てようとも、君を絶対に死なせやしない!」
「‥‥!? この力は!!」
自分を庇って倒れた魔燐の姿に、舞斗は何かに目覚めたようにその身体に金のオーラを宿す。驚くアミィに、舞斗はいつにない厳しい表情で睨み付けた。
「私に逢ったのを不幸に思いたまえ」
「なんて膨大な魔力なんだい! く、結界が‥‥!!」
舞斗の力に圧倒されるアミィ、そして膨張して弾けるように校舎の結界が弾け飛ぶ。
「アンタ‥‥やっぱりイイオトコだね、惚れちまったよ‥‥」
結界が弾け飛ぶ衝撃により起きた爆風が、アミィを吹き飛ばす。そして、そのまま燃え尽きるように光の粒子となって消えていくアミィの表情は、どこか満足そうな微笑であった。
「やった‥‥か。でも、もうここから脱出する力は‥‥」
「魔燐! 大丈夫!?」
「は〜い、使い魔に呼ばれて来てみれば大変なことになってるわねぇ」
「ルーンさん!」
魔燐を抱きしめながら膝を突く舞斗、しかしそこに光の扉を通って、カリンとルーンが現れる。そして、ルーンの魔法のペンの力で舞斗たちは空間転移しその場を脱出するのだった。
「離せよユカリ!」
「ダメ! あんな炎の中に、アンタをいかせらんないよ!」
「ここで終わる男じゃないだろう、お前は! 返事をしてくれ、マイトーー!!」
バル爺の連絡を受けて燃え盛る校舎に飛び込もうとする悠一を、しがみつくように必死に止める由香里。悠一は、叫ぶように舞斗を呼ぶ。
「二人とも、相変わらず仲がいいようですね。僕は大丈夫ですよ」
「マイト!」
そんな二人に、いつものような気さくな感じで光の扉から出た舞斗が話しかける。その腕には、魔燐が抱かれながら静かな寝息を立てていた。舞斗は、そんな魔燐を優しく見つめて微笑み‥‥。
「やっと素直にいえるよ‥‥君の事を愛してる」
穏やかな寝顔に、愛を誓うのであった。
「その後、マイト様は魔燐様を妻に選び、王位を継承したというわけですじゃ」
「僕にも‥‥いつか、そんな運命の日がくるのかな‥‥」
バル爺の長い話がようやく終わった。悠李は、話を真剣な表情で聞き、ぽつりと呟いた。
「ユーリ! ご飯よ〜、降りてらっしゃい。悟君も一緒にどうぞ〜」
「は〜い!」
悠李の育ての母、由香里の呼ぶ声に応え、悠李たちは自室をあとにする。最後に、バル爺がカメラ目線になる。
「まだまだ話は終わりませぬぞ? 新シリーズでもヨロシクですじゃ」