魔女が王子を狙ってるアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/23〜01/27
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●本文
毎日が平凡に終わる、それが僕にとっての幸せだった。普通だけど温かい家庭、穏やかな学校生活、変わらず笑ってくれる友人達。自分にとって当たり前の、なにも不思議なことはない平凡な毎日。それが、本当に僕にとって幸せなんだと思っていたんだ‥‥。
〜声優募集〜
新作アニメ『魔女(おとめ)が王子(ぼく)を狙ってる』の声優を募集いたします。新人・ベテラン関係なく、広く参加者を募集いたしますので、奮ってのご応募をお待ちしております。
〜作品内容〜
主人公『伊藤悠李(いとう・ゆうり)』は平凡を愛する普通の高校二年生。冬休みも終わり、学校は三学期の初め。今年は三年に進級し、進路も真剣に考えなければと思っていた悠李の前に、突然魔法の国の使者と名乗る人物が現れる。
魔法の国の使者は、悠李に「貴方様は、実は魔法の国の王子なのです。ゆえあって、この人間界でお暮らしになられておりましたが、18歳の成人を迎えましたら魔法の国にお戻りになられることになっております」と告げる。
突然のことに驚き疑う悠李を無視して、使者はもっと驚く話を続ける。
「王子として貴方様には、魔法の国にお戻りになる前に花嫁を娶っていただくことになります。つきましては、これより魔法の国で選ばれた花嫁候補が貴方様のもとを訪れますので、その中から花嫁をお選びください」
その日から、悠李の前には花嫁候補という『魔女っ子』たちが次から次へと現れ。悠李の花嫁の座を狙って様々な騒動を巻き起こす。平凡を愛する少年悠李は、突然そんなとんでもない騒動の当事者となってしまうのだった。
〜募集キャラ〜
花嫁候補の魔女っ子(女性限定)3〜5名
主人公の友人(男性限定)1〜2名
魔女っ子のマスコットキャラ(男女可)若干名
〜作品備考〜
募集キャラ以外(主人公など)のキャストはすでに決まっています。
毎回新しく3〜5名の魔女っ子が登場し、主人公の花嫁になるべく様々な騒動を起こします。
担当は、審査のうえイメージにあったキャラを担当していただきます。得意なタイプなど希望がありましたら、事前に申し出てください。
魔女っ子の基本設定として、『変身する』『変身後は想像を具現化する魔法を使える』『決め台詞』があります。これらを踏まえて希望を出してください。
●リプレイ本文
「はい、こちらが配役表と台本になります。収録は後日になりますので、皆さんよろしくお願いします」
スタッフに配役と台本を配られた声優陣。これから収録日まで、各々は担当のキャラクターを自分のものにしていくために、何度も台本を読むのだろう。
「メグの担当は、グレースね‥‥。貴族の娘で高飛車な天邪鬼‥‥。あら、極度のブラコン? うん、この子の気持ち、わかりますわ!」
台本を開いた緑川メグミ(fa1718)は、自分が担当するキャラクターを思い浮かべて大きく頷いた。自分にも愛する義兄がいる彼女には、ブラコン設定の魔女っ子の気持ちがわかるような気がしたのだ。
「え〜と、冒頭はグレースのセリフから始まるのね。グリーンリバー家のためとはいえ、私にだって‥‥」
「グリーンリバー家のためとはいえ、私にだって選ぶ権利がありましてよ。私に相応しい方かどうか、試させて頂きますわ王子様」
ビルの屋上、闇夜に浮かぶ長い髪の少女(CV:緑川)のシルエット。髪をたなびかせながら、眼下を見下ろすその先には、住宅地の中の明かりの付いた一軒家がある。そこには、一人の少年が温かい家庭の中で穏やかな生活を送っていた。
今回の作品で主人公の伊藤悠李を担当するのは、最近売り出し中のイケメン声優、南方雄治(みなかた・ゆうじ)だ。26歳の青年で、子供っぽいちょっと高めの声と、本人もなかなかのルックスのために、女性には結構な人気を得ていた。
「伊藤悠李の声を担当させていただくことになった、南方です。素晴らしい作品にめぐり合えたことを喜ぶと共に、僕も負けずに全力で作品にあたらせていただきます」
人当たりの良さそうな笑みを浮かべる南方。挨拶をして頭を下げる彼に、一同は拍手を返す。
「悠李の友人を担当することになりました、桐尾言います。声優の仕事はこれが初めてやさかい、色々と教えてくれると助かります。何卒よろしゅう頼んます!」
「よろしく悟!」
「こっちこそユーリ!」
続けて挨拶をする桐尾 人志(fa2341)に、南方が役名で挨拶を返す。桐尾もつられて、南方を役名で呼んで笑みを浮かべた。二人の間では、すでにお互いの役柄ができつつあるようであった。
「今日は文芸部の集まりがあるから、また明日な!」
「部活頑張れよ、それじゃまた明日」
普通の日常シーン。鼻眼鏡をかけた友人柿本悟(CV:桐尾)に挨拶をして教室から出る伊藤悠李(CV:南方)。その後、学校から家に帰る途中、魔法の国の使者と名乗る黒猫(CV:晨(fa2738))が現れる。
「初めまして王子。僕はマルコ、魔法の国の使者ですぅ。‥‥貴方様は、実は魔法の国の王子なのですぅ。ゆえあって人間界で暮らしていましたが、18歳の成人を迎えましたら、王位を継承するために魔法の国に戻らねばならないのですぅ」
黒猫マルコは、黒髪猫耳の眼鏡少年に変身すると、悠李の本当の素性を明かす。突然のことに困惑する悠李は、半信半疑のまま次の日を迎える。
「‥‥50点ですわね、お兄様のほうがず〜〜っといいですわ! 貴方の実力試させて頂きますわよ! マジカルチェ〜ンジ!」
「え、君は‥‥? まさか、本当に魔女!?」
次の日、登校中に悠李の前に現れた少女グレースは、品定めするように悠李を見つめた後、大きくため息を付けて採点する。随分と力の篭った声で兄を思い浮かべると、ビシッと人差し指を突き出して宣言し、変身するグレース。
魔女っ子おなじみの、裸シルエットに衣装を纏っていく変身シーンのあと、ポーズを取って現れるグレースに、驚きの声をあげる悠李。
「さぁ! この魔法を受けてみなさい、アイスソード!」
「うわわ! 助けて〜!」
「お待ちなさ〜い!」
魔法で作り出した氷の刃を振り回すグレースに、悠李が情けない声をあげて逃げ出す。グレースはそんな悠李を走って追いかけていくのだった。
「ふぅ、なんとか逃げれたかな。でも本当に魔女だなんて‥‥あ、まずい、学校に遅れる!」
「きゃ!?」
「うわ! ごめん! 君、だいじょうぶ?」
「はぃ〜、だいじょうぶです‥‥。あ、ありがとうございます〜」
「よかった‥‥。ごめん、もう行かなくっちゃ!」
なんとかグレースを撒いた悠李は、学校に遅刻しそうになって慌てて駆け出そうとする。そこに、一人の少女(CV:楊・玲花(fa0642))が現れてぶつかりそうになり、少女は驚き転んでしまう。彼女を助け起こした悠李だが、再び慌てて学校へと走っていってしまった。そんな悠李をほわわんと頬を赤くして、見送る少女。
「私の王子様‥‥」
「アメンボアカイナアイウエオ〜!」
「だめよ、もっとハッキリと大きな声で!」
マッチョなオカマ人形「お兄さん」と一人掛け合いしながら発声練習をしているのは、あずさ&お兄さん(fa2132)。なんと今回魔女のマスコット役二匹とヤクザ役の、一人(?)三役をすることになった。ちなみに支払われるギャラは他の声優と一緒である。
「あずさ様がんばってはりますなぁ。わたくしも負けないようにせなあきまへんね」
「私も、初めての仕事で緊張しますが、良い仕事をするために努力します」
その様子を見て、あずさが担当する二匹のマスコットとコンビを組んでいる魔女っ子担当の、稲荷 華歌(fa2759)と鈴木 舞(fa2768)も、あずさを習って発声練習に加わるのだった。
なんとか学校にたどり着いた悠李。教室に入り疲れたように自分の席に着こうとする所に、悟が話しかけてくる。
「おい聞いたか? 今日、転校生が来るらしいぜ? 可愛い子だといいなぁ〜」
そんな話をしている所に、教師と共に一人の美少女が教室に入ってくる。彼女の容姿に歓声をあげる男子生徒の中で、少女はピンポイントに悠李を見つめてニッコリと微笑む。
「悠李さん、大好きですわ〜!」
「ええ〜〜!!」
驚く悠李と、怒りの声をあげる男子達。転校生は、今朝ぶつかりそうになった少女藤枝さくらだった。
「おいおい、どうなってんだよユーリ。知らないうちにあんな可愛い子と仲良くなりやがって」
朝の騒動も収まってお昼休み、からかい半分羨み半分で話しかける悟。すぐ隣の席には、さくらがニコニコと微笑んでいる。悟がチラリと見ては視線が合ったと思ってニヘラと笑みを浮かべるが、さくらビジョンには悠李しか見えていない。
「ほんまにここに王子様おるん?」
「間違いないわ、人間界のわりに強い魔力がプンプン匂うもの」
悟が悠李をからかっていると、教室に三つ編みの少女コハル(CV:稲荷)と人語を話すモルモットのトリッチ(CV:お兄さん)が現れる。目ざとく悟がコハルに話しかけるが、悟を無視して悠李に近づくコハル。
「初めまして、ウチはコハル。なぁなぁ、ほんまにアンタが王子様? なんやパッとせぇへんね」
「あの、僕は‥‥え?」
コハルの問いかけに答えようとする悠李だったが、突然スピーカーから流れてくる歌に遮られる。そして、その歌を聴いた生徒達が次々と眠りについてしまう。
「なんだ? みんなどうしちゃったんだ!?」
「初めまして王子様。私はネスト‥‥貴方の花嫁候補の一人‥‥あれ‥‥どっち?」
「こっちやこっち、魔法で人を眠らせる前に、確認ぐらいしときや」
何故か起きてる悟と悠李の前に、マント姿の魔女っ子ネスト(稲馬・千尋(fa0304))が現れる。王子がどちらか首を傾げるネストに、呆れたようなジト目でコハルが悠李を指差した。
「そういう貴女は‥‥ライバル‥‥ね?」
「そういうことになるんかなぁ?」
困惑する悠李をよそに、睨みあってバチバチと火花を散らせるネストとコハル。お互い、怪しげな笑みを浮かべると、魔法を唱え始める。
「召喚魔法! 893!」
「タマ取ったるでぇ!」
コハルの魔法で召喚されたヤクザ(CV:お兄さん)がドスの利いた声をあげる。ネストは、持っていたタクトをフルートに変えて、それを吹き鳴らすと悟の身体が勝手に動き出す。
「ちょ、まっ! キミ、なにするつもり!?」
「大丈夫‥‥回復もできるから‥‥」
「まさかあのヤクザと!? 無理無理〜!!」
焦る悟に、親指をグッと立てて頷くエスト。ひょろっとした体格の悟と、厳ついヤクザでは戦いになりそうになさそうだが。
「いてまえ893〜!」
「おぅ、嬢ちゃん誰に命令しとんねん」
「へ? きゃぁ!」
「危ない!」
コハルの命令を聞かず、暴走するヤクザ。咄嗟にコハルを庇い怪我を負う悠李。
「あんまりお痛が過ぎると、怒りますわよ〜」
「き、君も!?」
怪我を負った悠李を見て、レオタード姿に魔法の杖をもった魔女っ子に変身するサクラ。魔法で教室の机に命を吹き込むと、ドタバタとヤクザと戦い始める。
「悠李様、だいじょうぶかしら‥‥」
「チャンスだよカオリ! 貴女の回復魔法で、ガッチリハートを掴まなきゃ!」
「でも〜‥‥」
そんなドタバタ騒ぎを覗くように、廊下から顔を出しているカオリ(CV:鈴木)と人語を話すモルモットのトラッチ(CV:あずさ)。恥ずかしそうにしているカオリにはっぱをかけるトラッチだが、なかなか行動できない。
「くすくす、これから面白くなりそうですぅ」
教室のベランダにはいつのまにか黒猫が座っていて、楽しそうに笑うのだった。
「僕の平凡な毎日を返して〜!」
騒ぎに巻き込まれながら、情けない声をあげる悠李だが、その願いは叶えられそうにないようだ‥‥。