魔女×王子 変化の兆しアジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/12〜06/16

●本文

 高校三年になって、周囲は色々と慌しくなってきた。これからの進路、夢なんてものを真剣に考えはじめている人達も少なくない。僕にも一応、平凡な人生を送るなんていう夢があったわけだけど、このままではそれは叶いそうににないようだ。そんな時、僕は魔法国が関係する事件に巻き込まれてしまった、これを解決するには彼女達の力を借りるしかない‥‥。

〜声優募集〜
 TVアニメ『魔女×王子』の続編、新番組『魔女(おとめ)が王子(ぼく)を狙ってる 〜カラフルピュア(CP)〜』の声優を募集いたします。新人・ベテラン関係なく、広く参加者を募集いたしますので、奮ってのご応募をお待ちしております。

〜作品内容〜
 高校三年に進級した主人公『伊藤悠李(いとう・ゆうり)』は平凡を愛する普通の少年。しかし、彼には重大な秘密があった。それは、この世界とは別の世界に存在する『魔法国』の王子であるということであった。幼い頃に、この現代世界に預けられ、普通の子として育てられた悠李であったが、ある日を境に王子であることを告げられ、花嫁候補の魔女っ子達に迫られるようになるのだった。(『魔女×王子』までの設定)
さて、そんな生活にもようやく慣れ始めていた高校三年の初夏。悠李の周辺で、魔法国に関連する様々な事件が起きる様になる。それは、悠李が王位を継承することを快く思わない者達の行動によるものだった。悠李は、魔女っ子達に協力を仰ぎ、周囲に起きる不思議な事件の解決に乗り出す。(『魔女×王子CP』の設定)

 今回の作品では、主人公と魔女っ子達の恋愛に重点を置きます。それに伴い、登場魔女っ子の人数を絞り固定化します。様々な事件を一緒に解決していくことにより、主人公と魔女っ子達は親密になっていき、いつしか主人公は本当の恋に目覚めます。魅力的な少女達の中から、主人公は誰を選ぶのか。今後の展開次第となります。

〜次話あらすじ〜
 高校三年の初夏。悠李の周囲では、これからの進路についての話などが慌しく行われていた。悠李も、魔法国の王子であることは秘密だったため、平静を装って今後の進路を考えていた。
 そんなある日、突然学校の人間が次々と無気力状態になってしまうという事件が起きる。生徒も教師も何もする気になれなくなり、盛んに行われていた進路についての話などもできなくなってしまっていた。
 不審に思う悠李に、魔法国の使者が「魔法国の動物『獏』が現代世界に逃げ込んでしまった」と告げる。本来、夢を食べる動物といわれる獏であったが、魔法国の『獏』は『未来の理想(夢)を食べる』動物であるというのだ。
 学校の人間達が無気力になった原因はこの『獏』の仕業であった。悠李は、全てにやる気をなくした友人達を前に、事件の解決を望み。悠李の花嫁候補として、現代世界に来ていた魔女っ子達と協力して、事件の解決に乗り出すのであった。


〜主要登場人物〜
 伊藤悠李 一見平凡そうな、気の弱い少年。実は、魔法国の王子であり、花嫁候補の魔女っ子達に追われる身。内に秘めた膨大な魔力のおかげで、外部からの魔法に大きな耐性を持っているが、自分が魔法を使うことは一切できない。今作の主人公。
 伊藤悠一 悠李の育ての父。普通の人間であるが、20年前悠李の父親(現国王)と知り合い、当時の花嫁騒動に巻き込まれた。その後、魔女の一人と結婚、現代世界に預けられることになった悠李の育ての親となる。大学で考古学を教えている。
 伊藤由香里 悠李の育ての母。元々は悠李の父親の花嫁候補として現代世界に来ていたが、花嫁騒動後、悠一と結婚。悠李を預かることになる。
 伊藤美由 悠李の妹。悠一と由香里の娘で、悠李とは血のつながりはない。魔女の娘であるため、一応の魔法の素質はあるものの、現在は魔法は使えない。ある事件をきっかけに、魔法国の存在と悠李の出生を知ることになり、花嫁候補の魔女として数えられることになる。
 魔女っ子達 悠李の花嫁候補として、魔法国より現代世界にやってきた魔女達。魔法で事件を起こし、悠李の気を引こうとしていた。しかし、お目付け役の監視や、現代世界の生活に馴染んできたこともあり、最近では無茶な魔法の使用を抑えるようになり、普通の生活の中で悠李の気を引くようにしているようだ。
 マイト国王 魔法国現国王。悠李の本当の父。国民に慕われる人望のある王で、彼の統治の下、魔法国は平穏無事な日々が過ぎている。現代世界の名、夢乃路舞斗。
 事件の黒幕 現代世界で様々な事件を起こす黒幕。本来の目的は定かではないが、王子の王位継承を快く思わない一派の者であるとされる。
 その他 悠李の親友、魔法国の使者(お目付け役)、魔女のマスコットなど

〜募集キャラ〜
 魔女っ子(女性のみ)2〜4名
 主人公の友人(男性のみ)1〜2名
 魔女っ子のマスコットキャラ(男女可)若干名
 その他 悠李の両親、妹、事件の黒幕など

〜作品備考〜
 主人公伊藤悠李役には最近売り出し中のイケメン声優、南方雄治(みなかた・ゆうじ)を起用。
 担当は、審査のうえイメージにあったキャラを担当していただきます。得意なタイプなど希望がありましたら、事前に申し出てください。
 魔女っ子の基本設定として、『変身する』『変身後は想像を具現化する魔法を使える』があります。これらを踏まえて希望を出してください。

●今回の参加者

 fa0304 稲馬・千尋(22歳・♀・兎)
 fa0658 梁井・繁(40歳・♂・狼)
 fa0868 槇島色(17歳・♀・猫)
 fa1718 緑川メグミ(24歳・♀・小鳥)
 fa2340 河田 柾也(28歳・♂・熊)
 fa2341 桐尾 人志(25歳・♂・トカゲ)
 fa2768 鈴木 舞(25歳・♀・蝙蝠)
 fa3863 豊田そあら(21歳・♀・犬)

●リプレイ本文

●魔女が王子を狙ってる〜カラフルピュア〜「変化の兆し」
「お兄ちゃ〜ん、学校行こ!」
「王子! おはようございますじゃ! 本日の朝食はジャガイモとワカメの味噌汁、目玉焼きも最高の出来で御座いますぞ!」
「う、う〜ん‥‥おはよう」
 朝、悠李の妹の美由(CV:豊田そあら(fa3863))と、玉のようなけむくじゃら、魔法国のお目付け役バル爺(CV:河田 柾也(fa2340))に起こされ、悠李は学校へ行く準備をする。
「おはよう悠李」
「おはよう悠李、朝ごはんできてるわよ」
 食卓では悠李の両親、悠一(CV:梁井・繁(fa0658))と由香里(CV:鈴木 舞(fa2768))が、笑顔で彼を出迎える。一般的で平和な家庭風景。
「さぁ、王子様。今日も一緒に勉学に励みましょう。王国の守護者、武門の誉れ高きグリーンリバー家の淑女を妻とするにはそれなり以上の知性と力を持ってもらわないといけませんからね」
「ちょ、グレースさん! お兄ちゃんから離れてよ!」
「ふ、二人とも、痛いって!」
 学校へと向かう道では、王子の花嫁候補の一人、魔女グレース(CV:緑川メグミ(fa1718))が悠李を待ち構えるように両腕を組んで仁王立ち。そして、悠李の腕を組んでは無理やり学校へ引っ張っていこうとする。美由はそんなグレースに反発するように、逆方向へと引っ張ろうとして間の悠李は痛そうな悲鳴をあげた。
「ユーリ、そんなうらやまし‥‥じゃない、楽しそうだな」
「サトル! 笑ってないで助けてよ!」
 そんな様子を楽しそうに笑いながら、悠李の親友、柿本悟(CV:桐尾 人志(fa2341))が悠李に声をかける。
「あら、カッキーじゃない、ごきげんよう」
「や、おはようさん、楽しそうだな」
「べ、べつに楽しいわけじゃないわよ。花嫁候補として、王子にはしっかりしてもらわないと‥‥」
「?」
 しばらく悠李の奪い合いをしていたグレースだったが、悟に気づくと悠李の腕を離して、なにやらつまらなそうにそっぽを向いた。そんな様子に、悠李も悟も不思議そうに首をかしげるのだった。
「うっし! ○×大射程内に入ったぜ!」
「‥‥なにを見てる‥‥の?」
「やぁネスト、これはこの間の模試の結果だよ」
「‥‥そう」
 学校では、模試の結果表を見て、生徒達がそれぞれ一喜一憂している。そんな様子を興味深そうにみている、悠李達とクラスメイトになった魔女ネスト(CV:稲馬・千尋(fa0304))。
「あら王子、ごきげんよう。いまからお昼?」
「こ、こんにちは、エル‥‥うん、そうだけど‥‥」
 お昼休み、学食に向かう悠李に、ずらずらと団体を引き連れた魔女エル(CV:槇島色(fa0868))が話しかける。彼女はその美貌と魅了の魔法で、いまでは学園のアイドル、休み時間ともなるとファンクラブが周囲を取り巻くようになっていた。
「そう、じゃあ一緒にどう?」
 ザワ、エルの一言に周囲がざわめきを増す。その様子に、悠李は冷や汗を流すが、エルは気にした様子はないようだ。
「い、いや‥‥その‥‥遠慮しておくよ」
「あら、そう‥‥それじゃまたね」
 気後れした悠李が首を横に振ると、エルは残念な様子もなく一言残しその場を立ち去るのだった。
「ふぅ‥‥さすがにあの状況は無理だよ‥‥」
「お、王子さま‥‥」
 過ぎ去った団体を見送って胸を撫で下ろした悠李は、そのまま学食へと向かう。その様子を、廊下の影で見つめる魔女カオリ(CV:鈴木)。
「ああ‥‥いってしまった。また渡せなかった、はぁ〜〜」
 カオリの手には可愛らしいハンカチに包まれたお弁当が二つあったのだが、内気な様子で顔を真っ赤にしているカオリは、それを悠李に手渡すことができず、大きくため息をつくのだった。
「明日から進路面談がある! 順番に行うのでちゃんと残るように!」
 その日の終わりのホームルームで、担任の声に生徒達は嘆息とも取れる声をあげる。
「お前はもう魔法国の王様って進路が決まってるから気楽でいいよな」
「そんなまだ決まったわけじゃないし‥‥」
「ユーリ、お前はお前でやるべき事がある。皆と違う道を歩むからって気後れすンなよ?」
「‥‥‥」
 悟の言葉に、困ったように俯く悠李であった。

 次の日、学校へ来た悠李は、皆の様子がおかしいことに気づいた。
「サトル? どうしたの?」
「‥‥めんどくせぇ」
「みんな‥‥朝からこんな調子なの‥‥」
 無気力な様子で机に突っ伏す悟。また生徒だけでなく、教師達もやる気をなくしているようであった。元気なのは悠李とネストだけである。そんな教室に、光の玉が飛び込んでくる。
「王子! 『魔法国の香り』がしますですじゃ!」
 光の玉はバル爺であった。悠李の前に降り立ったバル爺は、悠李とネストを屋上に連れて行き、異変の原因であるバクの説明をする。
「バクは、夜に現れますじゃ。バクを捕らえ、夢を吐き出させないと、皆はいつまでもこの状態になってしまいますじゃ。小生は他の魔女達に連絡してまいります。王子はくれぐれもお気をつけくださいませい」
 報告をすると、バル爺は再び光の玉となって空へと飛び立っていってしまうのだった。その後、教室に戻った悠李であったが。
「はぁ? ったりィ。どーでもいっすよ」
「ああ、もう! しっかりしなさい! 無気力なんて似合わないじゃないの! 一応! 王子に振られたとき、拾ってあげてもいいと思ってるんだから!」
 ドカドカドカ! 拳をグーにして、悟を殴り続けるグレースの姿があった。
「グレース‥‥サトル、死にそうなんだけど‥‥」
「王子! なにやってたのよ! お兄様から手紙があって、バクがこっちに来てるって!」
 悠李が話しかけると、ぷしゅ〜っと湯気が出ているサトルの襟首を掴んだまま、グレースがバクについてまくし立てる。悠李は、そんな彼女にバク捕獲を手伝って欲しいと頼むのだった。

「悠李、くれぐれも気をつけるんだぞ」
「父さん、大丈夫?」
「昔は、何度も似たような目にあったからな。耐性もできているというもんだ。魔法は、自分の中に自分の理想を強く描いている者には効果が薄い。覚えておきなさい」
 その夜、学校へ向かう悠李に、悠一が声をかける。すでにほとんどの人間が無気力になっている状況で、悠一はまだ元気な姿でいた。
「皆を元に戻してくるよ!」
「がんばってきなさい」
 学校へと向かって歩き出す悠李。それを見送った悠一は、額を押さえて首を振った。そんな悠一を支えるように現れる由香里。
「あなた大丈夫?」
「ああ‥‥さすがに魔力のない俺にはちょっとキツイかな‥‥」
 元気なフリをしていた悠一は、由香里に支えられ苦笑を浮かべるのだった。

「あ、あの、戦うのは苦手ですが、一生懸命がんばります!」
「‥‥さっさと終わらせてしまいましょう」
 夜の学校、校門前でグレースと共に待っていたのはカオリとネスト。魔女達の話では、バクは間違いなくここを根城にしているそうだ。
「それと‥‥そこに‥‥」
「えへへ‥‥私も手伝うよ! あたしとお兄ちゃんのラブラブな夢を食べるバクなんて許せないもの!」
 そしてもう一人、ネストの指差す先には、隠れていたのか美由が現れ、ペロリと舌を出して悠李の腕に抱きつく。
 学校のあちこちを捜索する一同。途中、音楽室でネストが悪戯をして、それに驚いたカオリが悠李に抱きつき真っ赤になるなど、ちょっとしたハプニングが起きつつ、悠李達はついにバクを見つける。
「なんでばっくんが見えるんだバクっ?」
 生物室にいた桃色のバク(CV:桐尾)は、魔法で捕らえようとする魔女達を掻い潜り、逆に標本などを飛ばして反撃してくる。
「そなたにとっておきの悪夢を見せてやるバク。絶望という名の、バク!」
 校舎を飛び出したバクを追いかける一同。そんな悠李達に、バクは校舎よりも巨大な姿で襲い掛かってきた。グレースとネストが魔法で応戦するが効いた様子もない。
「きゃあ!? お兄ちゃん!!」
「美由危ない!」
 バクに驚き、転ぶ美由。それを庇うように悠李が抱きしめる。その様子を校舎の屋上で見ていた人影が、腕を振り上げた。
「風よ!!」
「ぬぉ〜、この風は何だバクぅ」
「吹き荒れるは黒い風、疾風魔女エル・グレイス只今見参!」
 月明かりに映るその姿は、エルであった。彼女は、黒い竜巻でバクを吹き飛ばし、ビシっとポーズを決める。
「貴方達! なにをやってるの、それは幻影よ、よく見なさい!」
「‥‥そう、わかったわ。それに‥‥流石にやりすぎよアンタ‥‥」
「う、しまったバク、バレたバク〜」
 エルの言葉に、ハッとなる魔女達。怒ったようなネストが杖をホイッスルに変化させ、それを吹き鳴らせばバクの動きが止まり、見る見る間に大きさが元に戻っていく。
「よくも私を騙しましたわね! これでも食らいなさい、アイスコフィン!」
 続いて、グレースが魔法を唱えてバクを氷漬けにする。バクはそのまま、身動きが取れなくなってしまった。
「これで、皆を元に戻せる。ありがとうエル!」
「べ、別に王子を助けたかったからじゃないわよ‥‥」
 礼を述べる悠李に、いつものクールさではなく、少し照れたような表情を浮かべるエル。彼女は、短く言葉を残すと黒い竜巻に包まれ姿を消してしまうのだった。
「‥‥あれ? 俺はいったいなにを‥‥なんか、誰かに嬉しいこと言われたような気がするけど‥‥頭痛い‥‥」
 その後、無事バクから夢を取り戻し、街は日常を取り戻すのだった。