神霊装甲 一時の休日アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
06/17〜06/21
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●本文
・声優募集
新作ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』では、作品に参加する声優を募集しています。経験の有無は問いませんので、奮っての応募をお待ちしております。
審査のうえで配役を決定いたします。得意なタイプ、希望などありましたら事前にご連絡ください。
●ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』
・作品概要
戦いの世界ヴァルハラへと召喚された現代人たちが、この世界で起きている戦い「ラグナロク」にいやおうなく巻き込まれていく物語。
召喚された現代人たちは、それぞれが戦士の魂を持つ者であり、「魂の騎士(スピリットナイト)」と呼ばれる存在であった。彼らは、「神霊装甲(スピリチュアルアーマー=SA)」という巨大ロボットを託され、ヴァルハラに存在する国々の戦士として戦いを強要されることになる。
物語は、ラグナロク戦争を軸に、毎回違う主人公の物語が展開されるオムニバス形式。戦いに巻き込まれた現代人や、ヴァルハラ人たちがそれぞれの視点で物語を紡いでいく。
・世界設定
ヴァルハラ 我々の世界と対になる魂や精神が具現化した世界で、精神力(心の強さ)が力となる世界。絶えず争いが起きていることから、戦いの世界とも言われている。この世界には、それぞれアース神族、ヴァン神族、巨人族という三種族が国を作っており、それぞれがそれぞれの国と争っている。
神霊装甲 アース神族、ヴァン神族が巨人族に対抗するために、それぞれ独自の技術によって作り出した戦闘用巨大装甲。操縦者が乗り込み、意志の力によって操縦する。通称SA(スピリチュアル・アーマー)。
SAヴァルキュリア アース神族の作り上げた新型量産SA。新技術により、意志力を翼状のオーラに変えて空中を飛ぶことが可能になった。性能もさることながら、女性的で優美なフォルムを持ち、翼を広げた姿はまるで天使のようである。基本武装は近距離用オーラブレード、遠距離用スピリットガンなど。
SAロキ アース神族のプロトタイプSAの一つ。高い運動性能と、周囲に溶け込む迷彩ステルス機能を持つ隠密性の高い機体。戦闘でも、近接遠距離ともに優れた戦闘力を持っているが、薄い装甲や稼働時間に難があるため扱いづらい機体となっている。また、様々な特殊機能が備わっているそうだが、そのほとんどが不明。ボディの基本色は黒。アース神族の上級仕官トリックスターの専用機。
アース神族 神の国アスガルドを首都に持つ、好戦的な種族。力(精神的に)が強く、謀略にも長ける。侵略、支配を繰り返し、巨大な国を作り上げた。我々の世界でいう騎馬民族のようなイメージ。 君主制を敷いており、王の下に内政、外政、軍部の各担当者がそれぞれを指揮している。軍の様子は、規律統制のとれた現代軍隊に近いイメージ。
アスガルド アース神族の首都。城壁に囲まれた石造りの中世ヨーロッパ風の町並みで、中心地に城がある。世界各地から、様々な産物が集まり、国は活気に満ち溢れているが、上流階級と下流階級の貧富の差が激しいようだ。
ヴァン神族 新緑の森ヴァナヘイムを首都に持つ、平和的な種族。魔術が得意で、身のこなしも素早い。農耕を行い、大地に根付くことで豊かな国を作り上げた。農耕民族のイメージ。共和制を敷いており、国民に選出された長老会によって国の全ての政治を動かしている。軍の様子は、個々の力を重んじる中世騎士団と近いイメージ。
ヴァナヘイム ヴァン神族の首都。巨大樹ユグドラシルを中心に、自然の要塞である広大な森に、木造の家々が立ち並ぶ町並み。ユグドラシルには政治の中心長老会が置かれており、ヴァン神族の文化はすべてがここを中心としている。国は長老会の下に、騎士と一般階級に分かれ、それぞれ国の防備と農耕農業に分かれているが、身分や貧富の差はほとんどない。
ドヴェルグ族 森に囲まれた鉱山の町アールヴヘイムを首都にもつ、友好的な種族。人間ではなく妖精に分類されており、見た目は人よりも小柄ながらガッチリとした体格が特徴、男女共に豊かな髭を生やしている。力が強く(肉体的に)、また手先が器用なため、何かを作るということに長けている。近年ではSAの開発に携わることも多く、彼らの開発したSA技術は各国に有償で提供されている。政治は君主制、少数民族であるが高い軍事力を持ち、各国と中立を保っている。
アールヴヘイム ドヴェルグ族の首都。周囲を森に囲まれ、鉱山を中心に石造りの住居が立ち並ぶ町並み。商業都市のようなイメージで、大変活気があり、ほぼ毎日バザーが開かれてはあらゆる物が揃うと言われている。中立国であるため、バザーを目的に様々な種族(人間以外も)が訪れることが多い。また、鉱山では貴重な鉱石が発掘されており、SAに使われる材質のほとんどはここから産出される。しかし、鉱山はドヴェルグ族の管理下に置かれており、一般が入ることは禁じられている。
それ以外の種族 ノッカーやピクシー、またドラゴンなど様々なモンスターが存在している。
・次話あらすじ
アース神族、ヴァン親族、巨人族の三つ巴の戦争が小康状態に入った頃、アース神族の下で戦うことになった現代人達はしばらくの休暇を得ることになる。そこで、彼らは仮面の男トリックスターの誘いで、ドヴェルグ族の町アールヴヘイムへと向かった。
アールヴヘイムは、中立の商業都市のような所で、バザーの明るい雰囲気に現代人達も買い物を楽しんだりと余暇を楽しむことになる。
一方、ヴァン神族側についた現代人達も、アールヴヘイムを訪れていた。同じように余暇を楽しむ彼らであったが、偶然が二組の現代人達を引き合わせることになった。
同じ境遇ながら、二つの軍勢に分かれてしまった現代人達。双方の聞かされた『現実』には微妙な違いがあり、自分達がこれからどうすればいいのか、果たして元の世界に戻れるのか、いくつもの不安を抱えることになる。
その頃、現代人と共にアールヴヘイムを訪れていたトリックスターは、ドヴェルグ族の王に謁見し、アース神族の書状を手渡す。そしてそれが、新たなる争いの火種へと発展していくのだった。
・登場人物
アース神族側現代人(2〜4名) アース神族側で戦うことになった現代人
ヴァン親族側現代人(2〜4名) ヴァン神族側で戦うことになった現代人
トリックスター(池内秀忠) アース神族側の上級仕官で、「仮面の道化師」と呼ばれている。その名の通り、素顔は仮面で隠されており、元々の素性も出生も本名さえもわからない謎の男。今回、余暇にとアース神族側の現代人を誘いアールヴヘイムを訪れるが、実際は軍の密命を帯びて、ドヴェルグ王に書状を渡しに来た。
その他 ドヴェルグ王、現代人と共に余暇に来たヴァルハラ人、アールヴヘイムの住人など
●リプレイ本文
●神霊装甲ヴァルキュリア『一時の休日』
「SAが実戦配備されるまでは巨人族とは不可侵だった‥‥けどSAの採用とほぼ同時期に巨人族によってアース神族の村が壊滅? これで巨人族との軋轢が生まれた‥‥」
アース神族の戦史を調べていた緑川安則(CV:名無しの演技者(fa2582))は、その内容に違和感を覚えるように眉をひそめる。そして、その違和感はある人物を思い出した。
「この状況、まるで‥‥」
安則と仮面の男トリックスター(CV:池内)が初めてあったときのシーンが回想され。
「トリックスター、何か妙な感じがする人‥‥握手した時に感じた、ざらついた‥‥嫌な感じ。何だろ‥‥」
「国の歴史を調べているのかい? 感心だね」
「(いつのまに!?)」
小さく呟く安則、そこに突然声をかけるものが現れた。声の主は仮面の男トリックスター。彼は、いつのまにか安則の後ろに立っており、安則を驚かせる。
「これから休暇でアールヴヘイムへと行くことにしたのだが、君達もどうかとおもってね? 中立の商業国家で、大変活気のある所だよ。息抜きにはちょうど良いだろう」
トリックスターは安則の驚きに意を解した様子もなく、穏やかな口調で休暇の誘いをする。仮面に隠れた表情には、その意図を読み取ることはできない。
「(トリックスターからの誘い。まるでデコイのようにあからさまか? でも‥‥)‥‥はい、お誘いありがとうございます」
安則はトリックスターを疑うが、コクリと頷き誘いに乗ることにするのであった。
中立都市アールヴヘイム。大きな山のふもとに、石造りの家が立ち並ぶ町並み。活気溢れる人々の中には、ずんぐりと小柄で、ガッチリとした体格のドヴェルグ族が多く見られる。
「仮面付けた上官からの降って沸いた休暇か、きな臭え」
露天が立ち並ぶ街を歩きながら、アース側に招かれた現代人富嶽源(CV:伊達正和(fa0463))が顔を顰める。
「まったくね‥‥あの仮面、なに考えてるのかさっぱりわからない。はぁ、退屈。中立都市なんて言ってるけど、こんなのさっさと占領しちゃえばいいのに」
「あんたさ‥‥最近あいつらと考え方似てきたな」
一緒に歩くリュイール・アルト(CV:影丘深菜(fa3878))も、つまらなそうに町並みを眺めながら、ぽつりと呟く。それを聞いた源は苦笑を浮かべるのだった。
「とにかくいまは考えてもしかたないか、休暇ってやつをたのし‥‥あれは!!」
諦めたように肩をすくめて、源はバザーを眺めようと周囲を見回した。そして、ふと広場の人ごみに視線を向けたそのとき、源は突然その人ごみの中へと走り出す。
「ちょっと! 急にどこいくつもり!」
その様子にリュイールは慌てて声をかけるが源は立ち止まらず、仕方ないといった様子で追いかけるのだった。
一方、ヴァン神族に迎え入れられた現代人達も、アールヴヘイムへと休暇に来ていた。
「活気があって、素敵な所ですね。この世界が全てこの町のように平和であればいいのに‥‥」
街の様子に目を細めて、エリス・リヴァイア(CV:水鏡・シメイ(fa0509))が小さく呟く。
「休暇‥‥僕達もメンテナンスが必要ってことだろうか?」
「休暇を貰ったけど、この後また戦うって事を考えたら憂鬱だよ」
「なんだっていいじゃない、やっとあんな森から抜け出せたんだから、ふふふ‥‥」
共に来た鹿島駈(CV:晨(fa2738))は物珍しそうに周囲を見回し、竹内虎雄(CV:伊達)は少し疲れたようなため息をつき、緑マリア(CV:稲森・梢(fa1435))はなにか怪しげに含み笑いを漏らす。
「この雰囲気、なんか懐かしい感じ‥‥踊りたくなってきた!」
「ちょ、ちょっと!?」
アース神族から、ヴァン神族へと亡命したヴィオ・ローザ(CV:レティス・ニーグ(fa2401))も、ようやく疑いが晴れ同行していた。彼女は、街の活気あるラテン的な雰囲気に気分が高揚したのか、街の広場で急に踊りだす。その様子に、マリアは驚くが、周囲の人々はヤンヤヤンヤと歓声をあげて見物している。
「てめえっヴィオかっ、この裏切り者っ!!」
「はっ!」
「ぐぁ!」
「なんだい突然‥‥ん? あなたもしかして富嶽?」
そんな中、突然見物者を押しのけて、ヴィオに殴りかかる影。その影に、ヴィオは流れるような動きで蹴りを食らわす。顔面に蹴りを受け倒れる影だが、よくみればそれは源であった。
「つぅ‥‥」
「あははぁ、ごめん、反射的に」
鼻を押さえて立ち上がる源に、ヴィオは苦笑を浮かべながら謝罪する。それを恨めしそうに睨みつける源だったが‥‥。
「あなた! この世界の人間じゃないんでしょ!? どうやって来たの!? 戻る方法を教えて!!?」
「うぉ!?」
様子を見ていたマリアが飛び出してくると、源の胸倉を掴んでは凄い剣幕でまくし立てた。あまりのことに、目を白黒させる源。
「富嶽、急に駆け出してどうしたっていうの‥‥あら」
「言いなさい! 言いなさいよ!」
「マリア‥‥それじゃ、なにも話せないわよ」
源を追いかけてきたリュイールが現れる頃には、源は泡を吹いて意識を失いそうになっていた。ヴィオはあきれたように苦笑する。
「‥‥どうやら貴方がたも境遇は一緒のようですね。ここではなんですし、よければどこか落ち着けるところで話を‥‥」
「別に話すことなんてないとおもうけど‥‥このままほうっておくわけにもいかないしね」
エリスが源とマリアに割って入ると、好奇の視線で見ている周囲を気にした様子で提案する。リュイールは冷めた表情で呟くが、仕方ないといった様子でため息をつき頷いた。
「いらっしゃいませ〜! 空いてる席へどうぞ〜」
酒場へと入った現代人達。彼らはウェイトレス(CV:美森翡翠(fa1521))の案内で、席へとついた。
「お前のやったことの正しさは認めるけどなっ、何の相談もせず地獄の釜の飯を食った仲間を捨ててった事が許せねえっ!!」
ドン! 源がテーブルに拳を叩きつけてヴィオを睨みつける。
「富嶽! ごめん、でもあたしには我慢出来なかったのよ、あそこで見逃していたらあたしはきっと後悔してたわ」
「だからってな‥‥!」
「争いは何も生みません。ここは少し抑えて、話をしませんか?」
糾弾する源に、ヴィオは頭を下げる、しかしその瞳は後悔のない澄んだ光を放っていた。エリスは二人に割って入り、穏やかな口調で提案する。源は何かを言いたげに顔を顰めるが、しぶしぶといった様子で頷く。
「お二人のことはローザさんから聞いています。アース神族に招かれて協力している方々ですね」
「協力っていうのは適切じゃないね。まぁ、帰るためにしかたなくだね。あんた達こそ、ヴァン神族に協力してるんでしょ」
「いえ、我々もしかたなく」
エリスの言葉に、リュイールが肩をすくめて答える。
「それ、おかしいでしょ? 私達を召喚したのはヴァン神族なんだから、帰りたければ帰れるんでしょ」
「ちょっと待ってよ! 召喚したのはアース神族のほうでしょ! あなた達こそ帰る方法知ってるんでしょ!?」
「そんなの知るわけないでしょ」
「嘘‥‥」
首を振るリュイールに、マリアは絶望に絶句する。話の食い違う双方に、全員顔を顰めた。
「どうやら、召喚者がどこの誰かわかりませんが、この戦争の勝者が決まるまで私達を現代に帰す気はないようですね」
エリスは、小さくため息をつくと、そう結論づける。
「まだ聞きたいことが‥‥」
「きゃあ!? 離して下さい!」
エリスが、続いてトリックスターのことを尋ねようとしたとき、突然悲鳴があがる。酔っ払った兵士と思しき男が、ウェイトレスの腕を掴んでいた。
「やめろ! その子を離すんだ!」
「なんだてめぇ! いてて! 覚えてろ!」
その様子に、いち早く動いたのは駈だった。彼は、ウェイトレスの腕を掴んだ兵士の手を捻りあげて追い払う。大の大人でさえ軽く退ける力、それが魂の騎士の力だった。
「あ、ありがとうございます!」
「い、いえ‥‥」
「最近、この街にも柄の悪い兵士がよく来るようになったんです。お客様も気をつけてください。ここアールヴヘイムは確かに中立国ですが、SAの産地ですから大国の争いにいつ巻き込まれるかわからないところです。対立国の人間同士で喧嘩の元になる事も多いから最近じゃあ皆ピリピリしてて‥‥」
「‥‥‥」
「まったく、絶えず争いが起きてて‥‥争いを持ち込んだっていう伝説の「魂の騎士」とやらを呪いますよ」
メイアと名乗り礼を述べるウェイトレスは、アールヴヘイムとその周辺の状況を語っては大きくため息をついた。その話に、現代人一同は困惑の表情を浮かべるのだった。
「ドヴェルグ王、これが我らの王オーディンの書状になります」
「これは‥‥ワシらにアース神族に降れということか?」
その頃、トリックスターは城にてドヴェルグ王に謁見していた。彼は、アース神族の王の書状を携えていたのだ。その内容は、SAの技術、鉱石、その他街の権利を全てアース神族に譲渡するようにといった物であった。
「従わぬ場合は、武力の行使もと‥‥ワシらもなめられたものよ。ドヴェルグ族は誰にも従わず、中立を保つとオーディンに伝えよ」
「‥‥返事は確かに賜りました‥‥それでは失礼いたします」
王の返事に、トリックスターは恭しく頭を下げその場を後にする。しかし立ち去る直後、彼の口元がニヤリと嬉しそうに笑みを浮かべるのだった。