夏忘れアニメSPアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 1人
期間 08/29〜09/02

●本文

夏休み特別企画『夏忘れアニメSP』
ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア特別版』
・作品概要
 戦いの世界ヴァルハラへと召喚された現代人たちが、この世界で起きている戦い「ラグナロク」にいやおうなく巻き込まれていく物語。
 召喚された現代人たちは、それぞれが戦士の魂を持つ者であり、「魂の騎士(スピリットナイト)」と呼ばれる存在であった。彼らは、「神霊装甲(スピリチュアルアーマー=SA)」という巨大ロボットを託され、ヴァルハラに存在する国々の戦士として戦いを強要されることになる。
 物語は、ラグナロク戦争を軸に、毎回違う主人公の物語が展開されるオムニバス形式。戦いに巻き込まれた現代人や、ヴァルハラ人たちがそれぞれの視点で物語を紡いでいく。

・特別版設定
 ラグナロク戦争よりも遥か昔、伝承としてだけ残された過去、ヴァルハラ世界を二分する大戦が起きた。光と闇、太陽と月、全ての生物が相反する二つの勢力に分かれ、お互いを滅ぼし世界の秩序を統一するために戦った。
 この光と闇の大戦では、多くの英雄が生まれ、そして死んでいった。やがて彼らの魂は、ヴァルハラに再び起きた大きな戦争に呼応するように目覚めていく。
 しかし、この大戦には、もう一つ語られぬ戦いがある。封印されし、全てを無に帰そうとしたその戦いとは。

・世界設定
ヴァルハラ 我々の世界と対になる魂や精神が具現化した世界で、精神力(心の強さ)が力となる世界。遥か過去では、全ての生物が光と闇に分かれ、世界の秩序を統一しようと争っている。もちろん、巨人族や人間族もこの二つの勢力に別れている。

光の勢力 太陽を信望し、選ばれし者を統治者として全てを管理することを秩序と考える勢力。

闇の勢力 月を信望し、すべからく平等に、競争によって勝ち取ることを秩序と考える勢力。

神霊装甲 遥か過去では、人間が他の種族と同等以上の力を得るために意志力を肥大化させて生み出したもの。基本的に自らの意志力で生み出し、自らが駆る鎧となる。通称SA(スピリチュアル・アーマー)。

SAヴァルキュリア 遥か過去に存在する、光のSAの一つ。意志力を翼状のオーラに変えて空中を飛ぶことが可能。女性的で優美なフォルムを持ち、翼を広げた姿はまるで天使のようである。基本武装は近距離用オーラブレード、突撃用オーラランス。

SAフレイ 遥か過去に存在する、光のSAの一つ。意志力によって複数の剣を飛ばし、自由自在な遠隔攻撃を可能にするソード・オブ・ヴィクトリーを持つ。二人の操者によって操縦され、比類なき力で闇を払う。まるで炎に包まれたかのような、燃えるような赤いボディが印象的なSA。

SAオーディン 遥か過去に存在する、光のSAの一つ。超長遠距離射撃を可能にするビーム砲『光の槍』グングニールを持ち、ホバー機能による超高速移動を可能にするシステムスレイプニールを持つ。光の勢力の切り札ともいえるSA。

SAロキ 遥か過去に存在する、闇のSAの一つ。高い運動性能と、周囲に溶け込む迷彩ステルス機能を持つ隠密性の高い機体。特殊な機能により、多数の(実体のある)分身を生み出す。その他にも、様々な技を使用できると言われている。また、3匹の魔獣を従えているという。

ウドガルドロキ SAロキの最終形態。全てを無に帰す存在として、あらゆる物を破壊する強力な力を持つ。大気、重力、時間さえも操ることができると言われている、まさに最強のSA(?)。

3匹の魔獣 ロキに従い全てを無に帰すと言う、魔獣フェンリル、大蛇ヨルムンガンド、死霊ヘルのこと。

SAベルセルク 遥か過去に存在する、闇のSAの一つ。意志力を暴走させ、生み出された強大な力は、全長数百メートルにも及ぶ巨大な刀身となって敵を討つ。しかし、暴走した力は操縦者を飲み込み、ほとんどの者が死に絶えるという。

その他のSA 英雄の数だけSAがあったとされ、様々なSAが存在する。

巨人族 全長十数メートルと大変体格に恵まれており、力が強く身のこなしも早い。この種族も、光と闇に分かれ、大戦の最終決戦時にほとんどが死滅した。

それ以外の種族 ノッカーやピクシー、またドラゴンなど様々なモンスターが存在している。

・声優募集
 ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』では、作品に参加する声優を募集しています。経験の有無は問いませんので、奮っての応募をお待ちしております。

・特別版あらすじ
 かつて、ヴァルハラ世界を二分した光と闇の大戦は、ついに最終決戦を迎えようとしていた。お互いの勢力は、自らの信念を胸に、全てを滅ぼさんと総力でぶつかり合う。
 しかし、この戦いに、もう一つの勢力が現れることになる。それは、全ての勢力、全ての生き物を無に帰そうとする、無の勢力。裏切り者ウドガルドロキを中心に、無の勢力は圧倒的な戦力で全てを飲み込もうとする。
 存続の危機を迎える二つの勢力。だが、強大な敵の出現に、いつしか二つの勢力の英雄達は協力してこれに立ち向かうことになる。無の勢力と、光と闇の英雄達の対決、果たして決着は!?

・登場人物
 オーディン 光の勢力の英雄。SAオーディンを駆り、数々の戦績をあげてきた光の勢力の中心人物。ロキとは義兄弟であり、多くの因縁がある。もちろん、現在のアース神族の王とは別人。
 スルト 闇の巨人族の王。炎の魔剣レーヴァテインを持ち、多くの光の勢力を屠ってきた。現在の巨人族の英雄スルトとは別人。
 フレイとフレイア 光の勢力の双子の英雄。SAフレイを駆り、何度も勝利に導いてきた。現在のヴァン神族の騎士レイとリアとは別人。
 ロキ(CV:池内秀忠) 光から闇に寝返った英雄。SAロキを駆り、多くの戦局を混乱させてきた道化師。真の姿は、全てを無に帰す、虚無の化身。光と闇の最終決戦で正体を表し、3匹の魔獣と共に、全てを無に帰そうとする。
 その他 各勢力の英雄達など

 審査のうえで配役を決定いたします。得意なタイプ、希望などありましたら事前にご連絡ください。

●今回の参加者

 fa0330 大道寺イザベラ(15歳・♀・兎)
 fa0463 伊達正和(25歳・♂・竜)
 fa0509 水鏡・シメイ(20歳・♂・猫)
 fa2401 レティス・ニーグ(23歳・♀・鷹)
 fa2554 リーベ(17歳・♀・猫)
 fa3426 十六夜 勇加理(13歳・♀・竜)
 fa3605 ルージュ・シャトン(12歳・♀・猫)
 fa3800 パトリシア(14歳・♀・狼)

●リプレイ本文

「プラモやガレージキットも売れ行きが良いらしいぞ?」
 伊達正和(fa0463)は収録スタジオの休憩室で完成済みのプラモデルを持ってきて話題にしていた。
「ニャ〜、これがヴァルキュリアですかニャ。綺麗なロボットだニャ〜。あニャ?」
 ポキ‥‥正和の持ってきていたプラモを触っていたルージュ・シャトン(fa3605)だったが、翼部分を動かしてみようと力を入れた拍子に、あっけなく折れる。
「おおおお! 俺の、富嶽源専用ヴァルキュリア1/144スケールが!!」
「ごめんなさいですニャ、ちょっと翼を動かしてみただけだったのにニャ」
「このキットは翼は動かないんだよぅ〜〜〜!」
 テーブルに顔を伏せて泣き崩れる正和。ばつが悪そうに、ポンポンと正和の肩を叩くルージュ。スタジオは相変わらず賑やかなようだ。

●神霊装甲ヴァルキュリア特別版「英雄達の円舞曲」
「姉さん、たぶんこの戦いが最後です。私に力を貸してね」
 空から、決戦の戦場を見下ろすロスヴァイセ(CV:リーベ(fa2554))。美しい光の翼を持ったSAヴァルキュリアの眼下には、二つの軍勢の総力を集めた大軍が、今まさにぶつかり合おうとしていた。
「光の勢力、一番槍は俺が貰ったァァァ!!」
 ついに切って落とされる光と闇の最終決戦の幕。人型の機体から、バイク形態に変形したSAに搭乗するヘルモート(CV:伊達)が、青白いオーラを纏って闇の軍勢へ特攻する。
「どうだ、俺のヘルダイブの威力は! なに!?」
 一瞬の隙を突かれたヘルモート、敵の巨人族が飛びかかろうとしたその時。どこからか、一筋の光線が敵を撃ちぬいた。
「ヘルモート! 油断をするな!」
「オーディンか、助かった!」
「全軍、闇の勢力を迎え撃て! ここが正念場ぞ!」
 ヘルモートの危機を救ったのは、遥か彼方からの精密射撃。光の槍と称される長距離オーラライフル『グングニール』を持ったそれに搭乗するのは、若く美しい少年オーディン(CV:パトリシア(fa3800))。しかも、若くして彼は光の軍勢一の英雄であった。
「全てが管理された世界に本当に未来があるのか?!」
「秩序を失い、世界が混沌に包まれるわけにはいかないわ!」
 三叉の槍を振るう青いSAエーギルに乗った女性ラーン(CV:レティス・ニーグ(fa2401))と、光り輝く金のヴァルキュリアを駆るロヴン(CV:十六夜 勇加理(fa3426))。お互いに、自分の信じる道を突き進み激しい攻防を繰り広げる。
「無駄です! 力の優劣よりもっと大事なものがあることがわからないの!」
 エーギルの槍の激しい突きをロヴンはバリアで弾き返し、態勢を崩した相手に切りつける。そしてエーギルは胴を切断され、打ち倒されるのだった。
「裏切り者ロキ、悪いがここで堕ちてもらう」
「フレイか、君とは是非手合わせしたいと思っていたところだ」
「兄さん、来るわよ!」
 深紅の機体と漆黒の機体、対照的な2体のSAは、まるで引き寄せられるかのように出会い、戦いを開始する。深紅のSAフレイには、双子の英雄フレイ(CV:水鏡・シメイ(fa0509))とフレイア(CV:ニーグ)。そして、漆黒のSAロキには、光から闇の軍勢に身を移したロキ(CV:池内)が搭乗していた。
「そろそろ本気でいかせてもらおうか。ドラウプニル発動!」
「なに分身? いや、全てに実体があるだと!? ならばこちらも、敵を斬り裂け、ソード・オブ・ヴィクトリー!」
 9体の実体のある分身を生み出し襲い掛かるロキ、それに対しフレイは制御された無数の剣で全てを同時に切り裂く。フレイの正確無比な攻撃、フレイアの卓越した操縦技術が、トリッキーな動きで翻弄するロキに対しても十分実力を発揮していた。
「フレイ〜頑張れ〜、やっつけろ〜。本体はアレだよ〜」
 そんな戦いの中で、場違いに明るい声がする。フレイに一緒に搭乗しているピクシーの少女ルー(CV:シャトン)である。彼女は、特殊な直観力でロキの本体を見破り、徐々にフレイを優勢に導いていく。
「ロキをやらせやしないわよ!」
「シギュン!? 貴女が何故!!」
 そこへ現れたのは黒い翼を持ったヴァルキュリア。搭乗者はかつて絶世の美女と謳われながら光を追われ闇となったシギュン(CV:大道寺イザベラ(fa0330))であった。彼女は、愛するロキを守ろうと、電磁の鞭を振るう。フレイヤはかつての知り合いの姿に動揺しつつも、かろうじてその攻撃を避ける。
「やはり私を止めることはできない‥‥か。残念だが、タイムリミットだ」
「なに!?」
「あ、うう‥‥頭が‥‥ダメ、こんな強い憎しみ‥‥彼を、彼を止めて‥‥」
「ルー、どうしたの!?」
 激しい戦いを繰り広げる中、ロキはなにか諦めたように大きくため息をついた。ロキから立ち上る邪悪なオーラを感じ取り、ルーは苦しそうにロキを制止するよう伝える。
「あはははは! みんな消えてしまえばいいのさ!」
 シギュンはその様子の意味を知るかのように、嬉しそうな高笑いをし、愛しそうにロキを見つめる。そうするうちにロキのオーラはどんどん広がり、巨大さを増していく。やがてそれは、彼のSAの姿を変えていき‥‥。
「私は‥‥ウドガルドロキ‥‥生きとし生けるものを破壊し、無とする者‥‥」
「あれがロキの正体か‥‥」
 禍々しく巨大な姿に変貌するロキ。彼は、光も闇も関係なく、全てを無に帰すと宣言する。驚きつつも、苦々しくウドガルドロキを睨みつけるフレイ。
「今はあたし達が争っている場合じゃない、力を合わせてあの怪物ロキと戦わないと!」
「ロキを倒さなければ全ては無に帰る。ここは協力した方が良さそうだ」
 間近でその姿を見、いち早く危機を感じ取ったフレイアとフレイ。
「ルー、お願い、協力して、みんなにあたし達は今いがみあってる場合じゃないって伝えて! ロキを放っておけばきっと大変な事になる」
「うん! わかった!」
 フレイアは、傍らにいるルーに、ロキのことを知らせることを頼む。ルーは元気に頷いて、SAから飛び立っていった。
「あとは頼んだよ‥‥ルー」

「さぁ‥‥私の命を吸え‥‥ベルセルク。そして‥‥光を‥‥根絶やしに‥‥」
「これが最後です! 姉達の仇! たぁ!!」
 暴走しようとしたガルム(CV:水鏡)のSAベルセルクを、ロスヴァイセのオーラブレードが切り裂く。瞬時にして5斬を受けたベルセルクは崩れ落ち、肥大化させたオーラを霧散させる‥‥はずであった。
「そんな、すでに息絶えたはず!」
 しかし、ベルセルク、いや全ての死した者は、何かの力により蘇り、周囲の生きている者へと襲い掛かる。
「あれが‥‥元凶!」
 そしてロスヴァイセは意を決したように、死者を生き返らせ戦わせる元凶、死霊ヘルへと立ち向かうのだった。

「大丈夫かオーディン!」
「ああ、なんとかね」
 お互い、大蛇ヨルムンガンド、魔獣フェンリルを倒したヘルモードとオーディン。しかし、彼らの機体も大きく損傷し、戦いの壮絶さを物語っていた。
「大変大変! フレイ達がロキと対決しているの! 早く助けてあげて!」
「なんだって!」
「わかった、すぐに向かう」
 ルーの呼びかけに応じた二人は、満身創痍のままフレイ達の下へと向かうのだった。

「おのれ、我々をも謀ったな! 無念‥‥」
 そのころ、ウドガルドロキに果敢に立ち向かうフレイ、そして闇の巨人族の王スルト(CV:水威)達であったが、その圧倒的な力になすすべもなかった。
「もう苦しむことはない‥‥ミストルティン発射」
「くぅ! ソード・オブ・ブリーシンガメン!」
 ロキから高出力のオーラ砲が放たれる。ソードを円状の盾に並べ全てを防ごうとするフレイであったが、ミストルティンの威力はあまりに大きく、鉄壁の盾でさえ防ぐことは叶わなかった。
「フレイア‥‥すまない」
「兄さん‥‥最後まで一緒よ」
 お互いに最愛の兄妹を見つめあうフレイとフレイア。そして、彼らは光の中へと消えていった。
「フレイ! フレイア!」
 爆砕するフレイの姿に激昂するヘルモード。彼は再び、機体を変形させ、ロキへと特攻かける。
「露払いは俺に任せろっ!!」
「ヘルモード! その機体ではもう!」
「あとは頼んだぜ‥‥」
 静止するオーディンを振り切り、ヘルモードは青い彗星となってロキへと突っ込む。そのボロボロとなった機体は、自らの力に耐え切れず崩壊しながらも、ロキを巻き込み散華するのであった。
「ロキ義兄さん、俺が必ず止める!」
 オーディンも、ついに撃ち尽くしたグングニールを捨て、スレイプニールを暴走させて体当たりをする。膨大なオーラに包まれたオーディンは、一瞬なりともロキのオーラを吹き飛ばす。
「いまだ! オーラバリア全展開! 世界を支えるものは剣にあらず‥‥それは、それは『愛』よ」
「おのれ、英雄達よ。私の無を阻むというのか‥‥」
 数々の英雄の命を賭した攻撃に、ロキのオーラも衰えを見せる。そして、ロヴンはいきとし生けるものの愛する心をオーラに変え、ロキをバリアのうちに封じ込める。相反するオーラに閉じ込められ、逃げ場を失った無のオーラは、ロキ自身を無へと飲み込んでいくのだった。
「ロキ‥‥アンタの魂、いつかアタシが目覚めさせてやるさ」
 ロキの全てが消え去ろうとしたその時、シギュンは身を挺してロキの魂を守る。そして二つの魂は、そのままどこかへと消えていくのだった。それはもう一つの愛の形であったのかもしれない。