神霊装甲 はぐれ者の村アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/23〜09/27

●本文

・声優募集
 ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』では、作品に参加する声優を募集しています。経験の有無は問いませんので、奮っての応募をお待ちしております。
 審査のうえで配役を決定いたします。得意なタイプ、希望などありましたら事前にご連絡ください。

●ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』
・作品概要
 戦いの世界ヴァルハラへと召喚された現代人たちが、この世界で起きている戦い「ラグナロク」にいやおうなく巻き込まれていく物語。
 召喚された現代人たちは、それぞれが戦士の魂を持つ者であり、「魂の騎士(スピリットナイト)」と呼ばれる存在であった。彼らは、「神霊装甲(スピリチュアルアーマー=SA)」という巨大ロボットを託され、ヴァルハラに存在する国々の戦士として戦いを強要されることになる。
 物語は、ラグナロク戦争を軸に、毎回違う主人公の物語が展開されるオムニバス形式。戦いに巻き込まれた現代人や、ヴァルハラ人たちがそれぞれの視点で物語を紡いでいく。

・世界設定
ヴァルハラ 我々の世界と対になる魂や精神が具現化した世界で、精神力(心の強さ)が力となる世界。絶えず争いが起きていることから、戦いの世界とも言われている。この世界には、それぞれアース神族、ヴァン神族、巨人族という三種族が国を作っており、それぞれがそれぞれの国と争っている。

神霊装甲 アース神族、ヴァン神族が巨人族に対抗するために、それぞれ独自の技術によって作り出した戦闘用巨大装甲。操縦者が乗り込み、意志の力によって操縦する。通称SA(スピリチュアル・アーマー)。

SAヘーニル アース神族の汎用量産型SA。性能は低いが、整備が楽で稼働率も高く、一般兵士用として使用されている。装備を変更することによって、様々な用途で用いることができ、通称「足長(あしなが)」と呼ばれる。

SAアンドヴァリ ドヴェルグ族が鉱山採掘用に開発したSA。すでに旧式であり、その性能はかなり低い。元々採掘用であるため戦闘力は無いに等しいが、一部の村々は購入したアンドヴァリを改造して、防衛用に使っているという話もある。

巨人族 険しい山々に囲まれるヨーツンヘイムを首都にもつ、暴力的な種族とされている。全長十数メートルと大変体格に恵まれており、力が強く身のこなしも早い。内向的な種族で、自分達の暮らす山々から出ることはほとんどなかった。暴力的とされているが、実際は理知的で歌や詩にも秀でる文化的な種族。本来争いは好まないが、怒ると怖い。

巨人族の軍隊 元々争いを好まない巨人族は軍隊という概念がない。そのため、自分達を脅かすものに対して、集団で戦闘する場合は、部族という単位で部隊を組む。大きな戦争に発展した現在では、部族の長が集まった族長会議により、それぞれの部族に命令を与え、各自が自分達の判断で戦闘を行っている。

巨人族の戦闘 巨人族の戦闘スタイルは一般的に近接戦闘である。剣、槍、斧の扱いに長けており、山々で生活するために培った強靭な体力で、正面から力で押し切る戦いを好む。ゆえに飛び道具はほとんど発展していない、せいぜい投げ槍程度である。

レジスタンス アース神族の占領に不満を持つ一部の人々が結成した抵抗組織。アールヴヘイム攻防戦の際、アース神族によって壊滅させられ、主要メンバーは散り散りとなる。ドヴェルグ族から購入した旧式のSAアンドヴァリを戦闘用に改造して使用している。

村の様子 世界には多くの人間が自給自足の生活をしている。ほとんどが100人程度の小さな村で、街と呼べるものは大種族の首都ぐらいである。村と村との交流はほとんどなく、ときおり街の商人が情報を運んでくる程度。彼らにとって戦争は、村の遥か外で起きている縁遠きものであり、自分達を脅かすものは村を襲うモンスターや天災である。

ドラゴンとは いわゆる羽の生えた巨大なトカゲ。大きさは千差万別、人間の大人ほどの大きさから、全長数百メートルにも及ぶものまで。一般的に空を飛び、炎のブレスを吐く。年を経たドラゴンは知能を持ち理性的になるが、たいていのものは凶暴で、人間にも巨人にも脅威の存在である。その心臓を食べると特殊な能力を身に着けるというのは迷信。

それ以外の種族 ノッカーやピクシー、またドラゴンなど様々なモンスターが存在している。

・次話あらすじ
 アールヴヘイム攻防戦からしばたくたった頃。巨人族の少数部族が、人間の村へと進攻する命を受けた。その村は、辺境であり戦略的価値は皆無、少数過ぎて扱いに困った部族長が、おざなりに命じた作戦であった。
 巨人の部隊は、温和な村人達に歓迎され難なく村を占拠する。しかし、村の中身は凄い状況であった。どの勢力にも発見されずにいた現代人、レジスタンスの残党、逃亡したアース神族兵、住処を追われたドヴェルグ族のエンジニアなど、様々ないわゆるはぐれ者達が村人に迎えられ平和に暮らしていたのだ。
 しかし、一見平和そうな村にも問題があった。それは、近くの山に巣くうドラゴンの存在である。ドラゴンは時たま村を襲っては、村を壊滅状態にしていたのである。
 状況を知った巨人達、ドラゴンは巨人、人間に関わらず脅威であることから、これの討伐を検討する。しかし、少数である彼らにドラゴンを討つほどの力はない、そこへ村に世話になっているはぐれ者達が協力を申し出る。こうして、巨人とはぐれ者達の混合部隊は、ドラゴン討伐へと向かうのだった。

・登場人物
 巨人族の部隊(2〜4名) 巨人族の少数部族の部隊。精鋭が揃っているが、いかんせん人数が少ないため、大きな作戦に参加できずにいた。今回、辺境の村を占拠する命を受ける。
 はぐれ者(2〜4名) 様々な理由で辺境の村に逃げてきた者達。温和な村人に迎えられ、過去の遺恨を忘れ平和に暮らしている。それぞれが乗っていたSAなどは、村の防衛用に使われている。
 その他 村人、部族の長など

●今回の参加者

 fa0330 大道寺イザベラ(15歳・♀・兎)
 fa0463 伊達正和(25歳・♂・竜)
 fa0509 水鏡・シメイ(20歳・♂・猫)
 fa1435 稲森・梢(30歳・♀・狐)
 fa2401 レティス・ニーグ(23歳・♀・鷹)
 fa2554 リーベ(17歳・♀・猫)
 fa2582 名無しの演技者(19歳・♂・蝙蝠)
 fa2605 結城丈治(36歳・♂・蛇)

●リプレイ本文

「ようこそ、涼香ちゃん。はぐれ者の溜まり場へってな」
 軍を抜け、遥か辺境まで来た美剣涼香(CV:リーベ(fa2554))が招かれた村は、アース神族やヴァン神族の兵士、またドヴェルグ族や他種族など、戦いを避け組織からはぐれた者達が生活をしていた。
「大佐?」
「私のことさ。あっちでもそう呼ばれていたんでね」
 涼香に村の存在を教え、招き入れた大佐と呼ばれる男(CV:名無しの演技者(fa2582))。彼は、涼香と同じくアース神族の下にいた緑川安則の、元の世界の上官であると名乗った。
「あー、またあの夢か‥‥なんで軍を抜けた途端にこんな夢を見るのかしら‥‥まるで、軍がこの夢を見るのを妨害していたみたいじゃない」
 次の日の朝、涼香はここに来るまでにも何度か見た、自分に似た銀髪の少女の夢について考えていた。
「外見でなく内面がどこか似てるというか‥‥地震‥‥?」
「巨人族がやってきたぞ!」
 彼女が夢や自分がこの世界にいる意味を考えているとき。地響きと共に巨人族が現れる。
「我々は君達に抵抗するつもりはない。村人に危害を加えないと約束してくれれば、君達に従おう」
「巨人族、無抵抗の者に危害加えたりはしない。お前達が抵抗しない言うのなら、この地を俺達が守護しよう」
 ドミンゴス(CV:伊達正和(fa0463))と名乗る巨人と話をつける大佐。村は巨人族さえも歓迎し、巨人族もその歓迎に応えることになった。あまりの呆気の無さに、驚きを隠せない涼香。
「彼らだって話せばわかるということさ。本来、誰も戦いなど望んでいないんだ」
「誰も戦いを望んでいない‥‥か。本当にそうなのかしら‥‥」
 大佐の言葉に涼香は、黒い仮面の男を思い浮かべるのだった。

「こんなことって‥‥」
「辺境の村にとって、遠くで起きている戦争より、モンスターの襲来のほうがよほど問題なのだよ。我々にとって、やつらは地震や台風と同じ天災なんだ。しかし‥‥」
「俺、あいつ許さないっ!! 戦える者、皆であいつ殺しに行くっ!!」
「そう、我々は天災でさえ、いや天災だからこそ、抵抗する。これは大変危険なミッションだ、参加は強要しないぞ?」
「いえ、私も行くわ」
 数日後、村はドラゴンに襲われる。大佐達は、天災に対して防衛することを決意し。巨人族と数機のSA、そして涼香のヴァルキュリアは、ドラゴンの住む山へと向かうのだった。

 場所は変わり、ヴァン神族の首都ヴァナヘイム。
「彼らはわたしの指示に従っただけ、出撃した事が罪というならその責任は全てわたしにあります」
 アールヴヘイムの戦いの後、戻ってきたレイ(CV:レティス・ニーグ(fa2401))達は、命令違反の処罰として謹慎処分を受けることになる。そのことに異議を申し立てるレイであったが、長老会はあっさりとそれを棄却する。
「アールヴヘイムが落ちた今、次にアース神族が狙うのは我々のヴァナヘイムだとわたしは考えます。なら今はその備えを至急に行うべきではありませんか?」
「それを考えるのは君ではなく長老会だ。君の役目は異世界人達の監視のはず、余計なことは考えず、彼らの手綱をしっかりと掴んでいたまえ」
「くっ‥‥」
 一瞬顔を苦悶に歪め、部屋を後にするレイ。廊下の途中、てきとうな壁を思い切り蹴り飛ばす。
「あの石頭のわからずや! あの巨大SA、あれに攻め込まれたら我々は‥‥」

 1人自室でバイオリンを弾いているエリス(CV:水鏡・シメイ(fa0509))。その音色は、穏やかな波の様。緩やかに流れるような美しい音色が、ユグドラシルを包んでいく。
「ねぇエリス、これからダンスの練習でもしようかと思うんだけど、一緒にどう?」
「いえ、私は‥‥」
「あ、そうだ、ダンスで思い出した。考えてみたらあたし、元の世界じゃ足技でケンカしてたんだった。あたしの機体、足技特化にできないか聞いてくる」
「謹慎中だというのに元気な方だ」
 エリスの部屋に顔を覗かせたヴィオ(CV:ニーグ)。しかし、すぐに何かを思い出したようにどこかへと行ってしまう。そんなヴィオの様子にニコリと笑みを浮かべたエリスは、再びバイオリンを弾き始める。
「っ!!」
 そんな時、バイオリンの弦が一本切れてしまう。慌てて顔を背けるが頬から一筋の血が流れ落ちる。
「何か、よくない事が起こりそうですね‥‥」
 エリスは頬をゆっくりと拭うと、窓の外を眺めながら呟いた。

 ドラゴンを討伐に向かった大佐達。彼らの前に、再びドラゴンが姿を現す。
「この匂い、人間どもに巨人が混じっておるな? そして機械人形まで持ち出してわらわを倒すつもりか。思い上がりおって! ニーズヘッグの一族を見くびったこと、わらわの腹の中で後悔させてくれる!!」
 数十メートルの巨体に、エメラルドのような美しい鱗を持つドラゴンウィロウ(CV:稲森・梢(fa1435))。彼女は、長い年月を生き、人語を解する知性を持ったドラゴンであった。しかし、自分を討伐しようとする人間達に怒りをあらわにする。
「俺が突っ込む。お前達、援護してくれ」
「無茶だ! やつのブレスで丸焦げになるぞ!」
「愚かな! その程度の力でわらわに立ち向かおうなどと!」
 戦いは、ウィロウの圧倒的な攻撃力に、討伐隊は苦戦を強いられる。高熱のブレスに、近づくことさえままならない。しかし‥‥。
「ドラゴンでもな。あたれば痛いぜ。徹甲弾は」
「グゥ! おのれ小癪な!」
「いまよ! 秘剣燕返し!!」
 改造されたSAアンドヴァリに乗った大佐が、起死回生の一撃を放つ。徹甲弾は固い鱗を貫き、ウィロウを怯ませた。その隙に、涼香が急降下と急上昇の二発の斬撃で翼を切り裂く。
「私達の言葉がわかるなら、大人しく村を襲うのを止めて。私達は、あなたが何もしないのなら無理に戦おうとはしないわ!」
「英雄の魂を持つ娘よ。そのような甘い考えで、『あれ』を乗り越えることはできぬぞ!」
「『あれ』!?」
 ウィロウと意思の疎通を図ろうとする涼香。しかし、ウィロウは戦いを止めようとはしない。隙を付かれ、反応が遅れたヴァルキュリアに、ウィロウが襲い掛かる。
「危ない、お嬢ちゃん!!」
「大佐さん!」
 咄嗟にヴァルキュリアの前に飛び出した大佐のアンドヴァリ。ウィロウの顎が、アンドヴァリを噛み砕かんとする。
「安則のやつには見せれない無様な格好だが‥‥女の子を守るための散り際‥‥か」
「だめ! 大佐さん!!」
 そして、機体が砕かれる寸前。大佐は、苦笑を浮かべながらも満足した口調で呟き、機体を自爆させた。
「うぉぉぉ!! 大佐の死、無駄にはしないぞ!!」
 口の中での大爆発。さすがのウィロウも、苦悶の声をあげ首を仰け反らせる。そこに、ドミンゴスが持っていた大刀を、回転の勢いをつけて投げつける。それは見事にウィロウの首の付け根に突き刺さった。
「‥‥見事だ。しか‥‥し、この、程‥‥度では『ラグナロク』を乗、り越え‥‥ること、は出来ぬ‥‥ぞ‥‥」
 そして、ウィロウは未来を暗示するかのような言葉を残し、絶命するのだった。
「大佐‥‥私のせいで‥‥」
「悲しむな。死した英雄は、悲しむより称えるのだ。そうして、俺達の心の中、生き続ける‥‥。さあ、俺達の村に帰ろう。次は村を復興しよう」
 こうして、ドラゴンとの戦いに勝利した彼らは、1人の英雄の死を称えながら、彼が守った小さいながらも争いの無い世界へと帰っていくのだった。

 一方その頃、巨人族とアース神族の土地の境界線。ドミンゴス達の部族の長であるジン(CV:結城丈治(fa2605))が、何者かを待っていた。
「アースの戦士でシェリーという、宜しく頼む」
「貴殿が噂の夜叉姫殿か‥‥」
「はん、巨人族にも名が知れてるなんて、アタシも随分と有名になったもんさね」
 少数の側近を連れたジンの元に、ピンク色のヴァルキュリアが降り立つ。そのパイロット、シェリー(CV:大道寺イザベラ(fa0330))は搭乗席から姿を現すと、巨人族に対して名を名乗った。
「交渉は事前に行われたとおりだ。今回は確認のためにアタシが使者として伺った」
「ほぉ、肝が据わっておられる。だがそうでなければこのような取引はできぬか」
「アンタらはしばらくの間、巨人族からのアース神族への攻撃を抑える。その見返りとして、アタシらはSA技術を提供する」
 シェリーの態度に感心しつつ、取引の内容に頷くジン。
「宜しい、我々の部族はアナタ方の言うとおり、しばらくの間アース神族への攻撃を控えるよう尽力を尽くそう。しかし、そちらから提供されるSA技術‥‥盟約が切れた後、アナタ方の災いとなるかもしれぬぞ?」
「ふっ、あの方はそんなことお見通しさ‥‥むしろ‥‥」
 ジンの言葉に、ニヤリと笑みを零すシェリー。まるで何かを楽しんでいるかのようで。彼女を遣わせた者の意思は、何か別の所にあるようであった。
「まぁよい‥‥、SAの技術が手に入れば、我が部族の地位は飛躍的に高まる。さすれば、アナタ方の願いも容易くなろう」
「フン、じゃあ任せたよ!」
 シェリーの見せた表情に、一瞬思案するジンであったが、結局それ以上は口にしなかった。そして、取引の成立を確認したシェリーは、再びヴァルキュリアで飛び立っていく。
「時代の流れということか」
 ヴァルキュリアが消え去った空を見上げ、ジンは小さく呟くのだった。新しい争いの火種は、戦の影で刻々と蒔かれているのだった。