神霊装甲 戦いの意味アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
10/21〜10/25
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●本文
・声優募集
新作ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』では、作品に参加する声優を募集しています。経験の有無は問いませんので、奮っての応募をお待ちしております。
審査のうえで配役を決定いたします。得意なタイプ、希望などありましたら事前にご連絡ください。
●ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』
・作品概要
戦いの世界ヴァルハラへと召喚された現代人たちが、この世界で起きている戦い「ラグナロク」にいやおうなく巻き込まれていく物語。
召喚された現代人たちは、それぞれが戦士の魂を持つ者であり、「魂の騎士(スピリットナイト)」と呼ばれる存在であった。彼らは、「神霊装甲(スピリチュアルアーマー=SA)」という巨大ロボットを託され、ヴァルハラに存在する国々の戦士として戦いを強要されることになる。
物語は、ラグナロク戦争を軸に、毎回違う主人公の物語が展開されるオムニバス形式。戦いに巻き込まれた現代人や、ヴァルハラ人たちがそれぞれの視点で物語を紡いでいく。
・世界設定
ヴァルハラ 我々の世界と対になる魂や精神が具現化した世界で、精神力(心の強さ)が力となる世界。絶えず争いが起きていることから、戦いの世界とも言われている。この世界には、それぞれアース神族、ヴァン神族、巨人族という三種族が国を作っており、それぞれがそれぞれの国と争っている。
神霊装甲 アース神族、ヴァン神族が巨人族に対抗するために、それぞれ独自の技術によって作り出した戦闘用巨大装甲。操縦者が乗り込み、意志の力によって操縦する。通称SA(スピリチュアル・アーマー)。
SAヴァルキュリア アース神族の作り上げた新型量産SA。新技術により、意志力を翼状のオーラに変えて空中を飛ぶことが可能になった。性能もさることながら、女性的で優美なフォルムを持ち、翼を広げた姿はまるで天使のようである。基本武装は近距離用オーラブレード、遠距離用スピリットガンなど。
SAフレイ ヴァン神族の作り上げたプロトタイプSA。意志力によって複数の剣を飛ばし、自由自在な遠隔攻撃を可能にするソード・オブ・ヴィクトリー(S・O・V)を持つ、ヴァン神族の切り札。その存在はいくつもの謎に包まれており、オーバーテクノロジーによって作られているといわれている。まるで炎に包まれたかのような、燃えるような赤いボディが印象的なSA。二人乗りで操縦と武装を分けて行う。パイロットはヴァン神族の双子の姉妹レイとリア。
SAフレイア SAフレイを元に、SAヴァルキュリアの飛行技術を起用した、ヴァン神族の次期主力SA。量産のためにS・O・Vを無くし、代わりに意志力で飛ばした球体でバリアを発生させるアクセサリ・オブ・ブリーシンガメン(A・O・B)を搭載。現代人の意見を参考にし、形態を人型から飛行形態に変形することによって、空中での高速飛行が可能。現在は開発計画が発案されたところであり、長老会の承認後に開発が開始される予定。
SAスキールニル ヴァン神族の量産型SA。基本性能は低いが、肩に積んだ二門のオーラキャノンで、遠距離攻撃を得意としている。
SAギンナル SAロキを元に作られたとされる、アース神族の偵察・隠密用SA。ロキと同じように迷彩ステルス機能を搭載しており、周囲の背景に紛れて行動することができる。特殊部隊専用のSAで、一般兵士にはその存在は謎に包まれている。
アース神族 神の国アスガルドを首都に持つ、好戦的な種族。力(精神的に)が強く、謀略にも長ける。侵略、支配を繰り返し、巨大な国を作り上げた。我々の世界でいう騎馬民族のようなイメージ。 君主制を敷いており、王の下に内政、外政、軍部の各担当者がそれぞれを指揮している。軍の様子は、規律統制のとれた現代軍隊に近いイメージ。
ヴァン神族 新緑の森ヴァナヘイムを首都に持つ、平和的な種族。魔術が得意で、身のこなしも素早い。農耕を行い、大地に根付くことで豊かな国を作り上げた。農耕民族のイメージ。共和制を敷いており、国民に選出された長老会によって国の全ての政治を動かしている。軍の様子は、個々の力を重んじる中世騎士団と近いイメージ。
巨人族 険しい山々に囲まれるヨーツンヘイムを首都にもつ、暴力的な種族とされている。全長十数メートルと大変体格に恵まれており、力が強く身のこなしも早い。内向的な種族で、自分達の暮らす山々から出ることはほとんどなかった。暴力的とされているが、実際は理知的で歌や詩にも秀でる文化的な種族。本来争いは好まないが、怒ると怖い。
それ以外の種族 ノッカーやピクシー、またドラゴンなど様々なモンスターが存在している。
・次話あらすじ
アールヴヘイムの戦いから一ヶ月。ヴァン神族の首都ヴァナヘイムでは、先の戦いのことから防衛力強化の提案が出されていた。しかし、長老会は「自然の結界であるユグドラシルの森に守られるこの首都が攻撃されることがあるのか?」と、この提案に難色を示す。だが、戦いに参加しアース神族の新兵器を目の当たりにした双子の騎士の一人レイは、いまのままでは国を守ることはできないと危機感を感じる。
一方、謹慎処分を解かれた現代人達は、巨人族と交戦中の砦に防衛の援軍として向かうよう命じられる。そこで彼らを待っていたのは、長い間この砦で巨人族と戦い続ける、歴戦の騎士であった。
騎士は現代人達に問う、「何故戦うのか?」と。戦争に正義などなく、すべては利己的なものだと。彼は、付近の村の平和を守るために戦い、結局それも自分達のためであると答える。
そんなおり、何者かによって村の一つが焼き討ちに遭う。村の生き残りは、犯人は謎の巨人だと伝えた。このことに、若い騎士達はいきりたち、それを抑えきれなくなったとき、歴戦の騎士は戦いを決意しなくてはならなくなる。しかし、守りから攻める戦いになれば、自分達は勝てないだろうということを、彼は知っていたのだった。はたして、この戦いの結末は‥‥。
・登場人物
歴戦の騎士(1名) 砦を守り、長い間巨人族と戦ってきた騎士。部下の騎士達や、付近の住民達には慕われており、敵である巨人達にさえ認められている勇者。
巨人族の部隊長(1名) 巨人族の部隊を率いる巨人。正々堂々とした性格で、歴戦の騎士とはお互いを認めあうライバル同士。国の境で小競り合いを繰り返している。
ヴァン神族側現代人(2〜4名) ヴァン神族側で戦うことになった現代人。主な機体はSAスキールニル。
その他 ヴァン神族騎士、長老会幹部など
●リプレイ本文
●神霊装甲ヴァルキュリア「戦いの意味」
「気付いたら、ここが一番落ち着く場所になってるわね‥‥」
SAスキールニルのコックピットの中で目を瞑り、マリア(CV:稲森・梢(fa1435))は静かに呟く。その表情は穏やかで、大きく深呼吸をしてゆっくりと目を開ける。
「私は今回留守番だ、一緒には行けないがラズグリースによろしく、また手合せ願う、と迷惑掛けるなよ」
モニターに映し出されたレイ(CV:レティス・ニーグ(fa2401))の姿。今回、現代人達は長老会から命を受け、巨人族と戦う最前線の砦、スリュイム砦へと向かうことになった。そしてレイは残って、いまだ承認の降りない新型SAの開発を再度進言することにしたのだ。
「議会は何をしているの! あのSAが量産されればこの都なんて森ごと地図から消えるわよ!?」
「わかってるわ、そのためにも新型SAを開発し、国の防備を固めないと」
「‥‥それじゃ行ってくるわね。スキールニル、マリア機‥‥take off!!」
砦を守る騎士団長ラズグリース(CV:日向みちる(fa4764))に出迎えられた現代人達は、砦の騎士達とその実力を確かめ合うため模擬戦を行った。その夜、砦では現代人達の歓迎の宴が開かれるが。そこに急報が届く。
「なに! 村が焼き討ちされただと!?」
その知らせとは、砦に近い場所にあるヴァン神族の村が、何者かに火を放たれたというものだった。いきり立つ騎士達を抑えながら、ラズグリースは悔しそうに歯をかみ締める。そして、現代人達に視線を向けて問いかけた。
「君達は何故戦う‥‥所詮、戦には正義は無い。皆が利己的な名誉や権力の為に戦争をする。せめて、村々の平和の為に戦うと胸を張りたいものだ。だが、それすらも自己満足に過ぎないのかも知れない」
ラズグリースは自嘲気味に呟き、自室へと戻っていく。現代人達は、そんな彼女の言葉に対し自分達の答えを求めるように思案顔を浮かべるのだった。
「少しお話ししたいのですが、宜しいですか?」
深夜、SAフレイのパイロット、エリス・リヴァイア(CV:水鏡・シメイ(fa0509))がラズグリースの部屋に訪れる。
「貴方は戦争には正義はないと言いましたね。私もそう思っていました。ですが、罪のない人達が犠牲になっていくのを黙って見ているわけにはいきませんでした。だから私は戦場にいます」
エリスは、ラズグリースの言葉に自分なりの答えを答える。言葉を止め、ラズグリースを見つめるその瞳は、強い意思が現れている。
「罪のない人達を守るために戦っているのは貴方と同じです。ですが、私は自分のために戦ったことはありません。甘いかもしれませんが、私は敵味方関係なく誰も死なずにこの戦争が終わればいいと思っています」
目を閉じ、思い浮かべるのは、戦いで怪我を負ったレイの姉リア。そして、アールヴヘイムでの戦い。想いとは裏腹に、傷ついていく者達の姿に、悲しみの表情を浮かべる。
「この世界が平和になるのなら、私は命など惜しくはありません。誰も殺さず平和のために命を懸ける、それが私の戦う意味です」
「‥‥君が死んでも、戦いは終わったりしない。むしろ、戦いは広がっていくだろう。そんな考えでは、守りたいものも守れず犬死するだけだ」
エリスの話を静かに聴いていたラズグリースだったが、小さくため息をついて立ち上がり、エリスに背中を向けた。そんな、ラズグリースの厳しい言葉に、エリスは寂しげに笑う。
「それでも私は‥‥」
「突然現れた巨人によって、村が焼き討ちされた? でもこれは‥‥」
次の日、砦の騎士と共に、焼き討ちされた村の調査に来た虎雄(CV:伊達正和(fa0463))。生き残りの村人の証言では、夜の闇に紛れて現れた巨人が、村に火を放っていったらしい。虎雄はその状況に不信感を抱いたが、騎士達は無抵抗の村を襲った巨人族に怒り、報復を宣言するのだった。
一方そのころ。ヴァン神族とアース神族の領地の境目に近い所で、シュバイク卿(CV:鬼道 幻妖斎(fa2903)が側近と共に、アース神族の夜叉姫ことシェリー・ローズ(CV:大道寺イザベラ(fa0330))と会っていた。
「是は我が軍の新型SAの設計図、私が本気であると分かって頂けませんかな?」
「確かに本物だ‥‥然し、これ程容易く手に入るとは」
「では、貴君の王オーディン殿に、我らは無駄な争いはしないことを伝えてくれ」
「ああ、わかっているさ。あんたらの考えは、つまらないけれど賢い考えだよ」
シェリーは、クスリと笑みを零すと、書類を持ってSAに乗り込む。そして、桃色に彩られたSAギンナルは、その派手な機体を一瞬のうちに周囲と同化し、消えてしまう。
「いずれヴァンは併呑される、しかし‥‥安っぽい正義感で‥‥あと何万人死者が出る? 奇跡が起きて勝ったとて焦土以外に何が残る? これでいいのだ‥‥これで」
シュバイクは、シェリーの去った後、自分に言い聞かせるように何度もそう呟くのだった。
「ふん、これでヴァンも終わる‥‥しかしね、恐怖の第二幕はこれからなんだよ。彼がこれをどう扱うか、くくく‥‥」
シェリーは、その場を離れながらシュバイクの姿をモニターしてニヤリと笑みを浮かべる。そして、部下から巨人族に偽装した村の焼き討ちが成功したとの報告を受け。
「さて、予定にはないが土産の一つも残してあげないとねぇ。このギンナルの力も試したいところさ」
「なに? ヴァン神族がこちらに向かってきているだと?」
潰れた左目に大きな傷を残した精強な顔立ちの巨人クラウゼビッツ(CV:名無しの演技者(fa2582))は、部下の報告に眉根を小さく動かした。
「あちらもしばらくは動かぬと踏んでいたのだが‥‥何を考えている、ラズグリース‥‥」
少しの間、考えるように瞳を瞑るクラウゼビッツだったが、すぐに強い意思を感じさせる表情を浮かべた。
「ふん‥‥まぁよい、今日も勇ましく戦うのみだ。この斬機刀、汝らの神霊装甲に流れたる熱き油をすすりたいと泣いておるわ」
こうして、荒野で対峙したヴァン神族と巨人族の戦いが始まった。血気盛んな若い騎士達は、怒りの炎を燃やし、巨人族に切りかかる。巨人族もそれに応えるように、雄たけびをあげてぶつかりあった。
「ふん‥‥! 戦場においては冷静であることが重要ぞ。血気盛んなのは臆病よりも良いことだが、慎重さを欠けばこうなる!!」
「クラウゼビッツよ、私と勝負せよ!」
「ほう‥‥ラズグリースか。女子とて戦を嗜む者がいてもおかしくない。強く勇ましいものであれば戦に赴く資格がある。それが自己の欲望のためであろうともな」
そして、ついに剣を交えるラズグリースとクラウゼビッツ。クラウゼビッツは戦友と出会うかのごとく嬉しそうに笑みを浮かべる。高い技量、経験、実力はほとんど同じの二人は、幾度となく激しく切り結びあった。
「ふはは、お主はいい女だな! 勇敢で元気で‥‥さながら古の言い伝えにある戦乙女のようだ!」
「やはりこの男が村を焼き討ちにするとは思えない」
笑いながらも、真正面から本気の勝負をするクラウゼビッツ。その姿に、ラズグリースは疑問を確信に変えていった。しかし、だからといって一度始めた戦は簡単には止めることはできない。
「気をつけろ! 敵は他にもいる!!」
ラズグリースは、砦に残してきた味方に、届かない叫びをあげるしかなかった。
「仲間の為とか、元の世界に帰る為とか色々あるけど自分の為だ、僕が戦うと決めたから戦うんだ。僕はもう逃げない、逃げたくないんだっ!!」
「いきなり戦場に召還されて戦う意味なんて求めてられないわ。生きようとするので精一杯よ! ‥‥と以前の私なら言ったでしょうね。でも、今はここから声が聞こえるの。『この世界に吹き荒ぶ風を止めろ』‥‥って。だから戦う。それが私がこの世界に来た理由かもしれないから」
ラズグリースが出撃した後、砦に残った現代人達は正体不明の敵に襲われていた。自分達の戦う意味を口にして、必死に戦う虎雄とマリアだったが。
「あっはっはっはっ! こいつはまるでアタシの為に造った機体のようだねぇ!」
「綺麗事でしかないのかもしれない、でも、あたしはただ守りたいだけ、そして守るために戦う、他に理由なんてない!」
「機動性でもヴァルキュリアより上だな!」
「残像!?」
突然姿を現した黒いSAを従えて、桃色のギンナルを操るシェリーがヴィオ・ローザ(CV:ニーグ)達を圧倒する。奇襲され、光学迷彩と高い機動力によって翻弄された現代人達は、本来の力を出し切れずに倒されていく。
「これで終わりだよ! ‥‥ちっ! もう帰ってきたか。砦に残っている戦力といい、どうやら、偽装に感づいていたようだね」
トドメを刺そうとするシェリーだが、なんとか戦いを収めて戻ってきたラズグリースに舌打ちし、素早く部隊を撤退させる。しかし、この奇襲で、砦に残ったSAのほとんどは大破し、部隊は壊滅的打撃を受けるのだった。
「例え今が雌伏の時になろうと共和制の灯は消してはいかん」
シュバイクは、砦の奇襲の報告を聞き、小さく呟いた。そして、新型SAの開発を長老会で承認すると、独り自室に戻り椅子に深く身を沈める。
「後世の歴史家たちは私を何と呼ぶのか‥‥売国奴か? 敗北主義か?」
ワインを片手に、自嘲気味な笑みを浮かべ、深く大きく息を吐き出すのだった。