ハロウィンの夜に‥‥ヨーロッパ

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 普通
報酬 10.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/31〜11/06

●本文

●ハロウィンスペシャルドラマ「ハロウィンの夜に会いましょう」
 ハロウィン特別企画として、特別ドラマ「ハロウィンの夜に会いましょう」を製作いたします。それにつきまして、出演する俳優を募集しております。下記の要綱に従って、振るっての応募をお待ちしております。

・作品概要
 ハロウィンの夜に出会った少年少女達。彼らは、初めての街でハロウィンのお祭りに参加するが、いつのまにか見知らぬ場所に紛れ込んでしまう。本物の魔女や、かぼちゃのお化け、悪魔に誘われて一夜限りの不思議な冒険をする子供達。その冒険の中で、勇気や友情、優しさを知る。そして、別れのとき明かされる真実‥‥。少年少女達の一夜の冒険を描いたハートフルストーリー。

・あらすじ
 日本からイギリス観光に来て、訪れた小さな村でハロウィンのお祭りに参加する子供達。そこで出会った地元の子供達と、ハロウィンの変装をして遊んでいると、子供達はいつのまにか見知らぬ場所へと来てしまうのだった。
 そこは、狼男や魔女、カボチャのお化けが普通に暮らす村で、賑やかなお祭りが催されていた。最初は半信半疑だった子供達だが、村の様子は間違いなく本物、結局は信じることになる。
 子供達は、なんとかもといた場所へと戻る方法を探し始め。ハロウィンの変装をしていたおかげで、不思議な村人達に正体を知られずに人間の世界へ行く方法を聞きだす。そこで聞き出せた話は、危険な魔法の森を抜ければ、人間の世界へ行くことができるというものだった。
 魔法の森は、不思議な森。危険な動物やお化け、腐って落ちそうな吊り橋、怪しげなお菓子の家など、子供達は様々な難関を乗り越えていく。その中で、勇気や仲間を想う友情、優しさなどを学び、経験していく。
 夜が明ける頃、子供達はようやく森を抜け、もといた村にたどり着いた。戻ってこれた喜びを確かめ合う子供達だったが、村に入る直前、地元の子供達が別れを告げる。彼らは、実は不思議の村の子供達だったのだ。ハロウィンの日にだけ、変装した子供達に混じって遊びに来ていたのであった。
 驚きながらも、友情で結ばれた子供達は、笑顔で別れる。そしていつかまた、ハロウィンの夜に会おうと約束するのだった‥‥。

・登場人物
観光の子供達(2〜4名) 日本から両親に連れられてイギリス観光ツアーにきた子供達。生粋の都会っ子で、電気のない生活を知らないような子供達で、田舎の村はあまり興味がない様子。バスの中で携帯ゲームを遊んでいるような感じ。
地元の子供達(2〜4名) イギリスの田舎の村で暮らしている子供達。好奇心旺盛で活発的、しかしながら自分の村以外にはあまりいったことのない様子。ハロウィンの衣装を纏って、村を元気に走り回っている。実は、変装でなく本物、魔女や狼男の子供達。
その他 子供達の両親、村の大人、狼男、魔女、悪魔など

・備考
 登場する子供達は、10〜18歳ぐらいの外見の俳優を起用。地元の子供役は、英国白人が望ましいが、条件に合った者がいなければ人種は問わない。
 ハロウィンに登場する狼男、悪魔などの変装は、実際に獣人化の姿で撮影を行う。その他、魔女やカボチャのお化けは、メイクや衣装を用意。
 ロケは、実際に英国の田舎で行われる。

●今回の参加者

 fa0259 クク・ルドゥ(20歳・♀・小鳥)
 fa1181 青空 有衣(19歳・♀・パンダ)
 fa1761 AAA(35歳・♂・猿)
 fa1773 海斗(14歳・♂・小鳥)
 fa1814 アイリーン(18歳・♀・ハムスター)
 fa2059 ラフィール・紫雲(16歳・♀・一角獣)
 fa3293 Even(22歳・♂・狐)
 fa4287 帯刀橘(8歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文

 家族旅行でイギリスに来ていた松谷響(帯刀橘(fa4287))と、その姉の香織(青空 有衣(fa1181))は、ある田舎の村で魔女と悪魔の格好をしていた。それは、ハロウィンの習慣に参加するためなのだが、二人には興味がなくとても退屈そうであった。
「Trick or treat!」
 そんな二人に、元気な声で声が掛かる。声の主は、綺麗な羽を背中に生やした少女(クク・ルドゥ(fa0259))で、ニッコリ笑って二人の前に立っていた。
「私はノイジー! あなた達もお菓子を貰いにいくの? 一緒にいきましょ!」
「なにこの人? なに言ってんの?」
「さぁ、トリックオワトリートってのはハロウィンの掛け声で、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞって意味だけど‥‥それ以外は早すぎてなに言ってるのか‥‥」
「はいはい、トリート、トリート」
 ノイジーと名乗った少女は、ニコニコと笑みを浮かべながら二人に話しかけるが、二人には何を言っているのかわからない。香織は困った顔を浮かべ、響は携帯電話を操作しながら、おざなりにお菓子を投げ渡す。
「ノイジーどうしたの? あ、新しい仲間!?」
「ハッピーハロゥィン〜♪ こんばんは〜、僕も友達になってよ!」
「キャハハ〜! 可愛い魔女と、悪魔くん、一緒にあそびましょ〜!」
 ノイジーが一方的に香織達に話しかけていると、それを聞きつけたのか、悪魔の格好をした少女ディアナ(アイリーン(fa1814))、カボチャ頭のお化けの少年ジャスティン(海斗(fa1773))、可愛いフリルの魔女の少女リリス(ラフィール・紫雲(fa2059))が現れる。それぞれハロウィンの衣装を身に纏った少年少女は、香織達を物珍しそうに眺めては、笑顔を浮かべた。
 香織に様々な問いかけを捲くし立てるノイジー。響の携帯電話を、珍しそうに問いかけるディアナ。響の手をとって、無理やり引っ張っていくジャスティンに、陽気に笑うリリス。二人は、そんな地元の子供達の勢いに負けて、同行することになってしまった。

「次はこっちこっち! ほら、虫〜♪」
「ねぇ、だんだん村から離れてない‥‥?」
「離れてない♪ 離れてない♪」
 そんな中、地元の子達に誘われるまま歩いていた香織達。そうこうするうちに、いつのまにか景色は変わり、古ぼけた家並みが並んだ不思議な風景の村に迷い込んでしまった。ふわふわと浮いた幽霊、銀の毛並みの狼男、箒で空を飛ぶ魔女、ケタケタと笑う小悪魔。とても現実とは思えない世界がそこに存在していた。慌てた香織が、携帯電話を取り出すがもちろん圏外、どこへも連絡は取れない。
「はいはい、そこはその飾りね〜。やぁ、子供達、どうかしたのかい?」
「すげぇ、これって本物? 特殊メイクとかじゃないの?」
 村は様々なお化けたちで賑わっており、綺麗な飾りつけを行っていた。驚きの表情を浮かべていく子供達に、銀毛の狼男(Even(fa3293))が話しかけてくると、響はその姿に目を輝かせて毛皮に触れたりして、本物かどうか確かめようとする。
「なんだい、面白い子供だね。でも、今日はお祭りの準備で忙しいんだ。ああ君、あそこまで飛んでこの飾りをつけてきてください。っと頭を落としてるよ〜」
「ほ、ほんとに頭がない!?」
 狼男は、子供達に好意的に話しをするが、忙しなく周囲のお化け達に指示して、祭りの飾りつけをする。指示されたカボチャのお化けが、ふわ〜っと空を飛び飾りをつけようとして、ポロリと頭を落とした。カボチャ頭は被り物ではなく、その下には本当に頭がなかった。
「こ、こんなところ、はやく逃げ出さなくちゃ!」
「え、なに? あなた達も空を飛びたいんですのぉ? キャハハ!」
 お化け達に怯える香織は、地元の子達に手でジェスチャーをしてお化けの村を出ようとするが、リリスは見当違いの反応を返す。
「彼女達は人間の世界に戻りたいって言ってるんじゃない? ねぇ、おじさん、今から人間界に行くにはどうしたらいいのかな?」
「クンクン、なにやら人間の匂いがするね‥‥村には人間嫌いもいるから気をつけたほうがいいよ。ん? 人間界へ行くなら、レオナルドが詳しいですけど‥‥人間への悪戯はほどほどにね?」
 香織の気持ちを理解したディアナが、狼男に人間界に戻る方法を問いかける。狼男は、一つ忠告した後、物知りの悪魔を紹介するのだった。

「やぁやぁ、私はレオナルドという者。なにか私に用があるとかないとか?」
 ディアナの案内で向かった家には、猿顔の悪魔レオナルド(AAA(fa1761))が待っていた。レオナルドは陽気に笑いながら、香織達にうやうやしく頭を下げる。芝居掛かった態度は、とてもコミカルだ。
「わかっておりますぞ、わかっております。人間界に戻りたいわけですな! 私にはわかっております。もちろん! その方法も知っておりますぞ」
「本当に!? お願い、教えて!」
「しかし! 何事もタダというのは、悪魔のポリシーに反するわけでしてなぁ。くんくん、なかなか素敵なものをお持ちのようですなぁ〜。いやあ羨ましい! 実に羨ましい!」
「え? これ?」
 レオナルドは、何か探るように香織達の持ち物の匂いを嗅ぐ。香織は、財布の中に入っていた、記念として取っておいた一枚のピカピカな1ペニー銅貨を取り出した。
 銅貨を貰ったレオナルドは、ニヤリと笑みを浮かべ、帰り方を教えてくれる。それは、魔法の森を抜けるというものだった。
「ええ!? あそこって、子供は誰も行かない危険な所よ! ‥‥も、もちろん私も行くわよう。に、人間の世界に戻らないとね!」
 魔法の森と聞いて、恐怖の表情を浮かべるディアナ。しかし、怯えつつも好奇心に負けたように頷いて魔法の森へと案内する。

 子供達が森を歩いていくと、その先には深い谷に掛かる長い長い吊り橋が待っていた。そこには、いつのまにか先回りしていたレオナルドがいて。
「ここの吊り橋を渡る時は、決して下を向いてはいけませんよ。間違って落ちてしまったら‥‥あ〜れ〜〜!」
 レオナルドの説明に、怯える子供達。何を思ったか、谷底へと落ちて見えなくなってしまうレオナルドを見て、特にディアナは恐怖の表情を浮かべた。
「む、無理、こんな高いとこ‥‥」
 ぶるぶると震えるディアナだが、子供達が順番に覚悟を決めていくと、最後に‥‥。
「‥‥うん、私も行く! 下は見ない‥‥下は見ない‥‥橋のきしむ音は聞こえない‥‥聞こえない‥‥ひぃぃ」
「大丈夫、みんなで手をつないで歌を歌いながらいきましょ! ラララ〜♪」
 足を震わせながら、一歩一歩慎重に吊り橋を渡るディアナ。ノイジーがみんなと手をつないで、恐怖を忘れるように歌を歌いながら吊り橋を渡り終える。
「お菓子の家のお菓子は大層美味しいですが、3つまでしか食べてはなりません。それ以上食べると、このように!」
 再び森を進んでいく一行に、またもやレオナルドが現れる。次は、全てがお菓子でできた家で、レオナルドがお菓子を食べると瞬く間に太ってパン! と破裂してしまった。
「チョコレート菓子の庭に、ぷるぷる震えるプリンのソファー‥‥近くにいるだけでとっても、とぉ〜ってもいい匂いがして、その場から離れられなくなっちゃうんだよぅ〜!」
「ダメだよ〜! お菓子の家を食べると、ぶくぶくに太って、家の魔女に食べられちゃうんだ!」
 すっかり疲れて、おなかを空かしてしまった子供達は、お菓子の家の誘惑についつい食べ過ぎてしまいそうになる。ノイジーが四つめのお菓子を食べそうになったとき、ジャスティンがかろうじてそれを留めるのだった。
 その後も、何度もレオナルドが現れ、様々な試練が子供達に襲い掛かる。それをどうにかお互い協力し合って潜り抜けていくなかで、子供達に友情が芽生えていった。そして‥‥。
「あ、明かりが見える!」
「お〜〜い、響! 香織!」
「お父さんの声だ!」
 ようやく森の出口にたどり着き、村の明かりが見える。香織と響は安堵の表情を浮かべ、両親の待つ村へと駆け出しそうになる。しかし‥‥。
「みんな、どうしたの? やっと帰れるのよ?」
「‥‥ごめん、本当は私達、お化けの村の住人なの。隠しててゴメンね。少しでも長く、一緒にいたかったから」
 森から出ようとしないディアナ達。ディアナは寂しげな表情で、香織達に自分達の本当の正体を明かす。
「だから、ここでお別れ」
 ハロウィンの夜にだけ、人間界に来れたことを伝え、ディアナ達はお化けの村に帰ることを告げる。別れの時、子供達の間に大きな寂しさが広がる。
「キャハハ! 大丈夫ですぅ、また今度ハロウィンの夜に一緒に遊べますぅ!」
「うん‥‥」
 陽気なリリスが、ニッコリと笑ってみんなを励ます。
「さ、二人とも、もう行かなくちゃね!」
「うん‥‥」
「絶対にまた逢おうね!」
「また遊ぼうね!」
 ディアナに促されて、香織達は村へと歩き出す。ノイジーが寂しいのを我慢した笑顔で二人を見送り。カボチャ頭のジャスティン、その顔もどこか泣き笑いのような表情になっており、ぶんぶんと手を振る。
「また‥‥!」
 振り返り、何かを言おうとする香織。しかし、すでに森には誰の姿もなかった‥‥。そして、ただ声だけが聞こえてくる。
「See you again some Halloween night!」
「‥‥おねーちゃん、みんななんて?」
「‥‥いつかまたハロウィンの夜に会いましょうって‥‥」
「‥‥うん! See you again some Halloween night!」