神霊装甲 監視する者アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/18〜11/22

●本文

・声優募集
 ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』では、作品に参加する声優を募集しています。経験の有無は問いませんので、奮っての応募をお待ちしております。
 審査のうえで配役を決定いたします。得意なタイプ、希望などありましたら事前にご連絡ください。

●ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』
・作品概要
 戦いの世界ヴァルハラへと召喚された現代人たちが、この世界で起きている戦い「ラグナロク」にいやおうなく巻き込まれていく物語。
 召喚された現代人たちは、それぞれが戦士の魂を持つ者であり、「魂の騎士(スピリットナイト)」と呼ばれる存在であった。彼らは、「神霊装甲(スピリチュアルアーマー=SA)」という巨大ロボットを託され、ヴァルハラに存在する国々の戦士として戦いを強要されることになる。
 物語は、ラグナロク戦争を軸に、毎回違う主人公の物語が展開されるオムニバス形式。戦いに巻き込まれた現代人や、ヴァルハラ人たちがそれぞれの視点で物語を紡いでいく。

・世界設定
ヴァルハラ 我々の世界と対になる魂や精神が具現化した世界で、精神力(心の強さ)が力となる世界。絶えず争いが起きていることから、戦いの世界とも言われている。この世界には、それぞれアース神族、ヴァン神族、巨人族という三種族が国を作っており、それぞれがそれぞれの国と争っている。

神霊装甲 アース神族、ヴァン神族が巨人族に対抗するために、それぞれ独自の技術によって作り出した戦闘用巨大装甲。操縦者が乗り込み、意志の力によって操縦する。通称SA(スピリチュアル・アーマー)。

SAヴァルキュリア アース神族の作り上げた新型量産SA。新技術により、意志力を翼状のオーラに変えて空中を飛ぶことが可能になった。性能もさることながら、女性的で優美なフォルムを持ち、翼を広げた姿はまるで天使のようである。基本武装は近距離用オーラブレード、遠距離用スピリットガンなど。新型の開発が開始されたと言われているが、詳細は不明。

SAフレイ ヴァン神族の作り上げたプロトタイプSA。意志力によって複数の剣を飛ばし、自由自在な遠隔攻撃を可能にするソード・オブ・ヴィクトリー(S・O・V)を持つ、ヴァン神族の切り札。その存在はいくつもの謎に包まれており、オーバーテクノロジーによって作られているといわれている。まるで炎に包まれたかのような、燃えるような赤いボディが印象的なSA。二人乗りで操縦と武装を分けて行う。パイロットはヴァン神族の双子の姉妹レイとリア。SAフレイアのA・O・B技術をフレイにも搭載し、ソード・オブ・ブリーシンガメンが使用可能となる。

SAフレイア SAフレイを元に、SAヴァルキュリアの飛行技術を起用した、ヴァン神族の次期主力SA。量産のためにS・O・Vを無くし、代わりに意志力で飛ばした球体でバリアを発生させるアクセサリ・オブ・ブリーシンガメン(A・O・B)を搭載。現代人の意見を参考にし、形態を人型から飛行形態に変形することによって、空中での高速飛行が可能。現在は長老会の承認も降り、開発段階に入った。

ミーミル アース神族軍の上級士官トリックスターの話の中に出てきた言葉。その実態は、誰にも明かされていない。アース神族国王オーディンの名を継ぐ者のみが、その秘密をしることができるとされ、一般の者がそれを知ってしまった場合は、大きな罪となる。

軍士 アース神族での軍に所属する者の一般的な総称。一般兵士、上級士官に関わらず、技術士官、整備兵、補給兵、軍内部食堂のおばちゃんも軍士である。王直属の近衛師団などは軍士とは呼ばない。ちなみに、ヴァン神族では騎士以外は一般人扱いのため、こういった総称はない。

アース神族 神の国アスガルドを首都に持つ、好戦的な種族。力(精神的に)が強く、謀略にも長ける。侵略、支配を繰り返し、巨大な国を作り上げた。我々の世界でいう騎馬民族のようなイメージ。 君主制を敷いており、王の下に内政、外政、軍部の各担当者がそれぞれを指揮している。軍の様子は、規律統制のとれた現代軍隊に近いイメージ。

ヴァン神族 新緑の森ヴァナヘイムを首都に持つ、平和的な種族。魔術が得意で、身のこなしも素早い。農耕を行い、大地に根付くことで豊かな国を作り上げた。農耕民族のイメージ。共和制を敷いており、国民に選出された長老会によって国の全ての政治を動かしている。軍の様子は、個々の力を重んじる中世騎士団と近いイメージ。

巨人族 険しい山々に囲まれるヨーツンヘイムを首都にもつ、暴力的な種族とされている。全長十数メートルと大変体格に恵まれており、力が強く身のこなしも早い。内向的な種族で、自分達の暮らす山々から出ることはほとんどなかった。暴力的とされているが、実際は理知的で歌や詩にも秀でる文化的な種族。本来争いは好まないが、怒ると怖い。

それ以外の種族 ノッカーやピクシー、またドラゴンなど様々なモンスターが存在している。

・次話あらすじ
 ある平穏な一日の話。他国を侵略し、国を広げ、世界を統一しようとする国の者。自然と共に生き、国を守り、小さな平和を続けていこうとする国の者。悠久を生き、歌を愛し、ただ家族のために戦う国の者。そして、彼方より現れ出でて、己があるがままに、自らのために戦う者達。
 一時のささやかな平穏な日常を、ある者は休暇を楽しみ、ある者は訓練をし、ある者は‥‥。各々が、限られた時間限られた世界の中で、己が望むように生きている。
 しかし、そんな一時でさえ、監視している者がいることを、彼らはまだ知らない‥‥。

・登場人物
 アース神族側勢力
 ヴァン神族側勢力
 巨人族側勢力
 その他勢力など

・備考
 今回の話では、登場キャラ一人一人にスポットを当てて、様々な風景を出すことにより、世界観を感じ取ってもらう内容になる予定。

●今回の参加者

 fa0330 大道寺イザベラ(15歳・♀・兎)
 fa0509 水鏡・シメイ(20歳・♂・猫)
 fa1435 稲森・梢(30歳・♀・狐)
 fa1609 七瀬・瀬名(18歳・♀・猫)
 fa2401 レティス・ニーグ(23歳・♀・鷹)
 fa2582 名無しの演技者(19歳・♂・蝙蝠)
 fa2738 (23歳・♀・猫)
 fa3610 ユキイ・アバンサール(36歳・♂・獅子)

●リプレイ本文

●神霊装甲ヴァルキュリア「監視する者」
 ヴァン神族の首都ヴァナヘイムの中央にある巨大樹ユグドラシルの一画では、現代人達が騎士達に混ざって訓練を行っていた。
「ヴィオの機体は調子良いようね」
「あたりまえだ、俺が整備しているんだぞ。ふん、それにしても、アース神族は嫌いだが、あの機体は良い出来をしている。特に、あのフォルムはそそられるとは思わんか?」
「さ、さぁ‥‥」
 ヴィオの訓練を眺めて、ヴァン神族の双子騎士の一人レイ(CV:レティス・ニーグ(fa2401))が、ドヴェルグ族の技術者フォー・ハーン(CV:ユキイ・アバンサール(fa3610))に話しかける。彼は、レイの言葉に憮然とした様子で答えながらも、華麗に舞うヴァルキュリアの姿に見惚れるように見つめている。
「あとは、戦乙女らしく鎧でも着せれば最高なんだが‥‥」
「ハーン、これ新型機のレポートよ」
「おお、マリア、すまないな」
 そんな二人の前に、クリップに挟んだレポート用紙の束を持ってマリア(CV:稲森・梢(fa1435))が現れる。用紙には新型機についてのレポートが書かれていた。
「良い機体だと思うわ。乗っていてあれほど風を感じられる機体もそうはないでしょうね。ただ‥‥」
「ただ?」
「やっぱり、操縦席が違うとしっくりこないわね‥‥私の機体は、前に乗っていたスキールニルの操縦席に乗せ変えてくれないかしら?」
「マジか!? ちっ、また徹夜仕事かよ」
 マリアの要望に、舌打ちして顔を顰めるフォー。しかし、頭を掻きながら、要望に応えると意味する言葉を漏らして、新型機への方へと歩いていく。
「ハーンは癖はあるが腕は確かだ、仲良くしてやってくれ」
「ええ、わかっているわ。口は悪いけど、腕は確かみたいだし」
「おい、レイ! お前の機体にもソードで使えるA・O・Bを搭載しておくぞ! あの機体、まだまだ余剰出力が残っているからな。まったく、とんだオーバーテクノロジーだ」
 フォーは、最後にSAフレイの新兵装について伝えて、その場を立ち去っていく。彼の話では、オーバーテクノロジーの固まりであるフレイにはまだまだ未知の力があるそうであった。
 そんな立ち去るフォーを見送るレイに、連絡員が慌てた様子で話しかける。
「え! 姉さんがっ」

「ああ、レイさん」
「エリス! 姉さんが目覚めたって本当!?」
「私もいま連絡を受けて来たばかりですので、とりあえずお会いしてみましょう」
 病室の前に駆けつけたレイを待っていたエリス(CV:水鏡・シメイ(fa0509))。二人は、お互いに軽く言葉を交わした後、アース神族との戦いで重傷を負った、レイの双子の姉であるリア(CV:七瀬・瀬名(fa1609))の病室へと入っていった。
「姉さんっ! 良かった‥‥」
「‥‥あの、どちらさまでしょう?」
「え‥‥?」
 病室では、ベッドから身体を起こして窓の外を眺めていたリアの姿。喜び声をかけるレイであったが、リアは不安そうに他人を見る目でレイに問いかけるのだった。
「リアさん、まさか記憶が‥‥そんな‥‥」
 話を聞けば、リアは怪我のショックで今までの記憶を失っていた。呆然とした表情で、その場に立ち尽くすエリスとレイ。
「たとえ記憶を無くしていても姉さんは姉さんよ」
「ええ、そうですとも。リアさん、ずっと病室にいるのも退屈でしょうから、気分転換に外でも回りませんか? もしかすると何か思い出すかもしれませんし」
「うん、行こう」
 レイとエリスは、なんとか記憶を取り戻そうと外へとリアを誘う。リアも当初の不安そうな表情を消し、嬉しそうな笑顔で頷いた。
 ユグドラシルの周囲にある街に出かける三人。街では住民達が、人気の騎士であるリア達に笑顔で挨拶をしてくるが、戸惑いの表情を浮かべるリア。だが時には子供達に、可愛らしい手作りのアクセサリを手渡され、幸せそうに微笑む。
「よかったですねリアさん」
「これ、私に似合うかな?」
 エリスとレイは、リアに様々な場所を案内する。
「この場所は覚えていますか?」
「ううん、初めてで楽しいわ!」
「そうですか‥‥」
 二人に案内された場所に、リアはまるで初めての場所を探索するように楽しそうな表情を浮かべるが、二人はそれをどこか悲しそうに見つめるのだった。
「今日はありがとうございます」
「いえ‥‥ではまた明日」
 しばらく街を周った後、再び病室に戻ったエリス達は、リアと別れる。別れ際に、律儀に頭を下げるリアだったが、エリスにはそれが他人行儀のように見えて寂しげな表情を浮かべるのだった。
「あの時、私が戦闘を拒まずリアさん達と一緒に戦場へ出ていれば、こんな事にはならなかったかもしれません」
「エリスのせいじゃないわ。私がもっと上手くフレイを操作していれば‥‥」
「なぜ、人は争い続けるのですか! 争いは悲しみや憎しみしか生まないというのに」

「ちっ、ここにもなにもないか‥‥」
 場所は変わってアース神族の首都アスガルド。軍の資料室で調べものをしている安則(CV:名無しの演技者(fa2582))だったが、その表情から成果が無いことが伺える。
「ミーミル‥‥確か北欧神話に出てくる知恵の泉を守護する者だったな‥‥そしてオーディンの右目と引き換えに知恵の泉の水を与えたもの‥‥」
 安則は、アールヴヘイムの戦いの前に、仮面の道化師トリックスターが呟いた言葉が気になっていたようだ。しかし、どこで調べてもその言葉についての情報は得られなかった。
「ただの兵士が、世界について考えてもしかたないというのか‥‥もう、こんな時間か、これから模擬戦闘だな」
 安則は小さくため息をつくと、時間を確かめて立ち上がり、資料室を後にするのだった。

 軍の試験場で、新型ヴァルキュリアの試作機に搭乗する安則は、その調整のためにシェリー(CV:大道寺イザベラ(fa0330))のSAギンナルと模擬戦を行っていた。
「思ったより出力があがらないな、まだまだ調整が必要と言うことか」
「あははは! 緑川君、アタシに惚れると火傷じゃ済まないよ!」
「くそ‥‥やっぱりシェリーは性格最悪だが腕と器量はいいぜ‥‥立場と出会いと性格がよければ告白していたかもな!」
 調整不足で出力の上がらない試作機に対し、ギンナルは容赦なく攻め立てる。嘲笑うシェリーに毒づく安則だったが、その実力は認めているようであった。

 その夜、シェリーは自室にて、ワインをグラスに注いで一人不敵な笑みを浮かべる。
「おぉ、帰ったかいアタシの仔猫ちゃん」
「はい、シェリー様」
 ノックの音が響き、次に桃色の制服を着た女性士官(CV:七瀬)が現れると、笑顔は優しいものへと変わった。そして、女性士官を向かい入れて、ソファの隣に座らせる。
「近い内、アタシの生まれた世界に連れて行ってあげる。勿論沢山のSAを連れてね」
 シェリーに甘えるように寄りかかる女性士官の肩を抱いて、シェリーは何か楽しい事を思い浮かべたように囁きかけた。
「でも、その前に少し掃除をしないと。次は仔猫ちゃんも新しいSAでついてきなさい」
「はい、シェリー様‥‥どこへでもお供いたします」
 ワインを口にして、満足そうに士官の髪を撫でるシェリー。二人の関係は、まるで恋人同士のようであった。その時、シェリーの端末になにやら伝達が入る。それを見て、シェリーは呆れた表情を浮かべた。
「また、魂の騎士が脱走だって? ふん、何が不満なんだか!」

 一人の少年が、荒野を歩いていた。被っていたフードが風に流され、その幼さを残す子供の顔が晒される。少年の名は鹿島駈(CV:晨(fa2738))、アース神族側に所属していた現代人であった。
「もう、人殺しはたくさんだ‥‥なんで僕は召喚されたんだ? こんな戦いのために? 僕は望んでなんかいない! ヴァン神族の下に行こう‥‥きっと答えがあるはずなんだ‥‥」
 駈はそう呟いて再びフードを被りなおす。長い時間を歩いていたのだろう、靴はすでにボロボロ、足取りは酷く重かった。食料も水もすでになく、休もうにも荒野にはゴツゴツとした岩ばかり、子供の身体にはそれはあまりにも過酷であった。
「あ! ‥‥僕、このまま死ぬのかな‥‥イヤだ‥‥こんなわけのわからない世界で、なにもできないまま死ぬのはイヤだ‥‥」
 ついに、力尽き倒れる駈。悔しげに呟く声も弱弱しく、意識は徐々に薄れていく。しかし、そんな駈に近づいてくる何者かの影があるのだった‥‥。

 場所は再びアスガルド。どこかわからぬ広い部屋に、大きなモニターが設置されていた。そして、数百にも分かれたモニターにいままでの全世界の映像が映し出されている。あらゆる場所、あらゆる人物の生活が映し出されたモニターこそ、『ミーミルの知恵の泉』であった。
 世界中に無数に存在する、米粒ほどの浮遊機械。それが世界中を監視し、その映像を天空彼方にある軌道衛星ミーミル本体が受信し、知恵の泉へと送っている。そのことを知る者は、世界にほとんどいない。
「‥‥‥」
 そのモニターの前に無言で立つ男が一人。この誰も知らぬはずのミーミルを知る者は、アース神族の王、オーディンの名を継ぐ者だけである。彼は、片方を髪で隠した鋭い眼光でモニターを睨みつけていた。そして、彼の見つめる先には、一人の男‥‥仮面の道化師トリックスターが映し出されているのだった。