ヒカル! 譲れない願いアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
11/27〜12/01
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●本文
神様決定戦は、この世界とは違う、異世界の神様を決める戦い‥‥なんだけど、本当にカトリみたいな気弱で情けないのが神様になっちゃっていいのかしら? でも、私が願いを叶えるためには、どうしてもカトリに神様になってもらわないとならない。それが、人の願いを奪うことになっても‥‥。
〜声優募集〜
アニメ『光の中のヒカル!!』では、劇中のキャラクターの声を演じてくれる方を募集しています。得意な役柄、演じたい役柄の希望と共にご応募ください。審査のうえ、ご依頼させていただきます。振るってのご応募お待ちしております。
〜作品紹介〜
明るくて運動の得意な少女蛍崎光流は、ある日不思議なヌイグルミのような生き物を見つける。それはなんと、光流達の住んでいる世界とは別の世界からやってきた異世界人(?)だった。
異世界人カトリは、500年に一度行われる神様決定戦に参加した神様候補だと光流に伝える。神様決定戦とは、異世界で一番の権力者を選ぶ戦いで、100人ほどの候補者から勝ち残った1人を神様とするものだった。神様候補は、こちらの世界を訪れ、パートナーとなるものを1人選び出し。パートナーとなったものに魔法を使える力を与え、この力で最後の一組になるまで戦いを生き抜くことになる。
カトリは光流にパートナーになってくれるよう頼み込む。最初は得体の知れない戦いに巻き込まれるのを嫌がった光流だが、優勝者のパートナーには一つだけ願いを叶える権利が与えられると聞いて、喜んでパートナーになることを了承する。
こうして光流とカトリはパートナーとなり、神様決定戦に参加することになった。しかし、実はカトリは神様候補の中で最低ランクの落ちこぼれであった。はたして光流は、頼りないカトリと一緒に神様決定戦を生き抜いていけるのだろうか‥‥。
〜世界設定〜
異世界人 異世界で暮らすヌイグルミのような外見をした生き物。言語を話し、現代世界の人間とほとんど変わらない知性を持っている。外見は様々で、人型や動物型、無機物型など、大きさはだいたい30センチほど。その造型に関係なく、空を飛ぶことができる。また現代世界では、人間の姿に変身することができる。
神様候補 異世界で選抜された神様決定戦の参加者達。彼らは、現代世界でパートナーを見つけ。最後の1人になるまで戦い続け、その最後の1人が神様となる。彼らは現代世界で魔法を使えないが、パートナーにその力を与えることができる。
パートナー 神様候補に選ばれて、一緒に神様決定戦を戦うと誓った者。彼らは、神様候補から魔法の力を与えられると、その姿を変身させて(必須)魔法を行使することができる。パートナーは人間でなくても良い、ただし生き物でなければならない。
魔法 異世界人が使うことのできる不思議な力。現代世界では、パートナーにその力を与えることによって使うことができる。異世界人にはそれぞれ得意な魔法属性があり、第一魔法にその属性(炎、水、身体強化など)が反映された魔法、その後第二魔法からは属性に特性を現す単語(炎の『壁』、『強い』身体強化など)を加えていく魔法が使えるようになる。第二魔法は単語が一つ、第三魔法は単語が二つといったように強くなっていく。ただし、それぞれ一つずつしか覚えられない(第二魔法を二種類覚えるなどはできない)。
パワーストーン 神様候補達が現代世界にいるために必要な特殊な石。候補達はかならずこの石を持っており、これがなくなると異世界に強制的に戻されることになる。つまり、これを奪い合い、候補達を全て異世界に送還し最後の1人になった者が神様決定戦の勝者となる。ちなみに、パワーストーンは各候補者固有で、他のパワーストーンを代用することはできない。
〜次話あらすじ〜
全世界に散らばった神様候補達は、それぞれパートナーとなる人間を見つけ、パワーストーンを奪い合う激しいバトルを繰り返していた。光流の住んでいる街の隣街でも、神様決定戦の戦いが行われ、巻き込まれた人や建物が被害を受けるといった事件が起きていた。
そんなある日、光流は一人の少年(少女)と出会う。心優しく、正しい行いをするその少年と親しくなった光流だが、実は彼も神様候補のパートナーであった。お互い、素性も知らぬまま、また会おうと約束する二人。
やがて隣町の事件のことを知った光流は、無関係の人間を傷つける神様候補を倒そうと、事件の起きた街へと向かう。しかし、そこで待っていたのは、以前出会った少年だった。少年は、自らの譲れない願いのために、戦いを挑んでくる。事情を知ってしまった光流は、戦うことに迷ってしまうが、そうこうするうちに街に被害がでてしまう。意を決して少年を倒す光流だが、願いを失った少年に心を痛めるのだった。
〜登場人物〜
蛍崎光流(CV:牧村ユミ) 本編の主人公。運動神経抜群の中学二年生の少女。明るく元気で、ちょっと勝気な性格。偶然異世界人カトリと出会い、神様決定戦のパートナーに選ばれる。愛称はヒカル。
異世界人カトリ(CV:南方雄治) 本編のもう1人の主人公。異世界より神様決定戦に参加する、神様候補として現代世界に現れた。
優しい少年 心優しく正しいことを行える少年(少女)。異世界人と出会い、自らの譲れない願いのために、そのパートナーとなる。願いのために、パートナーに戦いを強要されている。
少年のパートナー 優しい少年のパートナーの異世界人。戦いを好む悪質な性格で、どうしても叶えたい願いを持った少年を言葉巧みに操り、戦いを強要する。身体強化の魔法を使い、第二魔法『バサク(凶暴な強化)』で強化した少年を暴走させ、周囲を巻き込みながら全てをなぎ倒す。
ライバル達 神様候補とそのパートナー達。様々な願いを持って戦いに参加し、光流やカトリと対決していく。また、何かのきっかけで仲間になったりする。
学校の友人 光流の学校の友人達。神様決定戦のことは知らないが、事件に巻き込まれたり、場合によってはパートナーに選ばれていく。
その他 光流の両親、学校の先生など
〜備考〜
パートナーの変身はいわゆる魔女っ子物などの服装の変化といったイメージ。また、異世界人はパートナーが変身すると、本来の姿(ヌイグルミ)に戻る。変化するのは服装のみで、その人を知っている者にはもちろん気づかれる。
アニメ的ご都合主義で、バトルによって街や人に被害が出ても、一般人が事件について騒ぎたつことはない。魔法でいつのまにかバトルのことを忘れてしまうという設定。ただし、関係者はその限りではない。
蛍崎光流役には現在売り出し中のアイドル声優牧村ユミ氏を、カトリ役にはイケメン声優南方雄治氏を起用します。
●リプレイ本文
「ありすちゃんの新曲ゲット! 早く帰って聞こう! きゃあ!?」
「うわ!?」
その日、主人公蛍崎光流(CV:牧村)は隣町のCDショップにアイドル夢村ありすの新曲を買いに来ていた。CDを買えた光流は満面の笑みで店の外に飛び出すが、ちょうど店の前を歩いていた少年とぶつかってしまう。
「いたた‥‥」
「君、大丈夫?」
転んでいた光流に差し伸べられる手。光流が顔を上げると、金髪碧眼の美少年クラウツ(CV:大道寺イザベラ(fa0330))が優しい笑みを浮かべて手を差し伸べていた。その容姿に一瞬見惚れつつ、慌てて手を取って立ち上がる光流。
「あ、ありがと、君も大丈夫だった?」
「うん、僕は掠っただけだから‥‥君も夢村ありすのファンなの?」
照れ隠しに、パンパンと自分の服を叩いて砂を落とす光流。少年は、光流が落とした、袋から飛び出たCDを拾い上げてニコリと嬉しそうに微笑んだ。その後、二人は同じ趣味を持つもの同士、意気投合して仲良くなる。二人は、しばらく話した後、再び会う事を約束して別れた。手を振って自分の街へと帰っていく光流を見送りながら、クラウツは少し寂しげに微笑むのだった。
「それでね、凄く綺麗な子なの! 外国の子って、みんなあんなに素敵なのかなぁ」
「あらあら、ヒカルちゃんがそんなに仲良くなるなんて、ちょっと羨ましいですわ」
次の日、親友の本田すばる(CV:豊田そあら(fa3863))と弁当を一緒に食べながら、光流は昨日仲良くなった少年の話をしていた。すばるは、光流の話を聞きながら、穏やかに笑みを浮かべている。もちろん、彼女にとって羨ましいのは、光流がではなく、光流と仲良くなったというその少年がであるが。
「私も是非その外国の方とお会いしてみたいですわね。それと、この間の文化祭でお会いした、男の方のことも知りたいですわぁ」
「うん、すばるちゃんにも会わせたいなぁ‥‥。え!? あ、あれはねぇ‥‥あはは、あれは、遠縁の親戚のお兄さんで〜‥‥いま、うちに泊まりに来てるんだよ!」
「まぁ、そうなんですかぁ。でも、高校生ぐらいの方に見えましたが、学校は大丈夫なのでしょうか?」
「あ! うん! だ、大丈夫なんじゃないかな? たぶん‥‥えっと、高校浪人とか中退とかそんな感じとか!」
すばるの興味が、以前会った光流のパートナーであるカトリ(CV:南方)の向かうと、光流は慌てた様子ですばるに嘘の説明をする。光流の様子にすばるも気づいているのだが、光流を深くは追求せず、ただ楽しそうに光流を眺めているのだった。
「よ、クラウツ! 一緒に帰らないか?」
「あ、中浦君」
隣町の学校、放課後になり帰り支度をするクラウツは、クラスメイトの中浦識(CV:長束 八尋(fa4874))に声をかけられる。
「なぁ、君って身体弱いのか? 体育休んでばっかだろ? ちゃんと運動して身体鍛えたほうがいいぜ? 今度一緒に剣道でもしようぜ!」
「‥‥そうだね」
元気な剣道少年の識の言葉に、クラウツは少し気後れした様子で頷く。
「クラウツ! 遅いわよ、なにやってるの!」
そんな二人に、教室の外から声がかけられる。視線を向けると、長い髪の少女が腕を組み仁王立ちで立っていた。美人だが、どこかイジワルそうな釣り目の少女ミナル(CV:七瀬・瀬名(fa1609))は、クラウツに命令するように呼びつける。
「さっさと来なさいよ! 今日はパフェを食べに行くっていう約束でしょ!」
「ごめんなさい、人を待たせてるから‥‥」
「あ、ああ‥‥それじゃまた明日な」
クラウツは識に申し訳なさそうに言うと、ミナルと共に行ってしまう。識は二人を呆然と見送って呟いた。
「あんな子、うちの学校にいたっけ‥‥」
「千尋あにぃ、こっちこっち!」
「陽、そんなに急がないでよ」
小学生の男の子風祭陽(CV:ヨシュア・ルーン(fa3577))が、店の並ぶ街中を駆け足で走り、振り返って元気に手を振る。陽が振り返った先には、彼の兄千尋(CV:晨(fa2738))と幼い少女リリー(CV:KISARA(fa0389))が、ゆっくりと陽のあとを歩いていた。
「ここのパフェが美味しいって、うちの学校でもっぱらの評判なんだよ。リリーも食べたいよね?」
「パフェ‥‥?」
陽が指差した先には洒落たオープンカフェがある。陽の言葉に、リリーは不思議そうに首をかしげるが、陽の笑顔にコクリと頷く。陽は嬉しそうにリリーの手を引いてカフェへと入っていく。その様子に、千尋は穏やかに笑みを浮かべてついていくのだった。
席に腰を下ろす千尋達、店員が運んできた大きなパフェにリリーが目を丸くする。そんな、楽しそうな三兄妹のような風景。しかし、それを邪魔するかのように、二つの人影が現れた。
「あら、リリーじゃない? こんなところで会うなんて奇遇ね。弱虫のアンタが、まだ生き残ってただなんてとても意外ぃ」
「ひぅ!? ちひろぉ‥‥」
現れたのはミナルとクラウツだった。ミナルはリリーのことを知っているかのように話しかけ、嘲るような笑みを浮かべた。リリーは、ミナルの姿に怯えて千尋の後ろに隠れる。
「そのオドオドとした態度、見てるだけでイライラするわ。ちょうどいいから、ここで私が倒してあげる」
「なんだよ、リリーをイジメるやつはゆるさないぞ!」
「なに? 君がリリーのパートナー? クラウツ、やっちゃいなさい」
「でも、こんなところで魔法を使ったら‥‥」
「私の言うことが聞けないの? 絶対に譲れない願いがあるんでしょ? 私の言う事を聞いていれば、願いは叶えてあげるんだから」
ミナルの言動に、リリーを庇おうと前に出る陽。躊躇するクラウツだったが、続くミナルの言葉に一瞬悲しげな表情を浮かべたあと意を決したように陽達を睨みつける。
「バサク!」
「陽、あぶない!」
変身したクラウツが魔法を唱え、身体を強化して陽に襲い掛かる。千尋がとっさに陽を庇って飛ぶが、過去の傷を持った足に激痛が走り顔を歪めた。
「くっ‥‥」
「千尋あにぃ!?」
「あら、上手く交わしたじゃない。でも私のクラウツからは逃げられないからね!」
なんとかクラウツの突進を交わした千尋達。しかし、勢いでカフェへ突進したクラウツは、建物を半壊してしまう。突然のことに慌てて逃げ出す客達。そして、それを攻撃しようと暴走するクラウツ。そこへ‥‥。
「フェルド!」
「!!」
「なに、してるんだよ‥‥クラウツ!」
突然燃え上がる炎、腕を強く振るいそれを吹き飛ばすクラウツに、彼の名を呼ぶ少年。それは、赤いマントを羽織った識であった。
「最近起きてる神様候補の事件で街をパトロールしていたら‥‥。嘘だろっ? 君もこの街が好きだって言ったじゃないか!」
「僕の‥‥願いを‥‥邪魔する奴は‥‥みんな‥‥いなくなれ!」
「くそ、なんで‥‥イフレイス!」
必死に訴える識。しかし、魔法で暴走するクラウツには、普段の優しさなど微塵も感じられない。襲い掛かってくるクラウツに、焔の剣で対抗する識だが、その圧倒的な力に吹き飛ばされる。
「ウィンジェ!」
魔法の言葉と共に、クラウツに纏わり付く風の渦。それは、緑の衣装を纏った千尋の魔法だった。一瞬、動きを止められるクラウツ。
「邪魔を‥‥するな!」
しかし、風の拘束さえも、クラウツの力に勝てず弾かれてしまう。暴走するクラウツに、千尋にも識にも成す術が無かった。そこへ、事件を知り駆けつけてくる光流とカトリ。しかし、見知った相手に戸惑う光流。
「僕は‥‥このままいけば余命半年と持たない身体なんだ。生きるためには、願いを叶えないといけないんだよ!」
「そんな‥‥私、クラウツと戦うなんてできないよ‥‥」
「ヒカルくん‥‥この戦いに勝者は一人。自分の願いを叶えるためなら、誰かを傷つけなければいけないんだ。君のその夢は本当に何百人もの夢を壊してでも、手に入れる価値があるの?」
クラウツの願いを知り、戦意を失う光流。そこに、千尋が問いかける、何故戦うのかと。
「たしかに、願いを叶えるためには勝たないといけない‥‥でも、関係ない人を理不尽に傷つけていいはずないんだ!」
「カトリ‥‥うん、そうだね‥‥それに、クラウツ苦しんでる、本当は戦いたくなんてないんだよ!」
カトリの、ただ願いを叶えるためだけでなく、無関係の者を巻き込む戦いを止めたいという気持ちに、再び戦うことを決意する光流。しかし、クラウツの猛攻に追い詰められる光流達。そこに、どこからともなくクラウツを撃つ衝撃波。
「!! いまよ、レイテ!」
「きゃあ!? なんで、こんな子にやられちゃうの?」
それに気を取られた一瞬、光流の放った光の線が空中のミナルの、パワーストーンを打ち抜く。力を失い倒れるクラウツと、茫然自失のまま消えていくミナル。
その後、身体を壊し病院へと運ばれていくクラウツの姿に、後味の悪いように肩を落とす光流。
「良かったのかい? あの子のこと助けちゃって‥‥あの子、きっと強くなる。もしかしたら一番のライバルになるかも‥‥うん、そうだね。きっと君ならもっと強くなれるよ。だから‥‥もう少し力を緩めて、中身が出ちゃうよ‥‥むぎゅ」
「‥‥‥」
その様子を、ビルの屋上から見ていた、ヒヨコ型の神様候補ジント(CV:鷹見 仁(fa0911))と、そのパートナーの少女。少女は、ジントの言葉に無言で開いていた本をパタンと閉じ、その場から立ち去っていくのだった。