神霊装甲 決戦前編アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 1人
期間 12/16〜12/20

●本文

・声優募集
 ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』では、作品に参加する声優を募集しています。経験の有無は問いませんので、奮っての応募をお待ちしております。
 審査のうえで配役を決定いたします。得意なタイプ、希望などありましたら事前にご連絡ください。

●ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』
・作品概要
 戦いの世界ヴァルハラへと召喚された現代人たちが、この世界で起きている戦い「ラグナロク」にいやおうなく巻き込まれていく物語。
 召喚された現代人たちは、それぞれが戦士の魂を持つ者であり、「魂の騎士(スピリットナイト)」と呼ばれる存在であった。彼らは、「神霊装甲(スピリチュアルアーマー=SA)」という巨大ロボットを託され、ヴァルハラに存在する国々の戦士として戦いを強要されることになる。
 物語は、ラグナロク戦争を軸に、毎回違う主人公の物語が展開されるオムニバス形式。戦いに巻き込まれた現代人や、ヴァルハラ人たちがそれぞれの視点で物語を紡いでいく。

・世界設定
ヴァルハラ 我々の世界と対になる魂や精神が具現化した世界で、精神力(心の強さ)が力となる世界。絶えず争いが起きていることから、戦いの世界とも言われている。この世界には、それぞれアース神族、ヴァン神族、巨人族という三種族が国を作っており、それぞれがそれぞれの国と争っている。

神霊装甲 アース神族、ヴァン神族が巨人族に対抗するために、それぞれ独自の技術によって作り出した戦闘用巨大装甲。操縦者が乗り込み、意志の力によって操縦する。通称SA(スピリチュアル・アーマー)。

軌道衛星ミーミル 世界中に散らばった極小監視装置から送られる映像を受信し、アスガルドにある知恵の泉へと送信する、天空にある衛星。これにより、世界中のあらゆる場所を見ることができる。その存在は、アース神族の王オーディンと一部の者しか知らない。基本的に映像のみで音声などは受信できない。しかし、この衛星には他にも隠された用途が‥‥?

アース神族 神の国アスガルドを首都に持つ、好戦的な種族。力(精神的に)が強く、謀略にも長ける。侵略、支配を繰り返し、巨大な国を作り上げた。我々の世界でいう騎馬民族のようなイメージ。 君主制を敷いており、王の下に内政、外政、軍部の各担当者がそれぞれを指揮している。軍の様子は、規律統制のとれた現代軍隊に近いイメージ。

ヴァン神族 新緑の森ヴァナヘイムを首都に持つ、平和的な種族。魔術が得意で、身のこなしも素早い。農耕を行い、大地に根付くことで豊かな国を作り上げた。農耕民族のイメージ。共和制を敷いており、国民に選出された長老会によって国の全ての政治を動かしている。軍の様子は、個々の力を重んじる中世騎士団と近いイメージ。

それ以外の種族 ノッカーやピクシー、またドラゴンなど様々なモンスターが存在している。

・主な登場SA
SAヴァルキュリア�U アース神族の量産SAを基に、魂の騎士用に新しく作られた高性能SA。従来機より基本性能が3倍弱アップし、飛行能力も向上された。基本形態以外に、三種類の兵装が用意されており、局面にあわせて変更する。以下、各兵装の説明。
ゲイレルル 高出力オーラライフル『グングニール』を用いた長遠距離精密射撃を行う兵装。遠距離望遠モニターと、射撃兵器を無効化する特殊装甲が追加装備されるが、機動力が落ちている。
スルーズ 超高出力オーラ砲『ミョルニール』を装備した重火力兵装。一点発射による『神の雷』の他に、拡散放射する『神の嵐』が使用可能。機動力は落ちるが、攻撃力は兵装中一番。
フリスト 大型オーラソード『ブルドガング』を装備した近接戦闘用兵装。従来の三倍の出力を持つオーラソードを持ち、ウィングスラスターに加速ブースターを装着。高い機動力で近接戦闘に持ち込む強襲型。

SAギンナル(遠隔兵器試験型) SAロキを元に作られたとされる、アース神族の偵察・隠密用SA。ロキと同じように迷彩ステルス機能を搭載しており、周囲の背景に紛れて行動することができる。この機体は、秘密裏に開発した、意志力により遠隔操作する射撃兵器『エンフェリア』を実験的に装備している。しかし、システムに無理があるのか、遠隔兵器使用時に搭乗者に負担を掛ける。

SSグリンブルスティ 以前にドヴェルグ族が開発した大型空中戦艦を、アース神族が回収修繕し、多数のSAを搭載した空母として利用した。高出力オーラ砲の強力な火力と、バリアによる高い防御力を持つ。

SAフレイ ヴァン神族の作り上げたプロトタイプSA。意志力によって複数の剣を飛ばし、自由自在な遠隔攻撃を可能にするソード・オブ・ヴィクトリー(S・O・V)を持つ、ヴァン神族の切り札。その存在はいくつもの謎に包まれており、オーバーテクノロジーによって作られているといわれている。まるで炎に包まれたかのような、燃えるような赤いボディが印象的なSA。二人乗りで操縦と武装を分けて行う。パイロットはヴァン神族の双子の姉妹レイとリア。SAフレイアのA・O・B技術をフレイにも搭載し、ソード・オブ・ブリーシンガメンが使用可能となる。

SAフレイア SAフレイを元に、SAヴァルキュリアの飛行技術を起用した、ヴァン神族の次期主力SA。量産のためにS・O・Vを無くし、代わりに意志力で飛ばした球体でバリアを発生させるアクセサリ・オブ・ブリーシンガメン(A・O・B)を搭載。現代人の意見を参考にし、形態を人型から飛行形態に変形することによって、空中での高速飛行が可能。

・次話あらすじ
 ついに、アース神族がヴァン神族への本格的な進攻を開始した。新型SAや修繕したSSを擁し、ヴァナヘイムへと迫るアース神族。それに対し、ヴァン神族も新型SAを用いて対抗する。そして、各神族の命運を掛けた最も大きな戦いの火蓋が切って落とされる。
 各神族に付いた現代人達も、再び敵味方に分かれ戦うことになる。それぞれ様々な思いを胸に、戦場へと飛び立っていく現代人。果たして彼らに、心休まるときは訪れるのだろうか。
 そんな中、ヴァン神族の長老会では、この戦いの結果を決定する大きな議題が挙げられていた‥‥。

・登場人物
 アース神族側現代人(2〜4名) アース神族に収容され、魂の騎士として戦うことになった現代人
 ヴァン神族側現代人(2〜4名) ヴァン神族に保護され、魂の騎士として戦うことになった現代人
 トリックスター(池内秀忠) アース神族側の上級仕官で、「仮面の道化師」と呼ばれている。その名の通り、素顔は仮面で隠されており、元々の素性も出生も本名さえもわからない謎の男
 その他 各神族一般兵士、ヴァン神族長老会幹部など
・備考
 今回は、決戦前の現代人達の心情を描く前編と、SAによる戦闘を中心にした後編の二話構成になっている

●今回の参加者

 fa0330 大道寺イザベラ(15歳・♀・兎)
 fa0463 伊達正和(25歳・♂・竜)
 fa0509 水鏡・シメイ(20歳・♂・猫)
 fa1435 稲森・梢(30歳・♀・狐)
 fa1609 七瀬・瀬名(18歳・♀・猫)
 fa2401 レティス・ニーグ(23歳・♀・鷹)
 fa2582 名無しの演技者(19歳・♂・蝙蝠)
 fa3610 ユキイ・アバンサール(36歳・♂・獅子)

●リプレイ本文

●神霊装甲ヴァルキュリア「戦いの鐘」
 ヴァン神族の首都ヴァナヘイム。長い白髪の青年エリス(CV:水鏡・シメイ(fa0509))が、花束を持って廊下を歩いている。彼は、以前戦いで大きな怪我を負い、記憶を失ってしまった双子の騎士の一人リア(CV:七瀬・瀬名(fa1609))の見舞いに向かっていた。
「コホン‥‥エリスです、入りますよ」
 病室の着いたエリスは、咳払いをしてドアをノックすると、部屋の中へ入る。
「今日は花をお持ちしました、部屋に飾っていただければと‥‥リアさん‥‥いったいどこへ?」
 しかし、病室にリアの姿はなかった。戸惑うエリスは、何か嫌な予感を感じ、慌てて病室を出て行くのだった。

「此れに私は乗っていたのか‥‥んんっ‥‥!?」
 SAの格納庫、燃える炎のような深紅のSAフレイの前で、リアは一人でそれを見上げて呟いた。その一瞬、彼女の中に双子の妹レイ(CV:レティス・ニーグ(fa2401))と共にフレイに乗り戦ったときの記憶が過ぎった。そしてそれは、黒い闇に覆われたところで途切れる。
「怖い‥‥憎悪の‥‥憎悪の闇が‥‥」
 リアは、震えの止まらない自らの身体を抱きしめ、見えない何かに怯えるように何度も頭を振った。そしてそんな彼女に、近づく影。
「誰? うっ!?」
 人の気配に気づいたリア。しかし、近づいてきた人影は、リアに当身を食らわせ気絶させてしまう。
「フレイのパイロットか、ちょうどいい土産ができたね」
「リアさんから離れなさい! 彼女をどうしようというのですか!」
 気絶したリアを抱えた人影、それはアース神族側の現代人シェリー(CV:大道寺イザベラ(fa0330))だった。リアを探していたエリスは、彼女の危機に気づき駆け寄ろうとするが、シェリーの放った煙幕に二人を見失ってしまう。
 その後、事態に気づいた警備兵が駆けつけるが、時すでに遅くシェリーは隠してあったSAギンナルに乗って姿をくらましてしまった。
「私は守ることができなかった‥‥一人の少女ですら‥‥クッ!」
 エリスは、リアがさらわれたことに、膝をついて、悔しげに地面に拳を打ち付けるのだった。

「わかった‥‥こちらでも探してみるわ」
 コックピットの中で、リアがさらわれたと通信を受けたヴァン神族側の現代人マリア(CV:稲森・梢(fa1435))は沈痛な面持ちで頷いた。
 マリアが乗っているのは、美しい流線型の戦闘機、ヴァン神族の次期主力SAフレイア。空中を疾走しながら、ヴァナヘイムの深い森に目を凝らす。やがて、森を抜けしばらく進んだところ‥‥。
「見つからないわね‥‥。っ!! 攻撃!?」
 突然、マリアの前方から射撃が放たれた。とっさにキリモミしつつ攻撃を回避したマリアだったが、その瞳に驚くものが映った。
「まさか! グリン‥‥ヴルスティ?」
 そうそれは、かつてアールヴヘイムの戦いで、ドヴェルグ族が切り札として用いた空中戦艦グリンヴルスティの姿だった。一瞬の驚きを、キッと奥歯をかみ締め堪えて、素早く対応するマリア。グリンヴルスティから放たれる幾筋もの攻撃を回避しつつ、なんとかその場を離脱する。
「SAフレイア? 大丈夫ですか!? 状況の報告を願います!!」
「敵、空中戦艦から攻撃を受けた! 至急対策準備を取って! つっ、何故あんな物が‥‥!」
 オペレーター(CV:新井)にグリンヴルスティの存在を報告するマリアは、ギリと奥歯を噛み締めるのだった。

「逃がしていいのかい、トリックスター?」
「ああ、どのみちすぐに気づかれることになるのだからね。艦はこの場で待機、本隊が到着するのを待つ」
 グリンヴルスティのブリッジでは、逃げるフレイアに視線を向けながらシェリーが、仮面の男トリックスター(CV:池内)に声をかけた。トリックスターは、まるで気にした様子もなく、待機の指示を出すのだった。

「ふぅ‥‥」
 ダンスを終えたヴィオ(CV:ニーグ)は、タオルで汗を拭きながらSA格納庫へと向かっていた。格納庫では整備員達が忙しくSAの整備を行っており、その中で指示を出しているドヴェルグ族の技術者フォー(CV:ユキイ・アバンサール(fa3610))を見つけると声をかけた。
「ハーン、調子はどう?」
「ん‥‥まぁまぁだな。出撃までには間に合うだろう」
「そう、よかった‥‥」
 ヴィオは、改装中の自分のSAヴァルキュリアを見上げて、少し表情を暗くする。フォーは、ヴィオの表情に気づいた様子で。
「どうした? 悩み事か?」
「いや‥‥ただ、アース神族にいたころを思い出しちゃってね‥‥あいつらと命を掛けて戦わないとならないと思うと‥‥」
「知り合いと戦うのは気が引ける‥‥か?」
「戦場で迷えばそこを付け込まれる、分かっているんだけど‥‥。その想いがあたしを強くさせているものでもあるから変えられないよ」
「SAは、精神力、つまりは想いの強さが原動力だ。迷いは、SAの強さも妨げる。自分を信じろ、そうすればSAも応えてくれる」
「うん、ありがとう‥‥」
「やれやれ、俺はSAが専門で、人生相談所じゃないんだがな」
「ふふっ‥‥」
 フォーの言葉に、ヴィオは微かに笑みを浮かべ、もう一度ヴァルキュリアを見上げるのだった。

 場所は変わりグリンヴルスティ内部、兵士個室。
「青い狼‥‥またこの夢か‥‥」
 ベッドで目を覚ました安則(CV:名無しの演技者(fa2582))は、見ていた夢を思い返して呟いた。
「北欧神話においてトリックスター、すなわちロキを封じるのはフェンリル‥‥奴の息子か。じゃあ、誰がその役目を担うんだろうな。最近見ているヘンな夢。出てくる青い狼がそれか‥‥」
 安則は、しばらく頭を抱えて考え込むが、すぐに頭を切り替えたように身だしなみを整え部屋をでる。
「ついに決戦か、勝って帰ろうぜ」
 安則が部屋を出ると、源(CV:伊達正和(fa0463))が背中を叩いて声をかけてきた。二人は並んで通路を進み、お互いの考えを述べる。
「なあ‥‥どう考えても今の状況を作り出したのはトリックスターだよな。あの男‥‥何か企んでる」
「そいつは否定しないが‥‥。どのみち、この戦いに勝てば、とりあえず俺達はお役ごめんだろ?」
「それはどうかな、まだ巨人族も残ってるわけだし。トリックスターの奴、俺に新型の試験をして欲しいって言うんだ。‥‥受けて見る気だ。奴の懐に飛び込んでみる。何かあったら‥‥頼む」
「虎穴に入らずんば虎児を得ずだな、気を付けろよ。今となって望み薄いが俺は出来る限り、あの日連れて来られた連中と元の世界に帰りたい」
「‥‥‥」
 源の言葉に、無言で返す安則。お互い、無事に戻れる保障の無いことはわかっているが、ただ正面を見つめるしかなかった。

 グリンヴルスティ発見から一夜、アース神族の部隊がヴァナヘイムに近づいてきている報を受け、ヴァン神族の騎士達は発進を開始した。
「フレイア隊、マリア機。発進準備OKよ!」
「作戦はさっき言った通りだ、くれぐれも無茶はするなよ」
「わかってるわ、なに、そんなことを言いにきたの?」
「いや、その‥‥無事に帰ってきたら一緒に酒でも‥‥どうだ?」
「ふふ、ドヴェルグのお酒はちょっと強すぎるけど‥‥考えておくわ」
 コックピットのマリアに通信が入り、フォーの顔が映し出される。頬を掻くフォーの様子に、マリアはクスリと笑みを零すのだった。
「竹内虎雄、スキールニル・ボクサー行きます!」
「お前の機体には、拳での格闘兵装を装備してある。使い方はさっき説明した通りだ」
「はい!」
「ヴィオ・ローザ、ヴァルキュリア改出るわよ!」
「装甲と出力を強化してあるが、あくまで補強程度だ。あとはお前の気持ち次第だぞ」
「OK! 私のダンスを披露してくるわ!」
 虎雄(CV:伊達)、ヴィオと、現代人のパイロットも次々出撃していく。そして、エリスもフレイに搭乗し、首にかけた十字架をグッと握り締めた。
「リアさん‥‥どうか無事でいてください。フレイ、出ます!」

 一方、グリンヴルスティに配備された現代人部隊も、敵の遭遇に備え発進準備を行っていた。
「機体よりも相方の制御のほうが難しいぜ‥‥」
 源は、二人乗りの大型SAトールの調整を行っている。強力すぎるトールの一撃が、諸刃の剣にならなければ良いがと顔を顰めた。
「なんだ‥‥! この感覚‥‥標的の位置が頭の中に流れ込んでくる‥‥。乗り手を選ぶ、その理由が分かった。こいつは情報処理が膨大なんだ!」
 安則は、試作機に搭載された遠隔兵器『エンフェリア』の感覚に酔ったように、口を手で押さえる。しばらくして落ち着きを取り戻すが、かなりの負担がかかっているように見て取れた。
「さあて子猫ちゃん、そろそろ出番だよ」
「はい、マスター。ヴァン神族は敵‥‥討ち滅ぼすべき‥‥敵」
 シェリーがコックピットへと乗り込む、そして甘く声をかけた相手‥‥それに応えたのは、さらわれたはずのリアであった。二人乗りの大型SAヘルに乗り込んだ二人。リアは、シェリーの言葉に従順に従っていた。彼女にいったい何があったのか‥‥。
 そして、ついにアース神族とヴァン神族との決戦の幕が切って落とされるのだった。

 ヴァン神族、長老会会議室。戦いが始まろうとしているその時、選ばれた長老達が集まっていた。
「これより、アース神族に対する、降伏も踏まえた和平交渉についての議論を開始する!」