クリスマスドラマSPアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
12/25〜12/29
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●本文
・クリスマスドラマSP『幸せ通り一丁目の奇跡』
二話のオムニバス形式で描かれる、クリスマスのスペシャルドラマ。クリスマスの日、サンタからの恋のプレゼントを贈られた、二組の男女のラヴストーリー。
・俳優募集
クリスマスドラマSP『幸せ通り一丁目の奇跡』では、出演する俳優を募集しております。下記の要綱を参考に、希望の役柄、得意な役柄を明記して、ご応募ください。
・ストーリー概要
ここは『幸せ通り一丁目』、通りには様々な『幸せ』が溢れていて、どんな人でも『幸せ』を見つけられる。それが『幸せ』だと気づくことができる、『きっかけ』さえあれば‥‥。
クリスマスイブの夜、通りはクリスマスを祝い、人々はそれぞれ自分の『幸せ』を楽しんでいた。しかしそんな中にも、『幸せ』を感じられない二組の男女がいた。
一組は、お互い恋人もおらず、一緒に楽しむ仲間もいない、寂しく一人で過ごす男と女。
もう一組は、恋人同士だが、家庭や仕事の事情で、なかなか逢えない事への寂しさを募らせる男と女。
そんな二組の男女に、幸せを運ぶサンタクロースが小さな『恋のきっかけ(奇跡)』をプレゼントしてくれた。幸せ溢れる『幸せ通り』の中で、二組の男女はどんな幸せを見つけることができるのだろうか。
・一話目あらすじ
恋人のいない一組の男女の物語。男性は、遊ぶ仲間もおらず、することもなく、幸せの溢れる『幸せ通り』の中を、ただつまらなそうに歩いていた。女性は、やはり恋人もおらず、北風凍える街頭でクリスマスケーキ販売のアルバイトをしながら、幸せそうな街の人々を羨ましそうに眺めていた。
そんな男性と女性に、サンタが一つの『きっかけ』を与える。『きっかけ』は二人をめぐり合わせ、いままで気づかなかった『幸せ』に気づかせてくれる。クリスマスに訪れた、一夜の恋‥‥二人はどんな『幸せ』を見つけることができたのだろう。
・二話目あらすじ
なかなか逢えない一組の恋人達の物語。恋人達は、家庭の事情、仕事の事情でお互いになかなか逢うことのできない男女。お互いに寂しさを募らせる毎日。せっかくのクリスマスだというのに、今日も男性の都合で逢うことができない。
多くの恋人達が楽しそうに歩く『幸せ通り』を、一人寂しく歩く女性。そんな彼女にサンタが一つの『きっかけ』を与えてくれる。その『きっかけ』によって、思いもがけぬプレゼントに気づく女性。それは、ショッピングモールに流れているミニFM。たくさんの幸せのメッセージの中に紛れそうになりながらも、たしかに届いた恋人からのメッセージ。
そして、『幸せ』を見つけることができた二組の男女は、最後にサンタから一つの贈り物をされる。それは、『幸せ通り』だけでなく全ての人々の『幸せ』を祝福するような贈り物‥‥。
・登場人物
一人身の男性 クリスマスの夜を一緒に過ごす恋人もおらず、一人暮らしで家族もいない。友人達は、みな恋人持ちで一緒に遊ぶ仲間もいない。することもなく、ただ街を歩くだけの寂しいクリスマスを過ごすこと確定の男性。
一人身の女性 クリスマスの夜を一緒に過ごす恋人もおらず、一緒に遊ぶ友人達もいない。しかたないので『幸せ通り』のケーキ屋でクリスマスケーキの店頭販売のアルバイトをしている女性。
恋人(男) 様々な事情で、せっかくできた恋人とも逢えずに寂しく思っている男性。クリスマスの夜も、休みを取ることもできなかった。
恋人(女) 様々な事情で、せっかくできた恋人とも逢えずに寂しく思っている女性。クリスマスの夜も、恋人の都合で逢うことがきなかった。
サンタクロース クリスマスの夜に、人々に『幸せ』を運ぶサンタクロース。ドラマでは、『幸せ通り』に訪れる人々に、『幸せ』に気づかせる『きっかけ』を与えてくれる。
その他 ケーキ屋の店長、ミニFMのDJ、アルバイト仲間、恋人(男)の仕事仲間などなど
・補足
物語の舞台は『幸せ通り一丁目』にあるショッピングモールとなる。クリスマスイルミネーションに彩られた遊歩道に、色々な店が並んでおり、付近には公園などもある。
二組の男女以外の『幸せ通り』を訪れる人々は、なにかしらの『幸せ』を見つけており。基本的に明るい雰囲気に包まれている。
二組の男女の物語は、それぞれはまったく関係性をもたない(知り合いなどではない)。しかし、そのほかの登場人物(サンタを含め)は二組になにかしらの関係を持ち(知り合いの知り合いなど)、それぞれの物語に登場する。二つの物語に同じ登場人物を登場させることにより、物語を繋げる役割を持つ。
●リプレイ本文
●オープニング
12月24日、クリスマスイブ。『幸せ通りへようこそ』という看板が掲げられたショッピングモールには、多くの人が訪れ賑わっていた。
「メリークリスマス! こちらをどうぞ。メリークリスマス! こちらをどうぞ」
通りには、赤い服で白髭のサンタクロースの格好をした男性(妃蕗 轟(fa3159))が、道行く人々にフリーペーパーを配っている。そのフリーペーパーのタイトルは『ハッピータウン』。
●第一話
「いらっしゃいませ〜。ありがとうございました〜」
ケーキ屋の前でクリスマスケーキの店頭販売をしている店員の少女達がにこやかに応対する。イブともなれば、多くのカップルや家族連れがクリスマスケーキを求めて、このケーキ屋に訪れていた。
「あ〜あ、せっかくのクリスマスなのに、私はアルバイトかぁ」
「あら、ヒカルさんったら、そんなこと言っちゃダメですよ。私だってこうして家の手伝いをしているんですから」
「雪菜さんは、お兄ちゃんっていう彼氏がいるからいいでしょう。一人身はやっぱりこういう日は辛いですよ。ねぇ、矢野さん?」
「え、そ、そうだね‥‥はぁ」
客足が少し引いた頃、バイトの一人吉川ヒカル(ヒカル・ランスロット(fa4882))は、少しつまらなそうに呟いた。それを、店主の娘安達雪菜(ジュディス・アドゥーベ(fa4339))がご機嫌な笑顔で窘める。それをヒカルはどことなく羨ましそうに見つめて、同じバイトの矢野聖(白井 木槿(fa1689))に同意を求めた。聖は苦笑を浮かべて頷くと、周囲のカップルを眺めて小さくため息をつく。
「今日も仕事が終わったらこっちくるって言ってたし、まったくラブラブなんですから」
「ラブラブだなんて‥‥良平さんはその‥‥」
「明日は二人でデートなんでしょ? クリスマスにデートなんて羨ましいですって、あはは」
「もう、ヒカルさんったら、からかわないでください」
「‥‥‥」
ヒカルと雪菜は、ヒカルの兄であり雪菜の彼氏である吉川良平の話で盛り上がる。聖は、家族と恋人の話で楽しそうに笑っている二人を、少し離れて眺めていた。そんな聖が羨ましそうに周囲に視線を向けると、ふとこちらを見ていた様子の男性安岡(上月 一夜 (fa0048))と目が合う。
「あ‥‥‥」
「矢野さん、そんな顔してちゃダメですよ〜。スマイル、スマイルです」
「いらっしゃいませ〜!」
「え、あ‥‥ケーキを一つ‥‥」
少し寂しげな様子の安岡を見て、なんとなくいいなと思う聖は、雪菜に注意されて、慌てて笑顔を浮かべて挨拶をする。一瞬戸惑った様子の安岡が、少しバツが悪そうな表情でケーキを注文した。
「家族‥‥それとも恋人と食べるのかしら‥‥」
「ねぇ、君。さっき何を見てたの?」
「え‥‥えと、みんな楽しそうでちょっと羨ましいかなぁ‥‥と」
財布を取り出し代金を払おうとする安岡に、聖は聞こえないほどの小さな独り言を漏らす。そして安岡の何気ない風な問いかけに、つい答えを返してしまう。
「でも、お嬢さんもケーキ売り終わったら彼氏に逢いに行くんだろ? 結局は、今日、暇じゃ無い人間の言い分だ」
「‥‥か、彼氏なんていませんっ! って‥‥なに言わせるんですか!! 余計なお世話ですよ!!」
聖の答えに、なんとなく不機嫌な様子で返される安岡の言葉。それに、思わず正直に返してしまう聖は、恥ずかしくなって顔を赤くし、照れ隠しに声を荒げてしまった。
「どうしたんですか、大きな声を出して? お客様、申し訳ありません」
「い、いや‥‥じゃあこれお金‥‥」
「ありがとうございました〜!」
二人の様子に気づいた雪菜が何事かと話に割り込むと、安岡は慌てて代金を払うとケーキを持って足早にその場を立ち去ってしまった。
「矢野さん、ちょっと嫌なお客でも、笑顔で対応しないと。あ、いらっしゃいませ〜」
「はい‥‥。なによ、失礼な人‥‥。でも‥‥あんな態度とって悪かったかな‥‥別にあの人が悪いわけじゃないのに。‥‥あ、これ」
立ち去った安岡を見て、聖は少し頬を膨らませるが、すぐに反省したように表情を暗くする。そんな時、ふと足元に落ちていた定期を見つけ拾い上げるのだった。
「今日はお疲れ様でした。父さんがケーキを用意してくれたんですけど、矢野さんも一緒にどうですか?」
「いえ、私、さっき拾った定期を交番に届けてきますから。今日はこれで帰ります」
しばらくして、ケーキの販売も終わり、片づけを済ませた聖達。雪菜の誘いを断り、聖は帰り支度をして拾った定期を交番へと届けに向かった。その途中、声をかけられる。
「メリークリスマス! こちらをどうぞ」
「え‥‥あ、あの人!」
小冊子を配るサンタに足を止めた聖。ちょうどそのとき、安岡の姿が目に入る。慌てて、安岡に駆け寄る聖。
「あ、ケーキ屋の‥‥」
「あの、これ、落としませんでしたか?」
「俺の定期? あ、ありがとう‥‥」
ぼぅっと、クリスマスツリーのイルミネーションを眺めていた安岡は、聖の姿に少し驚く。聖の差し出した定期に、ばつが悪そうに頬を掻いて礼を述べた。しかし、聖は逆に申し訳なさそうな表情をして。
「‥‥さっきはごめんなさい」
「え?」
「私、貴方もケーキを買っていたし、きっとこれから恋人と仲良く過ごすんだろうな‥‥なんて思ったら、ついむきになっちゃって‥‥。僻みなんて情けないですよね‥‥あはは」
「いや、こっちこそ悪かった。あーやって言うから今日暇になってんのになぁ‥‥」
「暇‥‥なんですか?」
「え、まぁ、こんなケーキ買っても、結局一緒に食うやつなんていなくて‥‥さ」
お互い、寂しげに笑う二人。そんな表情にお互いが気づいた時、二人は同時に声をかけた。
「あの‥‥」
「あの!」
「う‥‥そっちから先で‥‥」
「あ、はい‥‥もし暇だったら‥‥その、一緒に‥‥。じ、じつは! この定期を交番に届けようとして、余ったケーキ貰い損ねちゃったので!」
「ケーキ。1ホールだし小さい奴だけど‥‥それでも良い?」
「はい‥‥」
聖の言葉に、安岡は照れたように頭を掻きながら微笑んで、二人は一緒に幸せ通りを歩いていくのだった。そして、その様子をサンタが優しい笑みを浮かべて眺めていた‥‥。
●第二話
「仕事仕事って、今日ぐらい‥‥バカ!」
ピッ、と携帯電話を切る音と共に、一人の女性(メルクサラート(fa4941))がイライラした様子で幸せ通りを歩いていた。クリスマス、仕事で会えない彼氏に対し、喧嘩をしてしまった女性は、しばらく街を歩いたあと大きくため息をついた。
「はぁ‥‥ほんとにバカ‥‥」
その手には、彼が落とした定期いれ、そこには幸せそうに笑う二人の写真があった。
「先輩、ほんとによかったんですか?」
場所は変わり、ある会社のオフィス。物語の主人公の男性と、彼の後輩の会社員吉川良平(鈴木悠司(fa5189))は遅くまで会社に残り仕事をしていた。さきほど恋人からの電話を切られてしまった主人公の男性に、良平は心配そうに尋ねるのだった。
「僕の彼女ケーキ屋さんですから。どうせ今日は会う予定なかったんですよ。その代わり、じゃないですけど明日は目一杯一緒に居る予定ですから」
逆に大丈夫かと聞き帰された良平は、明るく答え、幸せそうに笑った。主人公は、そんな良平に少し寂しげに笑い、黙々と仕事を続ける。そんな中、良平は見ていた小冊子『ハッピータウン』で一つのページが目に留まった。良平は開いたページの一文を指差して笑う。
「あっ先輩これ! これ見て下さいよ! 今日こんなのやってるみたいですよ!」
「ありがとうございました〜」
「結局、ケーキ買っちゃったけど‥‥バカ‥‥」
ケーキ屋でクリスマスケーキを購入した女性。店員のヒカルが挨拶するのを聞きながら、ゆっくり歩いていく。そんな中、通りにはミニFMラジオが流れており、リスナーから投稿されたいくつもの幸せの声が流れていた。
「何が幸せの声よ‥‥」
ラジオの声に忌々しげに呟き、まるで自分ひとりが不幸のような気になってくる女性。
「メリークリスマス! はい、これをどうぞ」
暗い気分の中、サンタから掛けられた声に一瞬気を逸らした、その時‥‥。
「え、これって‥‥」
ラジオから流れる新しい投稿。それは、自分と彼氏しか知らない、二人の幸せの頃の声。驚きながらも、自分達の幸せを思い出して嬉しそうに微笑み女性。
「では‥‥リクエストはこちら、赤城拓海の曲で『一人きりの Holy Night』」
ごめんよ心配ばかりかけて
こんなに君が好きだけど
一人きりの Holy Night
今すぐ抱きしめたいけれど
一人きりの Xmas Eve
でも来年はきっと
Xmas song じゃなく
Wedding song をきかせてあげる
僕はキミしか愛せないから
物語の中での人気ミュージシャン赤城拓海(ディノ・ストラーダ(fa0588))の曲に乗って、主人公と女性はお互いの気持ちを通じさせていく。
「本当にバカ‥‥なんだから」
嬉し涙を浮かべながら、定期いれで幸せそうに微笑む主人公の写真に、幸せそうに微笑み返す女性であった。
ここは『幸せ通り一丁目』、通りには様々な『幸せ』が溢れていて、どんな人でも『幸せ』を見つけられる。それが『幸せ』だと気づくことができる、『きっかけ』さえあれば‥‥。
「Merry Xmas!」
そして、トナカイに引かれたソリにのって、幸せを運ぶサンタクロースは雪の贈り物を残し空へと消えていった‥‥。