ホワイトデーメモリアルアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
9.4万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/15〜03/19
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●本文
2月14日、バレンタインに届いた宛名の無いチョコレート。生まれて初めて貰ったチョコレートは、そんな誰からかわからないものだった。それでもやはり嬉しくて、ホワイトデーにはお返しがしたいと思うのはおかしなことだろうか? でも、そんなわけのわからない相手を探しているうちに、僕は本当に自分が好きな相手に気づいていくのだった。
・俳優募集
ホワイトデードラマ『お返しは恋の贈り物』では、作品に出演してくれる俳優を募集します。下記の要綱を参考に、希望の役柄、得意な役柄を明記して、ご応募ください。
・作品内容
ホワイトデーを題材にしたラブコメディドラマ。バレンタインの日に、誰からかわからないチョコレートを贈られた主人公は、ホワイトデーのお返しをするためにその相手を探すことになった。しかし、心当たりのある女性をあたっていくうちに、主人公は本当の自分の恋に気づいていく。ホワイトデーの日、主人公のとった行動は‥‥。
・登場人物
主人公(男) 冴えない大学生の男性。生まれて初めて貰ったバレンタインチョコが、誰からかわからない宛名の無いチョコだったため、ホワイトデーのお返しをするためにその相手を探すことになる。あらゆる面で平凡、冴えない外見、内向的な性格のために、交友関係は狭い。特に女性の知り合いは数える程しかいない。ちなみに、姉妹や幼馴染の女性などはいない。
チョコの差出人 主人公に宛名の無いバレンタインチョコを贈った人物。その正体は謎だが、添えられていたメッセージカードには好意を示す内容が書かれてあった。性別も不明だが、チョコのメッセージカードに「いつも見守っている」との一文があったため、主人公に近しい者ではないかと思われる。
主人公の知り合い(女) 同級生や大学の講師など、何らかがきっかけで主人公と知り合うことになった女性達。この中に、チョコを贈った人物がいると思って、主人公はいままでになく積極的に彼女達に話しかけることになる。
主人公の知り合い(男) 同級生や親友など、主人公と仲の良い男性達。主人公のこの状況を、面白おかしく眺めたり協力したりする。
●リプレイ本文
「ああ、今年もこの日が来てしまった‥‥」
2月14日。生まれてからこの20年、この日にチョコレートをもらったことがない日向小三郎は、憂鬱な気持ちで大学へと向かっていた。
「アニョハセヨー、コサブロウさんどうしたんですか?」
「あ、ああ、チョさん‥‥アニョハセヨ」
落ち込む小三郎に、声をかけてきたのは韓国留学生のチョ・ダルレ。小三郎と同じ学部に所属している、長い黒髪の綺麗な女性だった。
「コサブロウさんは、誰かからチョコとか貰うですか?」
「い、いや‥‥た、たぶん貰える‥‥かな」
「そ、そうですよね。アハハ、わ、わたし、もう行きますね!」
「あ、うん、じゃあ教室で」
ダルレの問いに、つい見栄を張ってしまう小三郎。それを聞くと、ダルレは少し焦った様子でその場を去ってしまった。
「?」
小三郎はその様子に、不思議そうに首を傾げるのだった。。
「はぁ、結局やっぱり誰からも貰えなかったぁ」
大学が終わって、バイトのファミレスで小三郎は大きなため息をついた。結局その日、小三郎がチョコを貰うことはなかったからだ。
「あら? 小三郎ちゃん、どうしたの、ため息なんてついて」
筋骨隆々の身体に花柄のエプロンをつけたファミレスの店長、鳳凰院かおるが鼻にかかった声で話しかけた。
「い、いえ、なんでも‥‥」
生理的に悪寒を感じ、慌ててごまかす小三郎。噂ではかおるは同性愛者らしいのだ。
「チョコ、貰えなかったんでしょう? 私がチョコあげようかしら? もちろん、本命‥‥ね」
「え、遠慮させていただきます!」
「もういけずなんだから。いつか貴方の氷のようなハートを私の愛で溶かしてみせるわ。はい、手が止まってる、これ3番さんまで!」
かおるの言葉に、全力で断る小三郎。少し拗ねた感じのかおるは、突然低い地声に戻って指示を出すのだった。
「おまたせしました。鈴木さん、まだ食べるんですか?」
「おいおい、客に対して失礼なやつだなぁ! はっはっはっ!」
小三郎が料理を持っていくと、体格の良い男性が一人で料理を食べていた。新しい料理を並べ、食べ終わった皿を片付けながら小三郎が呆れたように言うと、鈴木は豪快に笑う。
「あれ、それ‥‥」
「お、おう、チョコだよチョコ。まぁ、義理チョコだけどな。君も貰っただろ?」
「いや、まぁ‥‥」
ふと、池上の座った席の隣に包装された箱があるのに気づき小三郎が呟く。鈴木はその呟きに当たり前のように答えるが、小三郎は曖昧に笑うしかなかった。
「鈴木さんだって貰ってるのに‥‥はぁ‥‥」
再び小三郎はため息をつくのだった。しかし、その日の夜、自宅に帰った小三郎は郵便受けに包装されたチョコレートを発見することになる。
「おお! ついにお前もチョコを貰えたのか、やったなぁ! よし、今日はお祝いパーティだ!」
「ぜったいからかってるだろ‥‥」
次の日、高校時代からの悪友、萩野透にチョコのことを話すと、大げさに喜ばれからかわれることになった。
「で、誰からなんだよ」
「それが‥‥宛名も差出人の名もないんだよ。ただ『いつも見守っています』というカードだけで」
「なんだそりゃ? それじゃ、誰からの誰宛のチョコかもわからないのかよ? でも、お前の郵便受けに入ってたんだろ、だったらお前宛に決まってるよな」
「だと思う‥‥」
「自信なさげだな。まぁいいや、折角貰った事だからホワイトデーのお返しくらい考えたらどうだ?」
「そ、そうだな‥‥やっぱりお返ししないと。でも誰からかわからないだ」
「そりゃ、探すっきゃないだろ。たぶんそんな渡し方するぐらいだから、義理ってわけじゃないだろ。向こうが好意を持ってくれてるんだから、お前もそれに応えないと」
「ああ‥‥」
と、透に後押しされるように、小三郎のチョコの差出人探しは始まるのだった。
「それで、そのチョコの差出人を探してるってわけですか」
「まぁ、そうなんだ」
「くぅ! 恥ずかしくて名前も出せない純情純粋な女の子! ガサツな姉貴達のせいで女の絶望してた俺ですけど、小三郎さんの話を聞いて希望が出てきました! 俺にも手伝わせてください!」
実家のクリーニング屋で働く従兄弟の鈴木典明に、バレンタインの話をした小三郎。典明は感激したようにグッと小三郎の手を握り、協力を申し出てきた。
「まずはプレゼント選びから行きましょう! 相手がわからないから、無難なのを選んだほうがいいですね、俺に任せてください」
典明に連れられてデパートに来た小三郎。しかし、典明の選ぶのは、カエルのヌイグルミや、招き猫、煎餅詰め合わせ、どくろのネックレスなどなど、センスが無いというかどこかおかしいものばかり。小三郎は、勢いに任せて変なのを買おうとする典明に、困り果てるのだった。
「これ‥‥にするか」
結局小三郎は、ホワイトデー売り場で目に入ったキャンディ詰め合わせを持った白熊のヌイグルミにするのだった。
「アニョハセヨー、可愛いヌイグルミですね」
「アニョハセヨ。あ、これは、その‥‥」
次の日、ダルレにヌイグルミを見られてしまい、慌てて隠す小三郎。
「それ、やっぱりホワイトデーのお返し‥‥ですか? アハハ、女の子喜びますね! そ、それじゃ!」
「?」
なにやら落胆したような表情で、すぐに去ってしまうダルレに、小三郎はわけもわからず首を傾げる。
「まさかね‥‥でも、もしそうなら‥‥って、なにを期待してるんだ俺は!」
一瞬過ぎった想像。それを振り払うように首を横に振る小三郎だったが、ダルレの背中を見送り無性に寂しくなるのだった。
「あ、日向先輩、サークルに顔出すなんて珍しいですね」
「川本くん久しぶり。それで、ちょっと聞きたいことがあって寄ったんだけど」
「はい?」
少ない心当たりを当たりながら、小三郎は所属しているサークルに顔を出した。そこで後輩の川本夏樹に、バレンタインの話をするが。
「はぁ、日向先輩にチョコを贈りそうな心当たりですか‥‥ないってわけじゃないんですけど‥‥」
「え、誰!?」
「今年の新入生コンパで、先輩のこと気にかけてた子がいたのは確かなんですけど。よかったら、さりげなく聞いてみますか?」
「た、頼むよ!」
小三郎の勢いに負けて、夏樹も心当たりに聞いてみるという話になった。期待に胸躍らせる小三郎であったが。数日後‥‥。
「すいません、その子、もう彼氏がいるらしいんです」
「そ、そうか‥‥」
「あ、あんまり気を落とさないでください。きっと見つかりますよ‥‥」
結局、夏樹の心当たりも違うようであった。夏樹の励ましの言葉に、曖昧に笑う小三郎だったが‥‥。
「あれ? なんだろう、見つからなかったのにホッとしてる‥‥」
自分の不思議な感情に戸惑う小三郎だった。
3月14日、結局チョコの差出人は見つからなかった。
「見つかりませんねぇ。姉貴たちは、男は皆、鈍感すぎる! って言ってますけど、ホントそーゆー気配なかったんです?」
「う〜ん‥‥」
「ここまでして見つからなかったんですから、しかたないっすよ」
「そうだな‥‥」
勘違いや暴走で騒動を起こした典明の励ましの言葉に苦笑しつつ、小三郎は別のことでモヤモヤとしていた。自分が本当にプレゼントを渡す相手、それが誰なのか迷っていたのだ。
「アニョハセヨー、どうしたんですかコサブロウさん。あ、それ‥‥そうでした、今日はホワイトデーでしたね」
「チョさん‥‥」
「アハハ、それ貰える人、幸せですね! きっと喜んで貰えますよ! そ、それじゃ!」
いつもの挨拶で声をかけてくるダルレ。だが、その様子は、ここしばらくおかしかった。そのことにようやく気づいた小三郎は、少し寂しげに去ろうとするダルレに声をかける。
「チョさん! ちょっとまって!」
「は、はい? なんですか?」
「‥‥これ、貰ってくれませんか」
差し出したのは、キャンデーを持った白熊。ダルレは驚いたように小三郎を見つめた。
「え、でも、これはホワイトデーのお返しでしょ? 私、チョコあげてないよ」
「その、本当は‥‥あげる相手がいなかったんだ。だから‥‥俺が好きな女性に渡したいと思って」
「え‥‥」
素直な気持ちを伝える小三郎。ダルレは一瞬驚いた表情を浮かべ‥‥。
「私も本当は‥‥これ渡したかったのだけど、渡せずずっと持ってたの。こっちにきて、初めて仲良くしてくれたコサブロウさんに」
そう言って、ダルレがバックから取り出したのは、チョコレート。今度は小三郎が驚く番だった。お互いの好意に気づいた二人は見詰め合って‥‥。
「小三郎ちゃ〜ん、ホワイトデーのお返し貰いにきたわよ〜」
「え‥‥」
突然現れたのは、ファミレス店長かおる。小三郎は何のことかわからず聞き返し。
「バレンタインにチョコが郵便受けに入ってたでしょ? 実はあれ私なの。私の愛、受け取ってくれたわよね?」
「う、うそ‥‥」
「小三郎さん! 俺が抑えます、逃げて!」
「どうしたのコサブロウさん?」
「に、逃げよう!」
慌てて、かおるとの間に飛び出す典明。小三郎は、微笑むダルレの手を取って走り出すのだった。
●キャスト
日向小三郎
日向翔悟(fa4360)
チョ・ダルレ
キム・ヘヨン(fa5245)
荻野透
葛城・郁海(fa4807)
鈴木典明
ウォンサマー淳平(fa2832)
鳳凰院かおる
結城丈治(fa2605)
川本夏樹
奏上 静(fa5576)
鈴木さん
朝守 黎夜(fa0867)