ヒカル! 神様の秘密アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
06/18〜06/22
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●本文
私のお父さんは、私が物心つく前に亡くなったらしい。らしい、というのは、家に位牌があるわけでもないし、お父さんのお墓参りに行ったこともないからだ。‥‥別に、いないことが当たり前になっているから、寂しいなんて思ったことは無い。でも、お父さんはどんな風に母さんと知り合って、どんな恋をして、私が生まれたのか。‥‥そして、どうしていなくなったのか、それはほんの少しだけれど知りたいと思った。
〜声優募集〜
アニメ『光の中のヒカル!!』では、劇中のキャラクターの声を演じてくれる方を募集しています。得意な役柄、演じたい役柄の希望と共にご応募ください。審査のうえ、ご依頼させていただきます。振るってのご応募お待ちしております。
〜作品紹介〜
明るくて運動の得意な少女蛍崎光流は、ある日不思議なヌイグルミのような生き物を見つける。それはなんと、光流達の住んでいる世界とは別の世界からやってきた異世界人(?)だった。
異世界人カトリは、500年に一度行われる神様決定戦に参加した神様候補だと光流に伝える。神様決定戦とは、異世界で一番の権力者を選ぶ戦いで、100人ほどの候補者から勝ち残った1人を神様とするものだった。神様候補は、こちらの世界を訪れ、パートナーとなるものを1人選び出し。パートナーとなったものに魔法を使える力を与え、この力で最後の一組になるまで戦いを生き抜くことになる。
カトリは光流にパートナーになってくれるよう頼み込む。最初は得体の知れない戦いに巻き込まれるのを嫌がった光流だが、優勝者のパートナーには一つだけ願いを叶える権利が与えられると聞いて、喜んでパートナーになることを了承する。
こうして光流とカトリはパートナーとなり、神様決定戦に参加することになった。しかし、実はカトリは神様候補の中で最低ランクの落ちこぼれであった。はたして光流は、頼りないカトリと一緒に神様決定戦を生き抜いていけるのだろうか‥‥。
〜世界設定〜
異世界人 異世界で暮らすヌイグルミのような外見をした生き物。言語を話し、現代世界の人間とほとんど変わらない知性を持っている。外見は様々で、人型や動物型、無機物型など、大きさはだいたい30センチほど。その造型に関係なく、空を飛ぶことができる。また現代世界では、人間の姿に変身することができる。
神様候補 異世界で選抜された神様決定戦の参加者達。彼らは、現代世界でパートナーを見つけ。最後の1人になるまで戦い続け、その最後の1人が神様となる。彼らは現代世界で魔法を使えないが、パートナーにその力を与えることができる。
パートナー 神様候補に選ばれて、一緒に神様決定戦を戦うと誓った者。彼らは、神様候補から魔法の力を与えられると、その姿を変身させて(必須)魔法を行使することができる。パートナーは人間でなくても良い、ただし生き物でなければならない。
魔法 異世界人が使うことのできる不思議な力。現代世界では、パートナーにその力を与えることによって使うことができる。異世界人にはそれぞれ得意な魔法属性があり、第一魔法にその属性(炎、水、身体強化など)が反映された魔法、その後第二魔法からは属性に特性を現す単語(炎の『壁』、『強い』身体強化など)を加えていく魔法が使えるようになる。第二魔法は単語が一つ、第三魔法は単語が二つといったように強くなっていく。ただし、それぞれ一つずつしか覚えられない(第二魔法を二種類覚えるなどはできない)。
パワーストーン 神様候補達が現代世界にいるために必要な特殊な石。候補達はかならずこの石を持っており、これがなくなると異世界に強制的に戻されることになる。つまり、これを奪い合い、候補達を全て異世界に送還し最後の1人になった者が神様決定戦の勝者となる。ちなみに、パワーストーンは各候補者固有で、他のパワーストーンを代用することはできない。
「神様」の子供 現在の「神様」は恋多き男で、現代世界と異世界の両方で数々の恋をし、その中には子供をもうけることもあった。基本的に、そういった子達も特別扱いはせず、一般の子供として育てられ、子供達同士がお互いの素性を知ることはなかった。ただ、「神様」の子は「光」の属性を得意としていることが共通しており、今回の神様決定戦にも何人かが参加しているようだ。ちなみに、現代世界でもうけた子は普通の人間とまったく変わりは無い。
〜次話あらすじ〜
今回は、過去のお話。500年前に起きた神様決定戦。そこで「神様」に選ばれた現在の神様のお話。
500年前の戦いで異世界の「神様」に選ばれた「彼」は、神様としての責務を果たしながら、時折神様の特権として異世界つまり光流達の世界へと遊びに来ていた。元々「彼」は恋多き男で、両方の世界で愛を語り合った数は数知れず、何人もの隠し子がおり、実はカトリもその一人だった。
そんな「彼」はある日一人の女性と出会う。それは、若かりし頃の蛍崎優子、光流の母だった。太陽のように明るい優子に、「彼」は恋をする。やがて二人は親しくなるが、事件に巻き込まれた優子を助けるため、「彼」はその正体を明かすことになってしまう‥‥。
〜登場人物〜
「彼」 500年前の神様決定戦で「神様」に選ばれた青年。「光」の属性を用いて決定戦を勝ち抜いた。恋多き男で、何人もの想い人がいた。その間に生まれた子もおり、カトリもその一人。ちなみに神の子といえど、特別扱いはされず、一般の子と同じように育てられる。
蛍崎優子(19歳) 光流の母。当時は大学生で、光流もまだ生まれていない。とても明るく元気な女性。
カトリの母 「彼」の想い人の一人で、カトリの母。
「彼」のライバル 500年前の神様決定戦で、「彼」に敗れたライバルの一人。「闇」の属性を用いていた。危険な思想の持ち主であったが、決定戦後姿を消している。
その他 優子の友人、「彼」のお目付け役など
〜備考〜
パートナーの変身はいわゆる魔女っ子物などの服装の変化といったイメージ。また、異世界人はパートナーが変身すると、本来の姿(ヌイグルミ)に戻る。変化するのは服装のみで、その人を知っている者にはもちろん気づかれる。
アニメ的ご都合主義で、バトルによって街や人に被害が出ても、一般人が事件について騒ぎたつことはない。魔法でいつのまにかバトルのことを忘れてしまうという設定。ただし、関係者はその限りではない。
蛍崎光流役には現在売り出し中のアイドル声優牧村ユミ氏を、カトリ役にはイケメン声優南方雄治氏を起用します。
●リプレイ本文
「ったく、爺はいちいちうるさいんだよな。俺がいなくても世界は廻ってるって」
ラフな格好の一見すると軟派な雰囲気の美青年が、街を歩きながらそう呟いた。そんな彼は何かを物色するように周囲を見渡していた。
「お、上玉発見!」
青年の視線の先、そこには仲良さそうに話しながら歩いてくる3人の女性。青年は、その端整な顔にニヤリと笑みを浮かべ、彼女達に近づいていった。
「なによアンタ?」
「ん?」
「ゆ、優子ちゃん。ど、どうしよう、なにか見られてるよ‥‥」
青年が彼女達の前に立つと、一番年上の気の強そうな女性がキッと睨み付けた。そして隣の、童顔で少し能天気そうな笑顔を浮かべている女性の後ろに、もう一人の怯えたような表情を浮かべた気弱そうな女性が隠れる。
「ふ〜ん‥‥お前、俺の好みだ‥‥俺の女になれ」
青年は、三人の中で一番気に入った、少し能天気そうな女性に、女性を魅了するには十分なほどの笑みを浮かべ、自信満々な様子で声をかけた。
「なっ!?」
「ひぇっ!!」
その態度に、強気な女性と気弱な女性はそれぞれ怒りと怯えの表情を浮かべる。しかし、言われた当の本人は、ニコニコと微笑んだままで。
「いいだろ? 一緒に楽しい一時を過ごそうぜ?」
「ちょっと!」
「ゆ、優子ちゃん〜」
そのまま青年は、微笑む女性の肩を抱こうとして‥‥。
「ぐぉっ!!」
笑顔の女性から、強烈な肘鉄が青年の脇腹に炸裂する。それをまともに受けて悶絶し、膝を落とす青年。
「ごめんなさい。私、軽薄そうな人とはお付き合いできません。行こう、乃亜先輩、咲耶ちゃん」
「今度優子ちゃんに手を出したら、次は私が鉄拳を食らわしてあげるからね!」
「優子ちゃん、かっこいい〜」
女性は笑顔のままそう言うと、ペコリと頭を下げて歩いていってしまう。そして、その後を二人の女性もついていってしまう。
「っ‥‥。誘いをここまではっきり断られたのは、あの子で二人目だ‥‥」
苦しそうに脇腹を抑えながら立ち上がった青年は、笑顔で友達と話しながら行ってしまう彼女の横顔を、眩しい物でも見るように見送りながら、少し嬉しそうに笑みを浮かべるのだった。それが、後に光流の母となる蛍崎優子と、異世界の神様ラインハルトの初めての出会いだった。
「若! 若〜〜!」
異世界の宮殿、ラインハルトの執事オーベルシュタインがラインハルトを探していた。
「オーベルシュタインさん、どうしたの?」
「これは、ミルドレッド様。若を知りませぬか?」
「さぁ、今日は見てないわね?」
そんなオーベルシュタインに声をかけたのは、ミルドレッド。ラインハルトの妻であった。
「また、他の女のところでしょう? まったく甲斐性が無いんだから」
そういうミルドレッドだが、どこかそんな彼を容認しているように、クスリと笑みを零す。
「はぁ‥‥しかし、ミルドレッド様は若のお子を宿しているというのに‥‥。それに‥‥」
「それに?」
「なにやら、ここしばらく異世界の方に入り浸っているようで‥‥」
「どうせ好きな子でもできたんでしょう。いつものことよ」
カラカラと笑って、気にも留めた様子もなく歩いていくミルドレッド。しかし、オーベルシュタインは、深刻そうに眉を顰めていた。
「異世界との間に、万が一のことがあれば‥‥」
それから数週間後、優子の通う大学。
「優子ちゃん!」
「あ、乃亜先輩」
大学で、優子の背中に抱きつく彼女の親友、本田乃亜に笑みを返す優子。二人は、高校からの先輩後輩で、強気でちょっとキツめの乃亜も、優子の前ではデレデレであった。
「ふぇ〜ん、優子ちゃ〜ん」
「咲耶ちゃん、どうしたの?」
「そこの段差で転んじゃったの〜」
「あ〜、よしよし」
同じく優子の親友で、クラスメイトの守山咲耶。弱気で泣き虫、なにかにつけてよく転ぶ彼女を、優子は優しく頭を撫でてあげる。そんな優子に、咲耶もすっかり懐いていた。
「アンタねぇ、転んだくらいで泣くな。優子ちゃんも、いちいち甘やかさないの」
「うう、本当に痛かったんですよぅ〜」
「あはは」
呆れる乃亜に、ビクビクと怯える咲耶。そんな様子に、優子は楽しそうに笑う。そんな優子を中心にして、三人はよく一緒にいた。
「ねぇ、あの男。まだ、付きまとってるの?」
「え、ああ。はい、よく声をかけてきます」
乃亜の問いに、優子はニッコリと微笑み、頷いた。最初の出会いから、ちょくちょくとラインハルトが優子に会いに来るのだ。
「なんなら、うちのボディーガードに追い払わせようか?」
「大丈夫ですよ。しつこくしてくるわけでもないですし、少し挨拶したら行ってしまうから」
「でも、あの人。顔は格好良いですよねぇ」
「ダメダメ、あんなの。うちの優子ちゃんには、私が相応しい人を見つけてあげるから」
「ええ〜、乃亜先輩のじゃないですよぅ〜」
「それより、乃亜先輩のお見合いの方はどうなったんですか?」
「あ、あれは! 両親が勝手に進めてるだけで‥‥わ、悪い人じゃないと思うけど」
大学の帰り、そんな話をしながら仲良く歩いていく三人。
「それじゃあね」
しばらくして、用事があるという二人と別れた優子は、よく帰り道に通る公園を歩いていた。
「あれは‥‥」
ふと向けた視線の先、ここ数日で見知った姿を見つける。
「ほら、レディに涙は似合わないぞ」
泣いている幼い少女に、手品を見せてあやすラインハルト。その表情はとても柔らかく、瞳は優しさを表していた。
「っと、見てたのか‥‥。やっぱ、イイ男だろ? 俺」
「ふふ、そうですね‥‥」
少しして、優子に気づいたラインハルト。少し気まずそうに、照れたように笑う彼に、優子はクスリと零し、満面の笑みを向けるのだった。
「シェーラ様‥‥」
「イリアか」
薄暗い闇の中、二つの影が浮かび上がっている。シェーラと呼ばれた黄金の狼は、イリアと呼んだ黒い鴉に優しい視線を向けた。
「最近、ラインハルト様はよく宮殿を空けられ、どうやら異世界の方へと出向かれているご様子」
「そう、また新しい恋でもみつけたのかしらね」
「シェーラ様、何故ほっておかれるのですか。ラインハルト様とシェーラ様は許婚の間柄のはず」
「彼の性格はよく知っているしね。それに、その許婚だって、500年前の神様決定戦の時に破棄したようなものだし」
かつてシェーラは、神様決定戦での決勝、ラインハルトとの決着を棄権していた。そのとき、ラインハルトは相当怒ったようであった。
「ですがシュバルツ殿の事さえなければ‥‥いえ‥‥。それと、ラインハルト様の執事が、そのことについてなにやら危惧されており、不穏な行動を」
「オーベルシュタインが?」
続くイリアの報告に、シェーラは不審気に呟く。
「わかったわ。また様子を知らせてちょうだい。それとオーベルシュタインの動きには注意して」
「はい‥‥」
指示を受け、部屋を退室するイリア。シェーラは、なにか考えるように眉を顰めた。
「オーベルシュタイン‥‥いったいなにを‥‥」
それからしばらくして。優子とラインハルトはいつの間にか仲良くなり、乃亜に怒られながらも、お互いを愛し合うようになっていた。しかし、そんな幸せも長くは続かない‥‥。
「申し訳ありませんが優子様‥‥貴女には消えて頂こうかと」
「え?」
突然優子の前に現れた、老紳士の姿をしたオーベルシュタイン。彼は優子の命を奪おうとしていたのだ。
「またいつもの遊びと今までは傍観しておりましたが、若は本気のご様子。しかし、世界の平和と協調を護るには、異世界同士の恋を認めるわけにはいかぬのです」
「そんな、お爺さんが杖のヌイグルミに?」
「ご覚悟を。グラビ!」
「きゃあ!?」
オーベルシュタインの重力魔法に、悲鳴をあげる優子。しかし、彼女を助ける影が現れる。
「馬鹿な真似はお止めなさい、オーベルシュタイン」
「シェーラ様‥‥。神以外が、許し無くこちらの世界へ来ることは重罪ですぞ」
「なら、貴方はどうなの? こんなことをラインハルトが許すとは思えないのだけど?」
「え? ラインハルト?」
優子を助け、オーベルシュタインに立ちはだかったのは、金髪の美女の姿をしたシェーラ。優子は、二人の会話の中に、知っている名を聞いて戸惑いの声をあげる。
「貴女が、ラインハルトが好きになった女性なのね‥‥。悪いけれど、しばらくの間、寝ていてもらうわ」
「貴女は‥‥? うっ‥‥」
シェーラは、一度優子に視線を送ると、指をパチリと鳴らし、優子を眠らせる。そして、シェーラはオーベルシュタインを睨み付けた。
「オーベルシュタイン、残念だけど、この子をやらせるわけにはいかないわ」
「くっ‥‥」
「優子!!」
異変を感じて、優子のもとへと向かったラインハルト。そこで彼が見たのは。
「ラインハルト‥‥」
「シェーラ‥‥」
倒れている優子の前で、悠然と立つ金の狼と、傷つきよろめく老杖。ラインハルトは、信じられないものを見るように、シェーラを見つめる。
「若、婚姻を断られた腹いせに‥‥このものが優子様を」
「俺の優子に手を出す奴は‥‥許せねぇ」
「今更違うと言っても‥‥無駄なようね」
オーベルシュタインの言葉を信じ、怒りの瞳をシェーラへと向けるラインハルト。シェーラはその視線を悲しそうに見つめ返した。
「ならば壊してやろうか、偽りと虚飾に満ちた秩序という物を」
「シェーラ様、この場は‥‥」
「ええ、行きましょうイリア」
「待て! シェーラ!」
「なんと愚かな神か‥‥憎むべきは光に組する者ども」
イリアに促され、ラインハルトの静止の声を無視して闇の中へと消えていくシェーラ。そして、復讐と憎悪の眼差しを向け、共に消えていくイリア。
「やはり、世界を越えた恋なぞ悲劇しか生まないので御座います」
「爺‥‥」
オーベルシュタインの言葉に、ラインハルトは表情を曇らせた。
「あれ? ラインハルト? どうしたの?」
「すまない、優子‥‥」
目を覚ました優子に、ラインハルトが辛そうに呟く。そして、光に包まれたラインハルトは、真の姿を現す。
「え‥‥。ラインハルト?」
「俺は、この世界の者じゃないんだ。これが本来の姿‥‥」
「‥‥ふふ、可愛らしい姿ね」
ラインハルトの告白に、少し驚きながらも、笑顔を見せる優子。
「君の事を愛している。でも、君をまたこんなことに巻き込むわけにはいかない。だから、俺と会ったことを消すよ。忘却の光よ、リ・ライテ」
「え、まっ‥‥」
ラインハルトの魔法の言葉。そして、優子はラインハルトの記憶を失った‥‥。
「でも、私は思い出した。だって、そのときにはお腹に光流がいたんですもの‥‥」
深夜、ベランダから、光流の部屋をみつめて呟く優子。
「あの子は、本当は貴方に会いたいのよ‥‥ラインハルト」
●キャスト
蛍崎優子
夕波綾佳(fa4643)
ラインハルト
ディノ・ストラーダ(fa0588)
シェーラ
結城ハニー(fa2573)
オーベルシュタイン
結城丈治(fa2605)
イリア
黒羽ほのか(fa5559)
本田乃亜
豊田そあら(fa3863)
守山咲耶
大曽根千種(fa5488)
ミルドレッド
晨(fa2738)