ヒカル! トーナメントアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/20〜08/24

●本文

 残り20組となった神様候補の決戦の場として、人の目が無い孤島へとやってきた私たち。最初の戦い、バトルロイヤルにはなんとか生き残り、残りは半分の10組になっちゃった。ここからが本番だと言う見届け人が、次に提示してきた戦いはトーナメントバトル。
 まずは一回戦を勝たなくちゃ、って、えぇ! いきなりこんな対決なんて! ‥‥それに、なんだろうあの神様候補、すごく嫌な感じがする‥‥。あいつだけは、神様にしちゃだめだって、そんな予感‥‥。

〜声優募集〜
 アニメ『光の中のヒカル!!』では、劇中のキャラクターの声を演じてくれる方を募集しています。得意な役柄、演じたい役柄の希望と共にご応募ください。審査のうえ、ご依頼させていただきます。振るってのご応募お待ちしております。

〜作品紹介〜
 明るくて運動の得意な少女蛍崎光流は、ある日不思議なヌイグルミのような生き物を見つける。それはなんと、光流達の住んでいる世界とは別の世界からやってきた異世界人(?)だった。
 異世界人カトリは、500年に一度行われる神様決定戦に参加した神様候補だと光流に伝える。神様決定戦とは、異世界で一番の権力者を選ぶ戦いで、100人ほどの候補者から勝ち残った1人を神様とするものだった。神様候補は、こちらの世界を訪れ、パートナーとなるものを1人選び出し。パートナーとなったものに魔法を使える力を与え、この力で最後の一組になるまで戦いを生き抜くことになる。
 カトリは光流にパートナーになってくれるよう頼み込む。最初は得体の知れない戦いに巻き込まれるのを嫌がった光流だが、優勝者のパートナーには一つだけ願いを叶える権利が与えられると聞いて、喜んでパートナーになることを了承する。
 こうして光流とカトリはパートナーとなり、神様決定戦に参加することになった。しかし、実はカトリは神様候補の中で最低ランクの落ちこぼれであった。はたして光流は、頼りないカトリと一緒に神様決定戦を生き抜いていけるのだろうか‥‥。

〜世界設定〜
異世界人 異世界で暮らすヌイグルミのような外見をした生き物。言語を話し、現代世界の人間とほとんど変わらない知性を持っている。外見は様々で、人型や動物型、無機物型など、大きさはだいたい30センチほど。その造型に関係なく、空を飛ぶことができる。また現代世界では、人間の姿に変身することができる。
パートナー 神様候補に選ばれて、一緒に神様決定戦を戦うと誓った者。彼らは、神様候補から魔法の力を与えられると、その姿を変身させて(必須)魔法を行使することができる。パートナーは人間でなくても良い、ただし生き物でなければならない。
魔法 異世界人が使うことのできる不思議な力。現代世界では、パートナーにその力を与えることによって使うことができる。異世界人にはそれぞれ得意な魔法属性があり、第一魔法にその属性(炎、水、身体強化など)が反映された魔法、その後第二魔法からは属性に特性を現す単語(炎の『壁』、『強い』身体強化など)を加えていく魔法が使えるようになる。第二魔法は単語が一つ、第三魔法は単語が二つといったように強くなっていく。ただし、それぞれ一つずつしか覚えられない(第二魔法を二種類覚えるなどはできない)。
パワーストーン 神様候補達が現代世界にいるために必要な特殊な石。候補達はかならずこの石を持っており、これがなくなると異世界に強制的に戻されることになる。つまり、これを奪い合い、候補達を全て異世界に送還し最後の1人になった者が神様決定戦の勝者となる。ちなみに、パワーストーンは各候補者固有で、他のパワーストーンを代用することはできない。
見届け人 神様決定戦の最終決戦を見届ける者で、決定戦のルールを管理している。前々回の神様決定戦で優勝した「神様」のパートナーだった者の一族で、決戦の場の所有者。しかし、実はかつての決定戦で不老不死の願いを叶えた本人であり、その願いのせいで千年を生き続けている。現在は孤島に引きこもり、隠居状態で、見届け人としてのみ人前に現れる。いつか、自分を不老不死の願いから解放してくれる者が現れるのを待ち続ける。
闇の神様候補 過去の事件のため、迫害され僻地へと追いやられた「闇」属性の一族の神様候補。闇の一族は、自分達の不遇を、現在の神が「光」属性であることだと思い、闇の時世を作るため、神様を目指している。しかし、この候補者はより深い闇に心を囚われており、全てを無に返すことにより何もかもを終わらせようと考えている。この者の真の属性は「虚無」。

〜次話あらすじ〜
 10人まで減った神様候補達。次の戦いは勝ち抜きのトーナメントバトルとなった。この戦いで一番になった者が、神様に決定される。
 一回戦の対戦組み合わせが決まり、いままで一緒に戦ってきた仲間同士の対戦に動揺する光流だが、悔いが残らぬよう全力で戦うことを誓い合う。そんな中、光流は候補者の一人にいやな予感を感じる。果たしてその者の正体は? そして、戦いの行方は‥‥。

〜登場人物〜
蛍崎光流(CV:牧村ユミ) 本編の主人公。運動神経抜群の中学二年生の少女。明るく元気で、ちょっと勝気な性格。偶然異世界人カトリと出会い、神様決定戦のパートナーに選ばれる。愛称はヒカル。
異世界人カトリ(CV:南方雄治) 本編のもう1人の主人公。異世界より神様決定戦に参加する神様候補として現代世界に現れた。前話より、光流の家族として家に住むことが認められた。
ライバル達 神様候補とそのパートナー達。様々な願いを持って戦いに参加し、光流やカトリと対決していく。また、何かのきっかけで仲間になったりする。
光の鳥 光の鳥の姿をした神様候補。現在の神の娘の一人で、カトリや光流とは異母兄弟。光流を手助けするなどしているが、神の妻の息子であるカトリは敵視しており、もし対決することになれば躊躇しない。
見届け人 神様決定戦を管理する少年(少女)。かつての神様のパートナーの一族。
闇の候補者 迫害された闇の一族で、神となり全てを無に返そうとする候補者。

〜備考〜
 パートナーの変身はいわゆる魔女っ子物などの服装の変化といったイメージ。また、異世界人はパートナーが変身すると、本来の姿(ヌイグルミ)に戻る。変化するのは服装のみで、その人を知っている者にはもちろん気づかれる。
 トーナメントの対戦場所は、ホテルの屋上にある特設会場。魔法フィールドにより、どんな大きな魔法でも建物が壊れることはない。
 トーナメント一回戦では、4試合が行われ。バトルロイヤルで多くの敵を倒した上位二組はシードとなり、二回戦の対戦カードとなる。その一組は闇の候補者。そして最終戦では勝ち残った3組の戦いとなる。

●今回の参加者

 fa0868 槇島色(17歳・♀・猫)
 fa2724 (21歳・♀・狸)
 fa3354 藤拓人(11歳・♂・兎)
 fa3426 十六夜 勇加理(13歳・♀・竜)
 fa3599 七瀬七海(11歳・♂・猫)
 fa3802 タブラ・ラサ(9歳・♂・狐)
 fa3863 豊田そあら(21歳・♀・犬)
 fa4808 柊棗(17歳・♀・小鳥)

●リプレイ本文

「一対一の勝ち抜き戦!?」
 光流達が、バトルロイヤルを生き抜きホテルへ戻ってくると、見届け人の少年から次のバトルのルールを説明される。
「そうだ、残り10人でトーナメント方式の勝ち抜き戦を行い、その優勝者が今期の神となる」
 見届け人はそう告げると、すぐにホテルの奥に姿を隠してしまう。そして、ロビーに用意されていた巨大液晶モニターにトーナメント表が表示されるのだった。
「え〜と、私達が第四試合で、すばるちゃん達が第二試合、千尋くん達が第三試合か。あ、茜ちゃん達とありすちゃん達はシードなんだ。とりあえず、いきなり私達がぶつかることはないようね」
「そうですね〜。ヒカルちゃん、応援してますのでがんばってください♪」
「いや、まずすばるちゃん達の試合が先だから‥‥うん、私も応援するよ」
「ありがとうございます〜。ヒカルちゃんの応援があれば百人力ですわ」
 トーナメント表をみて、まずは友達と戦わないことに安堵する光流。親友の本田すばるは、おっとりとした様子で光流の健闘を祈る。そんなすばるに、ちょっと呆れながらも、光流はすばると健闘を誓い合った。
「二人とも‥‥もっと緊張感持とうよ‥‥。ヒカル君、順当に勝ち残れば、二回戦は君と僕との戦いになる。僕は僕の願いのために、そしてこの子を神にするために‥‥僕は手加減無しの本気で行く。もう馴れ合いは無しだよ」
「千尋くん‥‥。う、うん、わかってる。私も自分の願いと、カトリ達の世界のために、本気で戦うよ」
 クラスメイトで一緒にこの戦いを戦い抜いた仲間である風祭千尋に、厳しい表情でそう告げられ、光流は改めて勝ち残るのは一人である厳しさと、お互いの譲れない願いを確認し、気を引き締めた。
「茜ちゃんも、二回戦では憧れのありすちゃんと戦うことになって、大変だね」
「‥‥‥」
「茜ちゃん?」
「ん、あ‥‥。な、なんや?」
「いや、だから、ありすちゃんとの対戦は大変だねって」
「そ、そうやな‥‥。とりあえず、うちは作戦練るから、これで‥‥」
 光流は、さっきから黙っている戎橋茜に声をかけるが、茜は表情を暗くして言葉少なにロビーを後にした。
「あ‥‥いっちゃった。どうしたんだろ? やっぱり、憧れの人との対決が辛いのかな? ありすちゃんも、こっちにきてからなんか雰囲気が怖いし」
「みんな必死なんだね。本当に、僕らが勝ち残れるのかな?」
「もぅ、カトリは相変わらず頼りないなぁ。もっとシャキッとしてよ! 私達がここまで勝ち残ったのはまぐれじゃないんだからね! 絶対勝ち抜いて、平和な世界を守るんでしょ!」
「ご、ごめん! うん、そうだね‥‥平和な世界を守るためにも、勝たないと。それに、なんだかすごく嫌な気配がする。深い憎悪の感情‥‥誰かわからないけれど、この人だけは神にしちゃいけない気がする」
 光流に叱咤されて、カトリは大きく頷き決意を新たにする。しかしカトリは、誰にも聞こえないような小さな声で呟くと、表情を曇らせるのだった。

「茜‥‥」
 茜が部屋へと戻る途中、先ほどまで姿を見せなかったパートナーの神様候補レベッカが声をかける。
「茜、お母さんの居場所分かったよでも‥‥お母さん、神の所に居るみたい、何故だか解んないけど」
「!?」
 レベッカの言葉に、驚きの表情を浮かべる茜。レベッカは、茜が何かを口にする前に、話を続けた。
「こうなったらこの戦い勝ち抜いて神になるしか、会う方法無いみたい。それと‥‥もう一つ言っておかなければならない事がある。私、本当は『闇』の属性じゃないんだ、『虚無』全てを無に返す虚無の属性」
「レベッカ?」
「茜良い? 良く聞いて、これからの戦いは今までの様にいかない。どんな手を使っても優勝しなくちゃいけないの。良い、仲間だの友達だの言ってちゃ駄目、みんな敵なの」
 レベッカは表情を厳しくして、茜に言い聞かせるように言葉を繋げる。その勢いに押され、茜はただ頷くのみ。
「じゃあ、まず目の前の敵を倒すことを考えよう、ね?」
 レベッカは、その様子に満足そうに小さく笑みを浮かべると、茜を部屋へと促していく。そこへ、一組の人影が現れた。
「まさか貴方達が『虚無』だったなんて」
 現れたのは、国民的アイドル夢村ありすと、そのパートナーミュウ。ありすは、厳しい表情で茜とレベッカを睨み付けるのだった。
「ありすちゃん、アタシは‥‥」
「その黒い野望、必ず私が叩き潰して差し上げるわ!」
「っ!!」
 何かを言おうとする茜に、一方的に宣戦布告するありす。その意思の強さに、茜は結局何も言えず、視線を逸らす。
「ふふ、一寸シナリオが違ったけどこれで光も闇もない虚無が訪れる、すべての者共に恨みを晴らせる」
 そんな二人の様子に、レベッカは密かに笑みを浮かべ、誰にも聞こえない声で呟くのだった。

「いよいよあと10人か。思えば長かったな」
「ここからが本番よ。気を抜いたらダメ」
「わかってるって〜」
 トーナメント前夜、ホテルの一室で、鷲緒櫻とそのパートナーの神様候補ワイスが話をしていた。櫻は精神集中のために座禅を組み、ワイスは周囲をふわふわと浮いている。
「ところで、俺たちが勝ったら、櫻は何を願うつもりなんだ? そういや聞いてなかったな〜」
「‥‥‥」
 何気ない調子で問いかけるワイス。櫻は目を瞑り、答える様子もなく瞑想を続ける。ワイスは気にした様子もなく、てきとうに言葉を続ける。
「やっぱ金とか? 世界一の大金持ち〜。それとも不老不死かな? あ、櫻、モテねぇから、かっこいい彼氏が欲しいとか!」
「記憶‥‥」
「へ?」
「私の願いは‥‥失った記憶を取り戻す事。私‥‥鷲緒櫻という名前は私を保護した人から貰った仮の名前」
「記憶って‥‥?」
 ワイスの軽口に、櫻はゆっくりと目を開け、呟くように答える。ワイスは少し驚いたように聞き返すが、櫻はそれ以上の答えを返さない。
「それじゃ、その詳しい事情ってやつを聞くためにも、こんなところで負けてられないな!」
 ワイスは少しモヤモヤした表情を浮かべるが、気を取り直したように元気に声を出して、それ以上の追求をしなかった。。
「と・こ・ろ・で‥‥誰がモテないってぇ〜〜!」
「痛い痛い痛い!」
 話が終わった後、ゆら〜りと立ち上がった櫻が、ワイスの頭を掴むとそのまま握りつぶすようにアイアンクローをかます。そしてワイスの悲鳴が、ホテル中に響き渡るのだった。

「第一試合、両者前へ」
 見届け人の合図に、櫻とワイスが試合場に出てくる。そして、その対戦相手は、黒いユニコーンを従えた少年、花房英司。
「相手は君達か。残念、ヒカルという少女が良かったんだけどね」
「へへ、やっぱり振られてやんの‥‥痛い痛い!」
「事前に対戦相手は発表されていたでしょう。ふざけた奴ね」
 英司の軽口に、からかうワイスをアイアンクローしつつ、眉を吊り上げ睨みつける櫻。
「まぁいいだろう。お楽しみは決勝までお預けということで」
「残念ね、貴方はここで終わりよ」
 櫻の視線を、軽く受け流しながら英司は少年らしからぬ嫌らしい笑みを浮かべた。そして、見届け人が試合開始の合図をする。
「第二試合、始め!」
「一気にいくわ! ギガン・トレト!」
 開始と共に、魔法を唱えた櫻は、車ほどもある巨大な篭手を生み出し、英司を握りつぶそうとした。
「ずいぶんとせっかちな方だね。ジュミラ‥‥」
 しかし、英司は捕まる寸前に魔法を唱え、幻影を生み出すと姿を隠してしまう。
「っ! でも私には通じない! そこ!」
 一瞬戸惑う櫻だが、目を瞑り神経を研ぎ澄まして周囲を探ると、的確に英司の居る場所へと攻撃する。
「クロン・ジュミラ」
「捉えた! って、あれ!? 櫻が二人!!」
「まさか、ただの幻影と思っているんじゃないだろうね? 君たちの能力をコピーして創った傀儡も創れるんだよ。『完璧』だからね」
 歓喜の声をあげるワイス。しかし、櫻の篭手に捉えられたのは、櫻。さすがに驚きを隠せない櫻とワイスに、櫻の姿をした英司はニヤリと笑うと、櫻と同じ巨大な篭手を生み出し、櫻の篭手を振り払う。そして、篭手と篭手がぶつかり合い激しい力勝負になる。
「負けるか! 所詮コピーはコピー! オリジナルには勝てない!」
「この魔法も防ぐか、なかなかやるな。けれど、勝つのは僕だけどね! ゼウン・ジュミラーテ!」
 気合で、コピーに打ち勝つ櫻。しかし、英司は余裕の表情で笑い、第四魔法を唱える。
「この魔法は、君の過去からもっとも怖い存在を呼び出し、攻撃する魔法だ。自分の最も恐れる存在に打ち倒されろ‥‥。なに? なんだ‥‥何も浮かび上がらない!?」
「‥‥私に過去はない。むしろ、私が知りたいくらいだから‥‥」
「過去が無い? 馬鹿な、そんなはず‥‥ふふ、見ろ、君も知らないはずの過去が浮かび上がるぞ! 知りたいんだろう? じっくりみろ!」
「わ、私の過去‥‥?」
 英司の言葉に、微かに生まれてきた影が徐々に実体化してくる。櫻は、その様子に意識を奪われる。
「えっ‥‥誰、この人‥‥。うう、頭が‥‥いや、いやぁ!」
「櫻! お前、櫻になにをした!」
「だから言っただろう。過去にもっとも怖い思いをしたことを呼び出すと。彼女にとって、その男がもっとも恐怖の対象なのさ」
 影は見知らぬ男性の姿を映し出す。櫻はその姿に戸惑い、そして頭を抱えて座り込んでしまう。ワイスは勝ち誇る英司を睨み付けた。
「いやぁ‥‥やめて、お父様‥‥知らない、そんなの知らない‥‥」
「櫻! しっかりしろよ! いつもの強気なアンタはどこにいったんだよ! 今のアンタは鷲緒櫻だろ! 過去なんて関係ない!」
「櫻‥‥そう、私は鷲緒櫻‥‥くっ、こんなことで負けられない! 第四の魔法ゼウン・トレトール!!」
「ば、ばかな‥‥恐怖に打ち勝ったというの!」
 ワイスの叱咤に、怯え竦んでいた櫻は、ハッと立ち直り。必死に恐怖を堪え、第四魔法を唱えた。そして、魔法で異空間から呼び出された二本の巨大な腕に握られた、より巨大な竹刀が幻影ごと英司を叩きのめすのだった。
「勝者! 櫻&ワイス!」
「ワイス‥‥ありがとう、貴方の声のおかげでなんとか勝てた」
「へへ‥‥素直にお礼を言われると照れるぜ。やっぱり、櫻は男らしくないとな、って痛い痛い!」
「私は女よ!」

「やりましたわね、ヒカルちゃん!」
「う、うん、ギリギリだったけどね‥‥」
 第二試合はすばるが快勝。第三試合は千尋が勝ち残り。第四試合、激戦の末、光流が勝つことになる。光流はすばるとの差に、苦笑を浮かべるしかなかった。
「その程度では闇に勝てない‥‥。全ては貴方の父上ラインハルト様がいけないのよ」
「ミュウ?」
 突然、カトリへの意味深な言葉。その声に振り向くカトリは、一瞬、ミュウが物陰に消えていくのを見た気がした。
「すばる‥‥」
「ミライさん、どうされたんですか?」
 カトリ達がミュウの言葉に気を取られている隙に、光る鳥ミライがすばるに声をかける。
「決勝戦、彼女達が勝ち残ってきたらどうするのですか?」
「え? それはもちろん、勝ちをお譲りするつもりですが?」
「‥‥残念ですが、私はそのつもりはありません」
「あの、それはどういう‥‥。ミライさんは、ヒカルちゃん達を助けてくれていたのでは?」
 ミライの言葉に動揺したように問い返すすばる。ミライは冷静な様子で首を横に振った。
「たしかに、ヒカルを守ることを目的の一つとしてきました。ですが、あの者‥‥カトリに神の座を譲るつもりはありません。それに‥‥カトリではあの者達に勝つことは無理でしょう」
「で、でも、わたしは‥‥」
「ヒカルにとっても、私に勝てないようならば、負けたほうが彼女のためです。どのみち、ここまでくれば彼女の願いは勝っても負けても叶えられるのですから」
「よく‥‥わかりませんけれど。アナタは私に本気でヒカルちゃんと戦えと?」
「そうです。貴女の洞察力は目を見張る物があります。貴女が本気を出せば、この戦いに勝つことも容易い‥‥」
「わかりました‥‥ミライさんはいままで間違ったことはおっしゃりませんでしたし。けれど‥‥私達が、勝つ気でやろうとも、たぶん勝つのはヒカルちゃんですよ」
「‥‥なぜそう言い切れるのです?」
「だって、ヒカルちゃんですもの♪」
 不審そうに問うミライに、すばるは満面の笑顔で答えるのだった。

●キャスト
 蛍崎光流
  牧村ユミ
 カトリ
  南方雄治
 風祭千尋
  七瀬七海(fa3599)
 戎橋茜 夢村ありす ミュウ
  十六夜 勇加理(fa3426)
 レベッカ
  結(fa2724)
 本田すばる
  豊田そあら(fa3863)
 光の鳥ミライ
  柊棗(fa4808)
 鷲緒櫻
  槇島色(fa0868)
 ワイス
  タブラ・ラサ(fa3802)
 花房英司 見届け人の少年
  藤拓人(fa3354)