神霊装甲 魂世界の軍勢アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/01〜09/05

●本文

・声優募集
 ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』では、作品に参加する声優を募集しています。経験の有無は問いませんので、奮っての応募をお待ちしております。
 審査のうえで配役を決定いたします。得意なタイプ、希望などありましたら事前にご連絡ください。

●ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』
・作品概要
 戦いの世界ヴァルハラへと召喚された現代人たちが、この世界で起きている戦い「ラグナロク」にいやおうなく巻き込まれていく物語。
 召喚された現代人たちは、それぞれが戦士の魂を持つ者であり、「魂の騎士(スピリットナイト)」と呼ばれる存在であった。彼らは、「神霊装甲(スピリチュアルアーマー=SA)」という巨大ロボットを託され、ヴァルハラに存在する国々の戦士として戦いを強要されることになる。
 物語は、ラグナロク戦争を軸に、毎回違う主人公の物語が展開されるオムニバス形式。戦いに巻き込まれた現代人や、ヴァルハラ人たちがそれぞれの視点で物語を紡いでいく。

・世界設定
神霊装甲 アース神族、ヴァン神族が巨人族に対抗するために、それぞれ独自の技術によって作り出した戦闘用巨大装甲。操縦者が乗り込み、意志の力によって操縦する。通称SA(スピリチュアル・アーマー)。

魂の騎士 ヴァルハラに召喚された現代人のこと。彼らは、過去に起きた光と闇の戦いの英霊の魂を内に秘めた人間たちである。魂が力になるヴァルハラでは、絶大な力を持ち。神霊装甲の適正がヴァルハラ人よりも数倍上である。

覚醒 魂の騎士が、英霊の魂に目覚めること。過去に起きた戦いの記憶と共に、真の力(本来のSAの力)を発揮できるようになる。元々の人格が変わることはないが、過去の記憶に引っ張られて行動してしまう者も‥‥。

SA本来の力 SAとは現在ではロボットのような存在だが、元々は精神を具現化させた鎧である。そのため、覚醒し本来の力を取り戻した者は、SAの上に自分の精神を具現化させた姿を投影し、一時的に武装を変化させることができる。このようなSAは、従来機より数倍の能力を有する。イメージは変身といった感じ。

アース神族 神の国アスガルドを首都に持つ、好戦的な種族。力(精神的に)が強く、謀略にも長ける。侵略、支配を繰り返し、巨大な国を作り上げた。我々の世界でいう騎馬民族のようなイメージ。 君主制を敷いており、王の下に内政、外政、軍部の各担当者がそれぞれを指揮している。軍の様子は、規律統制のとれた現代軍隊に近いイメージ。

反アース勢力 アースに占領された様々な種族、巨人族やヴァン神族、ドヴェルグなど。またオーディンの侵略行為に批判的なアース神族などが集まって出来上がった反アース勢力。一応はお互いに協力関係を築いているが、その中には種族間など派閥ができており、微妙な温度差がある。

ヴァルキュリアーズ アース神族の王オーディンが、治安維持を名目に結成した、王直属のエリート軍隊。通常の軍とは管轄が別だが、様々な権限を与えられ、普通のアース軍よりも上位に扱われる。主な任務は、反アース勢力の駆除。何故か上官に多くの女性を起用しており、ハーレム軍隊などと揶揄されることも。

現代世界 魂の騎士達が召喚されるまえに暮らしていた世界。我々が暮らしている世界とほとんど変わりはない。こちらの世界では、魂の騎士達の召喚から一ヶ月が経っており、「無差別失踪事件」として大きなニュースとなっている。

SAと近代兵器 現代世界では、SAの周囲にオーラの膜が張られ、近代兵器の衝撃をほとんど無効化するため、近代兵器でのSAの破壊はほぼ不可能。そのため、SAはSAでしか破壊できない。

アウドムラ ヴァルハラ世界と現実世界を一つにする鍵と言われる存在。伝承では北極に眠っていると言われているが、それがどんなものなのかは不明である。巨人族が守り、現在はオーディンの手中にあるユミル(詳細不明)と共に、二つの世界を一つにするとされており、オーディンは世界新生のためにこれを求めている。

それ以外の種族 ノッカーやピクシー、またドラゴンなど様々なモンスターが存在している。

・主な登場SA
SAヴァルキュリア�U アース神族の量産SAを基に、魂の騎士用に新しく作られた高性能SA。従来機より基本性能が3倍弱アップし、飛行能力も向上された。基本形態以外に、ゲイレルル(遠距離射撃)、スルーズ(高火力)、フリスト(近接)、ヘルヴォル(特殊遠隔)の四種類の兵装が用意されており、局面にあわせて変更する。

SAフレイ改 アース神族との決戦で大破したSAフレイを改修した機体。従来の二人乗りのコックピットをそれぞれ二つに分け、高速飛行可能な戦闘機形態とSA形態を取れるフレイF。戦闘機時は重火力攻撃機、合体後はバックパックとなる、ソード・オブ・ヴィクトリー(S・O・V)、ソード・オブ・ブリーシンガメン(S・O・B)が使用可能なフレイBとした。

SAフレイア SAフレイを元に、SAヴァルキュリアの飛行技術を起用した、ヴァン神族の次期主力SA。量産のためにS・O・Vを無くし、代わりに意志力で飛ばした球体でバリアを発生させるアクセサリ・オブ・ブリーシンガメン(A・O・B)を搭載。現代人の意見を参考にし、形態を人型から飛行形態に変形することによって、空中での高速飛行が可能。

・次話あらすじ
 突如、現代世界各国に現れたヴァルハラの軍勢は、各勢力に分かれ出現地域を拠点とし活動を開始した。
 アメリカ北部に現れたオーディンの軍勢ヴァルキュリアーズは、早々に事態を収拾すると、アメリカ合衆国に対し圧倒的戦力差を見せつけ、拠点確保の交渉を優位に進める。
 一方、日本近海に現れたヴァンの騎士の母艦スキーズブラズニル。友好的対話で、日本と交渉を開始するヴァンの騎士達であったが、アメリカ政府の要請により日本政府は、彼らを拿捕しようとする。駆けつけた魂の騎士によりかろうじて太平洋へと脱出することに成功したスキーズブラズニルであったが、そこにはヴァルキュリアーズの戦艦が待ち構えていた。そして、太平洋沖でぶつかり合うことになるヴァンとアース。世界を変え、再び戦いが始まる。

・登場人物
 アース神族側現代人 アース神族に収容され、魂の騎士として戦うことになった現代人。
 ヴァン神族側現代人 ヴァン神族に協力し魂の騎士として戦うことになった現代人
 オーディン アース神族の王。王は代々この名を継いでおり、現在の王は見た目20台の若い男性。実際は王位についてからすでに20年以上で、40歳を越えている。今代になってからSAの量産、積極的な侵略戦争を行い。アース神族を、世界の半分以上を統治する種族にのし上げた張本人。
 その他 一般兵士、反アース勢力など

●今回の参加者

 fa0330 大道寺イザベラ(15歳・♀・兎)
 fa0509 水鏡・シメイ(20歳・♂・猫)
 fa0868 槇島色(17歳・♀・猫)
 fa1435 稲森・梢(30歳・♀・狐)
 fa2401 レティス・ニーグ(23歳・♀・鷹)
 fa2582 名無しの演技者(19歳・♂・蝙蝠)
 fa2738 (23歳・♀・猫)
 fa3928 大空 小次郎(18歳・♂・犬)

●リプレイ本文

 北アメリカ沿岸を、アメリカ合衆国の最新鋭戦闘機が編隊を組んで飛行していた。
「シルバードックリーダーから各機へ。アンノウンに対してはいつもどおりに対応だ!」
 隊長機の通信に、部隊員が了解を示す。彼らの目的は、カリフォルニア沖に突如出現したという未確認飛行物体の確認であった。
「クレイジーだ! 飛行戦艦に人型飛行兵器。この間みたジャパニーズアニメかよ?」
 彼らが目にしたのは、あまりに想像を絶するもので、その驚きが思わず口に出てしまった。応答の無い彼らに、フレデリック達は攻撃を仕掛けるが、すべての攻撃が見えない障壁に阻まれて効果が無かった。
「ぐぁ、は、はなせ!」
 撃墜され、パラシュート降下していたフレデリックを、敵の機体SAヴァルキュリア�Uが手で捕まえた。フレデリックは、一瞬苦痛を感じるが、握り殺されることはなかった。
「落ち着け‥‥抵抗しなければ‥‥殺しはしない‥‥」
「な、なんだと‥‥女?」
 機体のコックピットが開き、中から女が現れると、フレデリックは驚きの表情を浮かべた。その女、ハイブリッドは、感情の無い表情を浮かべながら、フレデリックに言い放った。
「我らが王オーディンは、お前達アメリカ合衆国の大統領との話を望んでいる」

「大統領、先日お渡ししたSAの具合は如何かな? 勿論、他の国にもお渡しする用意はある」
 ホワイトハウスの一室、合衆国大統領の前で優雅に笑みを浮かべるオーディン。大統領は、彼の王者の気風にすっかり気おされているようで、冷や汗をしきりに拭きながら受け答えしている。
「ですが、貴方がたが協力していただけるというのなら、優先的に技術を提供しよう。我々は領土や化石燃料には興味がない。破滅を望む者を駆逐し二つの世界を一つに繋ぎたいだけなのだ」
 SAの力はすでに証明済みで、その技術を独占できるというのはとても魅力的に思えた。加えて、オーディンの物腰は柔らかく、自分達に危害を加えるようには見えず、大統領はオーディンの条件を飲むことを決める。
「あんな旧型のSAで恩を売るとは‥‥流石だな」
 その様子を、横から見ていたシェリー・ローズはその交渉の内容にほくそえんだ。
「旧式SAならば彼らでも充分使いこなせる。所詮、魂を肉に包んだこちらの人間では、SA本来の力を出すことはできまい。君達は特別なのだよ」
 ホワイトハウスを退出し、旗艦に戻る中、オーディンはそう口にする。SAを提供しても、所詮動かすだけで精一杯だと。
「彼らは、新しいおもちゃで、世界を売り渡すというわけだ。実に愚かだ、やはり世界は変革されるべきだ」
「それで、これからどうされる?」
「アメリカ政府を通じて、日本政府にも圧力を掛けた。時機にスキーズヴラズニルも動き出すだろう。賊軍討伐は6番隊と米軍SA隊との連合艦隊に任せ、我々はアウドムラを追う。インドを制圧したシンドリ達も、おそらく北極を目指すだろうがね」
「アウドムラを追い北極圏に向かうと?」
「もちろん君にもついてきてもらうよ。早く彼に逢いたいかね?」
「ご冗談を。フフ、そこまで私に腹の内を話して大丈夫ですか?」
「君を信用しているからね」
 オーディンとシェリーは見つめあい、お互いの心を探りあうように語り合う。
「では、指示の方は頼むよ。私のシェリー」
「はっ、お任せを‥‥」
 やがて、自室へと戻っていくオーディン。シェリーはその背中を見つめて呟いた。
「こちらの世界に来てから、以前にも増してこの圧倒的なプレッシャー‥‥まさか『ユミル』とはオーディン自身か」

「アンタには米軍との連合艦隊を指揮してもらう、できるね?」
 シェリーは、太平洋沿岸で待機している部隊に通信を開く。画面にハイブリッドの姿が映り、シェリーの指示を無感情に了解する。
「‥‥人形である私が隊長とは‥‥謹んで受けさせていただきます‥‥」
「お前用に調整した重装型ヘルを使え」
「はっ‥‥」
 終始無感情に指示を受けるハイブリッド。やがて一通りの指示を終え、シェリーは通信を閉じた。
「悲しい宿命の女‥‥」
 そして、ハイブリッドの姿が消えた画面に、シェリーは感情的な表情を見せ呟くのだった。

 カリフォルニア上空、一機のSAヴァルキュリアが、数機のヴァルキュリアーズの部隊と交戦していた。
「この世界にはまだ大切なもの、守りたいものがある、たとえ世界が敵に回ろうとそのたった一握りのためにあたしは戦う」
 ヴァルキュリアのパイロット、ヴィオ・ローザは、アメリカがオーディンに協力することを知ると、単身ヴァルキュリアーズに対し攻撃を試みた。しかし、いくら魂の騎士といえど、多勢の前には分が悪すぎた。
「くそっあたし一人じゃ力を解放してもあいつらには勝てないっ! でも今戦わなきゃもっと多くの人が‥‥」
「大丈夫ですか、ヴィオさん!」
「エリス!?」
 そこへ駆けつけたのはSAフレイAに搭乗したエリス・リヴァイア。エリスはヴィオを庇うように前に出ると、ヴィオに声をかける。
「戦力的に差があり過ぎます。ここは一度、スキーズヴラズニルと合流しましょう」
「でも、このままほっておいたら、私達の世界は‥‥」
「このまま戦っても、私達の敗北は目に見えています。ヴィオさん! 貴女が今ここで死んでしまってどうするんです! 我々に未来を託したレイさんのためにも!」
「エリス!? 分かったわ、スキーズヴラズニルの元へ急ぎましょう。でも私達だけで、この囲みをどうやって切り抜けるの?」
「どうやら、オーディンに対抗する者は我々だけでは無いようです」
「フェンリル!?」
 エリスの説得に、ヴィオは迷いを振り切るように頷く。しかし、敵の包囲は厳しく、抜けるのも至難に見える。そこへ現れたのは、多くの武装を装備した巨大SAフェンリル。
「久しぶりだな。ヴィオ。まだ生きているとはうれしいものだ」
「緑川っ!」
「ああ、だが今はこんなところで時間を食っている暇はない。仲間との合流を果たすべきだ」
「ええ、その通りです。お願いできますか?」
「単独制圧能力を求めたこいつの性能を見せてやろう!」
 フェンリルに搭乗しているのは緑川安則。安則はその圧倒的な火力で、包囲に穴を開けると、三機は伴ってスキーズヴラズニルが現れたという太平洋方面へと抜けるのだった。

「スキーズブラズニル応答願います。こちらマリア、誘導するから艦を発進させて!」
 日本政府の裏切りに遭い、危機的状況に陥ったヴァンの騎士達を救ったのは、一時ヴァンから離れていた緑マリアであった。対談の場で囚われそうになり、なんとか脱出した騎士達を、マリアのSAフレイアが助け、スキーズヴラズニルへと送り届けた。そして、自ら先導して、日本海域からの脱出を図る。
「レーダーに映った巨大な影、侵犯機、侵犯機♪ って歌ってる場合じゃないよ。これってどういうこと? なんで自衛隊が戦艦を捕まえようとしてるのさ」
 そんな中、事情を知らぬままSAヴァルキュリアを駆って、スキーズヴラズニルに合流しようとした少年、鹿島駈は、戦艦を拿捕しようとした自衛隊に攻撃されてしまう。
「ま、まって! えーと、こういう時はDVDとかだと、外部につながるマイクとかあるんだよな。敵じゃなーい、話し合えるはずだろう!」
「なに、あのヴァルキュリア、子供!? 君! 早くこっちに来なさい!」
「え、でも、話し合って仲直りすれば‥‥」
「日本政府は、オーディンが懐柔したアメリカ政府と繋がってるの。彼らに、すでに話し合う気はないわ!」
「そんな! うわわ!」
 事情を説明され戸惑う駈。だが、容赦なく自衛隊からの攻撃を受け、駈はマリアの言う通り共に逃げるしかなかった。
 その後、無事に太平洋沖に脱出したマリアと駈、スキーズヴラズニル達。自衛隊からの攻撃を受けたにも関わらず、まったくの損傷が無いことにマリアは驚愕し、歯を噛み締めた。
「やはりSAもSSも現代世界に存在していいものではない‥‥。このままではヴァルハラ以上の嵐がこの世界を吹き荒れてしまう」

 太平洋上に脱出したスキーズヴラズニルだが、そこへ待ち構えていたのはハイブリッド率いるヴァルキュリアーズの部隊であった。
「待ち伏せ!? こちらの行動は、すでに読まれていたというの?」
「目標発見‥‥ただちに攻撃に入ります‥‥」
 ハイブリッドの搭乗した、金色のカラーリングが施されたSAヘル。そして、量産機SAウルオレルスが、スキーズヴラズニルに攻撃を開始する。マリア達も果敢に反撃するが、多勢に無勢で苦戦を強いられる。
「外した! っ!! ビームを反射させて!?」
 マリアは、ハイブリッドと対峙するが、ヘルの凄まじい火力に防戦一方。ハイブリッドは、オーラビームを反射させ軌道を変える遠隔兵器、鏡面エンフェリアを駆使して、マリアを追い詰める。
「この金色のSA、遠距離兵器が凄まじくて近づけないだけでなく遠隔兵器で逃げ場を塞いで来る」
「‥‥オーディン様に仇なす輩‥‥そして私に苦痛を与える輩達‥‥金色の光の前に滅するがいい」
「こうなったら被弾覚悟で‥‥!? あれはっ!? ヴィオにエリス、そしてあの時の重武装のヴァルキュリア!」
 覚悟を決めたマリアだが、突如ヘルはどこからかのオーラビームを受け、機体を揺らす。マリアの窮地を救ったのはヴィオとエリス、そして安則だった。
「マリア、お待たせ!」
「大丈夫ですか、マリアさん」
「緑マリア‥‥君の演説には共感を覚えた、俺も協力させてもらう」
 三機のSAは、マリア機を庇うように集まり、それぞれがマリアに声をかけた。
「ありがとうみんな‥‥」
 心強い仲間の登場に、マリアは少し涙ぐんだ。
「ちょっと! 挨拶はいいから、こっちも手伝ってよ!」
「駈! あなた、今までどこに!」
 ウルオレルスの攻撃から戦艦を守っていた駈。かつて共にアースに召喚されたヴィオは、久しぶりに聞いた彼の声に、驚きと喜びの声をあげた。
「‥‥その程度のオーラなど‥‥私には無駄‥‥でも、私に傷を与えるなんて‥‥少しはできるみたい‥‥」
「ちっ、やはりあの程度では効き目薄か」
 ビームの直撃を受けたにもかかわらず、ほとんど損傷のないヘル。その様子に、緑川は舌打ちして大型オーラソード『ブルトガング』を構える。
「あれは‥‥アメリカ軍の船‥‥やはり、人間同士の争いが終わることはないのでしょうか‥‥」
 エリスは、付近に集まってきたアメリカ海軍の空母から、旧式のSAが出てくる様子に、表情を暗くする。
「人間を救うべきなのか‥‥滅ぼすべきなのか‥‥元の世界に戻ってきてから、ずっとその事ばかり考えていました。私達が続けている戦いは、無駄なものなのでしょうか‥‥」
「無駄ならば、いっそ全て終わらせてみるのも、また一つの恒久的平和への道ではないかな、エリス・リヴァイアくん?」
「ロキ!? では、その声はトリックスター? いえ、シンドリですか!」
 エリスの思考に答える声。突如現れたのは黒いSAロキ。ロキはアメリカ軍の船を破壊し、SAを海に沈めてしまう。
「あそこには多くの人が!」
「戦争とはこういうものだよ、緑マリアくん。討つと決めた者は、討たれる覚悟も持たねばならない」
 爆発炎上する空母に、マリアが悲痛な声をあげる。しかし、トリックスターは冷静な声で諭すように答える。
「あれは? ロキ! うう、頭になにかが訴えてくる‥‥新しい力? わかった‥‥いっけー、グレイプニール!」
 駈はロキの姿を見たとたん、魂の声が頭に響き覚醒した。機体のヴァルキュリアは白く輝き、相手を捕らえ拘束する特殊兵器『グレイプニール』を装備した姿に変身する。
「グレイプニールか、しかしこれは、フェンリルを捕らえるためのものではないかね?」
「なに!?」
「ご、ごめん!」
 グレイプニールで攻撃されたロキ。しかし、その姿は残像のように掻き消え、目標を失ったグレイプニールは、フェンリルを拘束してしまう。
「スキーズヴラズニルの諸君。ここは引きたまえ。追撃は任せてもらおう」
「どういうつもり! あなたはいったいなんなの!?」
「それは、この文書を読んで考えてみたまえ」
「ヴィオ! バリアを張って振り払いましょう! ブリーシンガメンッ!!」
 スキーズヴラズニルを助けるように、ヴァルキュリアーズに攻撃を行うロキ。トリックスターの行動に、疑問を覚えるヴィオに、トリックスターは謎の文書データを送りつけるのだった。マリアは、とにかくこの場の脱出を考え、機体をヴェズルフォニルに変身させ、いくつものバリアを発生させながらその場を退却した。
「逃がさない‥‥」
「君の相手は、この私だよ」
「うっ‥‥頭が‥‥なに、この嫌な感じは‥‥」
 戦艦を追おうとするハイブリッドだが、トリックスターにそれを妨害される。
「オーディン様と同じ感じ、でも違う感じも‥‥うぅ‥‥」
「巨人族? いや、この感じは魂を再構築したか‥‥。相変わらず魂を弄ぶ男だ。では、私も失礼するよ」
 ハイブリッドは、トリックスターに翻弄され。やがて、十分に時間を稼ぐと、ロキの姿も掻き消えてしまうのだった。

●キャスト
 シェリー・ローズ
  大道寺イザベラ(fa0330)
 エリス・リヴァイア
  水鏡・シメイ(fa0509)
 ハイブリッド
  槇島色(fa0868)
 緑マリア
  稲森・梢(fa1435)
 ヴィオ・ローザ
  レティス・ニーグ(fa2401)
 緑川安則 フレデリック・サンダース
  名無しの演技者(fa2582)
 鹿島駈
  晨(fa2738)
 オーディン
  大空 小次郎(fa3928)
 トリックスター
  池内秀忠