ヒカル! 虚無の心アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/24〜09/28

●本文

 トーナメントも準決勝。この戦いに勝ち残った三組が、神様を決定する最後の戦いへと進める。私の願いは、私が生まれる前に死んだというお父さんに会う事。この願いを叶えるためには、絶対に勝ち残らないといけない。
 それに、あの子の様子が変なのも気になる。いままで一緒にいたあの子は、本物? それとも、仮面をつけた偽物? わかんない、それを確かめないと‥‥。
 でも、次の対戦相手は、一緒にここまでがんばってきた仲間。どうしよう、本気なんて出せないよ‥‥。私、ここで諦めちゃうの!?

〜声優募集〜
 アニメ『光の中のヒカル!!』では、劇中のキャラクターの声を演じてくれる方を募集しています。得意な役柄、演じたい役柄の希望と共にご応募ください。審査のうえ、ご依頼させていただきます。振るってのご応募お待ちしております。

〜作品紹介〜
 明るくて運動の得意な少女蛍崎光流は、ある日不思議なヌイグルミのような生き物を見つける。それはなんと、光流達の住んでいる世界とは別の世界からやってきた異世界人(?)だった。
 異世界人カトリは、500年に一度行われる神様決定戦に参加した神様候補だと光流に伝える。神様決定戦とは、異世界で一番の権力者を選ぶ戦いで、100人ほどの候補者から勝ち残った1人を神様とするものだった。神様候補は、こちらの世界を訪れ、パートナーとなるものを1人選び出し。パートナーとなったものに魔法を使える力を与え、この力で最後の一組になるまで戦いを生き抜くことになる。
 カトリは光流にパートナーになってくれるよう頼み込む。最初は得体の知れない戦いに巻き込まれるのを嫌がった光流だが、優勝者のパートナーには一つだけ願いを叶える権利が与えられると聞いて、喜んでパートナーになることを了承する。
 こうして光流とカトリはパートナーとなり、神様決定戦に参加することになった。しかし、実はカトリは神様候補の中で最低ランクの落ちこぼれであった。はたして光流は、頼りないカトリと一緒に神様決定戦を生き抜いていけるのだろうか‥‥。

〜世界設定〜
異世界人 異世界で暮らすヌイグルミのような外見をした生き物。言語を話し、現代世界の人間とほとんど変わらない知性を持っている。外見は様々で、人型や動物型、無機物型など、大きさはだいたい30センチほど。その造型に関係なく、空を飛ぶことができる。また現代世界では、人間の姿に変身することができる。
パートナー 神様候補に選ばれて、一緒に神様決定戦を戦うと誓った者。彼らは、神様候補から魔法の力を与えられると、その姿を変身させて(必須)魔法を行使することができる。パートナーは人間でなくても良い、ただし生き物でなければならない。
魔法 異世界人が使うことのできる不思議な力。現代世界では、パートナーにその力を与えることによって使うことができる。異世界人にはそれぞれ得意な魔法属性があり、第一魔法にその属性(炎、水、身体強化など)が反映された魔法、その後第二魔法からは属性に特性を現す単語(炎の『壁』、『強い』身体強化など)を加えていく魔法が使えるようになる。第二魔法は単語が一つ、第三魔法は単語が二つといったように強くなっていく。ただし、それぞれ一つずつしか覚えられない(第二魔法を二種類覚えるなどはできない)。
パワーストーン 神様候補達が現代世界にいるために必要な特殊な石。候補達はかならずこの石を持っており、これがなくなると異世界に強制的に戻されることになる。
見届け人 神様決定戦の最終決戦を見届ける者で、決定戦のルールを管理している。前々回の神様決定戦で優勝した「神様」のパートナーだった者の一族で、決戦の場の所有者。しかし、実はかつての決定戦で不老不死の願いを叶えた本人であり、その願いのせいで千年を生き続けている。現在は孤島に引きこもり、隠居状態で、見届け人としてのみ人前に現れる。いつか、自分を不老不死の願いから解放してくれる者が現れるのを待ち続ける。
闇の神様候補 過去の事件のため、迫害され僻地へと追いやられた「闇」属性の一族の神様候補。闇の一族は、自分達の不遇を、現在の神が「光」属性であることだと思い、闇の時世を作るため、神様を目指している。しかし、この候補者はより深い闇に心を囚われており、全てを無に返すことにより何もかもを終わらせようと考えている。この者の真の属性は「虚無」。

〜次話あらすじ〜
 ついに、準決勝まで勝ち残った光流。しかし、その対戦相手は、いままで一緒にがんばってきた仲間。光流は戸惑い、その力を出し切ることができない。窮地に陥る光流に、対戦相手は全力で向かってくるようにと叱咤する。その言葉、相手の想いを感じ取った光流は、全ての力を出し切って相手の想いに応えるのだった。
 そして、ついにシード同士の対決となる。激しい戦いを繰り広げる二組の神様候補。その戦いで、闇の候補者はついに真の力「虚無」を見せ付ける。その全てを消し去る禍々しい力に、光流達は目を疑い、その心に開いた闇よりもなお暗き空っぽの虚無の存在を感じ取る。
 そしてついに三組の神様候補が決まり、最後の戦いへと‥‥。

〜登場人物〜
蛍崎光流(CV:牧村ユミ) 本編の主人公。運動神経抜群の中学二年生の少女。明るく元気で、ちょっと勝気な性格。偶然異世界人カトリと出会い、神様決定戦のパートナーに選ばれる。愛称はヒカル。
異世界人カトリ(CV:南方雄治) 本編のもう1人の主人公。異世界より神様決定戦に参加する神様候補として現代世界に現れた。
ライバル達 神様候補とそのパートナー達。様々な願いを持って戦いに参加し、光流やカトリと対決していく。また、何かのきっかけで仲間になったりする。
光の鳥 光の鳥の姿をした神様候補。現在の神の娘の一人で、カトリや光流とは異母兄弟。光流を手助けするなどしているが、妻の息子であるカトリは敵視しており、もし対決することになれば躊躇しない。
見届け人 神様決定戦を管理する少年(少女)。かつての神様のパートナーの一族。
闇の候補者 迫害された闇の一族で、神となり全てを無に返そうとする候補者。

〜備考〜
 パートナーの変身はいわゆる魔女っ子物などの服装の変化といったイメージ。また、異世界人はパートナーが変身すると、本来の姿(ヌイグルミ)に戻る。変化するのは服装のみで、その人を知っている者にはもちろん気づかれる。
 トーナメントの対戦場所は、ホテルの屋上にある特設会場。魔法フィールドにより、どんな大きな魔法でも建物が壊れることはない。
 トーナメント一回戦では、4試合が行われ。バトルロイヤルで多くの敵を倒した上位二組はシードとなり、二回戦の対戦カードとなる。その一組は闇の候補者。そして最終戦では勝ち残った3組の戦いとなる。

●今回の参加者

 fa0868 槇島色(17歳・♀・猫)
 fa2573 結城ハニー(16歳・♀・虎)
 fa2738 (23歳・♀・猫)
 fa3354 藤拓人(11歳・♂・兎)
 fa3426 十六夜 勇加理(13歳・♀・竜)
 fa3802 タブラ・ラサ(9歳・♂・狐)
 fa3863 豊田そあら(21歳・♀・犬)
 fa4643 夕波綾佳(20歳・♀・犬)

●リプレイ本文

「かつてこの戦いに勝ち残り、不老不死を願った者がいた。しかしその者は、死なないということがどれほどの苦痛か、気づかなかったのだ。願いを叶えるということは、時に大きな不幸を呼ぶ。汝らの願いが、汝らにとって不幸にならんことを‥‥」
 見届け人の少年、アントラーは勝ち残っている神様候補のパートナー達に、静かに語りかける。その言葉は、とても深く、強い想いがこもっているようであった。
「これより、トーナメントバトル二回戦を開始する。第一試合は、本田すばる&ミライ対鷲緒櫻&ワイス」
 そして、アントラーの宣告により、二回戦が開始されるのだった。

「私の記憶を奪ったのは、たぶんこの頭の傷。本当の自分だけでなく、この傷を負った事件の真相を知るためにも、私は記憶を取り戻さないといけないの」
「ひでえ傷だな‥‥。俺、櫻にこんな傷を与え、記憶を奪った奴を絶対にゆるせねぇ。そいつをぶちのめすためにも、櫻は記憶を取り戻さないとな! 本当は俺、最初は神様なんてどうでもよかったんだ。最初は、俺にだってやれるって見せてやりたくて‥‥でも、今は本気で勝ちたいと思ってる。櫻のためだけじゃなく、俺自身のためにも、こんな半端なところで終われるかよ」
 試合場へと向かう道の途中。立ち止まり、いつも結んでいるポニーテールを解き、頭部に残った大きな傷をワイスに見せる櫻。ワイスは、その傷に顔を顰め、怒りに拳を震わせる。そして、今の自分の素直な気持ちを口にすると、大きく頷いた。
「あと2つ‥‥絶対負けられないな」
「もう少しで手の届くところまできている。絶対に勝つわよ、ワイス!」
 そして、二人は気合を入れると、試合場へと再び歩き出した。

「試合開始」
 アントラーの静かな声を合図に、銀色のエプロンドレスに帽子姿でスティックを構えるすばる。対して侍のような甲冑を纏い、木刀を構える櫻。二人は、真剣な表情で睨み合い、お互いの動きを観察しあう。
「ボルテ!」
 先に動いたのはすばる。杖から発せられた雷が、櫻に襲い掛かる。
「トレト!」
 しかし、櫻の篭手が雷を弾き、櫻にダメージは無い。小手調べは双方互角のようである。
「やりますね。では、これはいかがでしょう? コン・ボルテ!」
「何度やっても同じだ! アイン・トレト!」
 続いて、すばるは雷の玉を生み出すと、櫻へと向かって放つ。しかし、それもより強度を増した篭手が、玉を弾き返す‥‥が。
「なに!?」
 弾かれた雷の玉は、弧を描き、再び櫻へと向かってくる。
「この魔法は、私の意のまま動きます。一度弾かれても、何度でも貴女を攻撃しますよ!」
「ならばっ! 弾くのではなく、握り潰すまで! ギガン・トレト!」
 櫻の身長ほどにも大きくなった篭手が、雷の玉を握り潰した。そしてそのまま、すばるを捕まえようと、手を伸ばす。
「ネト・ボルテ!」
 しかし、伸ばされた篭手は雷の網に掛かり、動きを止める。
「ミライさん、いまです」
「はい、すばる」
「ワイス危ない!」
「え?」
 一瞬、上空から急降下してきたミライが、サイコロ姿のワイスにぶつかり吹き飛ばす。そして、ワイスに気を取られた櫻に、再びすばるの杖が突きつけられる。
「ボルテ!」
「きゃあぁ!」
「櫻!!」
 雷が身体を打ち、悲鳴をあげる櫻。ワイスが慌てて近くに寄るが、櫻は膝を落とす。
「これで、終わりにします‥‥ゼウン・ボルテオン!」
「ま、負けるか! ゼウン・トレトール!」
 静かに宣告し、自身の最強魔法、雷の巨鳥を放つすばる。対し、力を振り絞って立ち上がり、異空間より巨大な二つの篭手に握られた竹刀を召喚。ぶつかり合う大魔法が、激しい力の奔流となって周囲に嵐を巻き起こす。その力は強力で、魔法フィールドに守られてなければ、とっくに建物は崩壊していただろう。
「く‥‥ぅぅ‥‥」
 ダメージを受けていた櫻は、力に耐え切れず膝を突く。
「櫻! もう無茶だ! くっそぅ、せめて俺が盾になって櫻を!」
「だめよ、ワイス!」
 そんな櫻を見るに見かねたワイスは、前に出て身を挺して櫻を守ろうとする。その姿に、悲痛な声をあげる櫻。
「ミライさん! 止めてください!」
「はい‥‥!」
 雷の巨鳥がワイスを打つその瞬間、すばるの声に、ミライはかろうじて巨鳥の力を消す。
「助かった‥‥のか?」
「‥‥完敗ね」
 攻撃が消え、呆然とするワイスと、完全に負けを認める櫻。
「自分でこの石は始末するから‥‥少しだけ時間を頂戴‥‥」
「はい‥‥」
 敗北を認めた櫻は、すばるに時間を貰い、少年の姿となったワイスとの別れを行う。
「負けちゃったね‥‥。ワイス‥‥ごめん‥‥舎弟を神様にする事もできなかったし私の記憶も戻らなかった‥‥。でも、貴方出会えて‥‥楽しかった‥‥私の事‥‥忘れたら駄目だからね」
 お互い正座で向き合い、そっとワイスを抱きしめる櫻。
「なんでこんな握りやすい姿してんだろうな、俺‥‥どっちの姿でも掴まれてばっかりだ」
 そんな軽口を零すワイス。しかし、ワイスの瞳には涙が溢れ、くしゃくしゃになった顔で、抱きしめる櫻を見上げている。
「思い出が欲しいなら、俺が櫻の思い出になってやるよ。この手の感触、一生忘れるな‥‥俺も、絶対忘れないから」
「ワイス‥‥」
 櫻はワイスにそっと口付け、ゆっくりと惜しむようにその身体を放し背を向ける。そして、ワイスのパワーストーンを空に投げ、持っていた木刀で砕いた。
「私のファーストキスなんだから‥‥絶対忘れないで‥‥さようなら、ワイス」
 パワーストーンを失い、光に包まれながらゆっくりと消えていくワイス。櫻は空を見上げたまま、ワイスに別れを告げた。その頬にはうっすらと涙が流れているのだった。

「第二試合、蛍崎光流&カトリ対風祭千尋&リリー。試合開始」
 ついに光流の試合、相手はクラスメイトであり一緒に戦ってきた仲間である風祭千尋。その戦いに、光流は正直戸惑っていた。
「どうしようカトリ‥‥千尋君と本気でなんてやりあえないよ‥‥」
「ぼ、僕に言われても‥‥。僕だって彼らと戦うなんてできないよ‥‥」
 勝ち残るのは一組、そのことを覚悟していたとはいえ、実際に対峙してみればどうしても動揺してしまう光流とカトリ。
「躊躇いがないと言えばウソになる。でも、互いの夢を貫く為、ここから逃げたりしない。彼女の夢が多分科学がどんなに進んでもかなえられないものだろうし、ぼくの夢も同じだ。どんなに苦しくとも耐えなければならないだろうし、どんなに悲しくとも生きなければならない」
 一方、対戦相手の千尋は、自分の中の躊躇いを強い意志で押し隠し、キッと光流を見つめる。
「そのため短期決戦で行く。スタートと同時に第四魔法を発動───風の全力で戒める! ゼウン・ウインデイン!」
 千尋のかざしたスタッフから、風のグリフォンが召喚されると、その翼の羽ばたきが竜巻となって光流達に襲い掛かった。
「きゃ、きゃあ!!」
「ヒカル!」
「ヒカルさん! 全力を出せ! 君の死んだお父さんに会いたい気持ちはそんなものなのか! 僕は、全力の君と戦い、勝って願いを叶えたい!」
「う‥‥くぅ‥‥そ‥‥う‥‥ま、負けられ‥‥ない! カトリ‥‥いくよ!」
「うん!!」
「ゼウン・レイテオン!!」
 千尋の叱咤の声に、竜巻の中で苦しみながらも、渾身の力で杖を構える光流。そして、光流とカトリは掛け声を合わせ、光の竜を召喚する。竜は光線のブレスを吐き出し、竜巻と激しくぶつかり合う。光流と千尋、双方の力が一進一退の攻防を繰り広げ‥‥。
「撃ち抜けぇぇぇ!!」
 光流の最後の気合、勢いを増した竜のブレスが、風のグリフォンを撃ち抜いた。そして、力尽きるように膝を突く千尋。
「千尋君、だいじょうぶ!?」
「はぁ‥‥はぁ‥‥さすがだよヒカルさん‥‥」
 千尋の安否を気遣い駆け寄る光流に、肩で息をしながらも千尋は清々しい笑みを浮かべた。それは、全力を出し切ったものの笑顔だった。
「光流さん───今まで勇気が無くて言えなかったけど、負けた今だからこそ言える───好きだ‥‥友達を超えたつきあいをしたい! 答えは決勝の後で良いから───君の素敵な夢を見てみたいんだ」
「え‥‥」
 戦いが終わり、リリーとの別れを済ませた後。千尋は、光流に告白する。その言葉に、一瞬きょとんとした光流は、言葉の意味を理解して顔を真っ赤にする。
「わ、私‥‥どうしよう‥‥。どうしたらいいかわからないよカトリ‥‥」
 立ち去った千尋の背中を見送りながら、光流は心の中にくすぶる一つの想いと、千尋の言葉に迷うのだった。

「第三試合、夢村ありす&ミュウ対戎橋茜&レベッカ。試合開始」
 対峙する二組の神様候補。共にバトルロイヤルで多くの敵を打ち倒し、シードとなった彼女達が、ついにぶつかり合うことになる。
「茜‥‥いまなら間に合うわ。レベッカと手を切り、パワーストーンを渡しなさい」
「私は‥‥絶対にお母さんに会うんや。そしてお母さんを奪ったラインハルト‥‥そして権力に胡坐をかく光の一族に組する奴ら‥‥絶対に許せへんで!」
「茜ちゃん‥‥?」
 ありすの言葉に、表情を険しくする茜。そして、客席の光流達に怒りの形相で睨みつける。その様子に、光流は困惑した。
「夢村ありす! アンタも所詮は光の手先、容赦なくぶっ潰すで!」
「そう‥‥友の為なら、誰であろうと容赦はしない! サァかかってらっしゃい!」
 険しい表情のまま、人差し指でありすを指差す茜。ありすは一瞬落胆の表情を浮かべると、キッと睨みつけてスタッフを構えた。
「グラビ!」
 先手はありす。茜の周辺の重力を操り、動きを止める。
「あら、こんな弱い魔法じゃ、なんの役にも立たないわよ」
「!!」
 しかし、レベッカの一言で、魔法も使わずにありすの重力は打ち消された。それに、驚きの表情を浮かべるありすとミュウ。
「ならば! グラビガ!」
「無駄無駄」
 今度は、超重力の塊を生み出し、茜に撃ち付けるありす。しかし、その攻撃さえレベッカの腕の一振りで弾かれてしまう。しかも、その弾かれた重力が光流達の方へ。
「きゃあ!」
「あ、ごめ〜ん。ついやっちゃった。結構ウザイのよねキミたちって」
「仲良しゴッコは、もうお終いや『光の神様候補』!」
「止めなさいレベッカ! 貴女は間違ってるわ!」
 重力の玉は、魔法フィールドによってかろうじて霧散するが、レベッカはその様子を面白そうに笑う。茜も光流達を睨み付け、親指で首を刈るような仕草をする。ミュウが睨みつけて叫ぶが、レベッカ達はそれをつまらなそうに見つめ返した。

「茜ちゃんもレベッカも、いったいどうしちゃったの!?」
 彼女達の戦いを見ていた光流は、二人の様子に困惑していた。
「茜はともかく、レベッカはあれが本来の姿なのでしょう」
「ミライさん!?」
 光流の言葉に答えたのは、すばるの肩に止まったミライだった。
「彼女は闇の一族。罪を犯し、辺境へと追いやられた者達です。それを、現在の神、光の神を怨んでいてもおかしくありません。とくに、光の神の子、カトリや私は彼女にとって特に憎悪の対象でしょう」
「そんな‥‥って、カトリって神様の子なの!?」
「ま、まぁ、一応‥‥。特に特別ななにかがあるわけじゃないんだけどね。それに、神の子はいっぱいいるし‥‥」
 ミライの説明に、驚きと悲しみを浮かべる光流。
「そして、ヒカル‥‥貴女も‥‥」
「え‥‥?」

「ありす、こうなったら最大呪文でいくわよ!」
「わかってる! ゼウン・グラビガン!」
 自らの魔法をことごとく弾かれ、追い詰められたあかねとミュウは、最大呪文で重力の巨人を召喚、超重力の生んだブラックホールでレベッカ達を飲み込もうとする。しかし‥‥。
「シャド」
「な、何ですって!?」
「そ、そんなゼウン・グラビガンが効かないなんて」
 茜の第一魔法、闇を生む魔法が、巨人とブラックホールを包み込むとそのまま巨人を消し去ってしまった。一体何が起きたのかわからず、驚愕するありすとミュウ。
「ふーん、自慢の第四魔法もその程度なのね? 遊びはもうオシマイ。アンタ達はアタシ達より弱い」
 蔑むように言うレベッカ。その姿が、可愛らしい狸の姿から、邪悪さを感じさせる悪魔のような姿へと変化していく。
「ふぅ、ようやくこの窮屈な格好からもオサラバ」
「いくでレベッカ、そろそろ全開や」
「わかったよ茜、面倒だしね」
「ゼウン・ロキ・シャドネス」
 茜の唱えた呪文、それは以前に見せた第四魔法とは明らかに違った。闇よりもなお暗き虚無が、龍の姿を象ってありす達に襲い掛かる。
「ミュウゥゥ!!!!!」
「ありすぅぅ!!」
 そして、ありすとミュウは虚無の龍に飲み込まれてしまった。その後には、何も残らない‥‥。
「あっははは、この世でもあの世でもない世界を仲良く彷徨うがいいさ!」
 そして、レベッカの狂気に満ちた笑いが、会場にこだまするのだった‥‥。

●キャスト
 蛍崎光流
  牧村ユミ
 カトリ
  南方雄治
 風祭千尋
  晨(fa2738)
 戎橋茜 ミュウ
  十六夜 勇加理(fa3426)
 夢村ありす レベッカ
  結城ハニー(fa2573)
 本田すばる
  豊田そあら(fa3863)
 光の鳥ミライ
  夕波綾佳(fa4643)
 鷲緒櫻
  槇島色(fa0868)
 ワイス
  タブラ・ラサ(fa3802)
 アントラー
  藤拓人(fa3354)