神霊装甲 アウドムラアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/29〜10/03

●本文

・声優募集
 ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』では、作品に参加する声優を募集しています。経験の有無は問いませんので、奮っての応募をお待ちしております。
 審査のうえで配役を決定いたします。得意なタイプ、希望などありましたら事前にご連絡ください。

●ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』
・作品概要
 戦いの世界ヴァルハラへと召喚された現代人たちが、この世界で起きている戦い「ラグナロク」にいやおうなく巻き込まれていく物語。
 召喚された現代人たちは、それぞれが戦士の魂を持つ者であり、「魂の騎士(スピリットナイト)」と呼ばれる存在であった。彼らは、「神霊装甲(スピリチュアルアーマー=SA)」という巨大ロボットを託され、ヴァルハラに存在する国々の戦士として戦いを強要されることになる。
 物語は、ラグナロク戦争を軸に、毎回違う主人公の物語が展開されるオムニバス形式。戦いに巻き込まれた現代人や、ヴァルハラ人たちがそれぞれの視点で物語を紡いでいく。

・世界設定
神霊装甲 アース神族、ヴァン神族が巨人族に対抗するために、それぞれ独自の技術によって作り出した戦闘用巨大装甲。操縦者が乗り込み、意志の力によって操縦する。通称SA(スピリチュアル・アーマー)。

魂の騎士 ヴァルハラに召喚された現代人のこと。彼らは、過去に起きた光と闇の戦いの英霊の魂を内に秘めた人間たちである。魂が力になるヴァルハラでは、絶大な力を持ち。神霊装甲の適正がヴァルハラ人よりも数倍上である。

覚醒 魂の騎士が、英霊の魂に目覚めること。過去に起きた戦いの記憶と共に、真の力(本来のSAの力)を発揮できるようになる。元々の人格が変わることはないが、過去の記憶に引っ張られて行動してしまう者も‥‥。

SA本来の力 SAとは現在ではロボットのような存在だが、元々は精神を具現化させた鎧である。そのため、覚醒し本来の力を取り戻した者は、SAの上に自分の精神を具現化させた姿を投影し、一時的に武装を変化させることができる。このようなSAは、従来機より数倍の能力を有する。イメージは変身といった感じ。

アース神族 神の国アスガルドを首都に持つ、好戦的な種族。力(精神的に)が強く、謀略にも長ける。侵略、支配を繰り返し、巨大な国を作り上げた。我々の世界でいう騎馬民族のようなイメージ。 君主制を敷いており、王の下に内政、外政、軍部の各担当者がそれぞれを指揮している。軍の様子は、規律統制のとれた現代軍隊に近いイメージ。

反アース勢力 アースに占領された様々な種族、巨人族やヴァン神族、ドヴェルグなど。またオーディンの侵略行為に批判的なアース神族などが集まって出来上がった反アース勢力。一応はお互いに協力関係を築いているが、その中には種族間など派閥ができており、微妙な温度差がある。

ヴァルキュリアーズ アース神族の王オーディンが、治安維持を名目に結成した、王直属のエリート軍隊。通常の軍とは管轄が別だが、様々な権限を与えられ、普通のアース軍よりも上位に扱われる。主な任務は、反アース勢力の駆除。何故か上官に多くの女性を起用しており、ハーレム軍隊などと揶揄されることも。

アウドムラ ヴァルハラ世界と現実世界を一つにする鍵と言われる存在。伝承では北極に眠っていると言われていた。それは北極の大地を形成していた物体で、世界創造を成すための神の肉体である。これに、無限のエネルギーであるユミル(魂)を組み込むことによって、その存在は創造神と呼ばれるものになる。オーディンは、これをもって世界を再構築しようと考えている。

・主な登場SA
SAヴァルキュリア�U アース神族の量産SAを基に、魂の騎士用に新しく作られた高性能SA。従来機より基本性能が3倍弱アップし、飛行能力も向上された。基本形態以外に、ゲイレルル(遠距離射撃)、スルーズ(高火力)、フリスト(近接)、ヘルヴォル(特殊遠隔)の四種類の兵装が用意されており、局面にあわせて変更する。

SAウルオレルス アース神族の次期主力量産SA。SAヘーニルの後継機で、装甲、運動性能共に向上している。ヴァルキュリアーズの一般兵士用に先行配備されている。局地専用の兵装を用意され、これらを換装することにより様々な戦場での運用を可能としている。空戦用、水中用、雪原用などが確認されている。

SAオーディン アースの王オーディン専用のプロトタイプSA。超長射程高出力オーラライフル『グングニール』を装備し、空中の高速移動及び短距離の空間移動(瞬間移動)を可能にする『スレイプニール』を搭載している。全ての面で高い性能を示し、現存するSAの中では最強クラス。

SAフレイア SAフレイを元に、SAヴァルキュリアの飛行技術を起用した、ヴァン神族の次期主力SA。量産のためにS・O・Vを無くし、代わりに意志力で飛ばした球体でバリアを発生させるアクセサリ・オブ・ブリーシンガメン(A・O・B)を搭載。現代人の意見を参考にし、形態を人型から飛行形態に変形することによって、空中での高速飛行が可能。現在は、反アースの主力として使用されている。

SAスキールニル改 反アース軍の量産SA。ヴァン神族のSAスキールニルを改修した機体で、従来機から大幅に運動性が向上している。肩に二門のオーラキャノン、脚部にホバー機能を搭載し、水上での戦闘も可能。すでに別機体とも言える性能UPにより、アースの新型量産機にも十分対抗できる。

・次話あらすじ
 単艦で北極へと向かった空中戦艦スキーズヴラズニルは、北海の戦いでダメージを受け、航行不可能になり北極南端に不時着する。
 一方、北海の戦いを制したオーディンは、アウドムラの封印を解くために北極中央へと向かう。そして反アース軍も再び態勢を整え、オーディンの後を追う。戦場は北極へと移り、再び激しい戦いが巻き起こる。
 戦いのさなか、突然大地が鳴動し。オーディンの呼びかけに、アウドムラがついに姿を現す。そして、ユミル(魂)とアウドムラ(肉体)を持って神とならんとするオーディンの野望を阻止するため、アウドムラを巡る戦いは激しさをますのだった。

・登場人物
 アース神族側現代人 アース神族に収容され、魂の騎士として戦うことになった現代人。
 ヴァン神族側現代人 ヴァン神族に協力し魂の騎士として戦うことになった現代人
 オーディン アース神族の王。今代になってからSAの量産、積極的な侵略戦争を行い。アース神族を、世界の半分以上を統治する種族にのし上げた張本人。
 トリックスター(CV池内秀忠) 古に世界を無に還そうとした『ロキ』の魂を持つ男。現在の目的は不明だが、様々な所で暗躍している。オーディンに敵対し、その野望を阻止しようとしているが?
 その他 一般兵士、反アース勢力など

●今回の参加者

 fa0330 大道寺イザベラ(15歳・♀・兎)
 fa0463 伊達正和(25歳・♂・竜)
 fa0868 槇島色(17歳・♀・猫)
 fa1435 稲森・梢(30歳・♀・狐)
 fa2401 レティス・ニーグ(23歳・♀・鷹)
 fa2582 名無しの演技者(19歳・♂・蝙蝠)
 fa2738 (23歳・♀・猫)
 fa3928 大空 小次郎(18歳・♂・犬)

●リプレイ本文

「作戦は以上、目標はオーディンの旗艦フリズスキャルヴのみ、他の敵はなるべく無視して」
「オーディンの狙いが世界創造だとして、これ程の侵略戦争を起こして望む世界が平和なものとは思えないわ。みんな。何としてでも阻止するわよ!」
 魂の騎士の母艦スキーズヴラズニルでは、ヴィオ・ローザと緑マリアからオーディンの野望を阻止する作戦の最終確認が行われていた。
「緑川、作戦の指揮任せていい? あたしじゃそこまで気がまわらないから。あと、これはあたしからのお願い。この戦いは相手を孅滅するためのものじゃない、だからなるべくコックピットへの直撃は避けて」
「やれやれ、理想はかなわないから理想だと思うのだがな。本気で叶うと思っているのか‥‥ならば試してみるか。できるかどうか」
 ヴィオの言葉に、緑川安則は苦笑を浮かべて肩を竦めた。しかし、その口調は呆れつつも、その意志を認めるものであった。
「緑川の兄貴、作戦もう一度解説お願い‥‥学校のテストより、難解だぜ」
「ふっ‥‥。簡単に言えば、狙うのは敵の大将が乗った船のみ。やばい敵が現れたら、3人で1人の敵をボコる。そのときはヴィオのお願いを聞いて手足を吹っ飛ばして戦えなくするだけ。いいかな?」
「なんだ、そんなことか。最初からそう言ってくれればいいのに」
 小学生の鹿島駈が、作戦の内容に目を廻して安則に問いかける。安則は、一瞬呆れた表情を浮かべるが、少し面白そうに小さく笑みを零すと、優しい口調で簡略に作戦を説明した。
「そんな表情もするんですね」
「竹内‥‥虎雄君だったかな」
 その様子を見ていた竹内虎雄が、なにか言い辛そうな表情で安則に声をかける。
「僕は君と仲間になれて良かったと思うのに、ヴィザールは君の中のフェンリルを憎んでいる」
「どうしても倒したければ倒すといい。私はやられるつもりはないし手加減もできん。が、まずはオーディンを喰らうのみだ」
 虎雄の言葉に、虎雄の目を見ながら真剣な表情で答える安則。イニシエの英霊の魂を宿す彼らは、時に過去の関係に縛られそうになるのだった。
「やめてよ二人とも! 僕の魂テュールだって、フェンリルとは因縁があるみたいだけど、それは『今』とは関係ないじゃないか! 僕達は一緒に戦う仲間でしょ?」
「ああ、そうだな。自分の意志をしっかり持てば、魂に引きずられることはない」
「自分の意志をしっかり持つ‥‥か」
 虎雄と安則の様子に、たまりかねて仲裁する駈。その言葉に、二人は意外そうに一瞬きょとんとするが、お互い小さく頷き、笑みを浮かべるのだった。

「ちょっと、虎雄!」
「あ、ヴィオ。どうしたの?」
 作戦会議が終了し、各自SAへと乗り込むために格納庫へと向かう途中。ヴィオが虎雄を呼び止めた。
「いや、その‥‥。虎雄、ここが正念場だね、ねぇ、この戦いが終わったら‥‥ううん、なんでもない」
 ヴィオは少しもじもじとすると、真剣な表情で虎雄の目を見ると、なにかを伝えようと声をかける。しかし言葉は途中で消え、ヴィオは視線を逸らして苦笑を浮かべた。
「そうだね、ヴィオ。日本においでよ♪ 僕の家、林檎園なんだ♪」
「虎雄!? うん、ありがとう‥‥絶対に行く」
 虎雄はヴィオの気持ちを察したのか、明るい口調で微笑む。その言葉に、ヴィオは一瞬驚いたように虎雄の顔を見つめ、ニコリと微笑み返すのだった。

「戦いが始まっている。急ぎましょう!」
 吹雪の中、いくつものオーラ光が瞬きあう。マリア達は、その光を頼りに、オーディンの旗艦フリズスキャルヴへと向かった。
「虎雄の兄貴、ここで退いたら、アウドムラとやらが出てくるんだろう? 絶対引けないよな」
「そうだね、ここからが前進する時だ♪」
「駈、張り切るのもいいけど生きて帰らなければ無意味なんだからね」
「ヴィオの姉ーちゃんも心配症意だな。俺は大丈夫だよ」
「俺? あなた‥‥」
「心配するな、駈は強い勇気を持つ者だ。そして、オーディンは俺が倒す。フェンリルが心の底からお前を倒したいって騒いでいるんだよ‥‥いくぞ!」
 駈の言葉に、虎雄は笑顔で答える。ヴィオは、心配するように声をかけるが、安則は駈を信じるように頷いた。そして、魂の騎士達は、オーディンとの決着をつけるべく、戦いの場へと赴く。

「守る為に戦う! ファルケ(鷹)フェーダ(羽毛)クライドゥング(衣類)!」
 ヴィオのSAフレイ改が、疾風のごとく戦場を駆け抜ける。そして、戦いを続けるヴァルキュリアーズと反アースの機体を、すり抜けざまにコックピット以外の武装を撃ち抜き無力化していった。
「戦いをやめろ! 疾く戒めよ! 女の髭、猫の足音、魚の息! グレイプニール!!」
 覚醒した駈のSAヴァルキュリアも、相手のSAを拘束する武装『グレイプニール』によって、周囲の敵を無力化する。魂の騎士達は、極力命を奪わない戦いをしつつ、目的のフリズスキャルヴへと接近する。
「なんだ!? フリズスキャルヴが!!」
 しかし、突然フリズスキャルヴで爆発が起こり、巨大戦艦は北極の大地へと墜落していく。そして、その爆発の中で現れたのは黄金に輝く巨大SA。
「黄金のヘル‥‥ハイブリッド!? 一体何故‥‥」
「これは私を辱しめた慰謝料代わりだ‥‥さらばだ、オーディン‥‥」
 見覚えのあるSAの姿に、驚きを口にするヴィオ。ハイブリッドは、自らの意志を感じ取れるしっかりとした口調で、落ちていく戦艦を冷たく見つめる。
「ハイブリッド、あなたは一体どこに向かう気なの?」
「何処に‥‥向かう? ‥‥私はただ無を求める‥‥そう、全てを無に‥‥」
「無‥‥? いったいどういうこと‥‥」
「それよりも、オーディンはもうここにはいないぞ。すでに、アウドムラへと向かった‥‥。‥‥やっと現れた‥‥例え、貴方が嫌がろうとも私はついて行く‥‥貴方が成す事を見守るために」
「なんですって!? ちょっと、待ちなさい!」
 そう言葉を残し、ハイブリッドは吹雪の中へと消えていく。そしてハイブリッドの言葉に、焦りの表情を浮かべるヴィオ。
「ヴィオ、あちらのほうに大きな力を感じるわ。彼女の相手をしている暇は無い、いそぎましょう!」
「風の流れを読む、か‥‥。わかったわ、行きましょう」
「気をつけて、このどす黒いオーラ。シェリーもいるわ」
 何かを感じ取ったマリア。その言葉に、ヴィオ達は頷き、力の感じるほうへと向かうのだった。

「フリズスキャルヴが沈黙しました。どうやら撃沈された模様です」
「反アース軍か?」
「いえ、どうやら、内部からの攻撃によるものです。ハイブリッドが暴走したとの報告が」
「なに!? 人形が我が手を離れただと? そんなことがあるとすれば‥‥あの者の仕業か‥‥まぁよい、アウドムラさえ手に入ってしまえば、あの艦には用は無い。シェリー、追っ手は任せる。私はこのままアウドムラへと向かう」
「はっ!」
 シェリー・ローズの報告に、顔を顰めるオーディン。しかし、すぐに余裕の表情を浮かべ、シェリーに指示を出し、アウドムラへと急いだ。
「ちぃ、人形め、余計なことを」
 シェリーは舌打ちすると、敵を迎え撃つべくSAオーディンの超長射程高出力ライフル『グングニール』を構えた。
「シェリー! もうあなたの思い通りになんかさせないっ」
「どうやらあなたを退けなければ進めない様ね。決着を付けましょう!」
「ヴィオ・ローザ、緑マリア‥‥魂の騎士どもか。いいさ、このSAオーディンの力を見せてあげるよ!」
 オーディンを追いかけるマリア達の前に立ちはだかるシェリー。本来は白銀の機体であるSAオーディンが、シェリーのオーラによってどす黒く輝くのだった。
「いくぞ。オーディン! Sturm! und! Drang!」
「はっ、遅いよ!」
「瞬間転移? 面白い!」
 覚醒し、まるで蒼い狼のような安則のSAフェンリルが、いくつもの残像を残す高速移動で、遠隔兵器エンフェリアと共に激しい攻撃を繰り出す。しかし、シェリーはその攻撃を、残像さえも残さず姿を消し、一瞬のうちにフェンリルの後ろへと回りこむと、正確な射撃でフェンリルを撃ち抜く。武装を切り離しかろうじて避けた安則、言葉とは裏腹に、表情には焦りの色が見えるのだった。
「灼き斬れるまで───いけぇ! グレイプニール! 疾く戒めよ!!」
「ドミンゴスから託されたこの剣で、あんたを討つ!」
「当たらなければ、どうということはない!」
「そんな! 早すぎるよ!」
 駈と虎雄の攻撃も、瞬間移動するSAオーディンには当たらず、逆に正確で強力な攻撃にさらされてしまう。
「この程度かい! あんた達じゃ、アタシの相手にはならないねぇ!」
「何てどす黒いオーラ‥‥、くぅっ!」
「あの動きを止めなければ、私達に勝ち目は無い‥‥!」
 そして、ヴィオとマリアの遠隔兵器も、ことごとくシェリーの射撃に打ち落とされてしまい、圧倒的なシェリーの力に万事休す。しかし、その時、マリアの思考に魂の声が聞こえる。
「これは? ‥‥そういう事なのね」
「いまさら、なにをしようとしても無駄だよ!」
「夜叉姫、いいえシェリー。あなたの意志力は強いんじゃない。哀しい程に歪んでいるだけ。周りの声を聞かず、他人を拒絶し、自分の殻に篭って一体何を怯えているの?」
「アタシが怯えてる? あははは! 怯えてるのはあんた達のほうじゃないのかい!」
「悪意の呪縛から解放してあげる。アクセサリ・オブ・ブリーシンガメン‥‥」
「これは!?」
 マリアの強い意志力に呼応するように、シェリーの周囲が輝きだす。それはシェリーに砕かれたA・O・Bの破片であり、それがシェリーを囲み強いオーラ光を放っていた。
「なに!? スレイプニールが起動しない!?」
「‥‥テンペスト!!!」
 限界にまで達した強い光が、マリアの意志によって連鎖的に大爆発を起こす。意志力の檻に閉じ込められたシェリーは、脱出できずその爆発を受けてしまう。
「は‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥やってくれるじゃないか! けれど、もう遅い! アウドムラはあと少しで復活する! うっ、頭が‥‥なんだこの声は‥‥くっ、退却する!」
「今のでも倒しきれなかった‥‥なんて強い意志‥‥」
 爆発を受けながらも、それを耐え切ったシェリー。しかし、ダメージが大きかったのか、頭を押さえその場を撤退していく。そして、マリア達も追撃の余力はなく、見送るしかなかった。
「な、なに、大地が!?」
「落ちてる!? 違う‥‥大地が舞い上がってきたんだ!」
 そんな時、突如北極の大地が激しく鳴動を始めた。そして、驚く魂の騎士達の前で、北極の大地が空へと舞い上がっていく。この大地こそ、神の器アウドムラであった。
「出たっ、これがアウドムラかよっ!!」
「まさかこれがアウドムラ‥‥これを世界を変えようとしてるアース軍なんかに渡せない」
「アウドムラだって‥‥まるで大陸じゃないか?」
「やれやれ‥‥ゲームのラスボスはやはり巨大か」
「なんて大きな力なの‥‥」
 そのあまりの巨大さに魂の騎士達は驚愕の声をあげるのだった。

「素晴らしい、素晴らしい力だ! この力があれば、私の理想は実現する!」
 アウドムラの最深部、オーディンは歓喜の声をあげ、その核となる部分を見上げていた。
「オーディン‥‥」
「シェリーか、キミもきたのかい。見たまえ、これがアウドムラだ!」
 オーディンを呼ぶ声に、彼は振り向くことなくアウドムラの核を見つめ続ける。そして、声の主は、ゆっくりとオーディンへと近づいていき。
「ぐはぁっ!」
「王も意外と甘い様で」
 オーディンは突然の苦痛に、顔を歪めて自らの胸部を見つめた。そこには、血に濡れた赤き手が、胸から突き出ている。シェリーの手刀が、オーディンを背中から貫いていた。
「すまない‥‥もう止められないの。ユミルの力、アウドムラはアタシが使う‥‥」
「シェリー、まさかキミがユミルの信託を受けていたとはね‥‥新しき王、いや女王の誕生という事か? これもまた運命‥‥そんな悲しい瞳はキミらしくないよ」
 命と共に、ユミルの魂がシェリーへと移り行くことに、全てを悟ったオーディンは、怒りも悲しみもなく、ただシェリーを見つめて微笑んだ。
「悪の烙印など、それは一面から見る主観に過ぎない。自分にない才能を妬み恨み、排除しようとする愚か者どもに負けるな。大丈夫、キミは間違っていない。全てはユミルが導いてくれるから‥‥」
「オーディン‥‥アタシ、泣いてるの‥‥?」
 言葉を残し倒れゆくオーディン。その姿を見つめながら、シェリーの頬に一粒の涙が零れ落ちるのだった。

「王は非道な賊軍によって崩御なされた! だが、我、シェリー・ローズはオーディンの意志を受け継ぎ、ヴァルハラ統一王国初代女王シギュンとなることをここに宣告する!」
 アウドムラから発せられるシェリーの言葉。それは、オーディンの死と共に、新たに世界の崩壊を招く者の誕生を知らせるものであった。

●キャスト
 シェリー・ローズ
  大道寺イザベラ(fa0330)
 竹内虎雄
  伊達正和(fa0463)
 ハイブリッド
  槇島色(fa0868)
 緑マリア
  稲森・梢(fa1435)
 ヴィオ・ローザ
  レティス・ニーグ(fa2401)
 緑川安則
  名無しの演技者(fa2582)
 鹿島駈
  晨(fa2738)
 オーディン
  大空 小次郎(fa3928)