神霊装甲 世界の崩壊アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 3人
期間 10/13〜10/17

●本文

・声優募集
 ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』では、作品に参加する声優を募集しています。経験の有無は問いませんので、奮っての応募をお待ちしております。
 審査のうえで配役を決定いたします。得意なタイプ、希望などありましたら事前にご連絡ください。

●ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』
・作品概要
 戦いの世界ヴァルハラへと召喚された現代人たちが、この世界で起きている戦い「ラグナロク」にいやおうなく巻き込まれていく物語。
 召喚された現代人たちは、それぞれが戦士の魂を持つ者であり、「魂の騎士(スピリットナイト)」と呼ばれる存在であった。彼らは、「神霊装甲(スピリチュアルアーマー=SA)」という巨大ロボットを託され、ヴァルハラに存在する国々の戦士として戦いを強要されることになる。
 物語は、ラグナロク戦争を軸に、毎回違う主人公の物語が展開されるオムニバス形式。戦いに巻き込まれた現代人や、ヴァルハラ人たちがそれぞれの視点で物語を紡いでいく。

・世界設定
神霊装甲 アース神族、ヴァン神族が巨人族に対抗するために、それぞれ独自の技術によって作り出した戦闘用巨大装甲。操縦者が乗り込み、意志の力によって操縦する。通称SA(スピリチュアル・アーマー)。

魂の騎士 ヴァルハラに召喚された現代人のこと。彼らは、過去に起きた光と闇の戦いの英霊の魂を内に秘めた人間たちである。魂が力になるヴァルハラでは、絶大な力を持ち。神霊装甲の適正がヴァルハラ人よりも数倍上である。

覚醒 魂の騎士が、英霊の魂に目覚めること。過去に起きた戦いの記憶と共に、真の力(本来のSAの力)を発揮できるようになる。元々の人格が変わることはないが、過去の記憶に引っ張られて行動してしまう者も‥‥。

SA本来の力 SAとは現在ではロボットのような存在だが、元々は精神を具現化させた鎧である。そのため、覚醒し本来の力を取り戻した者は、SAの上に自分の精神を具現化させた姿を投影し、一時的に武装を変化させることができる。このようなSAは、従来機より数倍の能力を有する。イメージは変身といった感じ。

アース神族 神の国アスガルドを首都に持つ、好戦的な種族。力(精神的に)が強く、謀略にも長ける。侵略、支配を繰り返し、巨大な国を作り上げた。我々の世界でいう騎馬民族のようなイメージ。 君主制を敷いており、王の下に内政、外政、軍部の各担当者がそれぞれを指揮している。軍の様子は、規律統制のとれた現代軍隊に近いイメージ。

反アース勢力 アースに占領された様々な種族、巨人族やヴァン神族、ドヴェルグなど。またオーディンの侵略行為に批判的なアース神族などが集まって出来上がった反アース勢力。一応はお互いに協力関係を築いているが、その中には種族間など派閥ができており、微妙な温度差がある。

ヴァルキュリアーズ アース神族の王オーディンが、治安維持を名目に結成した、王直属のエリート軍隊。通常の軍とは管轄が別だが、様々な権限を与えられ、普通のアース軍よりも上位に扱われる。主な任務は、反アース勢力の駆除。何故か上官に多くの女性を起用しており、ハーレム軍隊などと揶揄されることも。

アウドムラ ヴァルハラ世界と現実世界を一つにする鍵と言われる存在。伝承では北極に眠っていると言われていた。それは北極の大地を形成していた物体で、世界創造を成すための神の肉体である。これに、無限のエネルギーであるユミル(魂)を組み込むことによって、その存在は創造神と呼ばれるものになる。オーディンは、これをもって世界を再構築しようと考えている。

・主な登場SA
SAヴァルキュリア�U アース神族の量産SAを基に、魂の騎士用に新しく作られた高性能SA。従来機より基本性能が3倍弱アップし、飛行能力も向上された。基本形態以外に、ゲイレルル(遠距離射撃)、スルーズ(高火力)、フリスト(近接)、ヘルヴォル(特殊遠隔)の四種類の兵装が用意されており、局面にあわせて変更する。

SAオーディン アースの王オーディン専用のプロトタイプSA。超長射程高出力オーラライフル『グングニール』を装備し、空中の高速移動及び短距離の空間移動(瞬間移動)を可能にする『スレイプニール』を搭載している。全ての面で高い性能を示し、現存するSAの中では最強クラス。

SAフレイア SAフレイを元に、SAヴァルキュリアの飛行技術を起用した、ヴァン神族の次期主力SA。量産のためにS・O・Vを無くし、代わりに意志力で飛ばした球体でバリアを発生させるアクセサリ・オブ・ブリーシンガメン(A・O・B)を搭載。現代人の意見を参考にし、形態を人型から飛行形態に変形することによって、空中での高速飛行が可能。現在は、反アースの主力として使用されている。

SAブーリ アウドムラの守護のために生み出されたSA。この機体には搭乗者は居らず、アウドムラの意志(またはその意志の元になっている者)によって自動操作される。SAというよりは、機械人形。強力な火器は装備していないが(オーラライフル程度)、数が多く集団で攻撃してくる。また運動性も高く、その能力は侮れない。

・次話あらすじ
 ついに姿を現したアウドムラ、そしてオーディンの死。自らの死で、オーディンの野望は費えたかに見えたが、新たなる意志によってアウドムラはその力を復活させてしまう。
 アウドムラの力によって、世界の再構築が始まってしまう中、魂の騎士達はそれを阻止しようと、アウドムラの内部へと突入する。同じく、トリックスターも自らの目的のためにアウドムラへと侵入する。
 戦いは最終局面を向かえ、アウドムラ内部では魂の騎士とトリックスター、アウドムラを守るものとの激しい戦いが行われる。そして、最深部で待ち構えるのは、ユミルの魂を持つ者。魂の騎士達は、はたして世界の再構築を阻止し、世界を守ることができるのだろうか。

・登場人物
 アース神族側現代人 アース神族に収容され、魂の騎士として戦うことになった現代人。
 ヴァン神族側現代人 ヴァン神族に協力し魂の騎士として戦うことになった現代人
 トリックスター(CV池内秀忠) 古に世界を無に還そうとした『ロキ』の魂を持つ男。現在の目的は不明だが、様々な所で暗躍している。オーディンに敵対し、その野望を阻止しようとしているが?
 その他 一般兵士、反アース勢力など

●今回の参加者

 fa0330 大道寺イザベラ(15歳・♀・兎)
 fa0352 相麻 了(17歳・♂・猫)
 fa0463 伊達正和(25歳・♂・竜)
 fa0588 ディノ・ストラーダ(21歳・♂・狼)
 fa1435 稲森・梢(30歳・♀・狐)
 fa2401 レティス・ニーグ(23歳・♀・鷹)
 fa2738 (23歳・♀・猫)
 fa3369 桜 美琴(30歳・♀・猫)

●リプレイ本文

「くぅっ! 世界が変わって行く? 皆、取り返しの付かない事になる前に止めるわよ!」
 アウドムラの力、世界の異変を感じ取った緑マリアは、覚醒した力SAヴェルズフオルニルの翼を広げ、仲間達と共にアウドムラへと向かう。
「でも、こんな馬鹿でかいの、どうやって倒すの!?」
「虎雄、たしか日本には巨大な敵を内部から倒す戦法が古くからあるんでしょ?」
「あるけれど、まずは突入口を作らないとっ!!」
 北極大陸ほどもあるアウドムラの巨大さに、鹿島駈が無茶だと声をあげる。ヴィオ・ローザの問いかけに、竹内虎雄にアウドムラを睨みつけながら、いかに内部へと入るか考えをめぐらす。
「あれ! あの黒い機体!」
「トリックスターか!!」
 駈の示す先に、黒いSAロキがアウドムラへと向かっていくのを見つける。
「彼を追えば、内部へと侵入できるかもしれない。行きましょう!」
「行かせはしない‥‥」
「っ!? みんな避けて!!」
 トリックスターを追おうとするマリア達に、突然強力なオーラビームが放たれる。辛うじてそれを避けたマリア達の前に、まるでヴェールを纏った貴婦人のような巨大なSAが姿を現す。
「SAヘル‥‥まだこんな相手がいたというの? しかもこの感じ、‥‥覚醒しかけている?」
 SAヘル、そしてパイロットのヘルガ・ベルの力を感じ取り、マリアは焦りの表情を浮かべ、ゴクリと喉を鳴らした。
「『ブリーキング・ベル』始動‥‥各砲座‥‥一斉射撃」
「全方位攻撃だと! 散開しろ!」
「緑川?! くそっ、まだ落ちるには早いでしょ?!」
 SAヘルから放たれる、大量の砲撃。SAフェンリルのパイロット緑川は、あえて火線の多い所へと突っ込み、その身を挺して仲間を守る。しかし、フェンリルは攻撃に耐え切れず爆発を起こして北海の海へと落ちていく。
「なんだ‥‥これは‥‥。兄上‥‥?」
「動きが止まった? 行くわよみんな!! 緑川のオーラは消えてないわ! 時は一刻を争うの。私は内部からこれを破壊する!」
「緑川兄ちゃん‥‥」
「駈、行くわよ、これを止めなければあたし達に未来はないわ、緑川のためにも今は先に進まなきゃ」
「緑川兄ちゃん死なないで待ってろよ。今にこのデカ物落とすから───ヴィオ姉ちゃん、判ったよ、今は進むしかないんだよね。トリックスターを討って、アース神族も、ヴァン神族も神霊世界に属するもの達は神霊世界へ。肉体の世界に属するもの達は肉体の世界へ還らなきゃいけないんだ」
 落ちていく緑川の姿に、一瞬動きを止めるヘルガ。その隙に、SAヘルを突破するマリア達。その胸に、緑川の犠牲を無駄にしまいという思いを秘めて。
 だがヴィオ達の前に、見たことも無いSAが進路を塞ぐ。しかも、アウドムラから次々と現れ、その数は増えていく。そして、トリックスターの姿を見失ってしまう。
「だったら、俺が直接あいつに風穴開けて突入口を開いてやるっ、ミョルニ―ル発射ぁっ!!」
 次第にアウドムラを守るSAブーリに囲まれる魂の騎士達。しかしそこで、SAトールに搭乗している富嶽源が、超高出力オーラ砲『ミョルニール』を発射する。トールの砲台から特大のオーラビームが発射され、SAブーリを巻き込みながらアウドムラへと向かう。
「まだだ! 全力発射ぁ!」
 源の叫びと共に、最大出力のエネルギーを放出し続ける。やがて、砲台が負荷に耐え切れず爆発してしまう。しかし、アウドムラの外壁に穴を開けることに成功した。そこへ、旗艦スキーズヴラズニルから通信が入る。
「マリア! ヴィオ!」
「フォー!?」
「遅くなったが、アウドムラのデータだ! 使ってくれ!」
「これは‥‥フォー、ありがとう」
 技術士のフォーから送られてきたデータに、ヴィオは強い想いを込めて返事を返す。
「行きましょう。私達の世界を守る為に。邪魔をしないでください。私達は先に進まなければならないんです」
「富嶽、緑川をお願い。ファルケフェーダクライドゥング! バースト!!」
「ああ、そっちは頼んだぜ! 緑川っ!! あの野郎っ、ここ一番って時に落ちてるんじゃねえっ!!」
 フレイ改に乗ったエリスとヴィオが、先導して再び道を塞ごうとするブーリを打ち抜いていく。そして、そのまま一行はアウドムラの内部へ。残った源は、落ちたSAフェンリルの元へと向かうのだった。

「邪魔だといっている!」
  トリックスターと共にアウドムラの内部へと侵入した、赤いSAフレイアのパイロット、ロッソ・ヴォルフは立ちふさがるブーリを神速の動きで破壊する。
「しかし、何やら我々を誘導している様に感じるのは気のせいか?」
「誘っているのだろう、彼女は」
 守るというよりも、誘導するように現れるブーリに、ロッソは訝しげに顔を顰める。しかし、トリックスターはわかっているような口ぶりで、通路の奥へと進んでいった。
「まて‥‥それ以上先へは進ませぬ」
「ほう面白い、少しは骨のある相手のようだ。ここは私めが、ロキ様は先をお急ぎ下さいませ」
「任せた」
 後方から追いすがってきたヘルガが、トリックスター達の所へと現れる。ロッソは微笑を浮かべ楽しむような口ぶりでヘルガを見つめると、トリックスターを先へと進ませるようにヘルガの前に立ちふさがる。
「‥‥排除する」
 SAヘルは立ちふさがるSAフレイアに向かって、容赦の無い全力攻撃。しかし、赤いフレイアは、赤い線のような残像を残し素早い動きで全ての攻撃を避ける。
「やる‥‥ならばこれで!」
 ヘルは鎌型のビームソードを構えると、その巨体からは想像もできないほどの高速移動で一気に間合いを詰めフレイアに切りかかる。
「私の剣が見えるかな」
「な‥‥んだ、これは!」
 しかし、その斬撃は空を切り、フレイアはそれ以上の動きで両腕のソードを振るう。しかも、そのフレイアの両腕は、まるで生きているかのように伸縮し、蛇のような動きでヘルを切り刻む。
「ここまでか‥‥」
「目覚めよ‥‥ヘル‥‥」
 相手の動きに翻弄され、ボロボロに破壊されるヘル。力の差に悔しげに呟くヘルガ。しかし、彼女を呼ぶ声が魂の奥底より聞こえ、その身を黒いオーラが包み込む。すると、半壊状態であったヘルが見る間に修復されて、新しい姿へと変わっていく。
「我が名はヘル‥‥我を呼ぶ者は誰ぞ‥‥」
「ようやくお目覚めか、姉様」
「お前は‥‥ヨルムンガンド‥‥。私を父上の元へ‥‥」
 覚醒したヘルガに、ロッソは懐かしさを込めて語りかける。ヘルガは相手の存在に気づき、魂の声のままにロッソと、トリックスターの進んだアウドムラの奥へと進んでいくのだった。

「マリア、本当にこっちでいいの?」
「風が呼んでいるわ。間違いない、彼女はこの奥にいる」
 マリアの先導でアウドムラの内部を進むヴィオ達。やがて、巨大な空間のような場所へと出たマリア達の前に、黒いSAが現れる。
「ゴミ共が、こんなところまでのこのこと」
「シェリー‥‥」
 黒いSAベオウルフ、本来桃色に染められていたその機体も、すでにどす黒い色へと変化していた。そのパイロット、そしてオーディンからユミルを奪い、アウドムラを起動させた女、シェリー・ローズはつまらないものを見るように、マリア達を見つめる。
「シェリー、あなただってこの世界に生きているんでしょ。何故こんなことをするの!」
「こんなくだらない世界がなんだっていうんだい? こんな世界は神が作り直すんだよ。そして、ヴァルハラと地球‥‥私が全てにお仕置してあげるよ」
「この世界は神のものじゃない、あたし達はこの世界に生きているんだからっ」
「そうだ! 神はいらないっ、世界もお前達の玩具にさせないっ!!」
 ヴィオの問いかけに、シェリーは嘲笑うかのように答え、楽しそうに笑う。その答えに、ヴィオと虎雄は強い意思の言葉をぶつける。
「はっ、だったらどうするっていうんだい」
「あんたを倒し、アウドムラを止めるわ!」
「無理だね! いいさ、少しの間だけ遊んであげるよ」
 シェリーに向かい指を突きつけると、宣言するヴィオ。シェリーはそれを鼻で笑うと、どす黒いオーラを解き放つ。そして、魂の騎士達とシェリーの戦いが始まった。しかし、力の差は歴然で、魂の騎士達は絶体絶命のピンチへと陥ってしまう。
「何か来る‥‥この感じは‥‥ロヴン」
 その時、壁をぶち破り突然黒いSAが現れる。
「待たせたな皆! 真打登場だぜ!」
 現れたのはSAベオウルフ一号機、シェリーの二号機と共に作られた機体。パイロットは、黒木丈であった。
「シェリー、随分偉くなったようだな。けれど、女王か何か知らねぇけど、俺はリアの笑顔を護るのみさ」
 丈の元気な様子に呆れながらも、ヴィオ達は新しい希望に勇気が沸き起こる。
「ロヴン‥‥今度は邪魔させないよ、と言いたいところだけれど時間切れね。お遊びはおしまい。ゴミの掃除はこいつらに任せるとするわ」
「逃げるのか!」
 しかしシェリーは何かを感じ取ったように呟くと、周囲から大量のブーリを呼び出す。そして、その場をブーリに任せ、丈達に背を向ける。
「待て!!」
「丈、あなたはいつも一人で戦って、あの敵はあたし達が協力しなければ勝てない相手よ」
 追いかけようとする丈を引き止めるヴィオ。そうするうちにも、ブーリは魂の騎士達を囲み、オーラライフルを構える。
「とりあえず、ここを切り抜けないと」
「任せろ‥‥俺はこのために‥‥仲間を救うために新しい力を得たんだ! ベオウルフ・バスター爆誕だぜ!」
 叫ぶ丈、そしてベオウルフの姿が変化していく。
「必殺アルティメットバーストォ!」
 ベオウルフから放たれる特大のオーラ弾。それが、密集したブーリの中心に届くと、大爆発を起こし辺り一帯のブーリを消滅させた。
「すごい‥‥これが女神ロヴンの力」
「いくぜ、みんな!」
 感心したように呟くマリア。そして、丈達はシェリーの向かった、アウドムラの奥へと向かうのだった。

「待ってたよトリック‥‥いや、ロキと呼んだ方がいいかしら?」
「シェリー‥‥いやシギュンか」
 アウドムラの中心部、シェリーは銃を構え、仮面の男トリックスターに声をかける。その口調は、愛しい者へのようで、微かに微笑みを浮かべている。対してトリックスターは、感情を抑えた声でシェリーに対し構えもとらず対峙する。
「オーディンは君が?」
 ダン! シェリーの銃が、トリックスターの仮面を弾き飛ばす。その下には、オーディンと同じ顔、しかしその片側には酷い火傷を負ったシンドリの姿。
「ええ、やはりあたしは貴方で無いと嫌」
「‥‥彼はこの手で裁きたかったのだが‥‥まぁいい」
「ロキ‥‥?」
 シンドリの反応に、少し不安げに魂の名を呼ぶシェリー。シンドリは、すぐに柔らかい微笑を浮かべ、シェリーを抱きとめる。
「君はずっと私だけの物‥‥」
「貴方は何もかもお見通しね‥‥」
 シェリーは安心したようにシンドリを見つめると、乙女のように微笑みその唇を求めた。
「私も貴方の事は全てお見通し‥‥昔からね」
「そうか‥‥」
「いいわ、共に奏でましょうか破滅へのレクイエムとやらを」
「‥‥‥」
 唇を重ねあったシェリーとシンドリ。そして、二人は伴ってアウドムラの核へと。
「シンドリ、いいえ進鳥っ! あなたはロキに取り込まれた訳では無いでしょう? あなたの意志を、魂のオーラを力に換えて、その呪縛から抜け出してみなさい!!」
「‥‥私の意志か。これは、私の意志で行うことだよ、緑マリア君」
 そこへ現れたマリア達。しかし、マリアの声にシンドリは一瞥を返して、核へと進んでいってしまう。
「待て!」
「小賢しい鼠どもめが。邪魔はさせん」
「獣神流は王者の風だ!」
 追いかける丈達に、ロッソが立ちはだかる。そして、丈とロッソは拳と剣での生身の戦いを繰り広げる。
「シェリー、ロキの魂の半身は返してもらうよ」
 その間にシンドリがシェリーから、ユミル‥‥ロキの半身の魂を抜き取る。そして、一つになったロキの魂がアウドムラの核に取り込まれる。
「これでロキは蘇る。そして、私の復讐も達成できる。ロキをこの手で滅ぼすことができる!」
「ロキ?」
「シェリー、君は自分が何者かわかっているか? シギュン? 違う、シギュンは過去の魂だ。ならば、シェリーか? いや、シギュンの魂と混ざった君は、すでにシェリーではない。ならば、誰か?」
「なにを‥‥言っているの!?」
「それは私も同じこと‥‥しかしね、進鳥貴幸という男は、それが許せないのだよ。私は、私でなくてはならない。私に命令できるものは、私だけなのだ。だから、私を利用しようとしたロキの魂を私は許せない。許すわけにはいかないのだよ‥‥ロキはこの手で滅ぼさねばならない」
 困惑するシェリーに、シンドリははっきりと言い放つ。シンドリの真の目的、それはロキを復活させ、自らの手でそれを滅ぼすことであった。
「やばい、崩れるぞ!」
 やがて、アウドムラの肉体を得たロキが鳴動を始め、アウドムラはロキへと変貌を遂げる。魂の騎士達は、急いでその場を脱出するのだった。

●キャスト
 シェリー・ローズ
  大道寺イザベラ(fa0330)
 黒木丈
  相麻 了(fa0352)
 富嶽源 竹内虎雄
  伊達正和(fa0463)
 ロッソ・ヴォルフ
  ディノ・ストラーダ(fa0588)
 緑マリア
  稲森・梢(fa1435)
 ヴィオ・ローザ
  レティス・ニーグ(fa2401)
 鹿島駈
  晨(fa2738)
 ヘルガ・ベル
  桜 美琴(fa3369)
 エリス・リヴァイア
  水鏡・シメイ
 緑川安則
  名無しの演技者
 フォー・ハーン
  ユキイ・アバンサール