ヒカル! 光の中の光流アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/22〜10/26

●本文

 暗い‥‥何も無い‥‥落ちているのか昇っているのかもわからない‥‥何故あの子が‥‥みんな大丈夫かな‥‥お母さんごめん‥‥お父さん会いたかったな‥‥意識がもう‥‥存在が消えていく‥‥きえ‥‥て‥‥かと‥‥り‥‥。

〜声優募集〜
 アニメ『光の中のヒカル!!』では、劇中のキャラクターの声を演じてくれる方を募集しています。得意な役柄、演じたい役柄の希望と共にご応募ください。審査のうえ、ご依頼させていただきます。振るってのご応募お待ちしております。

〜作品紹介〜
 明るくて運動の得意な少女蛍崎光流は、ある日不思議なヌイグルミのような生き物を見つける。それはなんと、光流達の住んでいる世界とは別の世界からやってきた異世界人(?)だった。
 異世界人カトリは、500年に一度行われる神様決定戦に参加した神様候補だと光流に伝える。神様決定戦とは、異世界で一番の権力者を選ぶ戦いで、100人ほどの候補者から勝ち残った1人を神様とするものだった。神様候補は、こちらの世界を訪れ、パートナーとなるものを1人選び出し。パートナーとなったものに魔法を使える力を与え、この力で最後の一組になるまで戦いを生き抜くことになる。
 カトリは光流にパートナーになってくれるよう頼み込む。最初は得体の知れない戦いに巻き込まれるのを嫌がった光流だが、優勝者のパートナーには一つだけ願いを叶える権利が与えられると聞いて、喜んでパートナーになることを了承する。
 こうして光流とカトリはパートナーとなり、神様決定戦に参加することになった。しかし、実はカトリは神様候補の中で最低ランクの落ちこぼれであった。はたして光流は、頼りないカトリと一緒に神様決定戦を生き抜いていけるのだろうか‥‥。

〜世界設定〜
異世界人 異世界で暮らすヌイグルミのような外見をした生き物。言語を話し、現代世界の人間とほとんど変わらない知性を持っている。外見は様々で、人型や動物型、無機物型など、大きさはだいたい30センチほど。その造型に関係なく、空を飛ぶことができる。また現代世界では、人間の姿に変身することができる。
パートナー 神様候補に選ばれて、一緒に神様決定戦を戦うと誓った者。彼らは、神様候補から魔法の力を与えられると、その姿を変身させて(必須)魔法を行使することができる。パートナーは人間でなくても良い、ただし生き物でなければならない。
魔法 異世界人が使うことのできる不思議な力。現代世界では、パートナーにその力を与えることによって使うことができる。異世界人にはそれぞれ得意な魔法属性があり、第一魔法にその属性(炎、水、身体強化など)が反映された魔法、その後第二魔法からは属性に特性を現す単語(炎の『壁』、『強い』身体強化など)を加えていく魔法が使えるようになる。第二魔法は単語が一つ、第三魔法は単語が二つといったように強くなっていく。ただし、それぞれ一つずつしか覚えられない(第二魔法を二種類覚えるなどはできない)。
パワーストーン 神様候補達が現代世界にいるために必要な特殊な石。候補達はかならずこの石を持っており、これがなくなると異世界に強制的に戻されることになる。
闇の神様候補 過去の事件のため、迫害され僻地へと追いやられた「闇」属性の一族の神様候補。闇の一族は、自分達の不遇を、現在の神が「光」属性であることだと思い、闇の時世を作るため、神様を目指している。しかし、この候補者はより深い闇に心を囚われており、全てを無に返すことにより何もかもを終わらせようと考えている。この者の真の属性は「虚無」。
最終戦会場 異世界にある神様決定戦の最終戦が行われる会場。光流達の世界と、カトリ達の世界の狭間にあり、門さえ開けばどちらの世界からも来ることができる。オーロラのような空間に浮いた島といったイメージの場所。基本的に試合会場以外なにもない。光流と仲間達は、見届け人の少年に導かれ来ることになる。

〜次話あらすじ〜
 ついに長かった神様決定戦も最終戦となり、光流達も最後の三組に勝ち残ることができた。しかし光流達は、準決勝で圧倒的な力を見せ付け、その本性を現した闇の神様候補に、不安を隠せずにいた。
 最終戦当日、試合は光流達の世界とカトリ達の世界の中間に位置する場所で、行われる。そこには、異世界の住人達が自分達の命運を決めるこの戦いを見るために集まっていた。そして、現在の神、カトリの父も姿を見せる。
 ついに戦いが始まった。圧倒的な力を持つ闇の神様候補に、劣勢を強いられる光流達。そして、闇の神様候補の「虚無」の力が、光流達を飲み込んでしまう。
 何も無い、存在さえも消えてしまう世界に飲まれ、消えてしまいそうになる光流。しかし、そんな時、いままで出会ってきた者達の想いが光流を包み込む。その想いに、光流とカトリの最後の第五魔法が発動する!

〜登場人物〜
蛍崎光流(CV:牧村ユミ) 本編の主人公。運動神経抜群の中学二年生の少女。明るく元気で、ちょっと勝気な性格。偶然異世界人カトリと出会い、神様決定戦のパートナーに選ばれる。愛称はヒカル。
異世界人カトリ(CV:南方雄治) 本編のもう1人の主人公。異世界より神様決定戦に参加する神様候補として現代世界に現れた。
ライバル達 神様候補とそのパートナー達。様々な願いを持って戦いに参加し、光流やカトリと対決していく。また、何かのきっかけで仲間になったりする。
光の鳥ミライ 光の鳥の姿をした神様候補。現在の神の娘の一人で、カトリや光流とは異母兄弟。光流を手助けするなどしているが、神の妻の息子であるカトリは敵視しており、もし対決することになれば躊躇しない。
見届け人 神様決定戦を管理する少年。不老長寿を得た、かつての神様のパートナー本人。
闇の候補者 迫害された闇の一族で、神となり全てを無に返そうとする候補者。
現在の神 前回の神様決定戦で勝ち残り、神となった異世界の神。善人であり世界を平和的に統治しているが、根っからのナンパ師で、数多くの女性と関係を持っていたとか。カトリ、ミライ、光流の父親でもある。

〜備考〜
 パートナーの変身はいわゆる魔女っ子物などの服装の変化といったイメージ。また、異世界人はパートナーが変身すると、本来の姿(ヌイグルミ)に戻る。変化するのは服装のみで、その人を知っている者にはもちろん気づかれる。
 今回は、神様決定戦に負け、異世界へと帰っていった全ての神様候補が登場する。また、光流を助ける想いの声は、全てのキャラから選ばれて登場することになる。

●今回の参加者

 fa2573 結城ハニー(16歳・♀・虎)
 fa2738 (23歳・♀・猫)
 fa3426 十六夜 勇加理(13歳・♀・竜)
 fa3863 豊田そあら(21歳・♀・犬)
 fa4643 夕波綾佳(20歳・♀・犬)
 fa5559 黒羽ほのか(20歳・♀・鴉)
 fa5629 式部さやか(17歳・♀・猫)
 fa5820 イーノ・ストラーダ(23歳・♂・狐)

●リプレイ本文

 虚無の龍に飲み込まれた光流は、何も無い空間を漂っていた。そこは、完全な闇に包まれ、自分以外の何も無かった。消えそうになる意識で、新しく目覚めた第五魔法『消えること無き無数の命の煌きの光』を唱えるも、それさえも虚無の中に消えていってしまう。
「光流ちゃん、しっかりして!」
「っ!! 今の声! ありすちゃん!?」
 頼みの第五魔法さえ消え、絶望しそうになった光流を激励する声。その声の主は、ありすであった。
「光流、良く聞いて‥‥ここは何も無い虚無の世界‥‥この世界では魔法さえも力を失い、消えてしまう」
「うん‥‥」
「でも、光流‥‥貴女の魔法は違う。その第五魔法は、人の想いを力に変えて、希望という光を生み出す力」
「でも‥‥その光も消えてしまった‥‥」
「諦めたらそこで終わっちゃうから駄目よ! 光流、聞こえるでしょう? 貴女を呼ぶ、みんなの想いの声が!」
「想いの‥‥声?」
 ありすの言葉に、光流は耳を澄ます。すると、何も無いはずの世界に、光流を呼ぶ声が聞こえてくる。
「光流さん! 光流さん、返事をして!」
「千尋くん!?」
 その声はクラスメイトであり、ここまで一緒に戦い抜いた仲間、風祭千尋だった。
「光流さん、ぼく、言ったよね。この戦いが終わったら、俺の言葉への返事を聞かせてもらうって。ぼく、まだ聞いてないよ‥‥。でも、光流さんは約束を破るような人じゃないって、知ってる。だからぼく、信じてるよ、光流さんが絶対に戻ってくるって‥‥」
「千尋くん‥‥」
「神とか、そんな事じゃない。ぼくは光流さんの夢を見たいんだ、だからこの声が届いていたら、返事をしてよ!」
「千尋くん! 千尋くん!」
 その声に、必死でその名を呼ぶ光流。そして、また新しい声が聞こえてくる。
「ヒカルちゃん! 私、まだ戦っています! ヒカルちゃんが戻るまで、絶対に諦めません!」
「すばるちゃん!」
「ヒカルちゃんは、元気で、可愛らしくて、優しくて、素敵で‥‥そして、強い人ですもの! 絶対戻ってくるって信じてます。私の大好きなヒカルちゃん!」
「うん‥‥うん‥‥私も大好きだよ、すばるちゃん!」
 光流達が龍に飲み込まれた後も、光流を信じて戦い続けるすばるの声に、光流は涙を流しながら必死に声を張り上げる。ふと見れば、光流の周りに淡い光を放つ球体が現れはじめる。そして、また新しい声が。
「光流ちゃん♪ お母さん、もう待ちくたびれちゃったわ。早く帰ってきてね?」
「お母さん!?」
「光流ちゃんは強い子だから、いつも元気に振舞って、お母さんを心配させまいとしてくれたわね。でも、お母さんは知ってるのよ。本当は、一人で寂しかったって‥‥」
「‥‥お母さん」
 光流の母、蛍崎優子の言葉に、一瞬表情を曇らせ俯く光流。
「でも、カトリ君が家に来てくれて本当に良かったわ。二人はまるで兄妹みたいで、お母さんも嬉しかったの。それに、光流ちゃんにはこんなにも多くのお友達が出来て、もう一人じゃないわね?」
 優子の優しい声、そして光流の周りには無数の光と光流を呼ぶ声が聞こえてくる。
「うん‥‥私はこの神様決定戦で多くの出会いをした‥‥それはみんなかけがえの無い思い出だよ」
「そうよ光流! 貴女にはこんなにも、貴女を想う声がある!」
「うん!」
「さぁ、もう一度、第五魔法を唱えて。私も一緒に魔法を唱えるから。私とミュウが使える呪文は後一回が限度、つまりチャンスは一度という事‥‥魔法で隙間が広がった瞬間に貴女は飛び出しなさい!」
 いつのまにか、光流の隣にはありすの姿が。無数の光は、虚無の闇を照らし、どんどん輝きを増していく。
「さぁ行くわよ‥‥グラビテ!」
「うん! エターナ・ゼウン・ライフ・グライテリオン!」
 光流とありす、二人が魔法を唱える。そして、虚無の世界は眩い光に包まれた。

「すばる‥‥これ以上戦い続けても無意味です‥‥それに貴女もすでに限界を‥‥」
「ミライさん、貴女まで諦めてどうするんです。大丈夫、ヒカルちゃんは、必ず戻ってきますわ!」
 茜を見据えながら、パートナーの光の鳥ミライの言葉に首を振るすばる。しかし体力的にも精神的にも限界は近く、額から汗を流し、肩で息をしている。
「面倒だし、そろそろ決めちゃわない?」
「そうやな、本田さん、悪いけどあんたにもそろそろ消えてもらうわ‥‥ゼウン・ロキ・シャドネス!」
「ヒカルちゃんが帰ってくるまで、まだ終われません! ゼウン・ボルテオン!」
 レベッカの言葉に頷き、茜は再び虚無の龍を召喚する。それに対し、すばるも雷の巨鳥を召喚するが、その力の差は一目瞭然。多くの見守る視線の中で、ついに戦いに決着がつかんとする。
「やめなさいレベッカ!」
「お、お母様!? そんな‥‥光の手の者に落ちて‥‥生きていらっしゃったんですか!」
 そこへ、レベッカを静止する声。現れたのは、闇の一族の総帥にしてレベッカの母、シェーラであった。レベッカは信じられないものを見るように、シェーラを見つめる。
「ええ‥‥、私は敵に襲われた後、生きていることを隠して姿を消していたの。ごめんなさい、レベッカ‥‥」
「いえ‥‥でも、生きていたのなら何故教えてくれなかったの! 光の一族に殺されたと聞いて、私は‥‥」
「それには事情があったの。でも、まず伝えなければならないことがある。そこに居るのは前回優勝者ラインハルトなんかじゃない! そして、身を隠していたのは、彼を助け出すためよ」
 シェーラは、会場の一番上の席にいる、現在の神ラインハルトを指差す。そして、次にシェーラの隣に現れたのはもう一人のラインハルトだった。
「え!? ど、どういうこと? それに、ラインハルトは我ら闇の者の仇のはず、なぜお母様と一緒に!?」
「レベッカ‥‥良く聞きなさい。ラインハルトは貴女のお父様よ」
「レベッカ‥‥やめろ! お前は虚無の使者に操られていたんだ! お前とカトリこそ‥‥真の兄弟‥‥なんだぞ」
「貴女がお父様‥‥い、今更そんなこと!」
 シェーラともう一人のラインハルトの言葉に動揺するレベッカ。そして、会場の全てが、突然のことに大きなどよめきを発する。
「お母様の話が本当なら、敵はカトリじゃない‥‥そうよね? でも、もうカトリ達は虚無に消えてしまった。私はもう後には退けないんだ!」
「ヒカルちゃん達なら、大丈夫ですわ♪」
「え‥‥?」
 大きく首を横に振るレベッカ。しかし、その言葉に答えたのは、以外にもすばるであった。満面の笑みを浮かべて、虚無の龍を見上げる。その視線に、レベッカも龍を見つめ。
「あ‥‥」
「ほら、やっぱりヒカルちゃんは素敵ですわ♪」
 龍を象る虚無の闇、そこに亀裂が入り、眩い光が溢れ出す。そして、その光の中から人影が。
「ヒカルちゃん!」
「光流さん!」
「ただいま、みんな! そして、アカネちゃん、レベッカ!」
「ヒカルちゃん‥‥無事やったんか‥‥」
「なんで、どうやって‥‥」
 光から現れたのは、光流達。光流は、すばるや千尋に手を振り、そして茜達に微笑みかけた。
「役者は揃ったな。お前達が争う必要はない‥‥真の敵は‥‥アイツだ!」
「正体を曝け出しなさい! 光の略奪者」
 帰還した光流達を見て、満足そうに大きく頷いたラインハルトは、神の座にいるラインハルトの偽者を指差した。そして、シェーラが鋭く言い放つ。やがて、偽者は巨大で禍々しい虚無の姿へと変貌し、世界全てを飲み込もうとする。
「そっか、お母ちゃんを殺したんもコイツら。ごめんな光流ちゃん‥‥アタシ、取り返しつかん事する所やった」
「ううん‥‥みんなあいつに騙されてたんだから、しかたないよ。アカネちゃん、力を合わせよう!」
「もちろんや! よっしゃレベッカ! そろそろ全開でいこか」
「茜、了解よ! カトリ、一か八か合体呪文でいくよいい?」
「うん、でも一か八かじゃないよ、絶対に成功する。だって、僕らは兄弟なんだし!」
「それじゃいくわよ!! エターナ・ゼウン・ライフ・グライテリオン!」
「全力全開! ゼウン・ロキ・シャドネス!」
 光流と茜、カトリとレベッカが力を合わせ、虚無の闇へと魔法を放つ! 光と闇、相反する力、しかし二つの力は混ざり合い、世界を生み出す力となって虚無の闇を討ち払う。そして、虚無の闇は消えていった。

「レベッカ、そしてカトリ‥‥貴方達二人を今回の優勝者とします」
「神の権限として、キミ達二人揃って今回の優勝者とする」
 その後、神様決定戦は、ミライが辞退し、カトリとレベッカが次の神様ということになった。いままでは、神は一人となっていたが、今回の事件から複数人選ばれることとなったようだ。多くの歓声と祝福を贈られる二人。
「ほ、本当に僕でいいのかな‥‥」
「なに言ってるのよ。私の弟なんだから自信を持ちなさいよ。明日から私を『お姉様』と呼びなさいねカトリ」
「ええ!? 僕が弟なの!!」
 レベッカの言葉に焦るカトリ、そんな二人を微笑ましく見るラインハルトとシェーラ。
「シェーラ‥‥僕は今も君を愛している。神でなくなった私の妻になって貰えないだろうか」
「ごめんなさいねラインハルト‥‥私も意固地になっていたわ。随分遅くなったけれど貴方のプロポーズ謹んでお受けいたします」
「‥‥あれが私のお父さんなの‥‥お母さんがここにいなくて本当によかったわ‥‥」
「あ、あはは‥‥」
 なにやら、見詰め合って二人の世界に入ってしまったラインハルトとシェーラの様子に、呆れた表情を浮かべる光流。その後、光流も初めての父親との語らいを楽しむのだった。

「よしレベッカ、『茜屋』の異世界支店は任せたからな!」
「茜‥‥」
 そして別れの時。本来別々の世界の住人である神様候補とそのパートナー。神様決定戦が終われば、永遠の別れが待っていた。気丈に振る舞い笑顔で別れようとする茜に、レベッカは寂しそうに見つめる。
「アタシが泣いてもうたら、レベッカが‥‥ほな、さよならや!」
「茜!!」
 笑顔の茜、しかしその瞳にはいまにも溢れんばかりの涙。茜は、涙を見せまいと、別れを告げると背中を向けて走り去る。その後姿を見つめながら、レベッカは大粒の涙を零すのだった。
 そして、光流もカトリに別れを告げ、自分の世界へと帰っていく。こうして、光流とカトリの長いようで短い戦いは幕を閉じるのであった。

 それから数週間後。
「お疲れ様でした!」
 撮影を終えて挨拶をするありす。彼女は、再びアイドルとして活躍していた。
「はぁ‥‥あの子、ちゃんと元気にしてるかしら」
 しかし、いまだにミュウのことを忘れられず、ため息をつく毎日を過ごしていた。そんな彼女が、自分の控え室へと戻ってくるとそこには‥‥。
「ミュウ?」
 たしかに、あの日別れたはずのミュウの姿が。ありすは一瞬驚き、そして満面の笑みを浮かべ、ミュウの額にキスをした。
「貴女は今日から夢村ミュウ、私の妹よ。いいわね?」

「お母ちゃん、あんまりラブラブなとこ見せ付けんといてぇな。ほな、アタシは先に帰ってるわ」
 茜は、父親の入院している病院で、看病をしている母親とその父親に手を振って、病室を後にした。あの後、茜は母親が戻ってくることを願い、こうして家族三人で再び過ごすことが出来るようになった。茜にとって、それはとても幸せな毎日で、でもなんとなく寂しさも感じていた。
「ただいま〜‥‥って、誰かおるん? お客さんかな」
 家に帰ってきた茜は、ふと店先に立っている人影に首を傾げた。しかし、それはどこか知っている人物のもの‥‥。
「ただいま茜」
「はぁ? アンタ何してるん?」
 振り返り、茜に微笑みかける人物、それはレベッカであった。
「茜屋の支店任されたのはいいんだけどさ。まだまだ修行不足だと思ってね‥‥」
「へーそうなん? じゃあまたアタシがビシビシしごいたるから覚悟しいや」
 そんなたわいも無い話をする二人。だが、茜の瞳にはいっぱいの涙。そして我慢の限界のように、レベッカに飛びついた
「レベッカ‥‥大好きやぁぁ!!!!!」
「もお茜、そんな強く抱きしめると痛いよ」
 強く強く抱きしめる茜に、困ったように微笑みながら抱きしめ返すレベッカの瞳からも、涙が流れ落ちていたのだった。

「ええ!? それじゃ光流さんの願いって!」
「そう、『二つの世界がお互いに仲良くなりますように』って願ったの」
 光流の願いの内容に、晴れて恋人同士になった千尋が驚きの声をあげる。光流は、本来別々の世界である二つの世界が、交流することを願っていた。
「まぁ、まだこっちの世界は、向こうの世界を受け入れる準備なんてできてないから、しばらくは今まで通りなんだけどね。でも、少しずつこっちとあっちで交流し始めることになると思うよ。まず最初は‥‥」
「ヒカル〜〜〜!」
 そんな話をしていると、光流を呼ぶ声。それは、やっぱり聞き覚えのある、優しくてどこか頼りなさ気な声‥‥。
「さ、千尋くん、行こ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ、光流さん!」
 その声の主、道の先で手を振る人影に、光流は千尋の手を取って走り出す。希望の満ち溢れた未来という光の中へ。
「おかえり! お兄ちゃん!」

●キャスト
 蛍崎光流
  牧村ユミ
 カトリ
  南方雄治
 風祭千尋
  晨(fa2738)
 戎橋茜
  十六夜 勇加理(fa3426)
 レベッカ
  黒羽ほのか(fa5559)
 夢村ありす
  式部さやか(fa5629)
 本田すばる
  豊田そあら(fa3863)
 光の鳥ミライ 蛍崎優子
  夕波綾佳(fa4643)
 シェーラ
  結城ハニー(fa2573)
 ラインハルト
  イーノ・ストラーダ(fa5820)