Revenge Murderアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
宮下茜
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芸能 |
4Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
18.5万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/05〜05/08
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●本文
陸の孤島と化した洋館で、1人の殺人鬼が目覚めた
心底から湧き出る、言いようのない殺意
たった1人に『復讐』するだけで良かった
それなのに‥‥
それは止められない、罪の上重ね
1つの嘘のために繰り返される、凄惨な悲劇‥‥
陸の孤島と化した洋館で、1人の探偵が目覚めた
不可思議な現象、閃く推理
たった1人を『止める』それが難しかった
その1人が誰なのか‥‥
それは止められない、罪の上重ね
少ない手がかりの中から探る、犯人探し‥‥
≪映画『Revenge Murder』≫
*募集キャスト
・犯人(1人)
性別不問、外見年齢は20以上が望ましい
・探偵(1人)
性別不問、外見年齢は18以上が望ましい
・被害者(1〜3人程度)
性別不問、第1の被害者は20以上が望ましい
第2以降の被害者は何歳からでもOK
・その他
犯人でもなく探偵でもなく、被害者でもない、事件に巻き込まれただけの人
*場所
周囲を深い森と川に囲まれた場所に建つ1軒の洋館
川に架かっていた橋は落とされている
*救助
電話線が切られ、外との通信は不可能だが、明日の朝には対岸に迎えが来る予定
*物語の展開
A、事件に重点を置いたもの
→被害者達にスポットを当てたもので、どのような事件が起きたかの部分に文字数を割く
→洋館到着部分から話が始まり、事件の全容、探偵の推理と続く
→探偵の推理部分は短く、犯人を名指ししたところで終わる可能性大
*内容として組み込めるもの
・メンバーが洋館に足を運ぶこととなった経緯
・それぞれの繋がり(人間模様など)
・事件の詳細
*組み込めないもの
・複雑な謎、探偵の緻密な推理
・犯人の詳しい動機
B、推理に重点を置いたもの
→探偵にスポットを当てたもので、探偵の推理内容の部分に文字数を割く
→探偵の推理から話が始まり、1つ1つの事件の謎を解明しながら犯人を追い詰めていく
→事件が終わったその後の話となる
*内容として組み込めるもの
・複雑な謎、探偵の緻密な推理
・事件の詳細(謎を解明していく際に口頭で)
*組み込めないもの
・メンバーが洋館に足を運ぶこととなった経緯
・それぞれの繋がり(人間模様など)
*展開によっては組み込めそうなもの
・犯人の動機(詳しいものは組み込めない)
C、その後に重点を置いたもの
→犯人にスポットを当てたもので、探偵に名指しされた後の展開に文字数を割く
→探偵が犯人を名指しするところから始まり、犯人の動機、その後の動きへと変化する
→大人しく犯行を自白するも、最後の悪あがきとして何か行動を起こすもOK
*内容として組み込めるもの
・犯人の詳しい動機
・それぞれの繋がり(犯人が話す形)
*組み込めないもの
・複雑な謎、探偵の緻密な推理
・事件の詳細
*展開によっては組み込めそうなもの
・メンバーが洋館に足を運ぶこととなった経緯(犯人が喋れば)
●リプレイ本文
雨は、人の運命を狂わせる。山多(小野田有馬(fa1242))は掃除をしていた手を止めると、小さな雫のついた窓に視線を向けた。細かい雨が庭に降り注ぎ、右往左往している人物の上に冷たく降り注ぐ。
(雨の日は、客人が多くなる)
こんな寂れた場所にある洋館でも、周囲は綺麗な森に囲まれている。その森目当てで来て、雨に降られればしのげる場所はここしかない。
「何か御用ですか?」
柔らかい笑みを浮かべながら、玄関の扉を開ける。
「‥‥!!‥‥えっと、スミマセン、急な雨に困ってて‥‥軒下でいーんで、雨宿りさせて貰っていーですか?」
「軒下だなんて‥‥もうこんな時間ですし、山の夜は早いものです。宜しければどうぞお休みに」
「有難う御座います」
人当たりの良さそうな緩い笑顔を浮かべ、背負っていたリュックを下ろすと鬼頭(四菱ベンジャミン(fa5286))は頭を下げた。
「咲、ちょっと‥‥」
山多の声に、廊下の奥から咲(各務聖(fa4614))がパタパタと走って来る。
「これからもお客さんが来るだろうから、お迎えをお願いできるかな?」
「はい。分かりました」
「‥‥今夜は、賑やかになりそうですね」
「近くの川まで釣りに来たんだけどさ、この雨でしょ?うひゃーって困ってた所でコチラを発見して、もー正に地獄に仏ってやつ♪」
「俺達もキャンプに来てた途中で降られて困ってたんです」
「さっきまではあんなに晴れてたのに、急に天気が悪くなるなんて‥‥何だか気味が悪いわ」
鬼頭と良(Rickey(fa3846))が山多にそう説明を入れ、香(椎名 硝子(fa4563))が視線を落としながら呟く。銀城(銀城さらら(fa4548))と一郎(結城丈治(fa2605))が簡単に自己紹介をし、趣味の写生のために近くまで来ていたという樹(鈴木悠司(fa5189))が、咲が落としそうになったカップを掴む。それを返そうとした時、咲の顔を覗き込み、目を丸くした。
「咲ちゃんって‥‥」
「大丈夫です」
樹が言葉を続ける前にそう言うと、咲は慣れた手つきでカップを客人達の前に置いて行った。
「竿とかは慌てて置いてきちゃったんだよ〜、流されてないといーけど」
「この雨ですからね、どうでしょう」
山多が窓の外に視線を向ける。客人達も視線の後を追い‥‥その中で1人だけ、鬼頭の異様に汚れたズボンと靴に視線を注いでいる者がいた。
各部屋に自分の荷物を置いた後で、樹と香が山多の夕食の準備を手伝う。咲がテーブルの上にフォークやナイフを揃え、山多の指示に従ってお皿やコップを取り出す。
「ここは自然が美しいんですが、屋根のある施設が他にないんですよ。だから、雨の日にはお客さんが多くなるんです」
「お兄さん、お皿はどっちが良いですか?」
「右のが丁度良いかな」
「‥‥あの」
「咲は私の姪なんですよ。目が不自由でしてね、目と心の静養のためにと、妹から預かっているんです。私はこの洋館の持ち主から住み込みで管理を任されているんです」
「そうだったんですか‥‥」
「でも、見た感じでは分からないですよね」
香の言葉に軽く微笑むと、山多は壁掛け時計を見上げた。
「お兄さん、お客さん、呼んできます♪」
「よろしくお願いね」
楽しそうにそう言って、小走りに去って行く咲の後姿を見つめる。
「良い子ですね、咲ちゃん」
「えぇ。でも、もっと我が侭を言っても良いのに‥‥」
(どうしてアイツがここにいるんだ?何でへらへら笑ってられる!?)
どす黒い感情が燃え上がり、思わず壁を叩く。冷静になろうと深呼吸をした時、ふと何かが耳元で囁いたような感じがした。小さな囁きに従い、目の前の扉を開ける。そこは、様々な小物が置かれたコレクションルームだった。綺麗な白い羽、金色のオルゴール。その中に、キラリと光るものがあった。その前に立ち、手を伸ばす。思ったよりも重量はなかった。しっくりと手に馴染む大き目のナイフは、復讐と言う2文字を声高に訴えているようだった。
「ついてねぇ。ブツを掘り起こせなかったばかりか、こんな山奥で一泊かよ。何か足しになるもんねーかな」
笑顔の消えた顔で煙草に火をつけると、鬼頭は室内を物色し始めた。何もなさそうな室内に溜息をついた時、軽いノックの音が聞こえ、鬼頭は笑顔を浮かべるとドアを開けた。
「何か用ですか?」
「‥‥お前さえいなければ」
低い声に首を傾げた次の瞬間、腹部に熱い痛みが走った。足元に鮮血が落ち、口に銜えていた煙草が血溜りの上に落ちて火が消える。唇の端から血が滴り、見開いた目で相手の顔と自分の腹部を見比べ、ふっと白目を剥いて後ろに倒れこむ。『犯人』は倒れた彼の上にしゃがみ込むとナイフを抜き、それを振り下ろした。
とっくの昔に事切れた鬼頭を前に、犯人は頭を抱えた。
「何て事をしてしまったんだ!」
いくら大切な人を奪ったヤツとは言え、何も殺す事はなかった。そう、ただ話をしたかっただけなのだ。相手が暴力に訴えるかも知れない、だからナイフを持っただけなのだ。殺すつもりはなかったんだ!‥‥死体の横に膝をつき、これからの事を考えようとした時、不意に扉が開いた。
「鬼頭さん?夕食に呼びに来たんですけれど、どうかされましたか?」
咲の嗅覚が血を嗅ぎつけ、視線が足元へと落ちる。犯人は立ち上がると、咲の胸にナイフをつきたてた。
「どうしてこんな時に‥‥」
犯人の声が、咲の耳に届く。唇が犯人の名前を紡ごうとした刹那、意識が闇に呑まれた。咲が足元に崩れ落ち、犯人は血に染まった自分の掌に視線を落とした後で、ふっと溜息をついた。
(どうやら、忙しい夜になりそうだ)
急いで2人の死体を別々の場所に隠し、電話線を切る。窓の外は、荒れ狂うような嵐になっている。‥‥遠くから、低い地響きのような音が聞こえて来た。
(橋のロープが切れたのか‥‥?)
運さえもこちらに味方している。犯人は口元に邪悪な笑みを浮かべると、ナイフを折りたたんでポケットに押し込めた。
客人達に先に食べているようにと勧めた後で、食卓の場に現れない鬼頭と咲を探しに山多が席を立った。銀城と一郎、良がそれならばと手をつけ始め、樹と香が顔を見合わせると山多の後を追って席を立つ。
「洋館って夜だと怖いわね」
「そうだね。‥‥2手に分かれた方が効率は良いけど、どうする?」
「勿論分かれるわよ。早く見つけて食事にしましょう」
香と分かれて洋館内を歩き回っていた樹は、ふと足元に光るものを見つけて立ち止まった。どうやらどこかの部屋の鍵らしい。誰が落としたのか分からないながらもポケットへとしまった瞬間、目の前の扉に僅かに血が付着しているのに気がついた。恐る恐る物置の扉を開き‥‥悲鳴をかろうじて飲み込んだ。慌ててその場を後にし、途中で山多と香を見つけると叫んだ。
「も、物置に死体がっ!!咲ちゃんが!!」
「咲!!何で、誰がこんな事を!!」
山多が咲に縋り付き涙を流す。鬼頭も死体で発見され、電話線も切られている事を知った面々は沈痛な面持ちで山多と咲を見つめていた。
「これってどういう事!?この中に犯人がいるって事じゃない!」
香が半乱狂になりながら叫び、片っ端から疑いの眼差しを向ける。銀城もそれに引きずられてヒステリックな声を出し、樹が唇を噛みながら抗議の言葉を紡ぐ。
「皆良い人だし、さっき会ったばかりだよ!?理由だって無いし、第一人なんか殺せるわけないよ!」
樹が駆け出し、自室へと戻る。香もこの場に居たくないと呟いて部屋に引き上げ、銀城と一郎も背を向ける。良が物置に押し込まれていた毛布を取り‥‥
「目が見えるようになったら遊園地に行こうねって約束したのに‥‥」
山多の言葉に、一筋の涙を流した。
軽いノックの音に、樹は扉を開いた。
「どうしました?」
「鍵、持ってるよな」
「えぇ、あの鍵って‥‥」
樹の目が見開かれる。深々と突き刺さったナイフに視線を落とし、ゆっくりと目を閉じる。
「もう、こうするしかないんだ」
足元に倒れこんだ樹の体をまさぐり、ポケットの中から鍵を探し当てた時‥‥ふと背中に気配を感じ、振り返った。
「‥‥夕食前に凄い音がしたの、覚えてます?あれは橋が落ちた音なんでしょうね。その前後に‥‥恐らく前でしょうが、鬼頭さんと咲さんはほぼ同じ時間に殺害された。貴方が本当に亡き者にしたかったのは鬼頭さんで、咲さんは偶然その場に居合わせただけなんでしょうね。鬼頭さんの遺体は酷く傷つけられていましたからね」
「一郎さん‥‥」
「咲さんを倉庫へと運ぶ途中で、貴方は自室の鍵を落とした。そして、それを樹さんに拾われた」
小さな鍵を手の中に丸め込む。
「数時間前に会ったばかりの人に、強烈な殺意を抱く人間はいないでしょう。何度も遺体を傷つけるなんて、相当恨みがこもっている。俺は昔刑事をやってましてね、今は造園業を営んでます。今日は銀城の写真集の関係で呼ばれましてね。まぁ、驚きました。何せあの鬼頭が目の前にいるんですからね。現役時代ずっと追ってきた男と‥‥被害者の恋人が、いるなんてね」
「俺は‥‥!」
「復讐しただけ?‥‥馬鹿を言ってはいけません。貴方は、何の罪も無い咲さんと樹さんを、己の保身のためだけに殺めたんですからね、良さん」
良が足元に鍵を落とし、その場に膝をついた。静まり返った洋館に、冷たい雨が落ちる音がやけに大きく響いていた。