30 seconds CM roseアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
宮下茜
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
2.5万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
10/06〜10/08
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●本文
憂いを含んだ瞳を手に持った紙に落としながら、ユナがゆっくりと顔を上げると細く長い髪を背に払った。
「私がイメージガールをしている“Sweet Paradise”が今度、口紅を新しく出すことになったの。それで、貴方達には30秒のCMを作ってきて欲しいの」
新しく出される口紅の色は3種類。
“小悪魔ローズ”“セクシールージュ”“ピュアオレンジ”
今回は“小悪魔ローズ”のCM依頼だった。
ラメの入った淡いピンク色の口紅は、10代半ばから20代後半までの女性をターゲット層に指定している。
「一応補足としてなんだけど、小悪魔なローズって言うのは別に商品名じゃなく、先方のイメージ。つまり、CMの内容を小悪魔風にしてほしいみたいなの」
私がイメージガールじゃあんまりイメージわかないと思うのだけれど・・・と口の中で呟きながら、ユナが必要事項を書いた紙を配った。
*以下のことをよく守り期日までにCM案を考えてくること
・曲は25秒程度(30秒CMのうち5秒はブランド名や商品名などを伝えるために無音に)
・ブランド・商品名宣伝のための無音はCMの最後の5秒
・CM内容は詳細なイメージ案を紙に書いて提出(これも25秒程度)
・CMにはユナおよび自分(歌い手・演奏者)も登場すること
・CM内容は、歌詞とリンクさせて『〜のフレーズの時に〜する』と言う書き方でもOK
・また、歌詞とはリンクさせずに個別に書いてもOK
・当日は実際に歌ってもらうので、バックバンドがいない場合は事前にテープを提出すること
→バックバンドはこちらでは用意しません
・当日の演出は一切不要。歌に専念すること
「CMに採用する曲は1つ。今回は先方からの大まかなイメージがあるから気をつけて」
選考ポイント
・曲・CM案とブランドのイメージが合っているかどうか
・25秒以内におさまる内容かどうか
・歌詞内容の明確性(歌詞が伝えたい内容)
・曲・CM案とユナのイメージが合っているかどうか
*“小悪魔ローズ”と言うイメージに合っているかどうか
「もし、曲名があれば明記してね。それと、口紅の名前案も募集中。小悪魔ローズだとあまりにもダイレクトすぎるから・・・。商品名はグループ関係なく個人で1点だしてもらえると嬉しいわ。どうしてその名前をつけたのかの理由も添えてね」
ふっと表情を緩め、ほんの少しだけ笑みを浮かべる。
「小悪魔・・・私が小悪魔できるかどうかは分からないけれど・・・」
儚げなお人形アイドルと言われている自覚があるのか、ユナが寂しそうに視線を手元に落とし、そっと目を伏せた。
「もしグループを組むなら、グループ名を教えてね。CMの右下に小さく“ユナWith”の後に名前が出るから」
●リプレイ本文
○
淡いピンク色の唇の端をキュっと上げて1つだけ頭を下げると、ユナは用意された鉄パイプに腰を下ろした。
「初めまして、sageniteの赤川・雷音(fa0701)とCarno(fa0681)です。よろしくお願いします」
ユナの冷たい色を帯びた瞳と目が合い、雷音とCarnoが立ち上がると頭を下げる。
「お久しぶりです」
柊アキラ(fa3956)の言葉にユナが口元だけに笑みを浮かべ、すっと立ち上がると一同を見渡した。一呼吸置いてからゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ユナと申します。早速ですが、皆さん歌のご用意をお願いいたします」
●鳴瀬 華鳴(fa0506)『双心姫(short.ver)』
ユナが華鳴から手渡されたテープを再生する。前奏無しのアップテンポな曲は全体的に低音で、華鳴の囁くような歌声が旋律を紡ぎ出す。
極彩色の華の雨
闇に咲き誇る迷宮で
誰かが私を呼んでいる
貴女は誰(だぁれ)?
「今、もう一人の私が目を覚ます・・・」
○sagenite【Carno&雷音】『Sugar rose』
ヴァイオリンとピアノ、ミドルテンポよりもやや遅いくらいの速度で甘めな旋律が響く。その上に高音のCarnoの歌声が重なり、誘うような幻想的な曲が紡がれる。
甘い吐息はillusion
ガラスごしにキスをした
君の唇に捕らわれて
堕・ち・て・ゆ・く・・・・・・
●E.O.A【セーヴァ・アレクセイ(fa1796)】『innocent vamp』
ジャズを思わせる軽いアップテンポのピアノの旋律が響く。スポンサーが求めるイメージよりも、ユナのイメージで考えた“小悪魔”。どんなに素敵で可愛くて好きでも、恋心に気付いてもくれない女の子は“小悪魔”だ。セーヴァはそう思っていた。すぅっと息を吸い込み、マイクへと口を寄せる。
澄んだ瞳 でも僕を映さない
可愛い唇 でも僕の名を呼ばない
君は僕の小悪魔
○彩(いろどり)【アキラ&雅楽川 陽向(fa4371)】『Brilliant Color』
前奏無しのアップテンポなピアノの音は、変則的で惑わすような旋律だった。最初は柔らかく伸びた音だったのに、途中から音が飛び跳ねる。
ありふれた日常に
綺麗な色注して
鮮やかに流れていく時の先
ふれたいと思わせて
させない 唇の
ワガママな私だから
惹かれてよ
●笙(fa4559)『Temptation Smile』
ドラムの軽いリズム、ポップに弾けるキーボード、アクセントに入れたエレキギターの旋律・・・都会の日常の一片をイメージした曲は、前奏ナシで笙の透き通った歌声と共に響いた。
平凡な色の世界 キミと出会い華やぐ
もう戻れない 巡り会う前には
悪戯な微笑みが 僕を捕らえ離さない
甘い誘惑に完敗
○
全員の歌を聞き終わると、ユナが眉根を寄せながら困ったように口を開いた。
「皆どれも素敵で、私もいくつか心惹かれたCM案があったのだけれど、残念ながら先方は良い返事をくれなかったの。ただ、店頭用のCMとしてならと言う事で、sageniteのお2人のCMと笙さんのCMは採用することになりました。笙さんのCM案は、地図を口紅で描くって言うのが斬新で面白いなって。広い年齢層に受け入れられるCMになりそう。Carnoさんと雷音さんのCM案は、大人っぽくてとても素敵。思わず目をひきつけられる色っぽいCMになりそうね。2つのCM案ともとても良い雰囲気で、小悪魔をよく表しているけれど、残念ながらCMが駆け足になってしまうの。だから、店頭用のCMとして、もう少し長いバージョンで作り直してもらえるかしら?」
Carnoと雷音が顔を見合わせて少し戸惑ったように頷き、笙もややあってから首を縦に振る。
「商品名は、セーヴァさんの『innocent vanp』を採用したいと思います。無邪気さを持っている小悪魔にはピッタリの名前だって、先方がとても喜んでいたわ。それと、セーヴァさんにはもう1つ頼みたいのだけれど・・・CM案の画がとても綺麗なの。だから、ポスターに使えないかなって。ピンクの薔薇の雨と絨毯、グランドピアノ・・・とても幻想的で素敵なの」
真っ直ぐなユナの瞳を受けて、セーヴァが視線をそらしながら頷く。
「華鳴さんのCM案は簡素にまとまっていて良いなって思ったのだけれど、歌い手の方がイメージガールよりも目立っているような案は採用できないと言われて却下されてしまったの。セーヴァさんの案は画が綺麗なんだけれど、インパクトに欠けると言うか、説明がないとよく分からないかなって。彩の2人の案はシーン1と2の繋がりが曖昧で1つのCMとしては見にくいかなって。シーン2だけの方が良かったかも知れないかな」
ユナはそこまで一気に言うと、ふっと息を吐いた。
「とりあえず、セーヴァさんと笙さん、Carnoさんと雷音さんはまた今度打ち合わせをしましょう。それにしても・・・」
ユナが視線をCarnoと雷音へ向ける。
「エスコート役をコイントスで決めるなんて斬新で面白いわね。それと、キスシーンなんだけれど・・・」
「あ、そこはふりで・・・。もし、ふりじゃなくていいなら役得ですね」
Carnoがそう言って微笑み・・・ユナがすっと目を細めると薄っすらと色付いた淡い色の唇の端を上げる。
「本当にしてしまっても良いのかしら?」
クスっと音を立てながら微笑むユナに、Carnoがどうしたら良いのかと救いを求めて雷音に視線を向けるが、困ったような顔をした後で視線をそらされてしまう。他の人も、苦笑しながら軽く首を振り・・・
「ユナさん、今のこそCMに使えそうですよ」
アキラの言葉に、華鳴と陽向が明るい笑い声を弾けさせる。
「女性は口紅1つでイメージを変えることが出来るから、凄いと思う。俺達男には到底マネできないな」
雷音の呟きを聞いた陽向が、ユナの手元に置かれていた口紅を指差して無邪気な言葉を向ける。
「やってみなくちゃ分からないじゃないですか。どうです?口紅」
「いや・・・遠慮しておくよ」
雷音が苦虫を噛み潰したような表情で首を振り、女性は手強いなと誰ともなしに呟くとクスクスと音を立てて笑い始めた・・・。
●ユナ with 笙(店頭用CM“道案内編”)
住所を書いたメモを手に、目的地が見つからずに困った様子で周囲を見渡している青年(笙)。その姿を見ていたユナがそっと肩を叩く。首を傾げ、一生懸命に話を聞こうとしているユナに身振り手振りを交えながら説明するも、要領を得ずに困り顔の笙。
地図を描こうとするが、筆記具がない・・・。
ユナの表情が少しだけ困ったように歪み・・・ふっと、なにかに思い当たったのか、ポーチから口紅を取り出し真っ白なハンカチを広げるとそこに地図を描く。淡いピンク色で描かれた地図を笙に手渡しながら、これで大丈夫かと尋ねるように笑顔で軽く小首を傾げる。無意識に蓋をした口紅を口元に当てて微笑むユナ。
描かれた地図の色と唇の色が同じことに気がつき、ドキっとした様子で固まる笙。慌ててお礼を言い、頭を下げ・・・立ち去るユナを見送る。
ユナを映し出していた画面がどんどん唇に近づき・・・その口元がクスっと微笑む。
○ユナ with sagenite(店頭用CM“パーティー編”)
赤い絨毯の敷かれたパーティー会場の入り口に滑り込むオープンカー。グレーのスーツに蝶ネクタイ姿の男性(Carno)が、黒のイブニングドレスに身を包んだユナに軽く手を上げる。胸元のレースを揺らしながらユナがCarnoに近づき、その胸元を飾っていたピンクの薔薇をすっと抜き取ると花びらに口付けを落とす。
車のキーを持って会場から出てきたマロンブラウンのスーツに蝶ネクタイ姿の男性(雷音)がその光景に目を奪われ・・・ユナがその視線に気付き、すっと目を細めて微笑む。
助手席のドアを開け、Carnoがユナに手を差し出すと、ユナが細く白い手をその上に重ねる。運転席におさまったCarnoにユナが甘い視線を送り・・・そっと目を閉じ、ユナと唇を重ねる。
目が離せない雷音。ユナが片目を開け、雷音と視線を合わせるとパチリと1つだけウィンクを向ける。手に持っていたピンクの薔薇を雷音にそっと投げ・・・
Carnoがハンドルを握り、車が走り出す。助手席に座ったユナが微笑みを浮かべながら去って行き・・・雷音が受け取った薔薇の花を1枚、そっと千切ると口へと持っていく・・・。
『Sweet Paradise』
『“innocent vamp”』