IF 自称名探偵アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
宮下茜
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芸能 |
4Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
18.5万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/23〜05/26
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●本文
洋館の中で発生した殺人事件。
運良くというか、運命と言うか、居合わせたのは自称名探偵だった!
‥‥自称なんて怪しいが、とにかく彼に事件を解いてもらいたい!
1人の優秀な助手が彼と手を組み、共に事件の証拠集めに走るが‥‥?
探「そうか、そう言うことだったのか‥‥」
助「探偵さん!犯人が分かったんですか!?」
探「あぁ。犯人は‥‥(指差し)貴方です!」
助「‥‥‥‥‥‥」
探「まず、被害者さんのいた部屋から出てくる人を目撃したと言う家政婦さんの証言により、犯人は右腕に腕時計をはめていた事が分かっています。この中で左利きの人は、貴方しかいないんですよ!」
助「‥‥あの、探偵さん?」
探「ん、何かな、助手君?」
助「右腕に腕時計はめてただけで犯人って決めるのは早くないですか?」
探「どうしてだ?犯人は左利きだから右腕に時計をはめていた。間違いないだろう」
助「あの、ひっじょーに言いにくいんですが、右利きの人でも右腕にはめる事がありますよ。私の友人は右にはめてます」
探「な‥‥!?」
助「それに、被害者さんが殺害されたと思われる時間、容疑者さんは私達と一緒にいたじゃありませんか」
探「それは、な、何かのトリックを使ったんだ!」
助「どんなトリックですか?」
探「紐使ったり、磁石使ったり、何か、ほら、あるだろ?色々、そう言うの」
助「だから、具体的にどんな事をしたんですか?」
探「そ‥‥それは目下捜査中だ!」
助「それに、密室の謎はどう解明するんです?ダイイングメッセージの『笑』と言う文字の意味は?」
探「えっと‥‥」
助「どうして犯人はわざわざ被害者さんに靴を履かせたんです?室内でしたから、履かせる必要はなかったはずです」
探「そ、そんな細かい事は‥‥」
助「ってかオメー、マジで探偵なのかよ?名探偵とか、自称してんじゃねーよ」
言葉遣いが悪くなり、全身で拒絶を表している助手。
自称名探偵大ピンチ!どうする‥‥!?
≪自称名探偵≫
自称名探偵は紛れもない無能探偵だった!
滅茶苦茶な決め付けに支離滅裂な推理。それにいちいちツッコミを入れる助手
そうしているうちにいつの間にか事件は解決の方向へ‥‥?
・探偵がボケ、助手がツッコミとなり何とか事件を解決の方向へと進めていくお話になります
・容疑者や関係者、事件の詳細はお任せします
・話の最後には必ずオチをつけてください
・役名は苗字か下の名前のどちらかだけでOKです
→1文字か2文字のものを推奨します
●リプレイ本文
舞台の片隅で、首には逆結びに絡まったネクタイ、手元には『笑』と言う字の書かれたメモを握り、目を瞑っている薔子(千音鈴(fa3887))。その脇にはメイド服を着た恵美(日下部・彩(fa0117))が膝をついてさめざめと泣いている。
恵「ああっ、何と言う事でしょう。お嬢様、こんな酔っ払いのおじさんみたいな格好で」
昭「動かしてはいけません」
手を触れそうになる恵美をやんわりと制止する昭二(Iris(fa4578))
恵「ああっ!館でメイドで殺人事件。これは連続猟奇殺人事件の前触れかも」
松「そうならないように俺がすぐに解決してみせま‥‥」
恵「ああっ!!!大変!お給料はどうなるのかしら!?今月のお給料は!?」
昭「あ、ちょ、動かしちゃだめーーーっ!!」
昭二が悲壮な声を上げ、松崎(片倉 神無(fa3678))と協力して恵美を羽交い絞めにする。
昭「と、とりあえず、薔子さんは普段どんな事をしていた方なんですか?」
恵「そうですね、部屋で奇声をあげていたり、ふらっと出て行くと暫く音信不通だったり‥‥最近では、電話で頻繁に誰かと言い争っていたようです。時々大金を受け取っていたようですし‥‥」
松「彼女の職業はなんだったんです?」
恵「さぁ、私にもそこまでは‥‥」
昭「そこまでって、超基本プロフィールじゃないですか!?」
昇「ねぇねぇ、ダイイングメッセージって一番伝えたい事を書くんだよね?例えば、犯人の名前とか」
突然部屋に入ってきた昇一(マリアーノ・ファリアス(fa2539))が薔子の脇にしゃがみ、じっと手元の『笑』の字を見つめる。
昭「あちらは?」
恵「知りません!!誰ですか?」
昭「俺に聞かれても知りませんよ!ここの館の子じゃないんですか?」
恵「いいえ、違います。そもそも、この館の事を私に聞かれても困ります」
昭「貴方メイドでしょ!?」
恵「メイドですが、最近やっと1階の部屋割りを覚えたくらいで‥‥」
昭「新しく来たんですか?」
恵「違います!私はこの館に来てもう10年になるんです!小さい頃からお嬢様と一緒に‥‥」
昭「それでまだ不明部分があるんですか!?」
松「助手!関係者を集めろ!」
昭「何か閃いたんですか?」
松「このダイイングメッセージは犯人の名前をあらわしている。名前に『笑』が入っている人が‥‥」
昭「そんな人いませんよ」
昇「でも、笑って『ショウ』とも読むよね?」
松「そうか!!名前の読みが『ショウ』の人を全員呼んできてください、大至急!!」
恵「はいっ!!」
昭「‥‥結局『ショウ』がつくのって俺を含めて3人いるんですが?」
松「この中の誰かが犯人だ!」
昇「僕はずっと皆と一緒にお話したりテレビ見たりしてたよ?」
昭「俺だって、ずっと松崎さんと一緒にいました」
視線が舞台の中央にいる翔悟(日向翔悟(fa4360))へと集まる。
翔「あんなぁ、『笑』は10画『翔』は12画だ。全然似てないし、10画分書く気力が残ってたなら、もっと似た字書いてる!」
昭「確かにそうですよね」
松「だが、他に『ショウ』のつく人はいない!つまり!!この3人の中の誰かが犯‥‥」
昇「でも『松』も『ショウ』って読むよね。松竹梅の」
松「しまった!!バレたかっ!!」
昭「隠してたのかよ!?」
松「しかし、そうするとこの館で『ショウ』がつかないのは3人だけか?」
昭「俺の弟と竹井さん、恵美さんですね」
松「そう言えば葉桐君の姿が見えないが?」
昭「何か、自分で色々調べてるみたいですよ」
舞台の端っこで動き回る葉桐(羽生丹(fa5196))その隣には作業服の上にコートを羽織った竹井(古河 甚五郎(fa3135))の姿がある。軍手に包帯で覆われた頭部、帽子にマスクと言う怪しげな彼は、キョロキョロと周囲を確認しながら不審な動きをしている。
松「普通はああいう人は犯人じゃないんだよな。見た目怪しい人は心は綺麗なんだぜ」
昭「まぁ、あれは流石に注目浴びすぎですしね」
松「でも、アイツが犯人じゃないとすれば話が分からなくなる。きっとアイツが犯人だ!」
昭「はぁ!?今さっき、見た目怪しい人は犯人じゃないとか言ってませんでした!?」
昇「もしかしてあのメッセージって『笑』じゃなく『竹天』だったんじゃないかな?『天』って言う字は、少し縦線をずらすと『井』になるし、書き間違えたんじゃない?」
松「きっとそれだ!あいつは見た目怪しい=犯人ではないという定説をひっくり返すと言う大胆な裏技に出たんだ!おい、助手!彼を捕まえるんだ!」
昭「え、俺ですか?」
松「お前が行かなくて誰が行く!俺は怖いからイヤだしな!」
昭「何ですかソレ!!」
恵「私が行きます!!‥‥お前のやった事はわかっている!犯人は、お前だぁっ!!」
松「あ、それ俺の台詞‥‥」
ビシリと指差された竹井がビクリと肩を上下させる。
竹「あ、あの、あのメッセージは『笑』の周りに『○』が付け足されていたので、『竹・輪・天』で竹輪の天ぷらが凶器だって、弟さんが‥‥」
昭「竹輪の天ぷら!?どんな推理してんだアイツ‥‥」
松「凶器はネクタイで間違いない。そして、お前はネクタイをしていない!」
竹「最初からしてませんよ!」
松「そしてお前は左利きだ!」
竹「どうしてそうなるんです!?」
松「犯人が左利きだからだ!!」
昭「確かに、結び目が逆ですから左利きが怪しいと言えなくもありません。ですが、竹井さんは右‥‥」
松「大体、どうしてマスクなんかしてるんだ!?」
竹「‥‥自分の素顔が見たいと、そう仰るんですね。宜しい、外しましょう!」
松「や、別にいーや。何か怖いし」
竹「乗っけといてソレかよ!?絶対取る!取るったら取る!」
昭「落ち着けよ、お前ら」
くだらない言い争いを始める2人の間に割って入る昭二。竹井がムッキーとなりながらもマスクを取り、その下の包帯を解き、ゴムの白マスクをバリっと剥がし、人工皮膚のメイクを‥‥
昭「どんだけ重装備なんだよ」
竹「これでどうです!?」
昭「そんな勝ち誇ったように言われても‥‥」
粘着物質のせいで眉毛が悲惨な事になっており、さらには目が半分しか開いていない。
松「‥‥彼も犯人じゃないのか」
昭「え!?今の流れの中のドコでそんな決定をしたんです!?」
松「この事件、ずいぶんと複雑なようだな」
ふっと舞台上に沈黙が訪れた時、恵美の足元で寝転がっていた薔子が寝返りを打った。何かが動く気配に昭二が顔を上げるものの、何が起こったのかわからずに首を傾げる。
松「‥‥ひょっとして、俺が犯人なのか?」
昭「はぁ?」
松「じゃなければ、お前が犯人か?」
昭「ぶっ飛ばしますよ」
松「じゃぁ、全員が犯人で、今回の一件は全て俺を陥れる罠!?」
昭「被害妄想ですか?」
松「‥‥お、俺は部屋に帰らせて貰うぞ!これ以上殺人鬼なんかと一緒にいられるか!!」
昭「何自分から死亡フラグたてようとしてるんです!大抵そうやって部屋に閉じこもった人は死んじゃうんですよ!?」
昇「少年探偵昇一、この後すぐ!」
昭「何宣伝してるんだぁぁぁ!!ちょ、止めてくださいよ!!」
恵「メイド探偵恵美、この後すぐ!」
昭「おいいーーー!!!」
竹「あ、今日は薔子さんにガムテープ届けに来たんですよ」
昭「今更かよ!てか、どうでも良いし!」
竹「最近靴擦れに悩んでいたそうで」
昭「絆創膏にしろよ!」
竹「ガムテを馬鹿にするんですか!?ガムテは偉大なんですよ!?世界を支えてるのも、地球を回してるのもガムテなんですよ!?」
昭「ガムテどんだけ偉大なの!?」
竹「そう言えば、探偵さんはノーネクタイなんですね」
松「あぁ。ネクタイの結び方が分からない」
昭「‥‥高校の時学ランだったんですか?」
松「いや、ブレザーで蝶ネクタイにしてた」
昭「ネクタイを!?」
昇「‥‥そもそも、この館には今何人いるの?」
竹「点呼とってみましょうか。それじゃぁ、1」
松「ヤだ!俺が1!」
昭「くだらない主張するなよ!」
竹「じゃぁ、2で」
昭「大人ですね、竹井さん」
昇「3」
恵「4」
翔「5」
昭「俺が6で、葉桐が7」
薔「私が8ね」
松「全部で8人か」
昭「‥‥あれ?8人?今ここにいるのは竹井さんに松崎さん、恵美さんと昇一君、俺に翔悟さん、あと葉桐の7人じゃないんですか?」
恵「薔子さんを忘れてます!」
昭「死んだ人が喋るわけ‥‥」
松「え、待って!薔子って誰!?」
昭「今更かよ!被害者の事だよ!」
松「しょうこ‥‥」
考え込む松崎の前で、薔子があくびをして伸びをする。起きるのかと思えば、再び眠り込んでしまい‥‥
松「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
昭「どうしたんですか!?ってか、何で乙女悲鳴なんだよ!?」
甲高い悲鳴を上げた松崎だったが、ふと目を伏せるとポンと手を打った。
松「‥‥こ、こほん。‥‥えー‥‥‥‥犯人は、お前だ!!」
松崎が指差した先には、驚きに肩をすくめる昇一と、その更に後ろには突然の名指しに目をぱちくりする恵美、そしてその更に先には寝返りを打つ薔子の姿。
松「ふん、複雑に見える事件こそ、簡単なんだ」
恵「え、ちょっと待ってくださいよ!私は何も‥‥」
松「行くぞ、助手。次なる事件が俺を呼んでいる!」
恵「ちょ‥‥!!」
薔「そうよ、私こそが薔子!お笑いに命を賭ける女だわよっ!!」
恵「‥‥え?お嬢様‥‥?」
薔「あー、よく寝た。ネタ考えてて完徹で〜。ふわ〜、まだ眠いから寝るわぁ〜」
恵「ちょ、お嬢様!?せめてネクタイ外してベッドで‥‥って、あ〜」
昇「‥‥‥‥‥‥え、こんなオチ?」