Golden Eye thema songアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 宮下茜
芸能 4Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 難しい
報酬 15.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/04〜06/06

●本文

 呪われた瞳を持つ、1人の少年・零がいた
 右は琥珀色の瞳、左は金の瞳
 零の金瞳は特殊な能力が備わっていた
 過去視・失われた記憶の復元・記憶の消去
 そして、優しく残酷な幻を見せながら相手の命を緩やかに奪う力
 彼はその瞳のせいで周囲から恐怖と嫌悪、同情の瞳を向けられて育ってきた
 両親と兄妹が他界し、天涯孤独の身となった時
 零に手を差し伸べてくれたのは、瞳の力を利用しようとする輩ばかりだった‥‥


*映画『Golden Eye』主要キャスト

・零(ゼロ)
 華奢で低身長、伏せ目がちでどこか危うい雰囲気
 外見年齢は14〜18程度
 金瞳を嫌っており、長い前髪と琥珀色のカラーコンタクトで隠している
 表面上では俺様で人使いが荒いが、内心は繊細で優しい

・庵(いおり)
 高身長で優男風、いつも白衣を着ている
 外見年齢20以上
 零に依頼を持ってくるが、彼が普段何をしているのかは謎に包まれている
 →集まってきた輩の中で一番まともそうだと零が判断した男性

・優(ゆたか)
 高身長で常にふにゃりと笑っている。ボケっとした雰囲気
 天然でお馬鹿だが、力が強く、やる時はやる人
 外見年齢16〜20程度
 零の雰囲気に惹かれ、友達になりたいと思っている


*『幸を狩る者』あらすじ
 結婚間近の女性ばかりを狙った連続殺傷事件が発生している
 亡くなった女性達の瞳の記憶を見る限り、どうやら相手は影の能力者であるもよう
 5人目の犠牲者の瞳の記憶を見終わった後で、庵が事件の早期解決のため零に囮になるように依頼する
 危険そうな仕事に、優が同行を申し出るが足手まといだとの理由であしらわれる
 落ち込む優に庵が声をかけ、自分が護るからと言って彼を零の仕事現場へと連れて行く
 暗い夜道を1人で歩く零と、それを遠くで見つめる庵と優
 幸を狩る者が零の背後から出現し、戦闘となる
 銃を構えるが、振り落とされ、一瞬判断が鈍る零
 ナイフが振り下ろされる瞬間に優が零を突き飛ばし、自身が負傷する
 突然の展開にパニックを起こす零と、冷静に幸を狩る者を捕獲する庵
 どうして俺なんか助けたんだと言う零の問いかけに、僕になら零を護れると思ったからと返す優
 始めて言われた護ると言う言葉に戸惑う零だった‥‥



*主題歌
・あらすじにそった曲であればOK
→前半に重点を置くか後半に重点を置くかで大分違うので注意
・長すぎず短すぎない程度の曲

*ビデオクリップ
・主題歌に沿った内容で、映画を意識する必要はなし
・あまり派手すぎるもの(CGを多用したり)はNG
・歌い手や演奏者が出なくてはならないというわけではない

●今回の参加者

 fa0629 トシハキク(18歳・♂・熊)
 fa1634 椚住要(25歳・♂・鴉)
 fa2657 DESPAIRER(24歳・♀・蝙蝠)
 fa2847 柊ラキア(25歳・♂・鴉)
 fa2993 冬織(22歳・♀・狼)
 fa3461 美日郷 司(27歳・♂・蝙蝠)
 fa3887 千音鈴(22歳・♀・犬)
 fa4559 (24歳・♂・豹)

●リプレイ本文

○『MYSTAR超重要会議?』上
 美日郷 司(fa3461)は銀色のドアノブを回すと扉を押し開けた。薄い扉越しに聞こえていた声がクリアになり、部屋の中央手前に置かれている長テーブルに腰を下ろしてなにやら一生懸命話し込んでいる柊ラキア(fa2847)と峰崎の姿が視界に飛び込んでくる。DESPAIRER(fa2657)が2人から少し離れた位置に腰を下ろしており、トシハキク(fa0629)は部屋の隅に備え付けられたポットの前でお茶を淹れている。
「やっぱり『ごるぁって何の暗号よ!私には教えないつもり!?酷いっ!!』が良いと思います!」
「うーん、他に候補は?」
「そうだなぁ、それなら‥‥」
「‥‥何を話し合ってるんだ?」
 ツカサの問いに、ジスは困ったように少しだけ肩を竦めると口元に笑みを浮かべた。
「台詞です。最初のシーンの」
「‥‥あぁ、クリップの?だが、音は入らないはずだが?」
「読唇術の心得のある人に楽しんでもらうんだーって、頑張ってるみたいです」
 ガクリと肩を落とすツカサ。大人しく座っていたディーまでも話の中に引き込み、話し合いは白熱する。
「ここは無理に止めずにいる方が良いと思います」
 その口ぶりから、この話し合いはツカサが来る大分前からされていたのだろうと言う事が予想できた。恐らく冬織(fa2993)や、千音鈴(fa3887)と笙(fa4559)兄妹も話し合いに加わり、飽きたのか何か用事が出来たのかで席を外したのだろう。椚住要(fa1634)あたりは何とかストッパーの役を買って出ようとしたのかも知れないが、彼1人の力ではどうにもならかっただろう。
「いずれ飽きるでしょうし」
 ね?と微笑むジスは、最年少ながらも一番大人な考えを持っていた。


映画『Golden Eye 幸を狩る者』
主題歌:『Light』
アーティスト:『MYSTAR』
・メインボーカル:DESPAIRER&冬織
・コーラス:椚住要&柊ラキア

・ドラム:千音鈴
・エレキギター:柊ラキア
・ベース:椚住要
・ピアノ:美日郷 司
・ヴァイオリン:笙

ビデオクリップ制作:『MYSTAR』
・出演:MYSTAR
・演出:トシハキク
・カメラ:トシハキク
・音響助手:椚住要&美日郷 司
・メイク:千音鈴
・衣装:千音鈴
・編集:トシハキク
・画面処理:千音鈴


『Light』

 MYSTARのメンバーと何かを言い争い、倉庫を飛び出していく黒服の女性(ディー)怒りと悲しみを押し殺したような表情が画面前を通り過ぎ、暗闇に小さくなっていく背中。その背中が闇と混じり合った時、カメラがゆっくりと空へと向けられる。
 ピアノの静かで軽やかな旋律をバックに、夜の映像が映る。月は控えめに画面の隅に映り、星が画面中央で静かに輝く。

『ほの暗き闇の中 輝き放つ』
『たとえ眩く見えようと 誘蛾灯 偽りの光』

 倉庫の窓から演奏中のツカサへと近付く。鍵盤を柔らかく叩くツカサの指がアップで映し出された後で、突然画面が繁華街のネオンへと切り替わる。
 夜の繁華街を悲しげな表情で彷徨うディー。心ここに在らずといった虚ろな顔に寂しげな笑みを浮かべ、その隣に可憐な少女姿の零が浮かび上がって消えて行く。

『心照らす明かりなど 望み得ぬものと』
『わかっていたつもりでも』

 ネオンの明かりに照らされ、灯りを見上げるディー。その視線を追うように灯りの1つに近付き、画面が明るく輝けば、倉庫の天井の白熱灯へと切り替わっている。白熱灯から視線を下げれば、ディーととおるがマイクを片手に歌っており、バックではツカサと笙がピアノとヴァイオリンを演奏している。

『現実が 心に刺さる』

 カメラがゆっくりと移動し、倉庫の隅で苛立ったように眉根を寄せてジっと床を見つめるラキの姿を映し出す。その視線が窓の外へと向けられ、夜空を見上げる。ふっと表情を強張らせた後で、倉庫を飛び出していくラキ。その背中が闇に溶ける。
 画面が唐突に切り替わり、穏やかな流れをたたえる夜の川辺が映し出される。繁華街の光を背に闇へと向かって歩いて行くディー。

『何一つ持たぬこの手は 例え傷つこうとも』

 闇の中でディーを探すラキの姿と、心配そうに零の背中をゆっくりとした足取りで追う優の姿が映し出され、消えて行く。

『何一つ失くしはしない そのはずだったのに』

 土手の上で出会うディーとラキ。ハっとした表情で固まるディーと暫し見詰め合うラキ。やがて硬い表情のまま少しだけ距離を置いて共に歩き出す。
 画面が唐突に切り替わり、蒼系統のライトで染め上げられたラキとカナメの姿が浮かび上がる。ギターを弾くラキとベースを弾くカナメが視線を合わせふわりと微笑んだ瞬間、画面が夜の土手へと切り替わる。

『ほの暗き闇の中 手にしたものは』
『今は弱く儚くとも 暖かい 真実(ほんとう)の光』

 一瞬だけドラムのちーが映し出され、ドラムの音に反応したように蛍が一斉に舞い上がる。足を止め、蛍の淡い光を見つめるディーとラキ。舞い踊る細かな光と、それを見つめ穏やかに表情を緩める2人。ディーとラキの表情が薄れて行き、風景の映像が鮮やかに浮かび上がる。

『君が教えてくれた こんな気持ちが』
『あきらめていたはずなのに』
『胸の奥 優しく照らす』

 勢いをつける音に共鳴するように、蛍の光が画面中央に集束し、倉庫の白熱灯へと切り替わる。MYSTARの演奏シーンが入り、傍らに置かれていたテレビの画面に映画の1場面が映し出される。画面の中で優が零を突き飛ばし、それまで移調しながら盛り上がりを見せていた旋律が唐突に途絶える。薄く柔らかな闇へと消えて行くMYSTARと、土手の2人が重なりながら薄れて行く。

『ただ一つ掴みかけた手』『躊躇い震える指』

 再び淡い光が舞う土手へと戻る画面。ラキがディーの肩に止まった1匹の蛍をそっと手で包み込み、差し出す。躊躇いつつも手を重ね、微笑みながら蛍を受け取るディー。

『ただ一つ失くしたくない』『生まれ始めた想い』

 ディーの掌の中の蛍が強い光を発する。

『君と言う名の光(ライト)』

 蛍を包み込んだ両手をそっと上に翳し、その手が開かれることの無いまま映像が掻き消えた。


●『MYSTAR超重要会議?』下
「じゃぁ『酷い!私の他にも付き合ってる人がいたのね!しかもこんなに沢山!』って言うのはどう?」
 ちーが満面の笑みで案を出し、とおるがジスに淹れて貰ったお茶をすする。
「ふむ、ディー殿のお相手はどちらもいけるのじゃのぅ。して、そのお相手とは?」
 視線がラキに集中し、テーブルの上に置かれていたお菓子に興味を奪われていたラキが、突然の視線攻撃にポカンとした顔をして首を傾げる。折角の整った外見が、半開きになった口と指先にシッカリと握られているお菓子とで間抜けに見えてしまう。非常に残念な構図だ。
「いや、やっぱりここはうちの兄貴でしょう!」
 やっぱりそう来るかと言いた気な表情で、口元を引き攣らせながらも横目で妹に視線を向ける笙。愛しの妹に向ける兄貴の視線としては、やや鋭すぎる気がする。
「大丈夫、兄貴ならどっちにもモテる!」
「嬉しくない」
 キッパリと言い切った笙だったが、可愛い妹はサッパリ聞いちゃいない。バッグの中からワンコの絵柄のメモ帳を取り出すと『ディーと笙=恋人。笙=浮気性』と、書き付ける。微妙に韻を踏んでいる事に、本人は気づいていない。『ラキ→ディー=片思い』と下に続け『最後は笙が振られる』と書いてペンを置く。
「話の流れはこんな感じで大丈夫?」
 盛り上がるメンバーにどうしても一言ツッコミを入れたいツカサ。そんなものを考えても無意味なんだと、音声なんか入らないんだと、そんな物語の背景なんて見てる人には伝わらないのだと、喉元までで競りあがった言葉を飲み込む。
「楽しんでいるんですから、水を差してはいけません」
 ジスが菩薩と見紛うばかりの優しい微笑を浮かべる。すでにツッコミを諦めてしまっていたカナメが小さく溜息を吐き、静かに成り行きを聞いていたディーがそっとお茶に手を伸ばす。盛り上がるメンバーを穏やかに見守るジスの瞳は、まるで出来の悪い子供を見つめる両親の慈悲深く愛情深いソレとそっくりだった。
 とおるとちーの女性2人組が更に話をドラマ性のある物へとするべく手を加え、若干暴走し始めているらしい妹をどうやって止めたら良いものかと困惑の視線をジスに向け、菩薩笑みにつられて苦笑する笙。峰崎はボケっと台本を読み始め、ディーは女性2人組の話に曖昧な相槌を打つ。カナメとツカサが視線を合わせて肩を竦めあった時、パリパリとお菓子を頬張っていたラキが口を開いた。
「でもさぁ、結局コレって話し合っても無駄だよねー」
 まぁ、楽しいからいっかーと呟くラキ。先陣を切って話を盛り上げていたラキの発言に唖然とする一同。誰もが心の中で思っていて(とおるとちーですらも、内心では結局は意味の無い事だと知っていたが、既に引くに引けないところにまで話が進んでいたのだ)それでも誰もがあえて言葉に出さなかった一言。勿論、ラキに悪気は無い。その一言で凍りついた場に、不思議そうな瞳すら向けている。
「無邪気と言うのは恐ろしいな」
 カナメがポツリと呟き、ちーととおるがメモ帳をグシャリと握りつぶした。