朝笑サプリ 読書の秋編アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 宮下茜
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 やや難
報酬 0.7万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 10/08〜10/10

●本文

『ここはとある高等学校。
 少し面白い先生と生徒達が織り成す学園の1コマを、通勤・通学前の貴方に・・・』


 幾ら頑張って見ても高校生にしか見えない担任、綾音 乱華(あやね・らんか)がガラリと音を立てながら教室内に入ってくると、バンと教卓に両手をついた。
「今日は、貴方達に2つのグループ・・・正確には3つのグループに分かれてもらいます」
 乱華はそう言うと、白のチョークで黒板に文字を書き連ねていく。

A:ボケ『シンデレラ』
B:ボケ『白雪姫』
C:ツッコミ『アリーナ』

「読書の秋と言う事で、貴方達に何か本を読んでもらおうと思ったのだけれども普通に音読されたんじゃつまらない。そこで、即席でシンデレラと白雪姫のお話を思い出してもらうわ。ちなみに、アリーナと言うのはココの席の事です」
 乱華が指差したのは、教卓の隣だった。
「今後、アリーナと言われたらこの席に座ること。良いわね?シンデレラも白雪姫も、うろ覚えで構わないから大まかなあらすじをグループで話し合って頂戴。それで、ツッコミ諸君はおかしな部分があったら容赦なくパシパシツッコんであげなさい」
 フリルとレースがたっぷりとついたスカートを揺らしながら、乱華が黒板の隣に貼られた紙を指差す。
「ここはキチンと読んでおいてね」

*ルール
・暴力はいけません
・教室内のものを壊してはいけません
・教室内を汚した場合は罰掃除
・誰かがボケた場合は必ず誰かがツッコんであげましょう
・笑いは爽やかにとりましょう
・制服はきちんと着ましょう
・クラスでの合言葉を忘れないようにしましょう

「クラスの合言葉、忘れている人はいないわね?“皆さん元気に行ってらっしゃいませ”です。これが言えない人は他クラスのスパイですから気をつけてくださいね!」

●今回の参加者

 fa0016 エディ・マカンダル(28歳・♂・蝙蝠)
 fa1010 霧隠・孤影(17歳・♀・兎)
 fa1463 姫乃 唯(15歳・♀・小鳥)
 fa1521 美森翡翠(11歳・♀・ハムスター)
 fa2132 あずさ&お兄さん(14歳・♂・ハムスター)
 fa3072 草壁 蛍(25歳・♀・狐)
 fa3658 雨宮慶(12歳・♀・アライグマ)
 fa3822 小峯吉淑(18歳・♂・豚)
 fa4391 夜野月也(25歳・♂・犬)
 fa4487 音楽家(13歳・♂・竜)

●リプレイ本文

「ちゃんと3つのグループに分かれましたね?それでは、白雪姫グループから」
 乱華の言葉に「はいっ!」と可愛らしい声を上げながら起立したのは美森翡翠(fa1521)だ。翡翠の可愛らしい張り切りに、同じグループの姫乃 唯(fa1463)とエディ・マカンダル(fa0016)、雨宮慶(fa3658)が慌てて起立する。少しの沈黙の後で、翡翠が考え込みながら言葉を紡ぎ始める。
「まず、白雪姫は・・・白薔薇のような肌、紅薔薇のような唇で」
「マイナーすぎてツッコミにくいのですが・・・!」
 アリーナ席に座っていた“ツッコミ天然ボケ隊長小峯吉淑(fa3822)”がすかさずツッコミを入れる。
「ですから、どうしてそんなテロップが・・・!!」
「綺麗になった白雪姫を憎んだお后様は、姫に胡桃の汁を塗って醜くしてしまい、城から追い出してしまいました」
「何かの話と混じってるよソレ〜」
 吉淑の隣に座っていた夜野月也(fa4391)が言葉を挟むが、何の話と混じっているのか思い出せない時点でアリーナに座りながらもボケの素質をちらつかせている。
「魔法をかけられて白鳥にされたお兄さん達を助けるために、イラクサで・・・あれ?えっと、棘が刺さって眠りに・・・」
 自分で言っていてもおかしいことに気付いたのか、翡翠が首を傾げて考え込み始める。そのあまりに愛らしい姿に、アリーナ勢はツッコムどころか応援し始めていた。
「赤い頭巾をかぶって森に行くと、猟師に・・・狼に・・・」
「だ・・・だんだん白雪姫じゃなくなっていってる気がするのは僕の気のせいかな!?」
 徐々にそれていくお話に、吉淑がどうツッコんだら良いものかと悩み始める。
「小さな家に入って眠り込み、目覚めると熊がいて・・・7匹の子ヤギと暮らしていると、物売りのおばあさんが赤い靴を持って来て・・・履いたら踊り出してしまい・・・」
「うーん、白雪姫と7匹の子ヤギ?白雪姫が狼を倒せるとは思えないなぁ・・・それに、赤い靴も混じり始めてるね??」
 月也が考え込みながらツッコミ「赤頭巾ちゃんも混じってたね、さっき」と記憶を辿りながら言葉を紡ぐ。
「姫を助ける為に王子様は塔に登り、病気が治ると言う金のリンゴを探して・・・」
「えぇっと、それ僕が外人だから知らない訳じゃないよね!?そもそも、何のお話だったっけ!?」
 吉淑が混乱する頭を抱えながら黒板に視線を向ける。お題は白雪姫。もう、ここまで来てしまうと白雪姫の話がどのような話だったのかすらも思い出せなくなっている。
「おい、それじゃぁ小人が出てこないだろ。ほら、森に住む木こりで大人7人に匹敵する力を持っている猛者」
 ボソリとエディが呟き、そうだったよな?と言う視線を吉淑に向ける。
「な・・・何の話と混じってるんですかソレ!いつの間に小人が1人になったんですか!?」
「あれだろ、白雪姫って・・・何でだか知らねぇけど、森で小人が白雪姫に会って、馬が合ったような気がして宿貸して・・・傷心の白雪姫を元気付けようと思っていた矢先、突然服毒死して・・・9割方死んでる白雪姫を抱きかかえ、万病害毒に効果があると噂される“王子様のキス”とやらを探しに旅に出る・・・・・小人の話」
「白雪姫は白雪姫の話ですってば!!いつの間に小人メインになってるんですかっ!」
「へぇ、王子様のキスって薬だったんだぁ」
「そこ!アリーナなのに妙なところで感心しないで下さいっ!」
 月也にビシリとツッコミを入れ、吉淑が「そもそも、全体的に曖昧すぎですよ」と言って頭を抱える。
「そうですよ!そんな曖昧な白雪姫なんてないです!」
 突然声を上げたのは、それまでジっとしていた慶だった。
「大体、王妃様がコスプレ好きだったと言う部分が入ってないです!」
「そんなもの、原作にも入ってません!」
「だって!白雪姫暗殺の時なんて、あんなに衣装替えをして・・・」
「変装ですよ変装!!」
「それに、猟師に回収された内ぞ・・・」
 慶が言いかけた言葉を遮るように、乱華が白いチョークを1本取ってシュっと投げる。綺麗な直線を描いたチョークが慶の額の真ん中に当たり・・・
「朝の番組で、深夜系ホラー映画なみの血みどろトークは許しません!」
 ビシっと乱華に人差し指を突きつけられる慶。
「もー、みんなお茶目サンなんだからっ☆白雪姫は、こんなお話でしょ?題して『20秒で分かる白雪姫と7人の小人!』」
 唯はそう言うと、目を閉じながらまるでお経を読むかのように一気に喋り始めた。
「昔々あるところに、白雪姫と言う美しい女の子が住んでいました。ある日その美貌を妬んだ継母に毒林檎を食べさせられ、倒れてしまいました。そこへ偶然通りかかった王子様が白雪姫に口付けをすると、目を覚ましましたとさ!めでたしめでたし☆」
「省略しすぎて小人が出てきていないのですが・・・」
「え、えーっと・・・小人はきっと、竹とか桃とかチューリップから出てきて、打ち出の小槌で大きくなって幸せに暮らしたらしいよ?」
「何の噂ですか!そもそも、皆さん1番大事な部分を間違ってます!」
 吉淑が声高にそう言い放つと、ビシリと白雪姫グループに人差し指を向ける。
「白雪姫が林檎を吐き出したのは王子様のキスのためではなく、家来が八つ当たりしてお腹を殴ったからですっ!!」
「・・・お腹ではなくて、背中・・・ですよね?」
 控え目な翡翠の言葉に、凍りつく教室内。ツッコミ隊長がやらかした大ボケにツッコんだのは、何を隠そう最年少の翡翠だった・・・。


「次、シンデレラグループ」
 あずさ&お兄さん(fa2132)と草壁 蛍(fa3072)が立ち上がり、あずさが張り切って発表し始める。
「昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました」
「初っ端からですか!?きっと居るでしょうが、違います!そんな日本話的な始まりじゃないです!」
 いきなりの和風大ボケに、吉淑が立ち上がる。
「シンデレラは意地悪な継母と、同じく意地の悪い101人のお姉さんに扱き使われ」
「多いっ!何人家族ですかソレ!」
「おかげですっかり灰まみれで、シンデレラが歩くと枯れ木に花が咲きました」
「便利ですねぇ・・・って、なんでやねん〜です」
 霧隠・孤影(fa1010)がいったん頷き、立ち上がりながらノリツッコミをかまし・・・「です」と言いながら大人しく着席する。その一連の動作こそ「なんでやねん〜」な、気分だ。控え目なツッコミはどこかボケの雰囲気を醸し出している・・・。
「ある日、お城でぶとう会が・・・」
「字が違います!」
 吉淑のツッコミに、何故口で言っているのに漢字まで分かっているのかと首を傾げるあずさ。その問いに答えるかのように、吉淑がカメラの下を指差す。・・・スケッチブックに書かれた“武闘”の文字。・・・カンニングだ・・・!
「シンデレラが泣いていると、誰かが彼女の肩を叩いて言いました。『泣きたい時は泣いたらいいさ』」
「だからなんですか!と言うか、誰ですかソレ!」
「シンデレラが言われたとおりにカボチャを持ってくると、おばあさんはそれを一呑みにしてしまいました」
「わぁ、すごぅい・・・って、やっぱ違いますよソレ!」
「おばあさんがカボチャを杖で叩くと、あっと言う間に見事なカボチャ大王に・・・」
「おばあさん何者!?ねぇ、何者!?」
 吉淑の視線から逃れるように、あずさがそっぽを向く。おばあさんの秘密は、彼女以外は誰も知らない・・・
「おばあさんがシンデレラに杖で触れると、たちまち見事な胴着に・・・」
「まだ武闘会に行こうとしてるんですか、シンデレラは!?」
 随分と強情なシンデレラもいたものだ。と言うか、母と姉は嬉々として武闘会に出かけて行ったのだろうか・・・?
「12時を1分でも過ぎたら、お前は泡になってしまうからね」
「そこで話し終わるじゃないですか!」
 暗に、お前は今日までの命だと言われているのと大差ない。
「王子様が、この16文のガラスの靴がピッタリ合った女性が・・・」
「でかっ!シンデレラ怖っ!」
 吉淑がのけぞりながらオーバーリアクションをとる。
「ところが、誰が履いてもピッタリ!伸縮自在の優れものです」
「一人目でばっちり☆ぴったり☆王子様大喜び、シンデレラがっかり・・・って、違っ!!」
「そして今ならもう一足プレゼント!」
「もうええわっ!」
 『あずさと吉淑の“ボケ☆ボケ☆通販”』の時間になりそうな展開だったが、そこはアリーナ。なんとか気持ちをツッコミへと引っ張っていく。
「あら、ダメよ。シンデレラは12時の鐘が鳴り終わったら爆睡して、王子様のキスで目覚めなくちゃ」
 蛍の言葉に、吉淑が顔の前で手を振る。
「じゃぁ、12時の鐘で毒林檎を食べて王子様の・・・」
「なんでやねん〜です」
 どうしても王子様のキスを入れたい蛍に孤影がピシシャリとツッコミ、ストンと着席する。
「んー・・・まぁ、全員もっと本をよく読めとしか私には言えないな」
 乱華がそう言って長い髪の毛を背に払い、翡翠とあずさ、そして吉淑を指差す。
「癒し系天然ボケ美森、可愛い系元気ボケ明日葉、ツッコミ天然ボケ隊長小峯」
「だから、ボケじゃないですって僕は!」
 必死に抵抗を試みる吉淑だったが、癒し系天然ボケの翡翠にツッコまれているようではボケとしか言いようがない。
「さて、それじゃぁそろそろ時間ですね。起立!礼!」
 乱華の号令で一斉に立ち上がり、頭を下げる。


   「皆さん元気に行ってらっしゃいませ!」