朝笑サプリ 食欲の秋編アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 宮下茜
芸能 フリー
獣人 フリー
難度 普通
報酬 0.7万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 10/17〜10/19

●本文

『ここはとある高等学校。
 少し面白い先生と生徒達が織り成す学園の1コマを、通勤・通学前の貴方に・・・』


 フリフリのエプロンに三角巾をテーブルの上に置くと、ゴシックロリータの衣装に身を包んだ綾音 乱華(あやね・らんか)がパンと両手を合わせた。
「はい!注目!今日の授業は食欲の秋と言う事で・・・調理実習です。各自ここに出ているエプロンと三角巾を身につけて手を良く洗うこと!」
 ひらひらフワフワのエプロンは、色が豊富にあった。
 ピンク、赤、オレンジ、紫、緑・・・ただし、形にバリエーションは無かった。そもそも、色がこれだけ豊富にあってもあまり意味が無い気がするのは気のせいだろうか・・・?
「皆さんには3つのグループに分かれてもらうわ。黒板に書いておくので、各自確認してね」

A:ボケ『おにぎり』
B:ボケ『サンドイッチ』
C:ツッコミ『監督』

「おにぎりもサンドイッチも、具は自分たちで作ってもらうのだけれど・・・絶対に守ってほしい約束を今から黒板に書きます」

*火や包丁を使う場合は“監督”の指示を仰ぐこと
*監督の指示なしでこれらを使うことはNGです
*火や包丁で遊んではいけません
*怪我をしそうなことは絶対にしてはいけません

「包丁や火で遊ぶような人はいないだろうけれど、怪我をしそうな行為をしてはいけません。そんなことしたら、監督の責任になります」
 ・・・生徒である監督よりも、教師である乱華の責任になる気がするが・・・。
「具に何をつめるかは任せますが“おにぎり”“サンドイッチ”からそれないようにしましょう。おにぎりの中にチョコレートを入れることは認めますが、おにぎりをチョコレートでコーティングしてはいけません」
 両者の境界は何なのか・・・
 それ以前に、おにぎりの中にチョコレートを入れるのもダメな気がする・・・。
「最後に私が食べて採点しますが、その前に監督に毒味・・・っと、味見してもらいます。監督の反応によっては食べないので気をつけてね」
 爽やかな笑顔を浮かべる乱華だったが、毒味と失言してしまっている時点でその笑顔は薄っぺらい・・・。
「具は食べられるもの限定です。賞味期限の切れたものやら食べ物でないものを入れてはいけません。それから最後、ここをキチンと読んでおいてね」

*ルール
・暴力はいけません
・教室内のものを壊してはいけません
・教室内を汚した場合は罰掃除
・誰かがボケた場合は必ず誰かがツッコんであげましょう
・笑いは爽やかにとりましょう
・制服はきちんと着ましょう
・クラスでの合言葉を忘れないようにしましょう

「クラスの合言葉、忘れている人は当然いませんね?“皆さん元気に行ってらっしゃいませ”です。これが言えない人は他クラスのスパイですから気をつけてください」

●今回の参加者

 fa0928 舞腹 旨井蔵(33歳・♂・豚)
 fa1463 姫乃 唯(15歳・♀・小鳥)
 fa1772 パイロ・シルヴァン(11歳・♂・竜)
 fa2132 あずさ&お兄さん(14歳・♂・ハムスター)
 fa2604 谷渡 うらら(12歳・♀・兎)
 fa3072 草壁 蛍(25歳・♀・狐)
 fa3599 七瀬七海(11歳・♂・猫)
 fa3635 甲斐・大地(19歳・♀・一角獣)
 fa3822 小峯吉淑(18歳・♂・豚)
 fa4729 キューレ・クリーク(25歳・♀・豹)

●リプレイ本文


「さて、グループ別に分かれましたね?と、言うより、分け方間違ってる気がするのは私の気のせいかしら?」
 乱華が頭痛持ちのような顔をしてジロリと舞腹 旨井蔵(fa0928)と谷渡 うらら(fa2604)を睨みつけているが、睨まれている本人達は気付く様子もなく、旨井蔵が椅子にふんぞり返って右手を軽く上げ、うららがカチンコをきる。完全な監督違いだ。
「あの、ツッコまなくて良いんですか?」
 ツッコミ天然ボケ隊長小峯吉淑(fa3822)がボケであるサンドイッチポジションから控え目に声を上げる。
「監督の立場に居る者のボケは放っておけ。それより、ボケに転向したのか?なら、ボケ天然ボケ隊長小峯だな」
「そんなボケボケ言わないでください!」
「とりあえず先生!エプロンと三角巾の着用方法を間違っている人がいるのですが!」
 姫乃 唯(fa1463)がピっと手を上げ、可愛い系元気ボケあずさ&お兄さん(fa2132)と吉淑を指差す。あずさは三角巾で左腕を吊っており、吉淑はエプロンを前後ろ逆に着ている。
「えっ?三角巾ってこうやって使うってドラマでやってたよっ?」
「何のドラマですかっ!と言うか、腕は折れてないんですよね?」
 唯の言葉に、パラリと三角巾を外して腕をブンブンと振ってみせる。
「それと吉淑さん。エプロンの着方が分からなければ聞いてくだされば・・・」
「べ・・・別に、分からなかったわけじゃないですよ!それに、エプロンなんて、服汚さなければいいんじゃないですかぁっ!」
 吉淑が逆ギレぎみの主張を返すが、顔が真っ赤だ。
「はぁ。とりあえず、調理を・・・」
「先生!バナナはおにぎりに入りますか?」
 乱華の言葉を遮って、あずさが手を上げると意味不明な事を質問し出す。
「バナナはどう考えたっておにぎりには含まれません!」
 唯がビシっと言葉を返し、直ぐに首を傾げる。
「うん?もしかして、おにぎりの中にバナナを入れるって言う意味!?そんなおにぎりいやぁ〜っ!!」
 唯が泣きながらダッシュして行く。ピンク色のエプロンが揺れ、乱華が折角のツッコミを逃がすまいと指示を飛ばせばスタッフが唯を捕まえて教室内に戻してしまう。
「さて、早速サンドイッチチームから調理開始」
 乱華の言葉に最初に動き出したのは草壁 蛍(fa3072)だった。パパっと手早く大根サラダと青紫蘇をバゲットで挟んだサラダサンド、しめ鯖の切り身に鯖味噌煮込みを挟んだ鯖サンド、そして鶏肉と食用蛙の竜田揚げにレタス・トマト・チーズを挟んだダブルバーガー、最後に粉砕した大理石の砂を挟んだサンドイッチを作り上げる。
「どうぞ召し上がれ?」
 ・・・最後のは、明らかな殺意があるとしか思えない。
「凄い和と洋のコラボレーション。ううん、この場合は洋と和になるのかな!?」
 唯がブツブツと呟きながらもサバサンドを恐る恐る口に入れる。
「でも、意外にイケるかも!チョット食感が・・・だけど!」
 ドレッシングなしのサラダサンド、鶏肉の代用として起用された食用蛙入りのダブルバーガーも何とか食べる監督3人組。ただし、砂サンドはスルーだ。
「砂なんて食べれません!しかも大理石って・・・」
「サンド(砂)で一致しますし・・・」
 そんな事を言われてもどうしようもない。その隣では七瀬七海(fa3599)が鼻歌を歌いながらサンドイッチを作っている。サンドイッチは初体験と言う事で、馴染みの食材からチョイス!なのだが、どうしてざらめたっぷりの煎餅を選んだのか不思議だ。
「とりあえず、バターってこれ?」
「それはオリーブオイルですっ!」
 唯がバターを手渡し、七海が可愛らしい笑顔でお礼を言う。が、その手に持たれているのはざらめ煎餅入りサンドイッチだ。しかも、折角スタッフが用意したサンドイッチ用のパンは完全無視で、フランスパンとクロワッサンに無理矢理挟み込んでいる。
「ナナサンまで・・・和洋折衷が最近のトレンドなのっ!?」
 蛍に引き続いての和と洋の不思議なコラボレーションに、唯が思わず肩を落とす。
「ちょっと一味足りないかなー」
 既に煎餅サンドを食べていたうららがそう言って取り出したのはMyマヨネーズだ。
「胡麻ふってカリっとホットサンドにした方が美味しいかも。シェフ、ミディアムレアで」
 眼鏡を上げながらキリっとした表情で言うが、気取って言うような事ではない。
 次に作り始めたのはキューレ・クリーク(fa4729)だ。既に焼きあがっていた塩鯖にパンを挟み、やたら飾り付けのされた鯖を重ねる。
「鯖・パン・サンバ」
 ツッコんで良いのか、それとも彼女はサンバ鯖を使いたいのか。監督陣が顔を見合わせる中で彼女は黙々と作業を進め、三段の巨大なサンドイッチを作り上げた。
「サバ三度の出来上がり」
「サンド部分を非常に勘違いしていると思うのですが」
「むっ、これはサバでパンを挟んでいる!ってダメじゃん!」
「あら、うっかり。でも、その方が食べでがあるでしょ?」
 唯と旨井蔵のツッコミに対しても、キューレは悪びれる様子も無くしれっと返している。
「まぁ、勿体無いからこうして・・・ん〜、魚のしつこさがパンで程よく和らげられてとってもデリシャス♪」
 旨井蔵がさらにその上にパンを足し、もぐもぐと食べ始める。
「せんせー!キムチを刻みたいのでノコギリを用意してください!」
 前後ろ逆のエプロンを着た吉淑が右手を上げ、乱華が何かを言う前に唯がサっと包丁を握らせる。吉淑が包丁で激辛キムチを切り、パンに溢れんばかりに挟み、何を思ったのか漬物石を取り出すと思いっきりかさばっているキムチサンドの上に乗せる。ギューっと押しつぶして、丁度良い大きさになった時・・・パンはカチカチになっていた。
「パンの甘みとキムチの辛味がベストマッチだね」
「か、辛!でもカプサイシン効果でダイエットに良いかも」
「と言うか、エプロンを前後ろ逆に着ているので学ランがパンくずで汚れているのですが」
 唯が控え目に指摘をし、吉淑が学ランを手で叩く。が、その手が汚れているために意味がないどころかさらに汚れていく。
「え〜っと、キムチいい朝にキムチサンドで元気ハツラツ☆」
 苦し紛れにダジャレを発する吉淑だったが、さらに立場が苦しくなっただけだった。


「次はおにぎり」
 乱華が投げやりにそう言って、甲斐・大地(fa3635)が納豆を手におにぎりを握り始める。栄養価たっぷりの普通のおにぎりを監督に差出し、美味しいとの評価を下されるとすぐにもう1つのおにぎりを作り始める。対乱華用のおにぎりは、納豆にオクラにトロロに・・・テーマは“体に良いネバネバ”だ。同じ大きさにつくり、具がはみ出ないようにして乱華に届ける。
「美味しいと褒めて貰えたので、先生にも食べて欲しいなぁと・・・」
 乱華が苦々しい表情をしながら、大地の作ってきたおにぎりをそのまま旨井蔵に手渡す。
 その様子を遠くで見ながら、パイロ・シルヴァン(fa1772)がフォアグラを缶から出すとバターナイフで切ってその周囲にご飯を貼り付ける。最後にノリも周囲に張り・・・ダボダボの学ランの袖が若干おにぎりについているが、そこはあえて見なかったことにする。
「また和と洋のコラボレーション!って言うか、普通に美味しいような気が!」
「意外!脂っこさがない!んーでも、マヨかけたら流石に台無しだよね・・・」
 結構人気のフォアグラおにぎりだったが、子供の頭くらいあるおにぎりは作り手とは違って可愛らしくない。母親が奮発して子供のお弁当にこのおにぎりを詰めたら、ちょっとした親子喧嘩に発展しかねない。
「ヘイ!何握りやしょう?」
 腕を吊っていた三角巾をねじり鉢巻にしたあずさが、監督達に声をかける。
「何作る気なの!?お寿司!?おにぎりから逸脱しちゃうよ〜!監督責任がっ!」
 唯が嘆くが、問題点はそこではない。あずさが三角巾を被りなおして調理再開・・・張り切って作っているのは痛いほどに伝わってくるのだが、小玉スイカなみの大きさのおにぎりはいただけない。
「そうそう、ちゃんとノリつけないとっ♪」
 嬉々として取り出したのは海苔の佃煮。ペタペタと外側に塗っていく・・・
「わぁ、大きなおにぎりだねぇ〜、これなら巨人サンも大満足!って、何処に巨人がおんねん!でかすぎるわ!」
 唯がすかさずツッコムが、隣に座る旨井蔵は大口を開けて普通に平らげている。
「うん、美味しいじゃない」
「って、ウマイさん普通に平らげてるし!?」
「これはなかなかいけっ・・・ゴホゴホっ!」
 中に詰まっていた具に行き当たった旨井蔵が思い切りむせ返る。
「んー、美味しいけど何か手がべたべたするぅ。持ち辛いわ〜っ!」
 まだ中に何が入っているのか知らない唯がそう呟き・・・旨井蔵の手元を覗き込んだうららがサっと顔色を変える。
「あずさちゃん、このおにぎりカロリーどれくらい?」
 あずさの作ったおにぎりの中心部には、バターの塊が詰まっている。うららの言葉に反応して、スタッフが画面下にカロリー計算を出すが・・・あえてその数値は言わないでおく。
「さぁ、監督が食べ終わったところで終わるか」
「え!?先生食べないんですか!?」
「もう時間だ」
 唯の言葉に乱華が毅然とした態度でそう言い・・・
「そんな〜!」
「ツッコミ学級委員長姫乃、そんな顔しない」
 乱華が唯に妙な名前をつけ、起立・礼と声をかける。

「みなさん元気に行ってらっしゃいませ!」