30 seconds CM rougeアジア・オセアニア
| 種類 | ショート |
|---|---|
| 担当 | 宮下茜 |
| 芸能 | 2Lv以上 |
| 獣人 | 2Lv以上 |
| 難度 | やや難 |
| 報酬 | 2.6万円 |
| 参加人数 | 8人 |
| サポート | 0人 |
| 期間 | 10/18〜10/20 |
●本文
ユナが憂鬱そうに表情を曇らせながら手に持った紙に視線を落とす。もしもユナの性格を知らない人が居たならば、思わず大丈夫かと声をかけたくなるほどに儚い表情だった。
「私がイメージガールをしている“Ｓｗｅｅｔ Ｐａｒａｄｉｓｅ”が新しく３色の口紅を出すことになって・・・貴方達にＣＭを１本作ってきて欲しいの」
新しく出される口紅の色は３種類。
“小悪魔ローズ”“セクシールージュ”“ピュアオレンジ”
今回は“セクシールージュ”のＣＭ依頼だった。
大人っぽいシックな赤色の口紅には控え目なラメが入っており、光が当たる角度を変えるごとにキラキラと輝く。
ターゲット層は２０代。大人っぽい色の中に光るラメがポイントだ。
「ＣＭの長さは３０秒。ちなみに、“セクシールージュ”って言うのは商品名ではなく、あくまで先方のイメージなの」
ユナはそう言うと、必要事項を書いた紙を配った。
＊以下のことをよく守り期日までにＣＭ案を考えてくること
・曲は２５秒程度（３０秒ＣＭのうち５秒はブランド名や商品名などを伝えるために無音に）
・ブランド・商品名宣伝のための無音はＣＭの最後の５秒
・ＣＭ内容は詳細なイメージ案を紙に書いて提出（これも２５秒程度）
・ＣＭにはユナおよび自分（歌い手・演奏者）も登場すること
・ＣＭ内容は、歌詞とリンクさせて『〜のフレーズの時に〜する』と言う書き方でもＯＫ
・また、歌詞とはリンクさせずに個別に書いてもＯＫ
・当日は実際に歌ってもらうので、バックバンドがいない場合は事前にテープを提出すること
→バックバンドはこちらでは用意しません
・当日の演出は一切不要。歌に専念すること
「ＣＭに採用する曲は１つ。先方から出されたイメージがあるから、気をつけてね」
選考ポイント
・曲・ＣＭ案とブランドのイメージが合っているかどうか
・２５秒以内におさまる内容かどうか
・歌詞内容の明確性（歌詞が伝えたい内容）
・曲・ＣＭ案とユナのイメージが合っているかどうか
＊“セクシールージュ”と言うイメージに合っているかどうか
「もし、曲名があれば明記してね。それから、口紅の名前も募集しているわ。商品名はグループ関係なく個人で１点出してもらえると嬉しいわ。どうしてその名前をつけたのかの理由も添えてね」
ユナはそこまで言うと、ほんの少しだけ顔を顰めた。
「セクシー・・・確かに、口紅の色は大人っぽいし素敵なんだけれど・・・」
自分にどれだけセクシーさ・・・色気があるのかと考えたユナが、とたんに顔色を曇らせる。
「今回、ターゲット層がかなり絞られているから・・・その年齢の女性が思わず見入ってしまうようなＣＭを待ってるわ。それと、もしグループを組むならグループ名を教えてね。ＣＭの右下に小さく“ユナＷｉｔｈ”の後に名前が出るから」
●リプレイ本文
○ユナが紙の上に描いた赤い円が蛍光灯の光を不思議な色に反射する。角度を変えるたびに七色に変化するラメの色は魅惑的だった。
「今回はちゃんと２人揃って、冬織ちゃんとＳｔａｇｉｏｎｅとして参加デス。どーぞヨロシクお願いしマス！」
椿（fa2495）が立ち上がって頭を下げ、隣に座っていた冬織（fa2993）もつられて頭を下げる。
「・・・・初めまして、ユナと申します」
笑顔を浮かべながらユナがそう言って小さくお辞儀をし、集まった面々に視線を向ける。
「それじゃぁ、早速だけれど・・・・」
●ｓａｇｅｎｉｔｅ【Ｃａｒｎｏ（fa0681）＆赤川・雷音（fa0701）】『覚醒』
アップテンポの攻撃的な旋律が響く。ベースとドラムが低いリズムを刻み、エレキギターが軽快なサウンドを紡ぐ。勢いの良いサウンドに乗せるのは、甘くしなやかな歌声・・・・
鮮やかに煌めく真実が今、目を覚ます
愛しい人どうか心に僕を映しだして
Ｌｏｖｅ ｉｓ ｆｏｒｅｖｅｒ Ｍｙ Ｖｅｎｕｓ
○麻倉 千尋（fa1406）
「・・・・え？私も歌に参加するの？」
ユナが驚いたように自分を指差し、瞬きをする。
「あたしの声だけだと幼すぎて・・・・ユナさんと一緒なら、パンチが出てくるかなって」
「・・・・いきなりであわせられるか不安だけれど、頑張ってみるわ」
ユナが困ったようにそう言いながら、千尋の持ってきたテープを数度聞き、歌詞を確認するとマイクを握る。
曲はテンポの良いジャズ風味で、ウッドベースが低音を響かせる。それに乗せるように、千尋の甘く幼い歌声と、ユナの透き通るような高音が合わさり１つの旋律を紡ぐ。
盗んであげる 噂の唇で
鷲掴みして 食らい尽くすわ
狙い定めて たった一呼吸
あなたのハートが 次のターゲット
●駒沢ロビン（fa2172）
「えっと・・・・女性が歌い手・・・・ってことは、私が歌うのかしら？」
ユナが首を傾げながらロビンを見詰め、歌詞の書かれた紙を受け取ると心底困ったと言うような顔をした後で口を開く。
「駒沢さんは・・・・ピアノ伴奏だけなの？」
「えぇ・・・・」
ロビンの言葉にユナが立ち上がり、あらかじめ受け取っていたテープを聴きながら何度か口ずさんだあとで頷くとマイクを握った。
曲はかなりアップテンポなボサノバテイストで、ユナは大きく息を吸い込むと一気に最後まで歌いきった。
恋する事にタフで 愛する事に初心（うぶ）で
君の心に僕の全てを 委ねて抱き締めて
僕の全てを君の 君の唇で刻んで
○Ｓｔａｇｉｏｎｅ【椿＆冬織】『ＬＡＢＹＲＩＮＴＨ』
ミドルテンポの幻想的なバラードは、クラシックを意識した繊細なメロディーの中にも箏の旋律を織り込み、和楽器の艶やかな音をアクセントに入れている。メインはチェロとヴァイオリン、ピアノの低音が曲を支え、音域の広い２人ならではの変則的で独特なツインヴォーカルで幻想的な曲を更に鮮やかに彩る。
夢うつつ 迷い込んだ迷宮（ラビリンス）
招くアナタは誰？
待つは楽園か否か 何れも甘美な誘惑
アナタに惑わされて・・・・
●Ｋｅｙｂｅｒｒｙ【苺（fa3120）＆Ｋ・ケイ（fa4786）】
アップテンポののりの良い曲が響く。ピアノのコードとサックスが大人っぽいジャズナンバーを奏で、軽快で都会的な色っぽい曲調だった。
示そう 恋の探究心
手に入れたくて 射とめに行くよ 自分（あたし）から
ｂｅｓｔ ｃｏｎｄｉｔｉｏｎ
今を逃す理由はない
ｌｏｖｅ ｃｏｎｄｉｔｉｏｎ
君の元へ
○
全員の歌が聞き終わると、あらかじめ提出してもらったＣＭ案に目を通す。
「今回は、Ｓｔａｇｉｏｎｅのお２人の曲とＣＭ案で行きたいと思います。ミドルテンポの幻想的な曲と、ＣＭ案の色っぽさが口紅のコンセプトとも凄く合っていると思うの。惹きつけ魅せる、そんな曲と案だと思うわ。歌詞も凝っていて素敵」
ユナの言葉に、椿と冬織が顔を見合わせて微笑む。
「それと、商品名なんだけれど・・・・赤川さんと駒沢さんの案がまったく一緒なの。“Ｖｅｎｕｓ”・・・・凄い偶然で、私も驚いたわ。他の方の案にも目を通した結果、やっぱりＶｅｎｕｓで行こうと思うの。暁の明星、美の女神・・・・赤川さんの言葉にもグっときたしね」
雷音とロビンが顔を見合わせ、不思議な偶然に互いに苦笑する。
「最後、先方からの強い要望があって、ｓａｇｅｎｉｔｅのお２人の案を店頭用ＣＭとして採用することになったの。あとね、画が凄く魅力的なので、ポスター用にも・・・・。シーンごとに１カットずつ写真を撮って、並べてみたら素敵なんじゃないかって声があって」
どうかしら？と言う視線を向けるユナに頷くＣａｒｎｏと雷音。
「麻倉さんの案は綺麗にまとまっているんだけれど、少しありがちかなって。曲調とあわせて流すと、セクシーと言うか元気なイメージが強くなってしまうかなって。駒沢さんのＣＭ案はすっきりしすぎていて少しインパクトに欠けるかなって。Ｋｅｙｂｅｒｒｙのお２人は・・・・曲名が２つ？あるみたいなんだけれど『ＬＯＶＥ ＴＩＭＥ』と『ＢＥＳＴ ＣＯＮＤＩＴＩＯＮ』どちらなのかしら？ＣＭ案の方は、やっぱり曲と一緒に聞くとセクシーと言うよりも元気なイメージが強くなってしまっているの」
ユナはそこまで言うと、椿と冬織に視線を向けた。
「今回、Ｓｔａｇｉｏｎｅのお２人の案を採用することにした１番の理由は、曲が幻想的なミドルテンポだったことなの。ＣＭ案も幻想的で綺麗で・・・・撮影がとても楽しみ。ｓａｇｅｎｉｔｅのお２人の案は、女の子の魅力を精一杯伝えようとしているＣＭだなって。そ・・・・その相手が私で申し訳ないと言うか・・・・なのだけど・・・・えーっと、え、笑顔の研究をしておきます」
ユナが心底申し訳なさそうにそう呟き、困ったと言うように髪を背に払う。その髪が蛍光灯の光を浴びて艶やかに光り・・・・
「ユナさん、髪も綺麗だね。ちゃんと手入れしている感じだ」
雷音がポツリと呟き、自分の髪に手を伸ばす。
「俺も自分の髪には気を遣っているほうだけど・・・・女性の大切な髪を預かる時は、炒めないよう極力気をつけるよ」
ＣＭ案の中で、ユナの髪に触れるシーンが頭を過ぎった雷音がそう言葉を繋げる。
「えっと・・・・髪の手入れも頑張ります・・・・折角の素敵なＣＭ案を壊さないように、セクシーさも勉強しないと・・・・」
ユナが視線を落としながらそう言って・・・・
「男は歳を経て少年から男となるが、女は生まれながらに女じゃと申すしの。心配せぬとてユナ殿らしい艶があるのじゃよ」
冬織が優しい笑顔をユナに向け・・・・ユナがすっくと立ち上がると冬織の手をギュっと掴む。
「ＣＭ撮影、頑張りましょうねっ！」
「・・・・冬織ちゃん、懐かれちゃった・・・・？」
椿の言葉に冬織が首を傾げ、目の前で瞳を輝かせているユナに困ったような視線を向けた。
●ユナ ｗｉｔｈ Ｓｔａｇｉｏｎｅ
『夢うつつ 迷い込んだ迷宮（ラビリンス）』
霧が周囲をぼやけさせる夜中、見知らぬ館へとたどり着いた青年（椿）が戸惑いながらも扉を叩く。扉が開いた先には右手に燭台を持ち、ゴシック調の黒いワンピースを着た使用人らしき女性が（冬織）佇んでおり、無言で奥へと案内する。
『招くアナタは誰？』
薄暗い館の中を冬織の後についていく椿。ふっと何かに気付いたように顔を上げ、窓に視線を向けた瞬間・・・・冬織の姿が掻き消える。
開かれた窓に腰掛けるユナ。恐ろしいほどに光り輝く満月が逆光となり、表情までは見ないものの紅の唇が色鮮やかに輝く。
『待つのは楽園か否か 何れも甘美な誘惑』
角度が変わり、月光に照らされたユナの表情を見てはっと息を呑む椿。招くように手を伸ばされ、誘われるように１歩１歩足を踏み出していく。ユナの細い腕が椿の体に絡まり、首筋に唇を寄せる。
ラメの光を撒き散らしながら輝く唇が大きくアップされ・・・・
『アナタに惑わされて・・・・』
キュっと口の端を上げて微笑むユナ。
ユナが座っていた場所に口紅が乗せられ、その背後で大きな月が妖しい光を発しながら浮かんでいる・・・・
『貴方を惑わす輝き』
『Ｓｗｅｅｔ Ｐａｒａｄｉｓｅ“Ｖｅｎｕｓ”』
『・・・・きっと貴方も囚われる・・・・』
