朝笑サプリ ダンス編アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
宮下茜
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや難
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
11/05〜11/07
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●本文
『ここはとある高等学校。
少し面白い先生と生徒達が織り成す学園の1コマを、通勤・通学前の貴方に‥‥』
青い空の下、ゴシックロリータな黒い衣装を引きずりながら綾音 乱華(あやね・らんか)が首からホイッスルと下げてやってくるとピっと1つだけ吹いた。
「さて、今日は貴方達に3つのグループに分かれて創作ダンスを踊ってもらいます」
乱華はそう言うと、木の枝を拾って地面に文字を書き始めた。
A:ボケ『電子レンジ』
B:ボケ『冷蔵庫』
C:ツッコミ『監督』
「電子レンジも冷蔵庫も、どんな場面を表しても構いません。例えば、停電になってなかなか回復しないために牛乳や生ものが腐らないかハラハラしている冷蔵庫の気持ちをダンスで表現してもらっても構いません」
そんな事を言われても、どんな踊りを躍れば良いのかよくわからない。
「グループごとに話し合って1つのダンスを作り上げてもらいます。勝手な行動はしないようにしてくださいね。そうでないと、監督の責任になります」
またも監督に全てを押し付ける乱華。
「音楽はこちらでは用意していませんので、もし曲がないとダメだと言う場合は歌いながら踊ってください。その場合、オリジナルのもの以外は認められません」
歌いながらの創作ダンス。しかもお題が電子レンジか冷蔵庫。
どんな歌を歌えば良いのか分からない。
「踊った後にどんな場面を踊ったのかを発表すること。それと、ルールを書いた紙が教室内に貼ってあるので、忘れている人はキチンと読んでからくること」
*ルール
・暴力はいけません
・ものを壊してはいけません
・誰かがボケた場合は必ず誰かがツッコんであげましょう
・笑いは爽やかにとりましょう
・制服はきちんと着ましょう
・クラスでの合言葉を忘れないようにしましょう
「クラスの合言葉、忘れている人はいないわね?“皆さん元気に行ってらっしゃいませ”です。これが言えない人は他クラスのスパイですから気をつけましょう」
●リプレイ本文
「じゃぁ、電子レンジから」
いたってやる気のなさそうな声で乱華がそう言って、右手でパタパタと顔を仰ぐ。いくら風は冷たいとは言え、日差しはまだ強い。全身黒のゴスロリ衣装では太陽熱を吸収しまくりなのだろう。そんなだらけきっている乱華の前では、槇島色(fa0868)と可愛い系元気ボケあずさ&お兄さん(fa2132)、そして甲斐・大地(fa3635)がダンスの準備を着々と進めていた。
お弁当のおかずを作る様子を踊ると言う3人。伴奏ナシの歌つきとあって、その曲名たるや非常に気になるところだが、曲名ズバリ『電子レンジでお弁当☆』と言うからなんとも分かりやすくて有難い名前である。
「まず、パサパサになったら困るのでラップをかけます」
あずさの解説が入り、ラップがかけ‥‥ラップが‥‥いきなり両手を広げながら回り始める色。大地もゆっくりと回り始め、あずさも旋回を開始し出す。ラップをかけますの解説の後に、その動作が入らないのが不思議だが‥‥
『電子レンジでお弁当』『早くて簡単これ本当』『冷凍保存の冷やご飯』『ボタン1つでほらHOT!』軽快な歌を歌いながら不思議な旋回を繰り広げる3人。『電子レンジでお弁当』『みんな大好きゆで卵』『卵を入れれば作れるの?』
「ちょっと待ってください!」
ツッコミ学級委員長姫乃 唯(fa1463)が立ち上がる。
「卵をレンジに入れちゃ駄目ぇっ!爆発するから!」
その言葉を切り裂くように、ボンと言う破裂音が響く。そして、だんだんと速くなっていく旋回とともに曲も続く。『見るのにいるよ勇気相当』
「勇気がどうとか言う問題じゃないから!」
唯のツッコミも虚しく、曲は山場を迎えていく『おおっと 今の ACCIDENT』『今度はホイルでくるんどこう』『ほらほら今度は大丈夫!』『けれども中身はIt‘s so coid』
「ホイルで包めば良いと言う問題でもありませんっ!ホイルはマイクロ波を弾いちゃうから温まらないし!」
「そや。アルミホイルを入れてレンジでチンは危ない思うで。機械によったら火花散るし。マイクロ波避けて中を温めんのは、最初の人はよう思いついたと立派に思うけど。マイクロ波弾き飛ばして外を温めるようになるんやろうね。外をあんまりにも温めすぎたら火事の原因にもなるんちゃうやろか?」
酷く真面目な顔をしながら雅楽川 陽向(fa4371)がそう言い、唯がバっと顔を上げる。
「火花散るとか危険です!先生!」
「‥‥気合だ」
意味が分からない。火花は気合でどうなるものでもないのだが‥‥。そうこうしているうちに電子レンジの創作ダンスは1番激しい部分へと突入していた。
『電子レンジでお弁当』『シュウマイ 唐揚げ Good Good Good!』『野菜はポテトにミニトマト』『まさに大車輪の活躍!』激しい旋回に、目が回らないのかと心配になってくる唯と陽向。
「ベーゴマみたい‥‥」
「なんや違う思うで?」
「いつもより多く回っておりま〜す!」
大地が手足の上下の振りも加え、見ているこっちが気持ち悪くなってくるほどに早く回転し出す。もしかしてこのまま永遠に回転を続けるのでは?そんなIFが胸を掠めた時だった。あずさの声が凛と響いた。
『見事に完成 Ready to go!』ピタっと止まる回転。よく倒れないものだと感心している矢先に、大地が汗を拭きながらその場にしゃがみ込んだ。
「綺麗に茹で上がりました♪あはは〜」
確かにと納得しかけた唯が、ふと心に引っかかっていた疑問をあずさに向ける。
「そう言えば、ラップって‥‥もしかして、もしかする?」
「音にラップをかけてみたんだけど?」
「‥‥そっちのラップかい!」
実は唯、ラップをかけないと表面が乾いちゃうもんね〜と納得していたのだ。けれど、ラップをかける動作はないし、曲はラップ調だしと考え込んでいたのだった。
「レンジの中で温まって分子運動が加速していく様子を踊りで表現しました」
大地が頭の良さそうなことを言いながら、おもむろに衣装を脱いでスクール水着姿になる。暑いと言いながら地面に突っ伏し‥‥
「茹で上がった後はやっぱり、ラップとらないとだよね」
「ラップって制服のことですか!?駄目ですよちゃんと着ないと!監督責任が!それに、レンジは茹でるものじゃないです!」
唯が散らばった制服を集めて大地に差し出す。その様子を見ていたクルディア(fa0771)が、神妙な面持ちでゆっくりと口を開く。
「レンジに卵入れたら危険だよな?」
学ランを不良っぽく着崩したクルディアの慎重な発言に、唯と陽向がすかさずツッコム。
「「もうその話しは終わりましたっ!!」」
「次は冷蔵庫」
どこからか取り出したファーつきの団扇で扇ぐ乱華。ファーが尚更暑苦しい気がするのは気のせいだろうか‥‥?
ベス(fa0877)の左腕についた赤十字マークの腕章に書かれている安全第一の文字を、唯が首を傾げながらジっと見詰める。保健委員なのか、工事委員なのか分からない。
「ぴゃ☆今日は体を動かすので、らじお体操第一〜☆」
「そんなんやってたら踊る時間がなくなってしまうやん」
「そうですよ!」
陽向の言葉に賛同したのは泉 彩佳(fa1890)だった。カメラ目線でキメ笑顔をつくる。
「お久しぶりです。クラスのアイドル、アヤです☆」
「いや‥‥あの‥‥」
ツッコんで良いのか、それともそのボケに乗っかってみるべきなのか。旧ツッコミ天然ボケ隊長、現ボケ天然ボケ隊長小峯吉淑(fa3822)は迷っていた。
「なんでまたそんな‥‥」
いつも自分の時だけ不本意なテロップが大々的に表示される吉淑が、口を尖らして抗議をしようとした時だった。不意にクルディアが立ち上がり、彩佳に右手を差し出した。
「今日転校してきたばかりですが、ずっと前から好きでした」
「なんでそうなるんですかっ!!」
「え〜でも、アヤは、みんなのアヤで‥‥」
「そこも返事しないで下さい!それよりも、早くダンスを始めてください!監督責任が!!」
あくまでも監督責任に拘る唯は、やはりツッコミ学級委員長の素質がある。唯にせかされた3人が持ち場につき、作詞・作曲・歌『クラスのアイドル彩佳ちゃん』曲名『ちょっとこまった冷蔵庫ちゃん♪』と言う、全てにツッコまなくてはならないような事を口走った後で、彩佳とベスが踊り始める。大きく両手を水平に広げて軽やかなジャンプ、クルリと時折回り‥‥それが何を表しているのか分からない唯が首を傾げる。
「バレリーナ、かな?」
「冷気やないの?」
『ちょっと困った台所♪』『おやおや 冷蔵庫が冷えないよ』『ぱかぱかぱか ドアを頻繁に開けちゃって』『冷蔵しなくていいものまで放り込んでいませんか?』『ドアに何か挟まって隙間が冷気が漏れちゃっているよ』『あ、タマゴが扉から落っこちちゃう〜』ベスが転がる動きを見せ、ベスと吉淑の間から彩佳がするりと抜け出して優雅な踊りを躍る。
「今度は分かった!サンドウィッチだよね!」
「‥‥冷気が逃げるダンスやろ?」
ツッコミ学級委員長も、たまには不調になるものだ。
『調味料や乾物は冷蔵庫に入れなくても大丈夫!』『保冷カーテンで冷気漏れもバッチリ!!』『それでもダメなら 何かの拍子に温度つまみが弱になっているから気をつけてね☆』彩佳がパチリとカメラ目線でウィンクをする。
「それより、吉淑さんは何をしているのでしょうか」
先ほどから上半身だけを動かして、後はずーっと「ぶ〜〜〜ん」と低い声を上げている吉淑。尖らせた唇が何とも言いようのない存在感を醸し出している。調味料〜の歌の場面では眉をヘの字にして顔の前で手を振っていたが、それ以外は常に「ぶ〜〜〜ん」だ。いったい何の演技をしているのだろうか。
「モーター音じゃね?」
「「あぁっ!!」」
クルディアの言葉にポンと手を打つ唯と陽向。その瞬間、今まで「ぶ〜〜ん」としか言っていなかった吉淑がクワっ!と声を荒げた。
「ああ、そこチルド室なんだよ。そこ入れても冷凍保存できないんだよ。おばあちゃーん!!」
ビックリした監督3人が暫く沈黙し、ややあってから唯が言葉を紡ぐ。
「確かにチルド室で冷凍保存は出来ないけど‥‥おばあちゃんって誰」
3人が軽快な歌を続けながら視線をそらす。謎のおばあちゃんの正体は、3人しか知らない‥‥。不意にサビのようなメロディが途切れ、監督3人が歌の続きを大人しく待つ。‥‥待つ‥‥待つ‥‥ま‥‥
「そこで終わるんかい!」
唯がツッコミを入れ、その瞬間陽向がどこからか10tハンマーを取り出してそっと唯の手元に持っていく。が、流石はツッコミ学級委員長。少々の葛藤の末に10tハンマーを陽向に戻した。
「テレビの前の良い子の皆さん。面倒くさくても自分で手間隙かけて料理を作ってみましょう。きっと、満足感が味を格別なものにしてくれます。1つの手間が、今日の貴方を変えるねん」
陽向が良い事を言っている後ろでは、クルディアが彩佳に交際を申し込んでいる最中だった。
「そこの2人、そろそろ挨拶の時間だぞ。そう言えばぶりボケ泉、今日は占いは大丈夫か?」
「アヤ、ぶりじゃないですよ〜!」
可愛らしい彩佳の抗議も虚しく、乱華が起立・礼と号令をかける。
「皆さん元気に行ってらっしゃいませ!」