朝笑サプリ 乱葉編1アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 宮下茜
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/05〜01/07

●本文

『ここはとある高等学校。
 少し面白い先生と生徒達が織り成す学園の1コマを、通勤・通学前の貴方に‥‥』


 朝笑学園きっての美人教師、綾音 乱華(あやね・らんか)が自称美人教師、枯音 乱葉(かれね・らんよう)に攫われる事件発生!!
「返して欲しければ私の挑戦を受けなさい!」
 そんな乱葉の言葉に、別に乱華がいなくてもどうにかなるんだけどね。と、ノリ気でないスタッフ一同。乱華でも乱葉でも変わらないからと、あえて挑戦を受けていなかったところ、大問題が浮上してきた。
 『乱葉では、視聴率がとれないのだ‥‥!』
 朝笑サプリは爽やかな朝の笑いを提供する番組のはずなのに、乱葉が提供するのは自分の事ばかりだ。
 『乱葉の魅力ベスト10』『乱葉の好きな言葉20』『乱葉の好きな男性ベスト10』
 どれもこれも、朝っぱらでなくとも見たいと思わない。
「このままじゃ、番組存続の危機です!」
「乱葉の挑戦を受けて、乱華さんを返してもらいましょう!」
「そうです!この番組には乱華さんと、乱華さんのクラスの子達が必要なんです!」
「爽やかさと美しさのない朝笑サプリなんて、俺、撮ってて悲しいです」
 スタッフ達の叫びに、ディレクターが重い腰を上げた。
「よし、乱華クラスのメンバーを至急集めろ!乱華を取り返すぞ!」
「はいっ!!」


 集められた乱華クラスメンバーは、やたら豪華な城に連れて来られた。
「オーッホッホ!ようこそ私のお城へ」
 豪華なドレスを身に纏って階段を下りて来た乱葉だったが、明らかにコレはセットだ。
「乱華は最上階の塔に幽閉してあるわ。そこまで無事にたどり着けるかしら?」
 クスクスと笑いながら、乱葉が扇子で顔を仰ぐ。重量のありそうなドレスは、着ているだけでも暑いのだろう。
「まず、この階で赤い宝石のついた指輪を探しなさい。それが奥へと進む鍵になるわ」
 乱葉が指差した先には、重そうな扉があった。その右端に小さなハートの形の窪みがある。
「宝石の形はハート。良い、赤い色のハートの形の石のついた指輪を探すのよ。黄色だったり、クローバーだったりはダメよ」
 念を押すように言ってくれるのがなんとも親切だ。
「ちなみに、このお城にはいたるところに罠が仕掛けられてあるわ。穴の開いた廊下、触ったら水が降って来る手すり、その他諸々。そして、貴方達の中に1人だけ刺客を混ぜておいたわ。一葉(いちよう)ちゃん!おいでなさい!」
 乱葉の言葉に、背後から可愛らしい男の子が姿を現した。
「この一葉ちゃんには、洗脳の才能があるの。今、貴方達の誰か1人を洗脳しているわ!その子は貴方達を脱落させるべく罠のあるところに導いて行くわ。この一葉ちゃんはとても頭が良いから、すぐにばれるような事はない。そう、気づいた時は洗脳された子以外は全員脱落しているのよ!おーっほっほ!」
 耳障りな高笑いとともに、階段を上っていく乱葉。スタッフの1人が追いかけようとしたが、階段の手前でせり上がって来た壁に阻まれる。
「どうしましょう!刺客がこの中にいるなんて!しかもあの子、相当頭が良かったですよ!?バレないようにうまくやるのなんて朝飯前ですよ!」
「いや、逆に言えば、洗脳された人のみが宝石の場所も、罠の場所も分かっている」
「そうですけれど」
「それを逆手に取るんだ!洗脳された人が誰なのかわかれば、随分楽に進めるんじゃないのか?」
「何か考えがあるんですか?」
「あぁ。あの子の弱点は知っている。それは‥‥」
『ゲームをつまらなくしようとしないでくれない!?』
 突如乱葉の声が響き渡った。スタッフ達が立っていた場所の床が開き、その姿が飲み込まれる。立っていた位置は丁度玄関扉の前で、これで戻ることも出来なくなってしまった。
 唖然とする乱華クラスメンバーの耳に、ディレクターの叫び声が響いた。
「つまらないんだーーーー!!」


*ルール
・暴力はいけません
・ものを壊してはいけません→後から乱葉に請求されます
・誰かがボケた場合は必ず誰かがツッコんであげましょう
・ツッコミの人はボケに引きずられずにツッコミを貫きましょう
・笑いは爽やかにとりましょう
・制服はきちんと着ましょう
・クラスでの合言葉を忘れないようにしましょう→今回は合言葉を言ってはいけません

●今回の参加者

 fa0075 アヤカ(17歳・♀・猫)
 fa0295 MAKOTO(17歳・♀・虎)
 fa1294 竜華(21歳・♀・虎)
 fa1463 姫乃 唯(15歳・♀・小鳥)
 fa2132 あずさ&お兄さん(14歳・♂・ハムスター)
 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)
 fa3635 甲斐・大地(19歳・♀・一角獣)
 fa3822 小峯吉淑(18歳・♂・豚)

●リプレイ本文

 広い玄関に残されたメンバーは探るように互いの顔を見ていたが、誰が洗脳を受けているのかは分からなかった。
「それにしても、乱葉先生が乱華先生を攫っただなんて!前回冷え切った冷た〜いお茶を飲まされたのもあるし、この挑戦受けて立つよっ!」
 姫乃 唯(fa1463)がそう言って、腰に手を当てる。ちなみに今回、乱華がいないために名前の前につくミドルネーム(意味違)はつかない。
「乱華先生を誘拐するなんて、酷いです!それより、この中に刺客がいるなんて‥‥シンジラレナーイ」
 小峯吉淑(fa3822)が首を振る。やたらアメリカーンな態度がなんとも癪に障る。
「でも、乱葉の好きな男性ベスト10とか、ちょっと聞いてみたかっ‥‥」
「それはないでしょう」
 唯の言葉を竜華(fa1294)が遮る。そんな無駄知識を朝っぱらから詰め込まれては堪ったものではない。朝でなくとも、安眠前にそんなものを見てしまったら夢の内容が不安だ。
 唯のプチ天然発言を聞きながらブリッツ・アスカ(fa2321)はディレクターが最後に叫んだ言葉の意味を考えていた。あんなに声を限りに叫んで、何を伝えたかったのだろうか。深く考え込むアスカの隣で、あずさ&お兄さん(fa2132)が緊迫した表情で口を開いた。
「犯人はこの中にいる!」
 その言葉に、それぞれの顔が画面に大きく映し出される。が、そんなカメラ技を使ってもその言葉の意味不明さは拭い去れない。
「そもそも、犯人なんていないだろ」
「洗脳されてる人がいるのはさっき向こうが言ってたし」
 アスカと竜華のダブルツッコミに指摘され、あずさが可愛らしく舌を出すとコツンと頭を叩いた。折角のいい雰囲気に、一度やってみたかったと、ただそれだけの事らしい。甲斐・大地(fa3635)がマネをしてみようと息を吸い込むが、他の人は既に奥へと進んでいた。


「うわぁっ、こんな所に落とし穴を掘ったのは誰だぁ!」
 吉淑がそう言いながら、片足を小さな穴の中にはめてジタバタと両腕を振り回す。先ほどから、何故か吉淑は数個の罠にはまっていた。
「しっかり下見て歩かないとダメだよ〜」
 大地が吉淑に笑顔を向けながらそう言い、ヒュンと姿を消した。
「‥‥じ、自分がしっかり落ちてどうするっ!!」
 アスカが穴の中に声をかけるが、かなり深い穴らしく声が反響するばかりで大地に届いているのかは分からない。お笑いとしてはなかなかかも知れないが、乱華を救い出すと言う目的下ではNGだ。今は笑いをとってる場合じゃないだろ!そう思った時、ふとアスカの脳裏にある考えが浮かんだ。もしかしたら、ディレクターが言いたかったのはこの事ではないのか‥‥?胸から提げたホイッスルを吹いてこちらに注意を向けると、真剣な眼差しで言い放つ。
「みんなの笑いのセンスを試します。お正月の遊びと言えば何?」
 笑いのセンスと言われて、キラン☆と瞳が光るメンバー。まず最初に口火を切ったのは体操服にブルマーのMAKOTO(fa0295)だった。
「やっぱり『麻雀』だよね。親戚一同が会し新年会の余興の中で行われる真剣勝負!金銭が乱れ飛ぶ、仁義無き骨肉の闘争!」
「いや、賭け麻雀はまずいだろ!」
「金が無ければ剥かれる衣服!脱ぐものが無ければ危険に晒される貞操!まさにお正月の醍醐味だよね〜」
「つーか、親戚一同集まってるところで脱衣は尚悪い!どう言う家族だ!?教育的指導!」
 アスカがMAKOTOにツッコミを入れた時、アヤカ(fa0075)が待ってましたとばかりにボケはじめる。
「お正月の遊びと言えば、凧揚げニャ☆タコさんを油で揚げ、その時に生じた油の飛び跳ねの飛距離を競うちょっと危険な料理ニャ!凄く熱いニャよ〜☆」
「そんな地味に危険な遊びも、ましてそんな豪快すぎる料理もない!」
「毎回あたいはこれで火傷とかするんニャよ〜」
 ピラリとスカートを上げれば、小さな火傷の痕が見える。が、どう見てもマジックで書いた偽物だ。画面に『危険ですのでマネしないでください』のテロップが流れた時、それまで黙っていた唯が口を開いた。
「お正月の遊びと言えば、コマ回しでしょう!美しき日本の伝統文化だよね!」
 取り出したのは、紐と駒の置物だ。今からお手本を見せますと言って、駒に紐を巻きつけて「やぁっ!」と駒を投げる唯。が、コマではないので当然回らない。床に投げ出された哀れな駒はパタリと倒れると無言の訴えを画面いっぱいに放った。
「いや、形見りゃ分かるだろ、回らないことくらい」
 アスカの言葉に、慌てて駒を懐にしまった唯が何事もなかったかのように愛らしい笑顔を振りまき、大きめの紐を取り出すとアスカに向き直った。
「監督サン、紐の端を持っててください。こっちが本当の日本文化です!」
 片側をアスカに持ってもらい、反対の端を自分に巻き付ける。「お、お代官様、そんな御無体な。あ〜れ〜!」と言いながらクルクル回る唯にアスカが溜息をつく。
「これは帯まわしだろ!つーか、自分が回ってどうす‥‥」
 言葉が止まる。くるくる回りながら廊下を移動していた唯が、トラップの穴に落ちたのだ。
「って、落ちたあぁっ!?」
 驚いて駆け寄ろうとするアスカの肩をあずさが叩き、見ている方が不安になるくらいの勢いで突然笑い始めた。
「どうした?ひょっとして洗脳が解けかかって?」
 洗脳解除の前兆が大笑いなんて、不安でしょうがない。何度かアスカが声をかけると、不意にピタリとあずさの笑いが止まった。
「バカ笑い!」
「‥‥って、紛らわしいことすんじゃねぇっ!だいたいそのどこが遊びだ!?」
 あずさは福笑いと言いたかったらしいが、まったく合っていないので伝わらない。アスカが盛大な溜息をついた後で、吉淑に視線を向ける。
「皆でおしくらまんじゅうをしながら、1人ずつ自分の過去の恥ずかしかった事を面白おかしく話して、恥ずかしキングになった人が親戚からお年玉を沢山貰える遊びで、必要人数はゆりかごから墓場まで」
「‥‥えーと」
 シンと静まる室内。ツッコミポイントが分からない。でも、ここはツッコミの意地としてツッコミたい!あぁぁ、でも!!と、苦悩した挙句アスカは完全にそのボケをスルーした。
「とりあえず、指輪を探すぞ」
 歩き出し、突き当りの階段を上る。と、上り切った地点に無造作に置かれていたバナナの皮に、アスカと竜華が顔を見合わせる。こんな誰も踏まなさそうなところに置いておくだけ無駄な気がする。そんな2人の背後で、MAKOTOは悶々としていた。引っかかったら受けるだろうけれど、間抜けだ。
「踏みたい腑みたい。いや、踏んだらダメだ!踏みたい‥‥(略)」
 恐ろしいほどの早口で葛藤するMAKOTO。隣にいる吉淑がやや引き気味になっている。暫く呪文を唱えていた彼女だったが、ついにクワっと目を見開くと思い切りバナナの皮を踏ん付けて階段を転げ落ち、穴の中に吸い込まれていった。
「な、なんでだぁぁぁっ!!」
 叫ぶアスカの隣で、一行は指輪が沢山置かれている部屋に進んでいた。吉淑が赤い指輪だけを集めて紙の上に『ハート』と言う字を作る。何の意味があるのか分からない。ここにならあるかも知れないと、竜華が必死に探す中、あずさは透明なハート型の石のついた指輪を拾うと赤マジックで塗ってそれっぽく仕上げ「あったー!」と歓声を上げた。そして、扉の前に持って行くと微妙に合わない窪みに無理矢理押し込めようとする。
『インチキするな!』
 不意にそんな声が響き、金盥が落ちて来てあずさの脳天を直撃した。
「ほ、本物はいつもひと‥‥」
 ばたりと倒れたあずさの隣で、吉淑がバナナの皮に飛び乗ると「あいたぁー!」と声を上げて転んでいる。まったく空気の読めていないボケは、全然面白くない。その時、アスカの瞳が光り、突然声を荒げた。
「このままじゃダメだ、一旦手分けして探そう!」
 その声に皆がバラバラの場所を探し始める。アヤカが近くの部屋に入り、小さな破裂音が響く。「ニャっ!」と言う可愛らしい声に竜華が心配して見に行くが、どうやら音だけだったらしい。ほっと安堵したのも束の間、慌てた様子で吉淑がトイレのロッカーの中をチラリと見、直ぐにほっと溜息をつくと他の部屋を見て回ろうとして‥‥アスカが前に立ちはだかると笑みを浮かべた。
「気が変わった。そこを探そうか」
「え、いや、僕も見たんですけれどなかったですよ?」
「一応だよ」
 ロッカーを開けてバケツを見つけると、ひっくり返す。積み重なった使用済み雑巾の下から、コロリと赤いハート型の石のついた指輪が転げ落ちる。
「刺客、みーつけた」
 ニィっと笑ったアスカに、吉淑が大きく首を振る。
「ぼ、僕が刺客!?そんな、酷いですっ!いつも通りの僕じゃないですかっ!こんな事なら今朝、二度寝しておくんだった!」
 意味のわからない事を呟く吉淑に、竜華がグイと詰め寄る。
「観念しなさい、一葉」
「う‥‥うわ〜ん!乱葉さんすみません!僕には無理でした!」
 吉淑はそう言うと、ふっと意識を消失した。ドサリと床に倒れ込み、ゆっくりと起き上がると不思議そうに辺りを見渡す。やっと普段の吉淑に戻ったと安堵する3人の前で、寝惚け眼の彼はとんでもない事を呟いた。
「あれ。まだ朝ですよね?二度寝しないと‥‥」
「これはまだ‥‥」
「洗脳されているのかニャ?」
「へ?」
 吉淑はそれから小一時間ほど、女性3人組から厳しい取り調べを受けたのであった。