お嬢様の事情6アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
宮下茜
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
5.5万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/24〜01/26
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●本文
泣く子も黙る、超絶美少女の白雪 可憐(しらゆき・かれん)はロープを腰に巻きつけると息を深く吸い込んだ。
(もう、ぜってーこんなトコ出てってやる!出てってやるーーーっ!!!)
心の中でそう叫び、窓を大きく開け放つとカーテンを引き千切り下に垂らす。
真っ白なカーテンが風に揺れ、可憐は慎重にカーテンを丸めるとソレを伝って庭へと降り立った。
腰に巻いていた命綱のロープを持っていた鋏で切り、地面に投げ捨てる。
(毎日毎日、お琴だお作法だって、もう耐えらんねーっ!!)
可憐はギュっと奥歯を噛み締めると呟いた。
「見つけられるもんなら、見つけてみろってんだよ」
いくら彼女の世話係である大胡 信也(おおご・しんや)でも見つけられないようなところに逃げてみせる。
可憐はそう心に誓うと、物音を聞きつけて此方にやって来た警備の男性の背中に蹴りを入れて気絶させ、一目散に走り去って行った。
さて、何故可憐が逃走しなければならないような状況に追い込まれたのか。
これには可憐の母親の儚(はかな)が関係してくる。
『私、思うんだけどぉ〜。大和撫子って素敵よねぇ〜』
最近やっていたテレビの影響なのか、儚はそう言うと次の日から可憐を巻き込んでの『大和撫子大作戦☆』を敢行し出したのだ。
可憐にとっては迷惑極まりない。
そもそも、中身若者の儚だ。すぐに飽きて止めるかと思われたのだ。
‥‥勿論それは正しかった。儚はすぐに習い事に飽きたのだ。
これでやっと解放される。そう思った可憐だったが、そう甘くはなかった。
彼女の世話係であり、見た目は超がつくほどの美形にも関わらず中身はヘタレの信也がとんでもない事を言い出したのだ。
『お嬢様には良い機会ですから、このまま習い事を続けさせては如何でしょうか?』
『そうね〜。ん〜、そうしよっかなぁ〜。それじゃぁ、大和撫子は可憐ちゃんにお任せっ♪』
勿論可憐は猛抗議し、信也にも発言の撤回を求めたのだが信也は頑として意見を曲げなかった。
『お嬢様もそろそろ年相応の振る舞いをなさった方が良いと思います』
普段は可憐に絶対服従の信也が、何故か強気だった。
そんなこんなで可憐は地獄の習い事生活を強いられたのだった。
「くそ、ジジイのヤロー!ンであんなこと言ったんだ〜!?俺様になんか恨みでもあんのか!?」
幼い頃から可憐にいびられている信也には、恨みの1つや2つはあるだろう。
「せいぜい俺様を捜して右往左往するが良いさ!ババアに怒られるが良いさ!」
儚の場合、怒るどころか
『え〜、可憐ちゃんがいなくなっちゃったのぉ〜!?反抗期〜?んっとー、難しい事は信也君にお任せっ♪』
となるだろうけれども‥‥
「俺様のいない寂しさを味わえば良いんだ!」
可憐はそう叫ぶと、ズビリと鼻をすすった。
≪映画『お嬢様の事情』募集キャスト≫
*白雪 可憐
泣く子も黙る、超絶美少女。外見年齢15〜18程度
ふわりと天使の微笑を向けられたがために卒倒した男性がいるとかいないとか
長い睫毛と真っ白な肌、大きな二重が自慢
性格は腹黒で大雑把で俺様。猫かぶりの術に長けているため、お嬢様演技も完璧
お嬢様時は『わたくし』『〜様』『ですわ、ですの』信也は『ジイヤ』または『信也さん』
俺様時は『俺、俺様』『お前、てめぇ』『〜だぜ、だよな』信也は『ジジイ』または『信也』
*大胡 信也
女性ならば思わずキュンとしてしまうほどの王子様&勇者様外見。外見年齢15〜20程度
控え目な笑顔(困った時)と凛々しい表情(夕食のメニューを考えてる時)に卒倒する女性がいるとかいないとか
性格はいたってヘタレ。可憐に散々いびられた過去を持つために、絶対服従
通常時『俺、私(可憐に接する時)』『〜さん』『です、ます』可憐は『お嬢様』または『可憐様』
ヘタレ時『わたくしめ』『〜様』『です、ます』可憐は『お嬢様』
ひっそりと可憐に思いを寄せている。白憐(はくれん)と言う白猫を飼っている。
・白雪 儚
可憐の母親で、外見は可憐にソックリの落ち着いた大和撫子風美女
中身はいたって若者で、言葉遣いも砕け調子
『私・儚ちゃん・儚様』『〜さん、〜君、〜ちゃん』『〜じゃーん』『〜でしょぉ』
『超〜』や『マジ〜』なども使う
・その他
・可憐や信也の友人
・可憐を捜している時に会う人 など
*注意事項*
・その他のキャストの性格を決めるにあたって以下の事を厳守下さい
*見た目と性格のギャップ
例1)超美少女でお嬢様外見なのに俺様口調で凶暴な性格(可憐)
例2)王子様か勇者様かと思うほどの外見なのに、ヘタレで腰の低い性格(信也)
●リプレイ本文
屋敷から脱出した可憐(角倉・雨神名(fa2640))は大徳寺茉璃(咲夜(fa2997))の家に居た。
「可憐はんの気の済むまで、居てくれて構いませんよって。ご自宅と同じように思ってお過ごしくださりはって、よろしゅうおすから。それより、此処に来るまでに誰かに見られたりしはりましたか?」
「あぁ。庭師に会ったけど、口止めしといた。‥‥信也なんか、女装してアレして本当に女になっちまえばいいんだ!」
鼻声でそう訴える可憐。泣いてるのか、それとも寒い場所から突然温かい場所に移ったために必然的にそうなってしまっているのか。ズビリと鼻を鳴らす可憐に、ティッシュを差し出す。ちーんと勢い良く鼻をかんだ可憐が、延々と信也(Rickey(fa3846))の悪口を言い続ける。
「ほな、そんなに気になるようでしたら、うちが信也はんの様子を見てきましょうか?」
可憐が自室に居ない事に気付いた信也は、動転し、一番頼りになりそうもない人に電話を入れてしまった。
それが彼、ニコラス(ルーカス・エリオット(fa5345))だった。信也の背後に隠れ、ひたすらモジモジクネクネしている超ド級の恥ずかしがりの彼は、気絶でもさせて店先に飾っておけばお客が呼べそうなほどにクールでナイスな外見をしていた。
「僕、シャイなんですぅ。あああ、お願いですから目を合わせないでっ!信也さん!どこにも行かないで下さいね!」
両手で顔を覆ってモジクネ。顔を赤くして、モジクネ。そこら辺に転がっているもので顔を隠し、モジクネ。年頃の乙女が意中の人の前でもしないような行動をしている彼は、常に信也を盾にしていた。
「あの、ニコラスさん。近いです」
「ああああっ!!ダメです!行かないで下さい!」
ギューっと信也の服の裾を掴み、モジクネモジクネ。信也はどうしてこの人に連絡を入れてしまったのか、心底後悔していた。けれど、手伝ってくれると言う好意を無には出来ない。信也は背後霊よろしく後ろにピッタリとくっついてくるニコラスを引きずりながら、可憐の行き先を知っていそうな人が居ないか屋敷の中を歩き回った。
西園寺 恋(敷島ポーレット(fa3611))は、可憐に会いに白雪家に足を運んでいた。が、残念ながら可憐の不在を聞き、それならと信也の姿を捜していたところ、運良く廊下の端で彼の姿を見かけ、走りよった。
「信也さん!」
白のワンピースがひらりと靡き、純真無垢なお嬢様風の容姿をした恋が信也の前でピタリと止まる。
「ああ!お嬢様を見かけませんでしたか?」
「私も可憐さんに会いに来たんですけれど、どうやらご不在のようですね」
爽やかな笑みを浮かべた恋が、信也に擦り寄るとそっと腕を取る。実は恋、こんな外見をしているが恋多き色魔なのだ。
「今のうちに、私とイイコトしませんか?」
信也の背後に隠れていたニコラスが、キャっ!と女の子ばりの悲鳴を上げるが、ハンターの目つきになっている恋には全く聞こえていない。
「信也さんって、可憐さんの事ばかり構うんですもの。私、寂しい。大丈夫、今日の事は可憐さんにはナイショにしておきますから。ね?」
上目使いで小首を傾げる恋。普通の男性なら思わずコロリと行きそうな展開だが、信也にはそんな事は見えていなかった。
「あああ、お嬢様、何処に行ってしまわれたのでしょう!」
完璧にムシされた恋だったが、恋多き女性はこんなことくらいではへこたれないのだ。
信也がオロオロと屋敷内を彷徨っていた時、可憐が家出をしたと言う噂を聞きつけた京極武美(あずさ&お兄さん(fa2132))と茉璃が姿を現した。美少女系の外見をした武美は、外見ではなく名前に性格を依存しているらしく、思いっきり体育会系だった。可憐を師と仰いでいる彼女にとってみれば、信也のせいで可憐が家出をしてしまったのは非常に腹の立つ事だった。捜索に手を貸すと言いつつ、ネチネチと信也を責め立てる武美に、それに続けとばかりにネチネチ言い続ける茉璃。ネチネチダブルサウンドは強烈だった。
「だいたいどすな、可憐はんのお人柄をどうにかしようというのが、そもそもの間違いと違いますか?可憐はんは今のお人柄で十分輝いとるのどすから(中略)」
「そうだそうだ!」
「こないな事、今更云われへんでも信也はんならとっくに分かってはると思っておりましたのに。うち、がっかりやわ」
盛大な溜息とともに肩を竦める茉璃に、信也がその場にしゃがみ込む。精神的ダメージは、肉体的ダメージよりも辛いものだ。
盾を失った乙女ニコラスがか細い悲鳴をあげ、信也の背後に隠れるようにしゃがみ込む。
「大体、なんだお前は!男ならシャキっとしろ!」
武美が無理矢理ニコラスを立たせようと腕を取るが、シャイボーイ(?)のニコラスは力なくイヤイヤをするばかりだ。
「そもそも、こんな何の力にもならなさそうな乙女ッティーに連絡を入れる奴があるか!?茉璃さんとかだろ、普通!」
「で、でも」
「口答えはするな!そしてそこの乙女野郎!お前は顔を上げろ!」
「む、無理です!」
武美の言葉の刃がグサリと信也に突き刺さり、おまけにとばかりにニコラスまで巻き添えにする。最悪の泥沼展開に、恋が咄嗟に恋の計算式をはじき出す。
『武美と茉璃のダブルサウンドで苦しめられる信也→傷心の彼を慰める私=恋のピンクフラグ成立!?』
恋が心の底から武美と茉璃の2人の応援していた時、不意に庭の方から秋野 紅葉(紗原 馨(fa3652))が姿を現した。明るく人懐っこい雰囲気の彼女は、強烈なネガティブ思考の持ち主で、彼女の半径1m圏内に入るとそれに引きずられて1日精神的ブルーデ−を体感しなくてはならない。
信也は彼女のネガティブ圏に入らないように注意しながら、シュピっと立ち上がると紅葉の前に立ちはだかった。盾を失ったニコラスが悲鳴を上げ、赤絨毯を剥がして顔を隠す。人ん家のモンに何すんだと言う感じだが、誰も咎めはしなかった。
「秋野さん!お嬢様を知りませんか!?」
「え、可憐様、ですか?」
キョトンとした表情で何かを言いかけた紅葉が慌てて口を塞ぎ、首を振る。実は、可憐が脱走した時に遭遇した庭師とは彼女の事だったのだ。
「あの、可憐様が脱走なんて、知らないです!泥棒に追われて、あ、使われて?えと、でも、可憐様は、秘密の通路なんて通ってなくて、むしろ、私が秘密の通路で‥‥」
支離滅裂な事を口走る紅葉。何を言っているのかサッパリ分からない挙句、発狂しかねない勢いで謝り倒している。まったくキャラのつかめない彼女に、恋が冷たい視線を向け‥‥
「秘密の通路ですね!」
信也には思い当たる事があったのか、パっと顔を輝かせると外へと飛び出した。
「ご、ごめんなさい可憐様!」
「ま、待ってくださいーーーっ!」
紅葉とニコラスの声が綺麗に合わさった。
気が動転していた信也は、怪しげな占い師の女性に声をかけていた。
「む!これは‥‥おぬし、女難の相が出ておる!危険じゃ!」
「そんなのどうでも良いですから、お嬢様の居場所を占ってください!」
フリフリの衣装を着た可愛らしい外見の大森 若葉(姫乃 唯(fa1463))は妾が難を払ってしんぜよう!などと言いながらはたきを左右に振っている。占い師を生業としている彼女は、能力の方はさっぱりない。だいたい、女難の相なんて、信也には毎日のように出ているだろう。と言うか、可憐の世話係を押し付けられてしまった彼の宿命だと言うしかない。
「む!こっちの方角から力を感ずる!」
そう言って指し示したのは、茉璃のお屋敷だった。一瞬だけ茉璃の表情が強張り、信也がそこから全てを悟ったかのように中に入って行く。そして、茉璃の自室の扉を開けると安堵の表情を浮かべ、走って行った。
「お嬢様!見つけましたよ!」
「おっせーんだよノロマ!」
グサリ。信也の胸に深々とナイフが刺さる。
「そもそも、俺様は俺様だから俺様なんだ!無理矢理習い事して、はいはいって何でも言う事聞いて、素直に他のところに嫁に行くとか、考えられっかよ!ンな事、俺から言わせねぇでもテメェで分かれよ!」
「信也はん。うちがゆうたこと、覚えてはります?何が可憐はんにとって幸せなんかを」
「でも、このままではお嬢様は‥‥」
「信也は、お師様とはつりあわねぇな」
呟いた武美の言葉に、信也が顔を上げる。そんな事は分かっていますと言うように、微かに口元に笑みを浮かべ‥‥武美に思い切り蹴られる。
「何をするんで‥‥」
「お師様の代わりだ」
ブスっとした武美と、少しだけ寂しそうな顔をした可憐。茉璃が冷たい瞳で信也を見詰め‥‥不穏な空気を感じた恋が、一波乱ある前に帰ろうと信也の元に近付くとそっと耳元で呟いた。
「それじゃぁ、信也さん。またイイコトしましょうね♪」
ひらり、手を振って去って行く恋。可憐の顔色がガラリと変わる。
「‥‥へぇ、人が居ない時にイイコトねぇ。んじゃぁ、俺様もイイコト、してやるよ」
虚ろな笑みを浮かべ、傍らにあった椅子を持ち上げると信也目掛けて振り下ろす。それをギリギリでかわす信也。
「落ち着いてくださいお嬢様!」
「ルッセー!黙って殴られろ!」
「キャー!お嬢様が大暴れー!お助けー!!」
ニコラスが乙女走りで逃げ、茉璃と武美、若葉もソレに続く。可憐が椅子を振り上げながら追って来て‥‥
「テメェら、まとめてお仕置きだ!」
「お、お嬢様、落ち着いてくださいーーーっ!!」