黒蝶ノ涙 〜陰〜アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
宮下茜
|
芸能 |
3Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
難しい
|
報酬 |
7.2万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
02/09〜02/11
|
●本文
威圧感を感じる、巨大な洋館。
どうしてこんな山の中に洋館なんて?
そう思いつつも、突然の嵐に動揺していた僕達は扉を叩いた。
細く開いた扉の先には、銀の鳥籠を持った男性が1人、佇んでいた。
驚くほど美しい彼から視線をそらせば、銀の鳥籠が映る。
その中で、ひらりひらりと飛んでいるモノ。
籠の中を飛び回りながら、それでも外には決して出ないモノ。
それは、漆黒の羽をした蝶だった。
≪映画『黒蝶ノ涙 〜陰〜』募集キャスト≫
*生島 龍(いくしま・りゅう)
中性的な外見をした男性。実年齢20(外見年齢18〜28程度)
友人とともに登山に来ていたところ、下山途中で突然の嵐に遭い香夜の住む屋敷へと避難した
『僕』『〜さん』『だね、かな』少々子供っぽい少年口調
*香夜(こうや)
洋館の主で、真っ黒な服を着ている。実年齢は不明(外見年齢18〜28程度)
黒の髪に、黒の瞳をしている
→瞳の色は赤だが、カラーコンタクトで隠している
常に銀色の鳥籠に入れた黒蝶を持ち歩いている
『俺』『〜さん』『だ、だな』素っ気無い男性口調
*白(はく)
真っ白な洋服に身を包んだ少年の霊
本名は不明だが、服の色から龍が命名
→言葉は話しません(ただし、最終選択をAにした場合にのみ少し喋ります)
・屋敷で働く女性
外見は総じて美しいが、声に力はなく表情も虚ろ
皆首元を何かしらで隠している
・屋敷で働く男性
艶やかな色香を纏っており、口調は丁寧で物腰も穏やか
常に柔らか微笑を浮かべている
*外見年齢18歳以下の方は役が限られてしまいますのでご注意下さい
≪黒蝶ノ涙≫
・シーン1
1日目、夕方
下山途中の悪天候により、見つけた洋館に足を踏み入れた龍と友人達
真っ黒なタキシードを身に纏った香夜が洋服と食事を用意してくれ、和やかな夕食をとる
食事中、不意に香夜の持っていた銀色の鳥籠から黒蝶が飛び出し、ひらひらと宙を舞った後で突然龍の目の前に落ちる
スープの中に落ちた黒蝶は既に動かなくなっており、屋敷の住人Aがすかさずそのお皿を引っ込める
気まずい沈黙が流れる中で、香夜がそっと銀の鳥籠を撫ぜる
登場人物:龍、友人達、香夜、住人達
・シーン2
1日目、真夜中
衣擦れの音に目を覚ますと、扉の外に誰かが立っている。薄く開いたドアの下から真っ白なズボンが見え、起き上がって扉を開ける龍
真っ白な洋服を着た少年の霊に促されるままに廊下を歩いて行く
ついたところは香夜の書斎で、大きな机の上に銀色の鳥籠が置かれている
白が鳥籠の中から黒蝶を取り出し放すと、数秒ふらふらと宙を漂っていた黒蝶が龍の目の前で落ちる
蝶の死骸を手に顔を上げれば、白の姿はなく壁に真っ赤な文字が書かれている
『早く逃げて』
カタリと背後で音が鳴り、振り向けば香夜が艶やかな笑みを浮かべている
真っ赤な瞳と目が合った瞬間、意識が遠退く龍
登場人物:龍、白、香夜
・シーン3
2日目、朝
朝起きるとベッドの上に寝かされており、隣に居たはずの友人Aがいなくなっている
必死に捜す龍と友人達。屋敷の住人達も手伝ってくれるが、友人Aは見つからない
手分けをして捜す事になり、1人屋敷の最上階の部屋へと足を向ける龍
真っ暗な部屋の中は血の匂いで充満しており、思わず崩れ落ちる龍
どこからともなく淡い光を纏った白が現れ、壁に乱雑な文字を書く
『早くこの場所から出て、早く山を下って!』
白の言葉に踵を返そうとした時、扉の向こうから香夜が微笑みを浮かべてやって来る
黒のコンタクトをとり、真っ赤な瞳を見せられた瞬間、意識を失う龍
登場人物:龍、白、香夜、友人達、住人達
・シーン4
2日目、夜
目を開ければ真っ暗な部屋の中で、絨毯の上に転がされていた事を知った龍が顔を上げる
等間隔に並べられた椅子の上には、ぐったりとした仲間達が座らされており、思わず言葉を失う龍
豪華な椅子に腰を下ろした香夜が、持っていた銀色の鳥籠をテーブルの上に置くと微笑を浮かべる
その笑顔に全てを察し、香夜に殴りかかろうと立ち上がった龍を羽交い絞めにする住人達
香夜が艶やかな笑みを浮かべたまま、龍の胸元を掴むとグイと顔を寄せる
『選ばせてやる。この場で俺に命を捧げるか、一生俺の元で忠誠を誓うか』
登場人物:龍、香夜、友人達、住人達
・(選択形式)
A、銀色の鳥籠の中で、黒蝶が蠢く
こんなヤツの言いなりになって堪るかと、香夜を睨みつける龍
香夜がさも面白いと言うように声を上げ、指を鳴らせば香夜の背後から白が姿を現す
その手には銀色に光るナイフが握られている
白が今にも泣きそうな表情で龍に謝罪の言葉を述べ、香夜の合図で龍の胸にナイフをつきたてる
『ごめんね。助けてあげられなくて、ごめんね』
初めて聞く白の声は透き通っており、綺麗な声だと思った瞬間、意識が遠退いた
登場人物:龍、香夜、白、住人達、友人達
B、銀色の鳥籠の中で、黒蝶が蠢く
無表情で見詰める住人達に視線を向ける
きっと、彼や彼女達も同じように迫られて、後者を選んだのだろう
暫くの沈黙の後で、香夜への忠誠の言葉を述べる龍
香夜が満足そうに微笑み、住人達が龍の体を絨毯の上へと放り投げる
香夜が龍の背中に手をかざした次の瞬間、背中を襲った凄まじい痛みに声を上げる
背中から生える黒の羽は、黒蝶のそれとソックリだった‥‥
登場人物:龍、香夜、住人達、友人達
●リプレイ本文
○1日目夕方
急な悪天候で、飛び込んだ先は大きな館だった。香夜(蘇芳蒼緋(fa2044))が柔らかい笑みを浮かべて龍(ラリー・タウンゼント(fa3487))と咲良(夜野月也(fa4391))を招き入れる。
「もー、何で傘持って来てないんだよー!」
「仕方ないだろ。持って来てないものは持って来てないんだから」
「お召し物の替えをご用意いたします。お部屋へは、絢がご案内いたします」
泉(仁和 環(fa0597))が優しく微笑みながらそう言い、隣に立っていた絢(EUREKA(fa3661))に視線を向ける。
「‥‥此方へどうぞ」
「うっわー、すっごい美人!」
「馬鹿!声が大きいんだよ!」
「‥‥龍のが大きいよ」
「此方です」
絢が1つの大きな扉の前で立ち止まり、ゆっくりと扉を開ける。
「直ぐにお食事になります。着替えが終わりましたら1階の食堂へお越しください」
「あ、はい‥‥」
まるでホテルのような対応に、思わず顔を見合わせる龍と咲良。ベッドの上に乗せてあった服に袖を通し、直ぐに階下へと向かうと既に食卓の用意は出来ていた。
「ねーねー、この服お坊ちゃんっぽい?っつか、夕食超豪華!やっぱそうだよね〜、こんなお屋敷でご飯に味噌汁とか有り得ないって!」
「おい、咲良‥‥」
ハイテンションな友人に溜息をつきながら、香夜の言われるままに席に座る2人。ふわりと柔らかいパンを手に取り‥‥突然香夜の隣に置かれていた鳥籠の中から1羽の蝶が飛び出し、龍の前までふらふらと飛んでくるとスープの中に落ちた。
「うわ、ばっちいな〜も〜」
咲良が顔を顰め、その横顔を澪(各務聖(fa4614))がジっと見詰める。
「逃げたりしなければ、堕ちる事もなかったのに」
苑香(葉月 珪(fa4909))の小さな声に顔を上げた瞬間、絢がさっとスープの皿を持ち上げた。
「失礼致しました。只今替わりをお持ちいたします」
「まことに失礼致しました」
泉が眉根を寄せながら深々と頭を下げ‥‥『愚かな』と、口の中で呟いた。
『逃げた蝶は生きていけない』
『それは自分達も同じ』
『だから、このまま香夜様に従うだけ』
●1日目真夜中
衣擦れの音に目を覚ませば、扉の下から真っ白なズボンが見えていた。まだボンヤリとする頭を何とか奮い立たせ、扉を開ければ白(大海 結(fa0074))が立っており、ついてくるようにと視線だけで訴えると先に立って歩き始めた。
不思議な少年に必死に話しかける龍だったが、少年は口を開こうとはしなかった。喋れないのかも知れない。そう思った時、白が開け放たれた扉の中へと入って行った。どうやら書斎らしいそこには、大きな机の上に銀色の鳥籠が置かれていた。白がおもむろに鳥籠の扉を開け、中から蝶を1羽捕まえると部屋の中に放す。数秒ふらふらと宙を漂っていた蝶は、龍の目の前でふらりと足元に落ちた。
「あの時と同じだ。食事の時と‥‥」
もう2度と動く事はないであろう、黒い亡骸を掌に乗せる。ふっと、前髪を風が揺らした気がして顔を上げれば、そこには白の姿はなくなっていた。その代わりに、壁には乱雑な赤い文字で『早く逃げて』と書かれてあった。
「‥‥どう言う事?」
思わず呟かれた言葉と、背後でカタリと音が鳴ったのはほぼ同時だった。振り返れば、香夜が艶やかな笑みを浮かべ立っていた。黒い服、端正な顔立ち、真っ赤な両の瞳‥‥その瞳と目が合った瞬間、竜の意識は途絶えた。
『好奇心旺盛なのは結構だが、強すぎるそれは自身の破滅を招くぞ?』
○2日目朝
隣に居たはずの咲良の姿はなく、ベッドは冷たくなっていた。一体どこに行ってしまったのだろうか?龍は香夜に咲良が居ないと言う事を告げ、彼と住人達の協力を仰ぐと広い屋敷内を捜し始めた。絢と泉が虚ろな様子で黙々と捜し、苑香は捜しているのかそうでないのか分からないほどにゆっくりと、屋敷内をうろついていた。
「お兄ちゃん」
どこか生気のない声で澪が龍の袖を引っ張り、無言で階上を指差すと曖昧な笑みを浮かべる。
「咲良を見つけたの?」
澪は肯定も否定もしなかった。ただ、上を指差して微笑むだけ‥‥
「あの、僕上を見てきます」
泉に声をかけ、階段を駆け上がっていく龍。
「吉か凶か、何れも心構え次第ですけどね」
泉の言葉に、絢が遠くを見詰めながらボソボソと唇を動かす。独り言にも満たない程度の声量は、絢の耳にすらも届かなかった。
「不要な事をして不興を買いたくない。生きていたいのです、わたくしは‥‥」
屋敷の最上階にある1室の扉を勢い良く開き、龍は思わず崩れ落ちた。真っ暗な室内は、血の臭いで充満しており‥‥口元に手を当てる。激しく咳き込んだ龍の前に、ふわりと白が現れ、必死の形相で壁に乱雑な文字を書く。『早くこの場所から出て、早く山を下って!』字が叫んでいる。そう思うほどに乱れた文字だった。
龍が壁に手をつき何とか立ち上がり、部屋から出ようとする。その様子に安堵の表情を見せた白の瞳が凍りつく。龍が目を大きく見開いて立ち止まり‥‥
「やれやれ、困った奴だ」
香夜が苦笑しながら扉の影から現れた。逃げ場のない獲物をいたぶる狡猾で獰猛な笑みを浮かべ、そっと黒のカラーコンタクトを瞳から外す。その下にあるものが何なのか知っていた龍が慌てて目をそらし‥‥けれど、赤の瞳はそんな龍の抵抗を許さなかった。引き寄せられる視線は、香夜の瞳をその中にとらえ‥‥ふっと、意識を失った。
白が何かを言いたげに口を開き、ギュっと唇を噛むと涙を流す。
香夜はいつもそうだった。屋敷に捕らえた蝶に、わざと脱出の機会を与える。銀の鳥籠の鍵は白。けれど、香夜はみすみす蝶を逃がしはしない。
微かな希望を打ち砕いた瞬間の絶望。その時の表情が、何よりも好きだった。そして、己の無力さをいつも突きつけられ、ただ泣くしか出来ない白を嘲るのも‥‥
●2日目夜
『行き着く所へ行き着いてしまった『蝶』』
『その羽が折られるかどうかは全て『神』次第』
『美しく残忍な『神』は、すべてを思い通りにするから‥‥』
目を開ければ真っ暗な部屋の中で、頬には絨毯の柔らかな毛の感触があった。軋む体に顔を顰めながら体を起こせば、等間隔に並べられた椅子の上にぐったりと座る咲良の姿があった。パっと見には死んでいるのか生きているのか分からなかった。ただ、豪華な椅子の上に腰を下ろし、鳥籠を撫ぜながら不敵な笑みを浮かべている香夜の瞳が彼の生死を克明に物語っていた。
鳥籠をテーブルの上に置き、人を見下しているかのような笑みを浮かべる香夜。その笑顔にカっとなった龍が、右手を振り上げ香夜に殴りかかろうと床を蹴り、すぐに住人達に取り押さえられる。
「無礼はおやめください」
絢が何の感情も含まれていない声でそう言い、泉が軽く首を振る。
(香夜様に手を上げる等、絶対に許されない。‥‥許されないんだ)
捕らえられた龍を満足げに見詰めると、香夜はその胸倉をグイと掴み、顔を寄せた。心底楽しんでいる笑顔。瞳は細められ、目をそらす事は許されない、そんな強い輝きを放っていた。
「選ばせてやる。この場で俺に命を捧げるか、一生俺の元で忠誠を誓うか」
○結末
銀色の鳥籠の中で、黒蝶が蠢く。龍の決断を静かに待っている住人達は、皆表情を忘れてしまったかのようだった。きっと、彼や彼女達も同じ様に迫られて、後者を選んだのだろう。
一瞬だけ、咲良の安らかな顔に視線を向けた。唇を噛み、諦めたように力なく目を伏せるとゆっくりと唇を開く。
「香夜様に‥‥一生、忠誠を‥‥誓います‥‥」
「その言葉、違えるなよ?」
満足そうに微笑んだ香夜は、住人達に視線だけで合図を出した。龍の体が乱暴に絨毯の上に放り投げられる。住人達が1歩後ろに下がり‥‥香夜が龍の背中に手をかざした次の瞬間、龍は目を見開くと絶叫した。
「‥‥っ、ぅ‥‥あっ、ああああっ!!!!」
布を引き裂く音、肩甲骨の辺りが酷く痛む。痛みは熱さとなって龍の体中を駆け巡った。額から汗が落ち、あまりの痛みに叫び声は途切れた。息がするのが精一杯の痛み。凄まじい激痛は、何度も龍の意識を真っ白に飛ばそうとしたが、それは叶わなかった。
苦しむ龍の姿を嬉しそうに、恍惚の表情を浮かべて見詰める香夜。彼の力によって、龍は意識を失う事は許されなかった。
背中から生えた黒い蝶の羽。痛みがおさまり、絨毯の上に力なく横たわった龍に、澪が駆け寄ると無邪気な笑みを浮かべる。
「仲間!仲間!」
はしゃぐ澪の隣では、苑香が無表情に涙を一筋流していた。泉がそっと、自身の背中に手を伸ばし‥‥
「さあ、美しく羽ばたくがいい!」
香夜の笑い声が、広い室内に響いた。
『‥‥新たな蝶が、また1羽‥‥』
●
「泉と絢が最高に良かった!かなり役になりきれていたな!それと、白と澪もなかなかだったな!咲良と苑香はまぁまぁだったかな?香夜と龍は、まだ役をつかめていないようだったが‥‥次回に期待かな?」
○NG集
・ラリー『うっかり』
ラ「蒼様に、一生忠誠を‥‥誓います‥‥」
蒼「その言葉、違えるなよ?」
(一同沈黙)
E「‥‥もしかして蘇芳君S!?ラリー君M!?」
ラ&蒼「違います!」
ラ「あー、NG集に載せられるーっ!(苦悩)」
(一同笑い)