有坂家の事情2アジア・オセアニア

種類 ショートEX
担当 宮下茜
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 難しい
報酬 7.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/14〜02/16

●本文

・物語り憑き
 それは、物語の登場人物達と触れ合う事の出来る、神秘の職業。
 それは、親から子へ、子から孫へと受け継がれる伝統の職業。
 それは、物語憑き本部からの指令により、日々物語の安全を守る、名誉ある職業。


*物語憑き本部*

 その日も、物語憑き本部は荒れていた。
 それと言うのも、とある物語の王子様がとても厄介な事件を持ち込んで来たのだ。
「王子は攫われた姫を助ける役目でしょう!どうして僕はあんなに存在感が薄いんですかー!!」
「それは、お姫様が主人公だからですよ」
「もうイヤです!僕はもっと目立ちたいんです!暗黒の魔王と戦い、囚われのお姫様を救い出し、そして結婚するんです!」
 王子と言うか、勇者色が強くなっている気がするのは気のせいだろうか?
「僕は僕が目立つ物語が作りたいんです!」


*有坂家*


 物語り憑き本部から半ば強制的に送りつけられてきた『物体』を見て、有坂5兄妹は沈黙した。
「えー、本部から緊急の指令が入った。この人、誰だかわかるかの?」
「知らないですね。何の物語の方ですか?」
「見た目からすると、王子みたいだけど?」
「‥‥何の物語の王子?」
 源(げん)の問いは凌(しのぐ)から妃(きさき)へとパスされ、湊(みなと)で終わった。
 クエスチョンマークが解除される事なく終わった答えに、どっかの物語の王子が憤慨した様子でドンとテーブルの上を叩く。
「シンデレラの王子です!」
「‥‥あー!」
「そう言われればー、そうかもぉ〜?」
 雪(ゆき)がポンと手を打ち、姫(ひめ)がやる気のない様子で頷く。
「でも、白雪姫の王子ですって言われても頷くわね」
「ラプンツェルの王子って言われても頷きますよ」
「王子って、みんな同じような外見‥‥だし」
「‥‥どうせ、どうせ‥‥シンデレラの主役はシンデレラですよ!でも、こんなの女尊男卑だ!僕だって、主役をやりたいんです!」
「主役‥‥『おじデレラ』とか?」
 王子デレラだと言い難いと思った雪が、王子部分を略して言う。が、誰もそんな物語を読みたいとは思わない。
「それじゃぁ変だよぉ〜!『シンじ』とかじゃない?」
 それでは人名だ。そもそも王子の子の部分を漢字変換しても『シン子』‥‥どちらにせよ人名だ。
「変に略さなくても良いんじゃない?シンデレラ王子とか?」
 妃が助け舟を出すが、なんだか題名が既に軟弱だ。ガラスの靴を落としてオロオロする王子の姿を思い描いてしまうではないか。
「ちっがーーーう!!僕は、もっとこう‥‥剣を片手に魔王を倒し、高い塔の上に幽閉されている姫を助ける、そんな王子がやりたいんです!」
「‥‥勇者になりたいと?」
「身分は王子です。でも、隣国の姫が魔王に攫われたと聞きつけ、国を捨ててまで魔王に立ち向かい、華麗に倒して姫を助ける!それこそが僕のやりたいことなんです!」
 ドーンと言い放った王子の言葉を、凌が鼻で笑う。
「おっと、失礼。ただ、あまりにも突飛な話しでして‥‥第一、貴方はシンデレラの王子なのですから、物語の決める運命に従うより他は‥‥」
「物語を新たに作るんです!僕が主役で、僕の思い通りになる世界!実は物語憑き本部から『真っ白な本』を貰ってきたんです!」
 真っ白な本とは、物語を新たに綴る必須アイテムで、本来ならば紡ぎ手が登場人物を好きなように配し、彼らの運命を定めていくのだが‥‥この『真っ白な本』は少し違う。
 中に入った人達の意思によって、物語を方向付ける事が出来るのだ。
 真っ白な本の中に入れるのは、物語憑きか物語の住人達。殆どの場合はお遊び感覚で紡ぐのだが、上手く話が出来上がれば1つの物語として本部に保管され、市場に出回る事がたまにある。
「実は僕、もう配役も決めたんですよ」
 ニコニコと微笑みながら、物語の1ページ目を指差す王子。
『勇者兼王子:王子』『囚われの姫:雪』『暗黒魔術師:妃』『暗黒の町娘:姫』『暗黒大魔王:凌』『魔王の右腕:湊』
「なっ!!僕は女の子じゃないですよー!!」
「姫は姫がやるべきでしょー!?」
「‥‥いえ、姫は雪さんです。ほら、姫さんはガサツで大雑把で俺様で、全然しとやかじゃないんで」
 なかなか鋭い事を言う王子だったが、その後に起こるであろう自分の身の心配にまでは考えが回らないらしい。
「それにしても、俺が暗黒大魔王、ですか?」
「私は暗黒魔術師ねぇ」
 邪悪な笑みを浮かべながら舌なめずりをする兄姉を横目に、どうしてこんなにも適役を指名するのか。湊は王子のおバカさ加減に頭が痛くなってきた。
(こんな役与えたら、それこそ大暴れするわよ)
「敵ばかりですと寂しいので、味方も必要ですよね。うーん、どうしましょう」
 悩む王子の背後では、凌と妃が視線を交わしていた。
『このバカ王子を懲らしめてさしあげましょう』
『望むところよ!』
 アイコンタクトだけで全てが分かり合える、双子の神秘だった。


≪映画『有坂家の事情2』募集キャスト≫

*シンデレラの王子
 自分を主役にした物語を作ろうと奮闘しているが、有坂5兄妹に頼む時点で全ては間違っている

・凌
 有坂家長男。実年齢18(外見年齢17〜25程度)
 冷酷無慈悲、高身長で運動神経S級、容姿端麗で秀才。完全無欠の嫌味な男
 外面が良く、面倒ごとに巻き込まれないように細心の注意を払って生活している
 ただし、売られた喧嘩はキッチリと買う。笑顔で相手をぶちのめすような最悪の性格

・妃
 有坂家長女。実年齢18(外見年齢17〜25程度)
 高身長で腰が細いモデル体型の美少女。凌の双子の妹
 兄同様運動神経S級で秀才。凌と良いコンビで最強の名をほしいままにしている
 兄同様喧嘩には強く、女の子だから良いわよね精神で武器を振り回す凶暴ぶり

・湊
 有坂家次女。実年齢17(外見年齢16〜20程度)
 高身長で兄と良く似た面差しをしており、女の子からモテル
 必要最低限の事しか喋らない。何に関しても不器用で、そこがまた女子からの支持を受けている
 争い事は嫌いで平和主義者だが、喧嘩は兄姉以上に強い

・雪
 有坂家次男。実年齢15(外見年齢13〜18程度)
 低身長で色白、美少女顔。全て母親遺伝子で生まれて来てしまったと言う不幸な少年
 凌と妃から溺愛されており、愛情表現ともイジメともつかない仕打ちを受けている
 更には妹からは嫌われ、サイボーグ呼ばわりをされている。薄幸の美少女‥‥いや、美少年
 湊だけが家の中で頼れる存在と認識している

・姫
 有坂家三女。実年齢13(外見年齢10〜15程度)
 低身長で色白、ふわふわとした可愛らしい少女。
 常に姫が1番!と思っており、自分よりも美少女顔の雪を嫌っている
 ゆんちゃんがいなければ姫が世界で一番可愛いのにー!と、雪をサイボーグ呼ばわりする始末
 世界は姫中心に回ってるの!と疑いも無く言っている少女

・その他
 物語の中の登場人物
→有坂の母や父、源などは不可。有坂家以外の物語り憑きも不可。

●今回の参加者

 fa0074 大海 結(14歳・♂・兎)
 fa0117 日下部・彩(17歳・♀・狐)
 fa1359 星野・巽(23歳・♂・竜)
 fa2122 月見里 神楽(12歳・♀・猫)
 fa2495 椿(20歳・♂・小鳥)
 fa2993 冬織(22歳・♀・狼)
 fa4263 千架(18歳・♂・猫)
 fa4769 (20歳・♂・猫)

●リプレイ本文

 満面の笑みで差し出された衣装を前に、雪(大海 結(fa0074))は盛大な溜息をついた。確かに、予想は出来ていた。もしかしたらそうなのではないかな?と、思っていた。でも実際問題目の前に出されてしまうと、どうにも泣きたくなってくる。
「やっぱりドレスなんだね」
「当たり前でしょう。雪は囚われの姫なんですから」
 ピンクのお姫様ドレスを差し出しながら、凌(星野・巽(fa1359))が逆らえない雰囲気の笑みを浮かべる。雪は渋々と凌の手からドレスを受け取ると、上目使いに兄を見詰めた。純白に銀糸の刺繍の入った華やかな衣装は、元々顔立ちの整っている凌にとても良く似合っていた。深紅のビロードのマントも、頭に乗ったサークラルも‥‥
「でもお兄ちゃん、囚われって言っても、湊お姉ちゃんだったからついてきただけだよ」
 真っ白な本の中に入ると、雪は見知らぬ大きな城の中にいた。豪華な装飾品を眺めていた時、不意に窓から颯爽と湊(椿(fa2495))が入って来て、魔王城へと案内してくれたのだ。そう、『案内してくれた』とあるように、雪は自らの意思でついてきたのだった。
 けれど今現在、湊は不在だった。魔王城の最上階のロイヤルスイートルームに居るのは、雪と凌、そして妃(冬織(fa2993))だけだった。
「湊に雪を任せて良かったですね」
「そうね。湊なら雪は絶対ついてくるものね」
 邪悪な笑みを浮かべる双子。ドレスに着替えた雪が心細そうに目を伏せ‥‥銀狐のロングコートに薔薇色のスリット入りの絹のロングドレスを着た妃が満足そうに頷く。
「雪は姫役が似合うわ。でも‥‥」
 足元のハイヒールをカツンと鳴らし、妃が凶悪な笑みを口元に浮かべる。
「私が暗黒魔術師とは‥‥バカ王子もいいところね」
「そうですね。俺も暗黒大魔王とは、捻りが足りないと思うんです」
「‥‥完膚なき迄に、理想は叩き潰してこそ理想」
「真っ白な本を真っ黒に染めてあげましょう」
 クスクスと笑う双子に、雪は蒼白になりながらその場にへたり込んだ。
「おや、どうしました雪?‥‥あぁ、うっかり忘れる所でしたが、今の雪の顔を見て思い出しました。実は雪にプレゼントがあるんです」
 にっこりと微笑んだ凌が取り出したのは『暗黒魔術師特製呪い付首飾り』だった。ちなみに首飾りなどと言っているが、見た目は首輪以外の何物でもない。双子の邪悪な笑顔に腰を抜かし、怯えて震える雪の表情を見てコレを思い出すとは、なんともドSな凌だった。
「さぁ、つけてあげるからじっとして‥‥」
 凌が雪を腰抱きにし、雪が弱々しく首を振って拒絶する。
「お兄ちゃん!ヤメて!ヤだ!そんなのヤダぁっ!!」
 首輪(双子の言い分では首飾り)をつけられるという恐怖から、雪が涙目になりながら凌の元から脱出しようとする。が、妹の姫(月見里 神楽(fa2122))にすらも力勝負で勝てない(姫がバカ力だからとも言うが)雪が凌に勝てるはずがない。
「あはは、雪、暴れたらつけられないじゃないですか」
「お願いお兄ちゃん、それだけは、イヤ‥‥おねがっ‥‥」
 恐怖から泣き出した雪に、S魂を揺さぶられた双子が邪悪な恍惚の笑みを浮かべる。いい加減雪も、その表情が双子を煽っているのだと気づいた方が良い。
 小さく肩を震わせて拒絶の意を示す雪の首筋にそっとキスを落とすと、首飾りをつける凌。雪が絶句し、妃が満足そうに弟の顔を見やると人差し指を唇の前に持って行き、悪戯っぽくウィンクする。
「これは対のものがあるのだけれど、ソレを持っていない人が雪に触れると‥‥相互に電撃だから、注意するのよ?」
「僕にも?」
 艶やかな笑顔に、怯えた雪が上目使いになりながら妃の顔色を伺い‥‥凌がパンと1つ高らかに手を打つと、部屋の隅に置かれていたクローゼットが3人の前までトコトコと歩いて来た。流石は物語の中、こんな便利なことまで出来るのだ。
「さて、折角ですから、色々な服に着替えましょう」
「え?」
「物語憑き本部から、各種ヒロインドレスを借り出してきたの。雪のために、ね」
 パチンと妃が指を鳴らせば、クローゼットの中から次々と衣装が飛び出してくる。ふわふわの真っ白なドレスに、黒のゴージャスなドレス、ミニのチャイナドレスに、バニーガール(?)まである。
「お兄ちゃん、妃お姉ちゃん。僕はお人形じゃないよ」
「お人形でしょう?」「お人形ですよ」
 ダブルサウンドに雪が耳を塞ぎかけ‥‥妃の合図でメイクボックスから口紅やチーク、マスカラが飛び出してくる。
「化粧もバッチリして、ポーズもばっちり決めるのよ雪」
 凌が手を叩けば、何処からともなく撮影道具が現れる。‥‥抵抗を試みようとした雪だったが、その試みは双子の邪悪な微笑の前に一瞬にして萎んでしまった。双方からは『絶対に逆らってはいけないオーラ』がひしひしと伝わってくるのだ。納得いかないながらも、雪は渋々2人の玩具になるしかないのだった‥‥


「‥‥かくして暗黒魔王に連れ去られた姫を救うべく1人の王子が立ち上がり、仲間達と共に暗黒城へと向かうのだった!!マル!!」
 小高い丘の上で、暗黒城を指差しながら王子(忍(fa4769))がセルフナレーションを入れる。『王子の幸せの為にお手伝いいたします』と彼にくっついてこの世界に足を踏み入れたシンデレラ(千架(fa4263))が『さっさと始めてよね』とばかりに退屈そうに欠伸をし‥‥王子がこちらを振り向く前にサっと悲痛な表情に変わるとポケットから真っ白なハンカチを取り出して目元を押さえる。
「おいたわしや、姫様。あぁ、今頃は魔王にどんな事をされているのか、想像するだけでも恐ろしいですわ」
 演技派の彼女は、感情たっぷりにそう紡ぐと目を伏せた。ちなみに彼女、今回この世界に同行したのは『王子の幸せの為』ではない。万が一王子がこの世界に住み着いてしまい、シンデレラの物語を放棄されては大変だからだ。そう。もし王子がシンデレラを捨てた場合、玉の輿計画が台無しになってしまう。
(玉の輿さえ上手く行くんなら、バカ王子なんてどーでも良いんだけどな)
 と言うのがシンデレラの本心だが、心の声は誰にも聞こえない‥‥はずなのだが、ところが、この場に居るもう1人の人物にはシンデレラの心が手に取るように分かっていた。一瞬だけサっと顔色を曇らせるが、シンデレラには天地がひっくり返っても勝てる気がしない。ここは、見ざる・聞かざる・言わざる精神でいる方が得策だ。
「流石は王子!よっ、おっとこ前!」
 内心の動揺を押し隠し、大きな姿見を背負ったピエロ姿の魔法の鏡の精(日下部・彩(fa0117))何も略してないが、略して『イケメン』はそう言うと紙吹雪をばら撒いた。ヨイショにかけては右に出る者はいない!と言うほどの才能が有る。
 王子が最後まで試練を耐え抜けるように応援を!と言う名目の元、単に面白そうだからと参加した魔法の鏡の精は、肩に提げたカメラを大切そうに撫ぜた。
 それにしても‥‥王子とは、あまりにも抽象的過ぎる呼び方だ。何の王子なのか付け加えなくてはならないが、シンデレラの王子だと、人名としてかなり長い。正規の語り手としては『シン子』を推奨したいのだが‥‥
「そうですね、それが良いかと思います」
「え?シンデレラどうしたの?デカイ独り言?」
 白マントを翻し、片手に持った剣を杖代わりに地面に突き刺しながらシン子が首を傾げる。
「今、物語の紡ぎ手より連絡が入りました。これより王子様はシン子様となります」
「えー!?シン子、何それっ!かっこ悪いから嫌だ!」
 そもそも既にその格好が型に嵌りきりすぎていてカッコ悪いのだから、呼び名程度の事でゴチャゴチャ言わないで欲しい。
「まったくですわね」
 そしてシンデレラは、語り手の言葉にいちいち合いの手を入れないで欲しい。なんだかやり難いではないか‥‥
「そうですわね。それでは今度からは上からの声はスルーと言う事で。‥‥それよりシン子様、シン子様の方が親しみ易く、皆の王子様と言う気がしますよ。それに、王子ですと何処の王子か分かりませんが、シン子様ならお1人!世界で唯1人です」
 地味な色のスカートをふわりと揺らしながら、シンデレラが可愛らしく微笑む。魔法の鏡の精が「シン子様のご誕生だー!」と言いながら盛大に紙吹雪を飛ばし、拍手を送る。単細胞のお馬鹿王子が直ぐにその気になり、シン子でも良いかと口の中で呟き‥‥
「それじゃぁ、勇者シン子一行、魔王城目指していざしゅっぱーつ!」
 ‥‥『勇者シン子一行』‥‥さりげなく纏められてしまったシンデレラと魔法の鏡の精は、頭が痛くなるくらいにダサイ名前に盛大な溜息をついたのだった。


 暗黒城の城下町で、勇者シン子一行は白い姫ロリ服に身を包んだ場違いな町娘と遭遇した。
「まあ、皆様はどこからやって参りましたの?変わった服装ですのね?」
 ツンとすました様子で姫がそう言って、白い日傘をクルクルと手の中で回す。
「えぇぇぇっ!!!何でそんな服着てるんですか!僕が渡した衣装は!?」
「あんなダサイの着れるわけないですわー!大体、姫が暗黒の町娘って、何ソレっ!姫は姫でしょう!?姫は、実は暗黒プリンセスで、城下町にはお忍びで遊びに来てるんですのっ!」
「勝手に設定を追加しないで下さい!そもそも、姫さんはガサツで大雑把で俺様で、全然しとやかじゃなくて、女の子っぽさ皆無だから‥‥」
 キッと睨んだ姫がシン子のほっぺたをギューギューと引っ張りながら反論する。
「ガサツとか、失礼なこと言ったのはこの口!?姫はか弱い女の子なんだからっ!囚われの姫をゆんちゃんに譲ったんだから、役の中身は姫が決めるの!」
「いひゃいいひゃい!‥‥らからしょこが俺しゃまらっていっひぇるんれしゅろー!(訳:だからそこが俺様だって言ってるんですよー!)」
 パっと手を放した姫に、ドスリとその場で尻餅をつき赤くなったほっぺたを涙目になりながらさするシン子。「バカ力だし!」とポツリと呟いた一言に、姫は『凶器』を背後から取り出すと満面の笑みを浮かべた。
「シン子さん『逝って』らっしゃいませ♪」
 姫お得意の10tハンマー登場だ。
「ちょ、いきなり何!?」
 姫がシン子目掛けてハンマーを振り下ろし、ちょっとした手違いで逃げ遅れた魔法の鏡の精の鏡にぶち当たる。だがそこは魔法の鏡、ちょっとやちょっとじゃ傷なんてつかな‥‥
「あぁぁぁっ!!!ヒビがっ!!」
 ‥‥そ、そこは魔法の鏡、ヒビくらいは入ってもやすやすと割れはしない(フォロー)
「家宝の鏡がぁぁっ!!3日前にリサイクルショップで800円で買ったのにっ!」
 ‥‥家宝の事はこの際ツッコまないとしても、とりあえず『魔法』と言う部分はツッコミたい。どこのリサイクルショップで買えば『魔法の鏡』が手に入るのか。そもそも、白雪姫の物語の中にリサイクルショップなるハイカラなものがあるのかどうなのか。
「気にしない気にしなぁい♪その家宝は3日の命だったんだよ」
 3日しか持たないようでは、家宝とは言えない。魔法の鏡の精がヒビの入った姿見を涙目で見詰めながら音速で木陰へと避難し、姫が逃げ遅れたシン子の上にハンマーを‥‥
「ぎゃああああ!!!」
「姫!無益な殺生はダメ!」
 黒馬に乗って颯爽と駆けつけた魔王の片腕、湊がシン子の前に立つと姫に鋭い視線を向ける。姫が渋々といった様子でハンマーを下ろし、深呼吸をしてから笑顔を浮かべる。
「物語を作ってるんですもの、死人なんて出るわけありませんわ」
 その言葉が限りなく嘘に近い事は知っていたが、湊はそれ以上は詮索しなかった。クルリと振り返り、腰を抜かしてアワアワしているシン子に心配そうな視線を向けた後で礼儀正しく頭を下げた。
「大丈夫でした?姫がごめんなさい」
「あ、あなたは‥‥」
「魔王の片腕の湊です」
 心底困ったと言うような表情でポツリと呟き‥‥王子が魔法の鏡の精顔負けの素早さで立ち上がるとへっぴり腰になりながら剣に手をかける。
「で、出たな悪の手先!僕を助けた事を後悔するんだな!‥‥しかも、僕より王子らしいし。勇者らしいし、カッコ良いし‥‥」
 ずーんと落ち込んだシン子に、魔法の鏡の精が慌ててヨイショを開始する。
「大丈夫!あっちは女騎士。王子のダンナとは勝負になりませんぜ!」
 ‥‥ある意味勝負にならないのは認める。シン子がそのヨイショに気を良くしたのか、重たい剣をスラリと抜いてよろめき‥‥ベシャリと転ぶ。黒マントに黒服の女騎士がその様子に頭を抱えながら溜息をつく。
「王子も、頭の痛い人」
 優しい湊は、例え剣を交える事になろうともシン子を勝たせてあげるだけの心の広さがあった。けれど、今見て分かったように、シン子は剣すらもまともに構えられないのだ。まぁ、シンデレラの王子が剣を抜いている姿は見た事がないので仕方がないと言えば仕方がないが‥‥
(この王子、剣を交えた途端に躓いて剣を落として自分のお腹を刺しちゃうくらいはしそうね)
 シン子が起き上がり、へっぴり腰のまま剣を両手で支える。
「‥‥どうですかね、解説のシンデレラさん」
「どうもこうも、戦う以前の問題じゃねぇか」
 魔法の鏡の精のフリに、思わずポロリと本音が漏れたシンデレラが慌てて口を押さえるとポケットからハンカチを取り出して目元を押さえる。
「あぁ、シン子様が戦いに‥‥私、不安で胸が押しつぶされそうですわ」
「こ、来い魔王の手先!」
「‥‥えーっと‥‥」
 プルプルしている王子に斬りかかるわけにもいかず、かと言ってこのまま放置しておくのも可哀想な気がする。どうするべきか。深刻に悩んでいた時、場違いなまでに呑気な姫の声が響いた。
「ねーぇ、姫飽きちゃいましたわー。ね、見て見て!あれは何と仰る食べ物?ほらほら、シン子も湊ちゃんも、そんなくだらない事してないで!レッツ城下町食い倒れ&ショッピング!ですのー!」
「え!?ちょっと、姫!?」
 走って行く姫の後を追いかける湊に、シン子はほっと安堵のため息をつくと剣を鞘にしまった。シンデレラが一瞬だけ『ま、シン子だし、こんなもんだよな』と言う表情を浮かべ、すぐに感激の涙を流す。
「シン子様、私を守ってくださったのですね!」
「流石はダンナ!勇者様!王子様!救世主だぁっ!」
「僕にかかれば魔王の手先くらいイチコロだっ!」
 シンデレラと魔法の鏡の精のヨイショに気持ち良くのったシン子が高らかにそう言い放つ。剣さえまともに握れないようなダメ王子が何を大口叩いているのか。そうは思いつつも、2人は単細胞のシン子をヨイショし続けたのだった。


 あれ食べたいだの、あれ欲しいだの、姫のわがままに振り回された一行は、何故か湊の案内で魔王城までの道程を歩いていた。
「疲れてない?大丈夫?馬に乗る?あ、喉渇いたら水もあるから言ってね」
 シン子以上に紳士的でさりげない気配りの上手い湊。黒づくめのくせに一挙一動がキラキラと爽やかに輝いている。魔法の鏡の精やシンデレラはすぐに湊と打ち解け、魔王城のアレコレを聞き出しているのだが、シン子はムッツリと膨れていた。
(僕が王子様で勇者様で救世主様なのに!)
 プゥっと頬を膨らませ、剣をズルズル引きずって歩くシン子。それに気付いた湊が剣を馬の上に乗せてやり‥‥一応湊は敵なのだから、そんなやすやすと剣を渡してはいけない。
「もうそろそろ城門だから、頑張って」
 湊が一行を励ました時、道の先に巨大な門が見え始めた。


 一方魔王城の中ではと言うと‥‥
 雪が無駄な行動をして双子のドSな愛情をその身いっぱいに受けていた。そもそも、湊の助けを求めるために双子の目を盗んで外に手紙を放り出すなどと言う事が成功するはずがない。投げても直ぐに回収され『これはどう言う事でしょうね?』『囚われの姫なんだから、大人しくしてくれなくちゃ困るのよー』と、極悪な笑みで手紙を突きつけられ、お仕置きとばかりに弄り倒された。平たく言ってしまえば、雪が窓の外に手紙を投げ捨てていたのを双子は知っていた。知っていて、弄り倒す理由ほしさに黙認していたのだ。
(早く助けに来て湊お姉ちゃん‥‥)
 現在雪は広い部屋に1人で居た。双子はシン子のお間抜け道中を観察するために魔法の鏡をのぞきに行っており、室内は静まりかえっていた。
(お兄ちゃんと妃お姉ちゃんがいないと弄られないで済むから安心するけど、でも‥‥いないといないで寂しいな‥‥)
 双子のドSな愛情によって、雪はゆっくりとMにされていっている気がする。‥‥ドSな兄姉とドMな弟。‥‥丁度釣り合いが取れると言えば取れるのだが、釣り合いを取ってどうするんだと言われれば、どうしようもないと答えるしかない。


 湊に案内されてついた魔王城の玄関には、無用心にも鍵は掛かっていなかった。とは言え空には巡回する魔物がおり、一見セキュリティ面は万全だが、不審人物(主にシン子)がいるのに湊が一緒だからと言って追い返したりはしなかったと言う甘い一面も持っている。だが、恐らく湊が居なければ空からの攻撃は免れなかったであろうから、湊様様だ。シン子が玄関の前に立ち、何故かノックをしてから扉を開ける。
(律儀な人なのね)
 湊が変な感想を持ち‥‥美しい白亜の城の巨大な両開きの扉がゆっくりと内側に開いて行く。魔王城の1階で、悠々と立っている暗黒魔術師と暗黒大魔王。その姿を見た瞬間に、シン子はズッコケた。
「どこの世界にそんなド派手な暗黒魔術師がいるんですかー!!」
「あら、この世界によ」
 事も無げにいけしゃあしゃあと言い放った妃の隣で、凌が不思議な生物を見るような目でシン子を見詰め、首を傾げる。
「湊、コレはなんだ?」
「コレじゃなくて、シン子ですっ!」
 鼻で笑った凌に、今更ながら『シン子』と言うダサイ名前を許可した事を悔い始めるシン子だったが、既に物語りはシン子と言う名前で進みまくっている。今更変更は出来ない。
「雪姫様を返してもらおうじゃないですかっ!」
「雪は自ら志願して来たのよ?」
 間違ってはいないが、双子のもとに来たわけではない。あくまでも湊のお迎えだったから赴いただけだ。
「と、とにかく、勝負だ!」
 シン子の言葉に、妃は艶やかに微笑むと右手に持っていた小さなビンを左右に振った。
「マニキュア途中なの。‥‥待つわよね?あと3分くらいで乾くと思うんだけど‥‥」
「魔術師なんだから、マニキュアなんか魔法でどうにかすれば良いのに!」
 ギャアギャアと騒ぐシン子に眉を顰めながら、妃はシレっとした顔で明後日の方向を見詰めていた。そして暫く(公言通り3分)経った後に、おもむろに壁に立てかけてあった杖を握った。
「頑張れシン子!ゴージャスさでは、ダンナの方が勝っている様ないない様な!」
 魔法の鏡の精が曖昧な励ましの言葉をかけ、シン子が魔法の発動に身構えようとした次の瞬間、妃は杖をまっすぐにシン子に向けると引き金(!)をひいた。乾いた音が響き、シン子がゆっくりと床に倒れる。胸元が真っ赤に染まり、微動だにしないシン子に魔法の鏡の精がはっと口を閉ざし、シンデレラが「玉の輿が‥‥」と呟く。湊が信じられないといった顔で妃を見詰め‥‥
「大丈夫、ただのペイント弾だから」
 あっけらかんと言い放った妃に、ほっと安堵の溜息をつく一同。
「‥‥いたたたた。な、なんなんですかコレっ!魔法使わない魔術師なんて詐欺だ!」
「魔術師が魔法使うなんて、何処の誰が決めたの?」
「いや、魔法使うから魔術師って言うんだってば‥‥」
 起き上がったシン子が捲くし立て、まったく悪びれた様子のない妃が杖を片手に挑戦的な視線を向ける。そんな2人の様子に湊が頭を抱えながら溜息をつく。
「大体、毛皮にハイヒールなんて以ての外だ!この城だって、何でこんなにゴージャスなんだっ!」
 高価そうな絵画に壺、魔王城と言うよりは勇者の住む城といった様子の城内に、シン子が目を吊り上げながら抗議をし出す。次から次へと出てくる抗議に、双子が盛大な溜息を漏らし‥‥ドンと床を鳴らしてシン子の言葉を遮ると、言い放った。
「「我らがルール!」」
「そんなの、今更な気がする」
 双子の唱和に湊がポツリと零し、何でこんな俺様兄姉なんだと嘆くシン子に妃がペイント弾を打ち込み捲くる。
「あう、いたっ!やめ‥‥」
「その剣はお飾りなのかしら?凌と戦いたいのならまず私を倒さないと」
 残酷な笑みを浮かべながら妃が引き金を引き続け‥‥真っ赤になりながらもよろよろと立ち上がろうとするシン子だったが、濡れた床に滑って転ぶ始末。暫くそんなシン子の様子を楽しそうに見詰めていた妃だったが、いっこうに学習する様子の無いシン子の様子に飽きてきた。
(そろそろ雪と遊びたくなってきたわね)
 ピタリと止まった攻撃に、シン子が薄目を開けて双子を見上げる。妃が何事かを凌に耳打ちし、杖で床に大きな円を描く。
「続きは最上階で」
 不敵な笑みを浮かべる双子。妃が描いた円が輝き始める‥‥。シン子がそんな双子に追いすがろうと床を蹴り‥‥派手にすっ転ぶと頭を打って気を失った。


 湊はシン子の意外な才能を発見し、場違いな感心の仕方をしていた。どうやらシン子は天性のアホさとお馬鹿さ、そして‥‥仕掛けられた全てのトラップに引っかかると言う器用さを持っていた。あからさまに廊下に置かれたバナナの皮に滑って転び、明らかに不審な天井から伸びる紐を引っ張っては頭から水を被る。‥‥水を被ったおかげで妃から受けたペイント弾の赤色が流れ落ちたのは有る意味では良かった事だが‥‥
 ボロボロになりながらも何とかたどり着いた最上階の特別室へと続く扉は、10桁の数字を入れなければ開かないようになっていた。ちなみに不注意なシン子は不用意に扉に手をかけ、電撃を喰らって数分間の記憶が飛ぶと言う有様だった。
「どうしましょうか。湊さんは‥‥」
「教えてもらってないの。お役に立てなくて申し訳ないわ」
 お役に立つも何も、あんたは魔王の片腕だ。シン子の役に立ってはいけない。何も良い案が浮かばない一同が沈黙した時、おもむろにシンデレラが持っていたバッグの中からガラスの靴を取り出した。
「ここは私にお任せください」
「え、でもシンデレラ、ここは数字を入れないと開かないし、第一扉に触ると電撃‥‥」
 シン子の言葉も聞かず、シンデレラは華麗に壁に回し蹴りを食らわすと壁をぶち破った。扉がダメなら壁壊せ精神で、お得意の超強化ガラスヒールキックをお見舞いしたのだった。
「‥‥お役に立てて光栄ですわ」
 唖然とする一同に控え目な笑みを浮かべ、ペコリと頭を下げるシンデレラ。姫がキラキラ光るガラスの靴を、同じくキラキラ光る瞳で見詰めていた。
「おや、随分荒業を繰り出す方がいらしたんですね」
 凌が仲間意識を持った瞳でシンデレラを見、その奥から黒のウェディングドレスを着せられた雪が走って来る。
「湊お姉ちゃん!」
「囚われの姫が魔王の片腕の名前なんか呼んじゃダメだ!」
 シン子がすかさずツッコミをいれ、魔法の鏡の精が目を輝かせながらカメラを取り出すと雪を激写し始める。
「雪様ブロマイドは小中学生から主婦層まで幅広く人気があるからのう!」
 ビューティフル!とか、キュート!とか、モエー!とか言いながら取り捲る魔法の鏡の精。湊の元へは行かせまいと雪を捕まえた凌に、シン子が冷たい視線を向ける。
「そろそろ姫を返してもらおうか」
「最初から貴方のものではないでしょう?」
「えぇ、雪姫様は僕のものではない。でも、嫌がってるのが見て分からないんですか?」
 確かに、雪は嫌がっている。今だって、凌の腕を振り払って湊の元に行かないのは、双子が怖いからと言うだけだ。妃が「阿呆は任せたわ」と言って雪をむぎゅっと抱き締め、凌がすぅっと目を伏せる。
「嫌がってるのも分からないなんて、雪姫に嫌われるのも道理ですね!」
 ビシリと言い切ったシン子に、凌は真顔になると長い足を使ってシン子を蹴り倒した。べしゃりと床に倒れたシン子のお腹を踏みつける。
「あ、瞬殺」
「弱すぎ!あんなのが王子なんて詐欺よ!」
 湊と妃が口々に呟き、魔法の鏡の精が「立て!立つんだシン子!必ず勝てる!脇を締めて抉りこむように打つべし!」と、応援の言葉をかける。
「ご要望通り‥‥止めをさしてやろう」
「ちょ、まっ‥‥」
 凌がふっと笑みを浮かべ、足に力を入れようとした正にその時‥‥
「止めてお兄ちゃん!!」
 妃の手を払いのけた雪が凌の腕を取ると今にも泣きそうな表情で力なく首を振り「乱暴な事しないで、お願い」と繰り返す。
「雪‥‥」
「雪姫様、貴方は何て心の清い人なんだ!」
 雪の懇願に、流石に心を動かされた凌が足をどけ、シン子が感激の涙を流しながら雪に駆け寄ろうとして‥‥凌に張り倒されるとそのまま床に頭を打ちつけ、白目をむきながら意識を失った。


「身の程知らずを教育して下さって有難う御座いました」
 シンデレラが小脇にズタボロなシン子を抱えながら深々とお辞儀をし、魔法の鏡の精と一緒に湊に連れられて物語憑き本部へと帰って行く。
 真っ白な本の中から帰って来た雪は、未だに首には呪いのペンダント(と言う名の首輪)がかけられている。姫が面白半分に雪に触れ、ビリリと電撃が流れる。姫が悪態をつきながら手を引っ込め、雪が助けてくれと言う瞳で双子を交互に見やる。
「雪、助けて欲しいならきちんと言葉にしないと」
「助けて、ください」
「ダメですよ、もっと丁寧に言わないと」
 凌がドSな笑みを浮かべながら雪の腕を引き寄せ‥‥
「あ!また雪いじめて!」
 物語憑き本部から帰って来た湊が溜息をつきながら凌の腕から雪を奪い返し、対のペンダントで呪いの首輪を解く。
「湊お姉ちゃん!」
 感激した雪が湊に抱きつき、どれほど怖かったのかを切々と訴えるのを、頭を撫ぜながら黙って聞いてあげる。
「バカも去って平和ね」
 妃が雪の訴えなんて知らないわと言うような表情で紅茶を淹れ、凌の前に置くとシン子と有坂兄妹の冒険(?)が書かれた本を湊に押し付ける。
「「湊、後は任せた!」」
「後は任せたって、何でいつも私?って言うか、さっき本部に行ってきたんだからその前に渡してくれれば‥‥」
「それにしても平和だな」
「そうね」
 湊の訴えは完全無視の方向で双子が優雅にお茶を飲みながら話を続ける。青い空に白い雲、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み‥‥
「さて、次は何をするか‥‥」
 いっそ何もしないで紅茶だけ飲んでいてくれ。凌の呟きに、湊と雪は心の中で力いっぱい叫んだのだった。


 ゆったりとした音楽に合わせて、華麗にステップを踏む
 (この間の冒険は楽しかった)
 シンデレラはふっと先日の事を思い出し、口元に微かに笑みを浮かべた
 ‥‥それはほんの一瞬の気の緩みだった
 あっと思った次の瞬間には、シンデレラのはいた超強化ガラス靴のヒールは王子の足を踏みつけていた
 ザクリと嫌な感触が靴の裏から伝わり‥‥
 「ぎゃーーーーっ!!!」
 ‥‥‥‥‥‥合掌