30 seconds CM perfumeアジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
宮下茜
|
芸能 |
2Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
普通
|
報酬 |
2.5万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
1人
|
期間 |
09/25〜09/27
|
●本文
「今回ね、貴方達には30秒のCMを1本作ってほしいの」
感情の篭っていないような瞳でそう言うと、ユナはテーブルの上にパサリと1枚の紙を投げた。
Sweet Paradiseと言うロゴの下には香水ビンのイラストが描かれ、さらにその下にはイメージガール『ユナ』と書かれている。
「Impure Worldの時にお世話になった方が新ブランドSweet Paradaiseを立ち上げてね、そのイメージガールをってお願いされたの」
ユナはそう言うと、香水ビンのイラストに人差し指を乗せた。
柔らかな曲線を描いたビンは淡いピンク色で描かれており、フタ部分にはステッキを持った透明な妖精が腰掛けている。
「香水の名前は未定。香りは甘いバニラ。香水のコンセプトは“もう1人の貴方”」
細い指が紙の上を滑り、一番下でピタリと止まった。
「詳しくはここに書いてあるから」
*以下のことをよく守り期日までにCM案を考えてくること
・曲は25秒程度(30秒CMのうち5秒はブランド名や香水名などを伝えるために無音に)
・ブランド・香水名宣伝のための無音はCMの最後の5秒
・CM内容は詳細なイメージ案を紙に書いて提出(これも25秒程度)
・CMにはユナおよび自分(歌い手・演奏者)も登場すること
・CM内容は、歌詞とリンクさせて『〜のフレーズの時に〜する』と言う書き方でもOK
・また、歌詞とはリンクさせずに個別に書いてもOK
・当日は実際に歌ってもらうので、バックバンドがいない場合は事前にテープを提出すること
→バックバンドはこちらでは用意しません
・当日の演出は一切不要。歌に専念すること
「歌は、先に提出してもらったCM案を見ながら聞かせてもらうわ。CMに採用する曲は1つ。これに選考ポイントをまとめておいたわ」
選考ポイント
・曲・CM案とブランドのイメージが合っているかどうか
・25秒以内におさまる内容かどうか
・歌詞内容の明確性(歌詞が伝えたい内容)
・曲・CM案とユナのイメージが合っているかどうか
「もし、曲名があれば明記してね。それと、香水名の案も募集中・・・って言われたわ。香水名はグループ関係なく個人で1点だしてもらえると助かるわ。どうしてその名前をつけたのかの理由も添えて・・・ね」
ユナはそう言うと立ち上がり、肩にかかった髪を背に払った。
「Impureは解散して晴れてアイドルじゃなくなったのに、またアイドルに逆戻りね。でもまぁ、Impure時代にお世話になった方だし、こうして貴方達にお仕事提供出来るから良いかなぁ・・・とか、思ってたり」
困ったような表情でそう言うと、珍しく柔らかい表情で微笑み・・・
「もしグループを組むなら、事前にグループ名を教えてね。CMの右下に小さく名前が出るから。もっとも、ユナWithって最初についちゃうけど・・・」
●リプレイ本文
○
簡素な部屋の中、人数分のパイプ椅子が一列に並んでいる。集まった面々は自分の名前の書かれた紙が貼り付けられている椅子を探して腰を下ろすと部屋に掛かっていた時計を見上げた。定時丁度に薄い木の扉が開き、華奢で儚気な容姿の少女がカツカツと床を鳴らしながら入ってくる。
「今日はよろしくな」
ジェンド(fa0971)がそう言って立ち上がり頭を下げると、他の面々にも同じように挨拶をする。
「どうぞヨロシクー」
「宜しくお願いします」
嶺雅(fa1514)とEUREKA(fa3661)も続いて頭を下げ、ユナもそれに応えるかのように頭を下げると、目を伏せた。
「それでは、名前を呼んだら入って来てください。まずはジェンドさんから」
●ジェンド
ドラムとベースを打ち込んだテープをユナに手渡し、自身はギターを肩から斜めにかけるとステージの上に立った。マイクスタンドの高さを調節し、一呼吸置いた後で軽快なリズムの曲を奏で始める・・・
砂糖菓子のような 甘い魔法を
静かに零せば 色が変わるよ
瞳あければ ほら そこは
鮮やかな楽園
○麻倉 千尋(fa1406)『ヴァニラの魔法』
スタッカートのきいたノリの良いテクノ風の曲が流れ、千尋が可愛らしい声で早口の歌を紡ぐ。
香り一つで
気分変わるよ
ご機嫌は如何?
ヴァニラミルクの
魔法をかけて
君に会いに行くよ
すれ違う度
振り向く度に
ドキドキさせてあげる
君にだけなら
見せてあげるよ
ホントウの気持ち
●flicker【嶺雅&EUREKA】『Fairy Tale』
EUREKAがヴァイオリンを肩に当て、すぅっと息を吸い込むと弓を引く。前奏ナシでいきなり入った嶺雅の歌声が緩やかに伸びる。ミドルテンポの甘い曲の途中に高音のベルがリンと響き、どこか御伽噺的な旋律を紡ぎ出す。
静寂の中 鈴の音(ね)が聴こえたら
キミを変える奇跡に出会える
心ゆっくり 優しい風まとい
夢へ fly
○Stagione【椿(fa2495)&冬織】『Believe』
長い髪を背にたらし、淡いパステルカラーのワンピースに身を包んだ椿がゆっくりとステージに上がる。小花のついた髪留めが耳の上で揺れ、レースのついたスカートが膝で緩く波打つ。ユナがジっと椿の姿に視線を向け、ふいとそらし・・・その瞳の冷たさに、慌てて口を開く。
「・・・俺の女装は、伝説とかジンクスとか役ナリキリとか色々意味があって、演出ではないカラ気にしないデ!歌声とはこっちが違和感ナイし・・・」
「私、なにも言ってないんですけど」
椿の説明に素っ気無くそう返すと、ユナはCM案の書かれた紙の上にトンと指を置き、椿の瞳を真っ直ぐに見詰めた。
「演出不要って言うのは、演出禁止ってわけじゃないの。例えステージで演出をされても、視線はCM案の書かれた紙を見てるから、そう言う意味で不要って言ったの。だから、貴方がどんな格好でも文句はないわ」
「えっと・・・」
「テープ、始めても良いかしら?」
「・・・ハイ」
クールなユナの態度に少々恐縮しながらも椿は気を取り直して前を向いた。ピアノとヴァイオリンのアップテンポなリズムが織り成す曲は繊細で流れるようで、椿の中性的な高音の声とよく合っていた。
夢の続き 何時までみれる?
信じていれば 限りなく
昨日の雨も 今日は青空
夜空の星も 微笑む
いつか夢叶う日
キミの信じる心に
●フォーティア(fa2516)『思い』
トンと軽やかな足取りでステージに上ったフォーティアに、ユナが首を傾げながら手元を指差した。
「武器関係はその・・・使わないと思うので、端に置いといてくれるかしら」
「あ、すみません!」
うっかりと言った様子で頬を赤く染めたフォーティアが、持っていたものを床に置き、気を取り直して前を向くとマイクを掴んだ。
愛しきあなたとはなれ、あなたが変わろうと私の思いは変わらない。
私とって、あなたはかけがえの無いもう一人の私の心だから。
○ラム・クレイグ(fa3060)『甘露』
緩やかなピアノのメロディーとは対照的に、やや早口気味で歌うラムの声は甘く切ない。時に高く、時に低く、しっとりとした曲は柔らかい。
翅を纏うように心浮き立つ
私を変えていく魔法
抑えきれない
SweetMemory
それは始まりの合図
●癸 なるみ(fa4068)
低音のやや速めのピアノの音が響く。なるみが思うユナのカラーは青や白。イメージは月や硝子。そんな繊細で神秘的な音をと思いながら弾いたピアノは幻想的な旋律だった。低音の伴奏に重ねるのは高音の主旋律。なるみは大きく息を吸い込むと歌を紡ぎ始めた。
気がついて 膨らんでいくこの想いに
愛の言葉 まだ照れて言えないけど
今夜 そっと 甘い魔法をかけるから
○
全員の歌が終わり、難しい顔をしたユナが長机の前に座ると暫く沈黙した後に口を開いた。
「CM案と曲とを考えた結果、今回はflickerの嶺雅さんとEUREKAさんに頼もうと思います。ミドルテンポの穏やかな曲が凄くブランドと香水に合ってると思うの。CM案も、とても可愛くて魅力的だったわ」
嶺雅とEUREKAが顔を見合わせ、ユナの評価に驚きと喜びの色を窺わせる。
「香水名の方は、フォーティアさんの“スィート・フェアリー”が良いと思うの。でも、これはカタカナ表記じゃなく英語表記の方が良いかな。“Sweet Fairy”にしても良いかしら?なるみさんの“Twinkle Mode”も可愛らしい響きだなと思ったのだけれど、ちょっと元気すぎる音の感じがあって・・・」
そこまで言うと、ユナが顔を上げてグルリと一同を見渡した。
「それでね、CMと香水名はこれで決まりなんだけれど・・・相談したいことがあるの。まずはジェンドさん。貴方の歌詞は凄く良いの。ブランド名もさりげなく入っているし・・・ラジオや店頭での音だけの宣伝舞台で使いたいなって。次にラムさん。“天使も恋する輝く香り”って言うキャッチフレーズと天使の羽根が舞い散るって言う画が凄く綺麗なの。ぜひポスターに使いたいなって。どうかしら?」
ユナが首を傾げながら2人を交互に見詰め、それぞれが顔を見合わせながらもゆっくりと頷く。
「最後、椿さん。貴方のCM案は、終わりがとても素敵。香りが貴方に導いてくれたって言うオチが凄く好き。でもね、ダンスを踊るにしては少し曲が速すぎるかなって。だから相談なんだけれど、店頭で流すCMに使えないかなって。冬織さんにお願いして、もう少し長くてテンポの遅い曲を作ってきてもらえないかしら。店頭に足を運んできてくれた人だけが見れるCMって感じで作るの・・・どうかしら」
椿が、前向きに冬織ちゃんに話してみマスと言って頷き、ユナが安心したようにほっと安堵の溜息をつく。
「ジェンドさんのCM案は、もう少し大人っぽい香りの香水によく似合いそうね。千尋さんの案は、元気で可愛らしいから、子供向けのコロンなんかのCMに合いそう。フォーティアさんの案は、少し無難にまとまり過ぎてたかな。ラムさんの案は凄く素敵なんだけれど、時間的に厳しいかな。なるみさんの案も素敵だったけど、ちょっとありがちな内容だったかなって」
1人1人の顔を見ながらそう言うと、ユナが小さく困ったような笑みを浮かべ視線を落とし、ふっと何かを思い出したように顔を上げると悪戯っぽい笑顔を椿に向けた。
「CMでも可愛らしい格好をしてくれるのかしら?」
「え・・・イヤ、あの・・・」
「とてもお似合いですよ」
急な話を振られ、驚いた椿が視線を彷徨わせ・・・ラムが真剣な顔でそう言って、CMも楽しみにしてますねと言葉を続ける。
「嶺雅さんとEUREKAさんはまた今度詳細な打ち合わせをしましょう。2人の妖精さん、今から楽しみです」
ユナが立ち上がって2人に手を差し伸べ、嶺雅とEUREKAも慌てて椅子から立ち上がると手を差し出した。
「宜しくお願いします」「ヨロシクお願いしマス」
軽く握手を交わす3人に、自然と拍手が巻き起こった。
●ユナ with flicker
『静寂の中 鈴の音(ね)が聴こえたら』
レースのカーテンの掛かった窓の外、広がる夜空を見上げていたユナの耳に微かに鈴の音が聴こえ、部屋の中を振り返ると棚に見知らぬビンが1つ。ブルーのスーツとドレスを着た2人の妖精(嶺雅&EUREKA)が自分の背よりも高い香水のビンを一生懸命にセッティングしている。
『キミを変える奇跡に出会える』
妖精がジっと見詰めているユナに気付き、慌ててパっと消えてしまう。不思議に思いながらも白のネグリジェの裾を揺らしながら棚に近づき、ピンク色のビンのふたを開ける。ふわりと甘いヴァニラの香りが広がり、ユナの周囲を淡いピンク色の靄が包み込む。
『心ゆっくり 優しい風まとい』
ふっと窓の外を見れば妖精が2人、こちらにおいでと誘うようにユナに手を伸ばし、ユナが少しだけ迷ったように目を伏せた後でその手に触れる。
『夢へ fly』
ふわりと浮いた体に纏ったネグリジェのレースが揺れ、窓枠の外へとスルリと抜け出すと星の散りばめられた空を泳いでいく。
その背を追っていた画面がふっと暗転し、画面の中央にステッキを持った妖精を頭に抱いたピンク色の香水ビンが映し出される。
『貴方を楽園へと導く香り』
『Sweet Paradise“Sweet Fairy”』
『・・・・・・きっと妖精が導いてくれるから・・・・・・』