お嬢様の事情10アジア・オセアニア
種類 |
ショートEX
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担当 |
宮下茜
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
6.9万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
03/17〜03/19
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●本文
*可憐
昔、真っ白な小鳥を買ってもらった事がある。
とても綺麗で、可愛くて、ずっとずっと見ていたくて‥‥いつ見ても、鳥は銀色の鳥籠の中で必死に羽根を羽ばたかせていた。
決して空へ飛んで行く事など叶わないのに、小鳥は真っ直ぐに空を見ていた。
‥‥大切だった。大好きだった。
でも、それは自分の感情。
飛び立ちたいと切に願う小鳥を引き止める事は、出来なかった‥‥
そっと鳥籠の扉を開ける。
涙が頬を滑る。
小鳥が勢い良く鳥籠から出て行き‥‥嬉しそうに、楽しそうに、空の青に溶けて行った‥‥
「久し振りに、見たな」
白雪 可憐(しらゆき・かれん)はポツリと呟くと、涙を拭った。
夢からの目覚めは唐突に、小鳥の白と空の青が瞼の裏に焼きついていた。
「‥‥後悔はしない。だってそれが、アイツのためだった。‥‥そうだろ?」
答えの返ってこない問いに、可憐は自嘲気味に微笑むとベッドから降りてカーテンをひいた。
*儚と王
可憐の母・儚(はかな)は目の前の人物に柔らかく微笑むと持っていたティーカップをテーブルの上に置いた。
「久し振りだね、王(キング)君。元気そうで何より」
「儚様もお変わりなく。相変わらずお美しいですね」
宝田 騎士(たからだ・ナイト)の兄である王は紳士的な笑顔を返すと長い足を組んだ。
「例の件につきましては、騎士から詳しい話を聞いております。父も母も、儚様のお望みのままにと」
「このお礼は後日改めていたします」
「とんでもない、お礼などと仰らないで下さい。私共が白雪家に受けた御恩を思えば、これしきの事‥‥」
「そちらこそ、恩などと仰らないで下さい。白雪家はやりたいようにやっただけ。宝田家に恩を売ろうとしての事ではなかたのです」
儚はキッパリとそう言うと、王の瞳を真正面から見詰めた。
「王君に一芝居頼むのは気が引けたんだけど‥‥」
「私にとって可憐ちゃんは妹のような存在です。彼女の幸せのためならば、一芝居でも二芝居でもうちますよ」
「有難う‥‥可憐ちゃんはきっと、お見合い相手が貴方だと知って驚くわね」
「嫌われなければ良いのですが‥‥」
「可憐ちゃんは昔から王君贔屓だったから、そんな事にはならないと思うわ。いつイギリスから帰って来たんだって詰問はされるでしょうけれど‥‥」
*儚と騎士
騎士は儚に深々と頭を下げ、一通り挨拶を交わした後でソファーに腰を下ろした。
「王君やお母様、お父様を説得してくれて有難う、騎士君」
「儚様は何か勘違いをしていらっしゃいます。私は父にも母にも、兄にも何も言っておりません」
肩を竦めた騎士が口元に薄い笑みを浮かべ、前髪をかきあげる。
「ほかならぬ儚様のお頼みならば、宝田家は全力をかけてお手伝いさせていただきます。‥‥それに、可憐さんも信也君も、私の大切な友人です」
「旧ハニー、元ハニーだしね」
「昔の話です」
数ヶ月前の話しなのだが、あえてそこはスルーだ。
「それでは、私は早速信也君にお会いしてきます」
「信也君の事、お願いね」
「‥‥信也君が可憐さんを本当に想っているのなら、そう難しい事ではありませんので」
*騎士と信也
信也は突然現れた騎士に面食らいながらも、自室に通すと首を傾げた。
「あの、宝田様が俺に何の御用が‥‥」
「可憐さんのお見合いの話しは知ってるよね?今日はそのことで1つ忠告をしに来たんだ」
「‥‥忠告、ですか?」
「見合い相手は僕の兄だ。君も名前くらいは聞いた事があるよね」
「王様、ですよね?頭脳明晰、容姿端麗、宝田家始まって以来の天才と」
「天才とはまた、酷い話しだね。秀才だよ、兄は。天から授かった才能ではなく、自力で勝ち取った才能だ」
「左様で御座いますか」
「でも、君は兄の裏の顔は知らないね?」
騎士はそこで言葉を切ると、すっと目を細めた。
「今回の話は、双方の利害関係が一致した上でなんだよ」
「利害‥‥」
「宝田家にとって、白雪の名は魅力的だ。白雪家には兄が必要だ。‥‥でも、それで可憐さんは幸せになれるのだろうか?あれで兄は残酷な人だ」
「どう言う事ですか?」
「見捨てるモノは簡単に見捨ててしまうんだよ。今の白雪家は儚様がいる。儚様は商才もあり、あれでなかなかの人徳も持っている。けれど、可憐さんには何がある?儚様がいなくなった後、可憐さんは兄にとって必要だろうか?」
「何を‥‥!」
「僕に怒ったって仕方がないよ。宝田家の全権は兄が握っていると言っても過言ではない。僕だって、いつ兄の不興を買うか‥‥」
「何故俺にその事を?」
「可憐さんは僕の憧れだった。彼女が不幸になるのを分かっていて、それを黙っていられると思うかい?」
「そうではないです!何故俺にその様な事を教えるのです!?俺じゃなく、もっと別の‥‥」
「可憐さんを一番想ってるのは、君だと思ったから」
「でも、俺は‥‥」
「動く動かないは君の自由だ。僕はこれ以上は口出しはしない。‥‥でも、もし可憐さんを助け出し、君に彼女を守り抜く決意があるのなら、僕はいくらでも力を貸すよ」
≪映画『お嬢様の事情』募集キャスト≫
*白雪 可憐
泣く子も黙る、超絶美少女。外見年齢15〜18程度
性格は腹黒で大雑把で俺様。猫かぶりの術に長けているため、お嬢様演技も完璧
お嬢様時は『わたくし』『様』『ですわ・ですの』信也は『ジイヤ・信也さん』
俺様時は『俺・俺様』『お前・てめぇ』『だぜ・だよな』信也は『ジジイ・信也』
*大胡 信也
女性ならば思わずキュンとしてしまうほどの王子様&勇者様外見。外見年齢15〜20程度
性格はいたってヘタレ。可憐に散々いびられた過去を持つために、絶対服従
通常時『俺、私』『さん』『です・ます』可憐は『お嬢様・可憐様』
ヘタレ時『わたくしめ』『様』『です・ます』可憐は『お嬢様』
白憐(はくれん)と言う白猫を飼っている。
*宝田 騎士
眼鏡(ダテ)をかけた知的な雰囲気の美男子
黙っていれば良い男、口を開けばナルシスト風
『僕』『さん、君』『だね・だよね』
儚と喋る時は一人称は『私』になり『ですよね・です』と変わる
ちなみに儚は『儚様』と呼ぶ
*宝田 王
騎士の兄。少しキツめの顔立ちだが優しく紳士的
『私』『さん、君、ちゃん』『です・ます』
騎士の兄とは思えないほどに良く出来た人
*白雪 儚
可憐の母親で、外見は可憐にソックリの落ち着いた大和撫子風美女
中身はいたって若者で、言葉遣いも砕け調子
『私・儚ちゃん・儚様』『さん・君・ちゃゃん』『じゃーん・でしょぉ』
『超』や『マジ』なども使う
・その他
・信也や儚の友人
・事情を知って手を貸す人 など
●リプレイ本文
信也(氷咲 華唯(fa0142))は騎士(ルーカス・エリオット(fa5345))の話しを全て信じたわけではなかった。だからこそ、彼の誘いに乗るか乗るまいか躊躇していた。
「昔、僕の心を魅了した元ハニーの面影はドコに行ったのかな?」
オデコをこつんとくっつける騎士。ハタから見たら怪しい光景だが、今はこの部屋には騎士と信也しかいな‥‥
「た、宝田様と信也さんが逢引をぉぉっ!!」
薄く開いていた扉の向こうで悲鳴を上げた女性が、走り去って行く。
「はは、何か勘違いさせてしまったみたいだね‥‥それで、どうするんだい?」
「‥‥行きます。俺は、可憐様が不幸になる事を望んでいない。それに‥‥」
「突き放された事に、納得していない?」
「どうしてそれを‥‥!?」
「可憐さんの性格を考えればわかるさ。それと、君のその浮かない表情もね」
優しい瞳をした騎士がそっと信也の背に手を回し‥‥
「いやぁ、それにしても最近は便利で良いね〜♪見て見て、ほら、こーんなに小さな盗聴器まで!」
「‥‥それは犯罪です」
宝田騎士。趣味は盗聴‥‥いわゆる危ない人‥‥
「お前、馬鹿だろう?」
「何が?」
「‥‥それは、僕が言わなくちゃいけない事なのか?」
薫(カナン 澪野(fa3319))の言葉に、可憐(あずさ&お兄さん(fa2132))は柔らかく微笑んだ。
「どうしようもないこともある。違うか?」
「お前はただ、結果を見る前に諦めてるだけだと思うけど」
「‥‥分かっている結果を、どうしてわざわざ見る必要がある?」
「可憐は‥‥」
「はいは〜い、薫ちゃん!折角のお見合い前なのに、可憐ちゃんを落ち込ませないでくれるかなぁ〜?」
明るい声と共に儚(相澤瞳(fa5111))が姿を現し、着飾った可憐の様子に一頻りはしゃぎながらカメラで撮っていく。
「やっぱりぃ、馬子にも衣装よねぇ〜♪」
「それは褒め言葉じゃねぇぇっ!!」
「ちょっとしたアメリカンジョークなのにぃ‥‥」
諺をアメリカンと言い張らないで欲しい。儚が涙ぐみながらバッグの中から1枚の写真を取り出して見詰める。
「あなたぁ、可憐ちゃんが私に冷たいのぉ〜。どこで育て方間違えたのかしらぁ〜」
恐らく、最初から間違えている。まっとうに育てて来たならば、こんな凶暴な女の子にはなっていなかっただろう。
「あ、そうだ。先方に挨拶に行くから、可憐ちゃんちょっとここで待っててね♪あ、あと、薫ちゃんはお話があるからちょっとついてきて〜。ち・な・み・に、逃げようとしても、ガードの人達がいるから無駄よん♪」
薫の手を取って出て行く儚の背後から、可憐が小さく「逃げるかよ、バーカ」と呟くのが聞こえて来る。
「‥‥それで、儚さん。話って何ですか?」
「薫ちゃんだけに言うんだけどぉ‥‥ぜーんぜん素直じゃない可憐ちゃんと信也君のために一芝居打つじゃない?騎士君も王君も協力してくれるから、失敗するかもってあんまり考えてないんだけどぉ〜、でも、結局最後は2人の気持ち次第でしょぉ〜?」
悪戯っぽい瞳をしながら、儚が薫の耳元に口を寄せる。
「これでダメなら、本当に王君と結婚させちゃおうかしらぁ?って、思ってるの♪」
「‥‥そんな事にはならないと思いますけれど」
「そうかしらぁ〜?だぁってぇ〜、信也君にもうちょっと甲斐性があれば、こーんな事しなくてすんだのにねぇ〜」
頬に手を当てた儚が薫を解放すると、長い廊下を歩き出した。薫が可憐の元へと戻る気配を背中で感じ‥‥目の前に現れた2人組みに、浮かびそうになる笑みを押し殺すと、極めて冷ややかな視線を作った。
「あらぁ〜?信也君に騎士君。どうしたのかしらぁ〜?」
「王兄さんから言われて可憐さんの様子を見に‥‥」
「騎士君は良いのよぉ〜。そうじゃなくってぇー、何で信也君がいるのぉ〜?確かぁ、可憐ちゃんにもう二度と近付くなって言われたんじゃなかったっけぇ〜?」
「‥‥お祝いを言いに、来ました」
「ふーん。あ、そー。まぁ、せいぜい可憐ちゃんにこれ以上嫌われないように気をつけてねぇ〜。お見合い前の女の子の精神は不安定だからぁ〜」
儚がそう言って‥‥騎士と視線を合わせる。
『みっしょん・すたぁと♪』
『らじゃー♪』
唇の動きだけで言葉を交し合うと、儚はこれから起こるであろう楽しい逃走劇に思いを馳せた。
「可憐様、俺です‥‥」
「オレオレ詐欺じゃねぇんだから、今時そんな曖昧な名乗り方で扉が開くなんて‥‥」
「信也兄さん!」
「って、薫!あっさり開けてんじゃねぇっ!!‥‥何しに来たんだよ!もう二度と俺の前に顔出すなって言っただろうが!」
来てくれた嬉しさと、顔を見たせいで思い出した悲しさ‥‥可憐は両方の気持ちを隠すために叫ぶと、顔を背けた。
「可憐様、逃げましょう」
「は?逃げる?」
「一刻を争う事態ですので黙ってついて来てください」
真剣な眼差しをした信也が、可憐の腕を掴む。有無を言わせぬ力に、可憐が腰を浮かせ‥‥
「何かわかんねーけど、ついて行ってやる」
「だ、ダメだよ!僕、儚さんに可憐を見張ってるように言われて‥‥」
手を取り合って逃げようとする信也と可憐の前に立ちはだかった薫の体が宙に浮く。
「やぁ、現ハニー、今日も恥らう程に可愛いね。太陽が隠れてしまいそうさ」
「で、何で騎士までいるんだよ?」
信也と一緒に入って来たのに、可憐の視界に騎士は入っていなかったようだった。今気付きましたと言うように首を傾げる可憐。
『ちょ、待て騎士!作戦が違うだろ!?』←小声
「はっ!そうだった!現ハニー、ここにいたら危険だよ!さぁ、僕とレッツ愛の逃避行!」
「ま、待て騎士!俺は違う!俺はちーがーうー!!!」
暴れる薫を何とか宥め透かしながら、可憐ご一行はお見合い会場を抜け出すべく走っていた。
「あそこの角を曲がれば外に出られるよ!」
騎士の言葉に、角を曲がろうとして‥‥
「お揃いで彼女を何処に連れて行くつもりですか?」
ドンと壁を叩き、行く手を塞いだ王(九条・運(fa0378))が不敵な笑みを浮かべる。
「王っ!?なんでお前がここに!?」
「可憐様のお見合い相手ですよ‥‥」
「‥‥いつイギリスから帰って来たんだ?何だ、帰ってくるなら連絡くらい‥‥待って、お前、今‥‥見合いって言ったか?」
「何をボサっとしてるんです!こっちです!」
騎士が踵を返して駆け出し、信也が可憐の腕を引っ張ってそれに続く。
「おい、待てよ!王に話が‥‥」
「可憐さん、兄はもう、昔の兄じゃないんです」
「え‥‥?」
「私から逃げられるとお思いですか?」
笑い声が背後から響いてくる。それを振り切るように、可憐達はひたすら前を向いて走り続けた。
細長い路地を走っていると、突然背後から悲鳴があがった。
「ま、曲がり角の向こうから悪魔がぁぁぁぁっ!!!」
振り返ってみれば、爽やかな好青年が1人、地べたに座り込んでプルプルしている。
「プルティー!?」
「いえ、本名は‥‥」
アルバート(ルーカス)通称プルティーは震えながら曲がり角の向こうを指差していた。一体向こうから何が来るのか。緊張した一行の前に、一台のバイクが走って来る。ヘルメットをしているため、誰が乗っているのかは分からないが‥‥
「ご存知でしょうが、轢くと言う字は車へんに楽しいと言う字に似ている」
似ていると言うか、『楽』の旧漢字が『樂』だ。
「楽しんで轢かれて下さいませ」
楽しめない挙句、アンタ誰と言う感じだ。彼女の名前はセバスちゃん(ランディ・ランドルフ(fa4558))と言い、セバスにちゃんをつけないとキレると言う変な人だ。そんな事を言われずとも、セバスと言われれば無意識のうちにちゃんをつけてしまう日本人は多いのではないか‥‥
「早く!こっちです!こっちっ!!」
プル‥‥じゃなく、アルバートの導きで路地裏へと駆け込む可憐達。本気で轢こうとしているらしいセバスちゃんに顔を見合わせ‥‥や、そんな顔をせずとも危ないのでバイクの近くになんて立たせませんって!うっかり手元狂ったら洒落になりませんから‥‥。軽い舌打ちと共にどこかへと走り去って行くセバスちゃんに、ほっと安堵の溜息をつく一行。
「さんきゅ、プルティー」
「いえ、お役に立てて光栄で‥‥ひぃぃぃっ!!し、死神が空から降ってきたぁぁぁっ!!」
絶叫して駆け出していくアルバート。騎士が不思議そうな顔で上空を仰ぎ‥‥ひらりと黒い羽根が落ちてくる。
「ふむ、プルティーはコレに驚いたのかな?相変わらず可愛い性格だね♪」
真っ直ぐに路地を駆け抜けていく可憐達の前に、眼鏡をかけた大人し目の雰囲気の少年が立ちはだかった‥‥と言うか、何かを探していたらしい彼に可憐がぶち当たったと言うのが正解だ。
「いたたた‥‥」
「真!?」
可憐の友人の木田真(華唯)が腰をさすりながら立ち上がり‥‥
「本当に会うとは思いませんでした」
「なんだって?」
「さっき、あっちにいた女の人にコレを持たされたんです」
真の手から手紙をひったくる可憐。
「茉璃からだ‥‥」
「『絶対に可憐はん達に会うはずやから、頼みますわ』って言われて‥‥」
「さんきゅ、真!」
「いえ、別に大した事は‥‥ってか、可憐!頑張れよ!」
眼鏡を取り、髪をかきあげた真が大きく手を振る。可憐がそれに応えるように手を振り返す。
「おう!‥‥って言ってもコレ、俺宛てじゃねぇや」
可憐が『果たし状』と書かれた手紙をポイと信也に投げ渡す。
「俺宛、ですか」
「‥‥お前の好きにしな」
「受けないわけにはいかないでしょう」
信也がすっと目を細めた時、薙刀を持った大徳寺茉璃(咲夜(fa2997))が公園で佇んでいるのが見えた。信也が可憐達をその場に残し、茉璃の前に歩みでる。
「可憐はんとうちとは刎頚の友。可憐はんにとって、信也はん、あんさんと居る事が幸せやと、うちには到底思えへんのや」
「そんな事‥‥!」
「可憐様は黙っていてください!」
信也に木刀を投げ渡した茉璃が、口の端をニィっと上げる。
「せやから、あんさんの覚悟、試させて頂きますわ」
「信也‥‥」
「可憐さん。ここは、大人しく見ていましょう。信也君の決心を‥‥」
騎士に止められ、可憐は渋々頷くと胸の前で手を組んだ。薫が「はじめ!」と声をかけ、茉璃が薙刀を振り上げる。信也がそれを避け‥‥手に汗握る攻防は、信也が茉璃の攻撃をかわし、懐に入り込んで木刀の切っ先を喉元に突きつけたことで終了した。
「‥‥勝負あり!」
薫がキラキラとした瞳を信也に向けながら宣言し‥‥茉璃が清々しい笑みを浮かべ、そっと信也の手を握る。
「あんさんの覚悟、しっかり受け止めさせて頂きましたわ。祝福はさすがに出来しませんけど、可憐はんの事宜しゅうお頼申しますわ」
騎士を先頭に走っていた可憐達は、突然の薫の悲鳴で足を止めた。
「どうしたのかい、マイハニー?」
「あ、あれ、あれ‥‥」
震える指先が指し示すのは、信也の背中だ。キョトンとした信也が背後を振り返り‥‥可憐と騎士が叫び声を上げる。
「え?何があるんです?」
「おま、背中!背中に変なのくっついてんぞ!!」
可憐の指摘に、首を捻って背中を見る信也。背中にひっついている背後霊Aと視線が合い‥‥
「うわぁぁぁっ!!!」
「あ、だめです信也さん!行っちゃダメぇぇぇぇっ!!」
モジクネしながらニコラス(ルーカス)が信也の背中にへばり付く。ドを超えたシャイな彼は、常に何かを盾にしていなくてはならないらしい。‥‥何とも不便な体質だ。
「あ、お前!乙女ってぃー!」
「う、可憐様、信也さんごめんなさいですぅ。でもでもぉ、僕頼まれちゃって‥‥断ったら繁華街に突き飛ばすって言われて‥‥そ、そんな拷問ってありですかぁぁぁ!?」
別に拷問ではないとは思うのだが、彼からして見れば繁華街などと言う、誰からいつ見られてしまうのか分からない所は怖いのだ。
「頼まれたって、誰にだよ?」
「それは、企業秘密ですぅ」
何の企業に属しているのか知らないが、ニコラスはグイグイと信也を押していくと小さな倉庫のような所へ連れてきた。
「よし、乙女ってぃー!無事にお師様とヘタレ信也を連れてきたな!」
骨を鳴らしながら、京極武美(あずさ)が信也の前に立ちはだかる。盾を失ったニコラスが薫の背後に回りこみ、嫌がられて騎士の背後にひっつく。
「乙女ってぃーなんて、キュートな名前だね♪」
‥‥何となく身の危険を感じ、可憐の背後に落ち着くニコラス。
「俺がお前をお師様に似合う男か、確かめてやる!‥‥まさか逃げるなんて、言わねぇよな?」
「勿論です。受けて立ちましょう」
信也が上着を脱いで薫に手渡すと袖を捲くる。ゆっくりと深呼吸をし‥‥手合わせを始める。武美の繰り出す、当たったら痛いどころの騒ぎでは済まなさそうなパンチを避け、飛んでくる蹴りを腕で受け止める。キレのある右ストレートを軽く避け、サイドへと回り込むと足をかけ‥‥転ぶ手前で受け止める。
「‥‥振りが大きい分、サイドに隙が出来ます。そこを埋められたら、きっともっと強くなりますね」
ポンと背中を叩かれた武美が、顔を赤くしながら信也を突き飛ばし‥‥
「と、とりあえず、今日の所は引き下がる!でも、もしお師様を泣かせたりしたらただじゃおかないからなーーーっ!!」
「ちょっと待ってください〜!武美さん、落し物です〜!!」
武美の落としたハンカチを拾い、彼女を追いかけていくニコラス。まるで嵐のような展開に溜息をつき‥‥
「さぁ、もうそろそろで目的地です」
騎士の言葉に、再び可憐達は歩き始めた。
「王、そっちの準備は出来たか?今からそっちに行くぞ」
織田徳子(小鳥遊真白(fa1170))の言葉に頷く王。可憐達が走りこんできたのを確認し、ゆっくりと暗がりから出てくると進路を塞ぐ。
「さて、鬼ごっこはそろそろ終わりにしようか」
「王‥‥」
「王兄様格好良い‥‥」
苦々しい可憐の声と、うっとりとした薫の声が重なる。
「ひ、酷いよ現ハニー!僕と言う男がありながら、王兄さんに見惚れるなんて‥‥はっ!そうか、照れ隠しだね!」
「違う!だって、本当の事じゃないか!嘘は言ってないぞ!」
「いや、良いんだよ現ハニー、そんな恋の駆け引きなんてしなくても、僕の心は君のものさ☆」
「‥‥あの、宝田様?」
引きつった笑顔の信也と可憐に、騎士がアホスイッチをプチリと切り‥‥
「信也君、可憐さんは君に任せた」
「ですが‥‥!」
「王兄さんと現ハニーは僕に任せろ!」
「え、でも、ここは危ないので薫さんも‥‥」
「いや、僕はここに残るよ。って言うか、せっかく騎士が命がけで王兄様を止めてくれるみたいだから、早く行けば?」
薫が可憐の背を叩きながら素っ気無く言い、王が騎士に剣を放り投げる。
「そう言えば最近、兄弟のコミュニケーションが不足していたね」
「信也君、可憐さん‥‥素直にならないと、きっと後悔しますよ」
「騎士‥‥」
「僕も、きっと気付かなければ後悔したに違いありません」
騎士の視線が薫に注がれ、薫が頬を染める。騎士がふっと柔らかく微笑み‥‥
「そう!僕も、自分の美しさに気付かなければきっと後悔した‥‥!」
実は、騎士の視線は薫ではなく、薫の背後にあったガラス(に映った自分の姿)に注がれていたのだ。しなりながら苦悩のポーズをする騎士に、信也と可憐が心の中で『最期の挨拶』をすると走り去る。
「もう王兄様、コテンパンにやっちゃって!!」
「それじゃぁ、久しぶりに遊ぼうか。どれだけ成長したか見てあげるよ」
「‥‥王兄さん、本気で斬りかかってくるつもりでしょう。もう可憐さんも信也君もいないんですから、剣はしまって良いはずですが?」
「多少の手加減はするよ」
「まぁ、今行ってもお邪魔虫になるだけでしょうけれど‥‥」
王が地を蹴り、騎士が身軽に切っ先を避けると背後に回りこむ。振り下ろそうとした剣を剣で受け止める王。鍔迫り合いに、一旦引く両者。
「手加減なんてするつもりないくせに、よく言いますよ」
「さっきまでは手加減するつもりだったさ。ただ、騎士が何時の間にか腕を上げていたからな、これは本気で行かないと失礼かと思ってな‥‥」
「王兄さんにそこまで言わせたんですから、僕も真剣にならないと駄目ですね」
「‥‥お手柔らかに頼むよ」
「それはこっちの台詞です」
「‥‥次は7手仕掛ける。ちゃんと対応するんだよ?」
「手の内なんてバラして、果たしてちゃんとその様に来てくださるのか、甚だ疑問ですが‥‥」
騎士が言い終わる前に王が斬りかかり、それをアッサリ避けると次の一手を剣で受け止め、弾き飛ばす。かなり強く弾き飛ばしたために、王が数歩よろめき‥‥スポンと、その手から剣が抜けて回転しながら上空を漂い、やがて重力に引きずられるように地面へと落ちて行く。そしてその先には、成り行きを見守っていた薫の姿が‥‥
「危ない!!」
騎士が薫を抱きかかえ、地面を転がる。‥‥ザクリと足元に剣が刺さる。あと数センチずれていたら、騎士の足に突き刺さっていただろう。
「おい、大丈夫か!?おい!!」
薫が起き上がり、自分の上でグッタリとなっている騎士を揺さぶる。どうやら薫を助ける時に頭を打ってしまったらしい。低い唸り声を上げながら目を開け‥‥
「あぁ、良かった‥‥」
安堵の溜息をつきながら目に涙を溜めた薫の顔を見て、騎士がガバリと起き上がると肩を掴んで薫の全身をチェックする。
「怪我はなかったかい?どこか痛いところは?‥‥あぁ、良かった‥‥」
「ちょっ、おい!僕よりお前の方が危なかったんだぞ!?足に剣が刺さる所で‥‥」
「別に、俺の足1本で薫が助かるんなら、いくらでもやるよ」
爽やかな笑みを浮かべながらのカッコ良い台詞に、薫が顔を赤くしながらそっぽを向く。思い出せば、初めて名前を呼ばれたような‥‥。嬉しいような、恥ずかしいような、不思議な気分のまま、小さく言葉を紡ぎ出す。
「‥‥少しだけ、見直した」
「本当かい、現ハニー!いや、マイハニー薫!今日の君は一段と輝いているよ!!」
「ひっつくなよ!!それよりお前、王兄様は‥‥」
何時の間にかいなくなっていた王に、2人は顔を見合わせると立ち上がって走り出した。
「‥‥はは、なんか、せっかく綺麗な格好したのにボロボロだ」
可憐がスカートの裾を持ち上げながら苦笑し、信也がピタリと足を止めると真っ直ぐな瞳を向けた。
「この間、頬を叩かれた時にやっと分かったんです。あの時、叩かれた痛みよりも心の痛みの方が、何倍も痛かったことか‥‥。俺は、この先もずっと可憐様の傍にいるものだと思っていました。そうであることが当たり前だとすら、思ってたんです」
とんでもない勘違いだった。‥‥可憐の傍に居られると言う事は、当たり前なんかじゃない。それこそ、とっても素敵な奇跡‥‥
「可憐様が必要とされずとも、俺は大切に思っているし、傍に居たいんです」
「信也‥‥」
「俺の立場では、この言葉は一生言う事はないと思っていました」
どう言う表情をしたら良いのかわからないといった様子で、可憐が曖昧な笑みを浮かべる。信也がそっと、可憐の肩に手を置き、躊躇うようにゆっくりと腕を回す。
「ずっとお慕いしておりました。‥‥好きです」
「‥‥感動的なシーンですが、そろそろお見合い会場に戻っていただかないと。儚様も心配してらっしゃるでしょうし」
突然背後から王の声が聞こえ、振り返る。
「お前、騎士はどうした?」
「死んではいないはずです。あとは薫君に任せておきましたから、大丈夫でしょう」
ベットリと剣についた血に可憐が口元に手を当て、騎士の名前を呟く。
「さて、そろそろ可憐ちゃんを返していただきましょうか」
「‥‥ここは、通しません」
両手を広げた信也が、鋭い視線で王を睨みつける。
「それならば、剣を取りなさい」
放り投げられた真剣を信也が取り、すらりと鞘を抜く。
「信也、もういい!お前は王の実力を知らなさ過ぎる!‥‥あんなヘラヘラしてて馬鹿っぽい騎士だけど、あいつもかなりの腕なんだ!それをあっさり倒すって事は‥‥」
「構え方を見れば、どれだけ強いのか分かりますよ」
「だったら‥‥!!」
「でも、俺にも譲れないものがありますから」
チラリと微笑んだ騎士の横顔に、可憐の頬を涙が滑り落ちる。
今まで、色々な事をしてきた。沢山、酷いこともしてきた。意地悪を言って困らせたりもした。最後なんて、クビにすらした‥‥それなのに‥‥
「信也、お前は下がれ」
「可憐様!?」
「好きなヤツを守りたいのは、俺だって同じだからな」
「可憐様‥‥」
「王!お前の事、すげー好きだった。強くて、カッコ良くて、お前の言う事ならなんでも聞きたいと思った。お前の言う事こそが正解なんだって思ってた。お前は、俺の目標だった!‥‥でも、ここは引けない。お前の言う事は、聞けない!!」
「可憐ちゃんが相手でも、手加減はしませんよ?」
「上等だぜ!」
信也から剣を受け取った可憐がニィっと口の端を上げ、剣を振り上げたその瞬間‥‥
「おめでとー♪」
徳子の持っていたクラッカーがはじけ、DVDカメラを手にした儚が笑顔で茂みから姿を現す。セバスちゃんがいそいそとテーブルや椅子を運んできて‥‥
「紅茶はジャムを入れましょう!」
徳子がノリノリで紅茶を用意しに駆け出していく。儚のいた茂みの隣からは、騎士と薫が顔を出し、茉璃が、武美が、ニコラスが、アルバートが、真が、笑顔で姿を現す。
「これは一体‥‥」
「ぜーんぶ、儚ちゃんと王君、そして騎士君と徳子ちゃんが考えたシナリオだったのでーすっ!それにしてもぉ、感動の告白だたわぁ♪これ絶対二人の結婚式に大スクリーンで上映するわね〜♪」
オーッホッホと、高笑いをする儚に、仕組まれていた事を知り、暫し呆然とした後でブチリと切れる可憐。
「は、謀りやがったなババアー!!」
「騙される可憐ちゃんがわ・る・い・のんっ♪」
「てめぇ、それ寄越しやがれ!!」
「欲しかったら捕まえてごらんなさ〜い♪」
スキップをしながら去って行く儚を追いかける可憐。可憐と同じく呆然としていた信也がはっと顔を上げ、ご乱心の可憐を追いかける。
「ま、待ってください可憐様ーーー!!」
「‥‥それにしても、ハッピーエンドで終わった良かった。これで信也君と可憐さんも‥‥」
言いかけた騎士の言葉が途切れる。ツンツンと袖を引っ張っていた薫に視線を向け、少しだけ首を傾げる。
「どうしたんだい?」
「お前のハニーは誰なんだよ」
「え?」
「‥‥可憐と信也兄さんばっかり‥‥」
「もしかして、嫉妬してくれているのかい?」
「ち、違う!!ほら、犬も3日飼えば情が移るって言うか‥‥」
妙な自己弁護を始めた薫に、柔らかい笑みを向ける騎士。
「な、なんだよその顔!僕は、王兄様もいるし、まぁ良いかなって、ちょっと思っただけで‥‥」
「俺のハニーは、薫だけだよ」
再びのカッコ良い言葉に、薫が赤面する。顔は良いんだから、いつもその言葉遣いでいればきっと、変態などと言われないだろうに‥‥(ホロリ)
「僕も‥‥考えてやっても良い。まぁ、今日はちょっとだけ‥‥信也兄さんと王兄様の足元にも及ばないほどちょっとだけだけど、カッコ良かったしな」
「それじゃぁ‥‥」
騎士が薫の頬にそっと口付けを落とす。薫が驚いて尻餅をつき、ドキドキしてしまった事に悔しがりながら、それでも嬉しそうに、頬に手を当てる。
「それにしても、よく似た意地っ張りサンな元ハニーと旧ハニーを素直にさせてラブラブ大作戦、上手く行って良かった‥‥」
「騎士!テメェよくも騙しやがったな!っつーか、金輪際俺と信也をハニーって言うんじゃねぇーーーっ!!いや、それ以前に、てめぇ無事じゃねぇかよーーーっ!!」
儚は捕まえられないと悟った可憐が戻って来て、騎士にとび蹴りを食らわす。騎士が綺麗に吹っ飛び‥‥『あれ?これってデジャヴ?』と心の中で思いながら地面に叩きつけられる。
「みんなー!記念写真撮ろうよ〜!!」
何時の間に戻ってきたのか、儚が三脚にカメラをセットしながら手招きをする。
「あ、ちなみにDVDカメラは儚様しか開けられない所に預けて来ちゃいました〜♪」
「くっそー!こんのババー!!」
「ほらほら可憐ちゃん、早く入って入って!」
儚の言葉に渋々従った可憐の肩を王がそっと叩くと、銀色の鳥籠を差し出してきた。鳥籠の中で、真っ白な羽根を羽ばたかせる鳥は‥‥
「これ‥‥」
「人に馴らされた鳥は、自然では生きていけないんだよ。可憐ちゃんが逃がした鳥は、可憐ちゃんの元に戻ってきてた。私が捕まえて、儚様に渡したんだけれど、可憐ちゃんが手放したんだからって言って、受け取ってもらえなかった。この小鳥は、可憐ちゃんの逃がした小鳥じゃないけれど‥‥」
「子供?」
「‥‥そう」
鳥籠をそっと胸に抱く可憐。もう2度と、手放さないと誓って‥‥
「はーい、じゃぁ撮るよぉ〜?」
「可憐様、手を」
「‥‥可憐、様?」
「‥‥可憐‥‥」
可憐と信也の手が合わさる。儚がリモコンを操作して‥‥
「はい、チーズ!!」
手放した小鳥は舞い戻る
一番温かい場所を、知っているから‥‥‥‥
○おまけ
・ルーカス『枠』
プルティー、乙女ってぃー、騎士とやる事になったルーカス君
『あ、ルーカスさん!最後の集合写真なんですけど、アルバートとニコラスは別撮で後から合成しますから』
ル「分かりました」
『それで、相談なんですけれど‥‥枠は丸と四角どっちが良いですか?』
ル(‥‥枠って、欠席扱いですかーーー!!?)
『あ、あずささんはどっちが良いですか?』
あ「それじゃぁ、キュートな星で!」
ル(選んでる!って言うか、選択肢無視してるーー!!)
ルーカス君、スタッフとあずさちゃんに弄られちゃいました♪
・運『真剣』
普通、撮影では危ないので真剣は使いません。でも、運君を驚かそうとスタッフさんに頼んで真剣を用意してもらったルーカス君とカナン君、あずさちゃんと華唯君。何も知らない運君が入って来て、小道具さんから剣を受け取りました。
撮影開始の声で演技に入る運君。すらりと鞘を抜き‥‥本物の剣の輝きに少し驚いたようです。ここでネタばらしをしようと‥‥
運「そう言えば最近、兄弟のコミュニケーションが不足していたね」
ル「え!?待ってください!九条さん‥‥」
運「さぁ、始めましょう!」
目を輝かせる運君。‥‥結局この後、必死に説得して剣を収めて貰ったのでした。
悪戯もほどほどにね♪
・華唯『プロ精神』
着物の咲夜ちゃんは、薙刀のシーンでは大変でした。迫力のあるシーンを撮るため、大きく素早く動かなくてはなりません。華唯君が咲夜ちゃんの動きにあわせて、ギリギリまで待ってから避けてくれるのですが‥‥
『うーん、華唯さん、もう1歩近づけます?』
華「大丈夫ですよ」
『咲夜さん、もっと大きく振れます?』
咲「頑張ります」
『‥‥うーん、いまいち迫力がなぁ‥‥』
咲「これはもう、当てる勢いでやっても良いですか!?」
華「あ、うん。避けるから大丈夫」
咲「‥‥でも、もし避けられなかったら‥‥」
華「真剣白刃取り?」
良い映像を撮るためにチャレンジ精神を発揮する華唯君は素晴らしいプロですが、折角木刀があるんだからそれを活用しようよ‥‥