蒼月の事情アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
宮下茜
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
8.4万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/18〜03/21
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●本文
・物語り憑き
それは、物語の登場人物達と触れ合う事の出来る、神秘の職業
それは、親から子へ、子から孫へと受け継がれる伝統の職業
それは、物語憑き本部からの指令により、日々物語の安全を守る、名誉ある職業
*蒼月*
物語り憑き特殊部隊始まって以来の実力者、次期マスターの座に最も近い男と囁かれていた人物が居た。
表の仕事では物語の登場人物に一切の怪我を負わせずに捕獲し、裏の仕事ではあっという間に敵を壊滅させるほどの実力を持った人物。
日本刀片手に何百、何千の敵を斬り伏せてきた実力者。
先代のマスターが退いた後、彼は言った
「俺はマスターなんて堅苦しい仕事はごめんだね」
彼は物語り憑き達の中でも最も知略に優れ、人望もあり、何よりも深い慈愛の心を持っていた紅斬(こうざん)と言う女性を推薦すると、日本刀を彼女に差し出した。
「俺は先代から言われて、裏でずっと人を斬り続けてきた。そう命令されていたからだ」
「良いでしょう。貴方は表の任に戻りなさい」
「さんきゅ、紅斬」
「良いのですよ、蒼慈(そうじ)」
*蒼慈家*
「なーなー、岬ちゃん」
「何度言ったら分かるんですか!僕の名前は時岬(ときさき)です!」
まだ幼さを残した顔立ちの時岬(通称:岬)はそう言うと、腰に手を当てた。
「お前の名前って舌噛みそうなんだもーん。第一、お前だって俺の事略してるじゃーん」
「だって、蒼さんがそう呼べって言うから!」
「だーかーらー、お前も岬ちゃんで良いじゃん」
「せめてちゃん付けは止めてください!女の子みたいじゃないですか!」
「呼び捨てにして欲しいだなんて、岬ちゃんったら、だ・い・た・ん♪」
「夜ご飯抜きにしますよ」
「酷いっ!!精神攻撃で人に言う事をきかせようとしているのねっ!卑怯よっ!!」
「‥‥それで、何か用があったんじゃないんですか?」
「実は、そろそろ俺らの隊にも決まった制服を作んなくちゃいけないってんで頼みに行ったんだけど、うっかり隊名決めるの忘れてて」
「隊名って、大事だろソコ!」
「とりあえず、制服発注した所のオヤジが俺の知り合いでさ、オヤジセンスに任せたんだ」
「人をアテにするなってか、あんたこの隊の隊長なんだからしっかりしてくれよ!」
「アイツとは旧知の仲でな、以前物語から脱走した人物が‥‥」
「そのお話は今度聞きますから!」
「ま、そんなわけで、オヤジが名前を決めてくれたわけだ。でもって、制服がもう出来てきた」
「へぇ〜、どんな名前をつけてくださったんで‥‥」
「ほら『ドンマイ』って金色の文字で」
「あ、あんた嫌われてんじゃないのかーーー!?」
「ポジティブに行こうぜ!掛け声は『我らが来たからにはもう大丈夫!ドンマイ隊、イザ出陣!』で良いよな?」
「ポジティブになれねぇよってか、全然大丈夫そうにない名前じゃないか!!何も任せられなさそうな隊名だよ!」
「んじゃぁ『ドンマイ!我らが来たからには大丈夫!』にするか?」
「さっきのと大して変わってないどころか、悪化してるじゃないかーーー!!ドンマイって言ってるのに何が大丈夫だっ!!」
岬が怒鳴りすぎで息を切らし‥‥蒼がその様子を楽しげに見詰める。
岬を怒らせて疲れさせるのが大好きと言う変わった趣味を持つ蒼は、最初からこうなる事を知っていて制服を発注したのだろう。
余裕の笑みを見せる蒼に岬がビキリと青筋を立て‥‥
「もう、蒼さんの夕飯は‥‥!!」
『緊急指令!緊急指令!現在A地区D−1にて物語り憑きがハートの女王の抵抗にあい苦戦中。至急応援に向かわれたし!』
早口の無線がブツリと途切れ、岬はすっと目を細めた。
「D−1って、倉庫があるところですよね?それにしても、ハートの女王クラスの物語りの人物を、通常の物語り憑き程度が本部に送り返すことなんて出来ないでしょうに」
「本部が間違えて仕事を割り振っちまった可能性は低い。恐らく、たまたま遭遇しちまって手を出したんだろ」
「実力を考えてから手を出して欲しいですね」
「実力が分かってねぇから、手を出したんだろ。もしくは、ハートの女王側から仕掛けたか。ま、どっちにせよハートの女王が抵抗してるって事は、それなりに武力行使してんだろ」
「‥‥愚かな。‥‥早急に向かいましょう。ハートの女王に傷でもつけたら大変ですし」
「物語り憑きのほうは心配してねぇのか?」
「ハートの女王側から手を出したんであれば、それなりに心配します」
「物語り憑き側から手を出したんなら?」
「自業自得です」
「‥‥岬ちゃんって、ほんっと普通の物語り憑き嫌いなのな」
≪映画『蒼月の事情』募集キャスト≫
*蒼慈(通称:蒼)実年齢23歳
外見は色っぽい二枚目。中身はいたってお馬鹿のボケ属性
物語り憑き特殊部隊始まって以来の天才
武器は木刀orプラスチック製の玩具の刀
相手を無闇に傷つける事を嫌い、動きを封じて説得か、気を失わせて強制送還と言うスタイルをとっている
*時岬(通称:岬)実年齢18歳
クールで落ち着いた雰囲気の少年。常識的でツッコミ属性
武器は二丁拳銃。弾は3種類あり、状況にあわせて変えている
・結界弾:打ち上げ場所から半径1km以内の一般人や物を保護する
→空に向かって打ち上げる
→物語の登場人物が魔法や何かしらの特殊能力を使える場合に使用
→物語り憑きや物語の登場人物、岬や蒼は結界に守られない(あくまで一般人のためのもの)
・捕縛弾:対象をネットで捕らえる
→発射後、対象に当たる前に弾が破裂し、中からネットが飛び出して捕獲する
→対象との距離が近いほど命中率があがる。遠いと逃げられる可能性有
・眠弾:対象やその周囲にいる人物を眠らせる
→発射後、一定の距離を進むと弾が破裂し、中から薄い煙が出る
→岬以外は例外なく全員、その煙を吸い込めば眠りに落ちる
→通常は対象が風下に居る時に使用
*ハートの女王
不思議の国のアリス内で赤ペンキが不足したため、女王自らがペンキ調達に物語の中から抜け出してきた
・特殊能力は2つ
・トランプの騎士召喚:『首を切れ!』の言葉でトランプの騎士がどこからともなく現れる
→通常は人間サイズが現れるはずだが、たまにトランプサイズのミニチュアが現れる
→血の気の多い騎士が居た場合は襲われるが、大抵は斧が重いためにその場を動かない(襲ってこない)
・血の雨:『赤く染めよ!』の言葉で、空から血の雨‥‥ではなく、赤いペンキが降ってくる
→ペンキ臭くなるし、服は染められるし、精神的にイヤな気分になる
→女王自身やトランプの騎士の上には降らない
・その他
*ハートの女王と対戦していた物語り憑き
・物語の登場人物
→蒼・岬以外の特殊部隊員は不可
●リプレイ本文
峰崎龍雄は本来、あまり怒ったりはしない。例え役者が何度NGを出したとしても、楽しいNGなら笑えるからオッケー♪と言う人物だ。それなのに、現在の峰崎はパイプ椅子に座りながら、静かに怒っていた。台本が椅子の足元に投げ捨てられ、表紙がぐしゃぐしゃになっている。
「おはよう」
峰崎が低く声をかけ、役者達がバラバラに挨拶を返す。
「折角来てくれたのに悪いが、撮影は出来ない」
いきなり切り出された言葉に戸惑う蒼月メンバー。
「どう言う事ですか?」
そう質問したのは、笙(fa4559)だ。ユキカ(fa5202)が柊ラキア(fa2847)と視線を合わせ、峰崎の言葉を待つ。
「説明もしないまま帰ってもらうのは悪いから、一応の説明はしよう」
峰崎はそう言うとパトリシア(fa3800)の前に立ち、厳しい口調で言った。
「まず、君が時岬をやるのに無理があるからだ。14歳の少女が18歳の少年の役をやるのが難しいのは分かるな?逆を考えれば良い。18歳の少年が、14歳の少女役をやるのは難しいだろう?もっとも、身長と声、身体つきを役に合わせられるならば、出来ないこともないだろう。君は身長が低い。蒼慈役の笙君と並んだら、低さが目立つ。第一、18歳の少年がアリスよりも低いのは見栄えが良くない」
アリエラ(fa3867)が欅(fa5241)の袖をギュっと掴む。
「何が言いたいのか分かるな?君は、自分に役を合わせようとした。実年齢より幼く見え、女顔と言う設定を付け加えた。本来なら、自分が役に合わせるべきだろう?」
役を役者に合うように変更するのではなく、役者を役に合わせなければならない。どんなに合わない役でも、合わせる努力をしなければ役者とは言えない。そもそも、役の年齢や性格はいちいちテロップでは流れない。つまりは、観客にとっては役者の見た目や演じ方が全てなのだ。現在集まっている人の中には本業が役者ではないと言う人もいるが、それでもこの場に立つ以上はプロの役者としての自覚を持たなくてはならない。
「次に、足りない役があるのが分かるな?物語り憑きは何処に居る?誰がやる?いつ、勝手に気絶させて良いと言った?俺がいつ、この映画は蒼慈と時岬、ハートの女王の戦闘シーンだけを撮りたいと言った?」
どうやら峰崎の怒りは特にこの辺りらしい。アイリス・エリオット(fa5508)と橋都 有(fa5404)が思わず顔を見合わせて目を伏せる。
「状況から見て物語り憑きの手落ち?突然仕掛けてきた物語り憑き?‥‥どうして物語り憑きは女王に攻撃したんだ?女王は外出許可を取っていた設定だ。それなのに、どうして?その謎が、映画内で解決されるのはいつなんだ?結局、出て来もしない物語り憑きが悪役で終わり?そんな適当な映画を撮るつもりはない!」
峰崎が怒鳴り、それぞれが視線を足元へと落とす。
「楽しい映画を撮りたい。その気持ちは大いに結構。でも、楽しいだけに拘って話しの中身がなくなったらダメだ。‥‥役に命を吹き込めるのは君達なんだ。お話を生かす事が出来るのも、君達なんだ。そこを、忘れないで欲しい。怒鳴って悪かった。でも、撮影は出来ない。今言った理由を、理解してくれると嬉しい」
峰崎はそう言うと、台本をそのままに部屋から出て行った。そして、代わりに彼の息子の龍牙が入って来ると、落ちた台本を拾った後で明るく役者達に声をかけた。
「一旦、蒼月の事情の撮影は見送りになりますが、今日は折角いらしたんですから、皆さん少し俺につきあってもらえませんか?‥‥向こうに女王との対決シーンのセットが組まれてるんですが、少し撮ってみませんか?‥‥って言っても、報酬は出ませんし、スタッフもボランティア‥‥と言うか、練習感覚でになっちゃいますけれど」
○メイキング
*キャスト
・蒼慈:笙
・時岬:パトリシア
・ハートの女王:ユキカ
・ロミオ:柊ラキア
・アリス:アリエラ
・チェシャ猫のエレ:欅
・ハートの国の時計(黒)兎:橋都 有
・ジュリエット:アイリス・エリオット
*『蒼月法則!』
ハートの女王がペンキを補充しに物語を飛び出したと言う情報を入手したエレ。ピンクの毛並みを赤くされるピンチ到来!と言う事で、阻止するべくメル友(と言いつつエレからは初めてメール)のロミオに「たすけて」メール送信後のシーン。
ラ「はっ!親友のエレたんからメールが!」
(メール開き中→何故か添付ファイルが‥‥)
『たぁぁぁすけてぇぇぇ〜〜〜』
(女性のおどろおどろしい声の後に、絹を裂くような悲鳴が!!しかも血まみれの女性がこちらに手を差し伸べるホラー映像まで!!)
ラ「えぇぇぇ!!??」
(驚いて携帯を放り投げたラキ君の背後から地面を這いずって来る女性が‥‥!!)
ラ「蒼月、いつからホラーになったの!?」
ア「あはは、ラキ君ビックリした〜?実は、欅くんと驚かしてみようって言って‥‥」
ラ「酷いよケヤッキー!」
欅「や、龍牙さんが‥‥」
ラ「酷いわ!アタシの心を弄んだのね!訴えてやるぅぅ〜〜!!」
欅「え、待って。どうしてそんな事に‥‥」
ア「酷いよ欅くん!二股かけてたのね!ケヤッキーのくせにぃっ!!」
欅「だから‥‥って、アリー!?」
ラ「ケヤッキーに遊ばれた同盟組もうかアリー」
ア「そうだね。私達、親友だよねっ!」
欅「え、あの、これは‥‥いったい‥‥」
悪戯するつもりが悪戯し返される。蒼月はそんな所なのです(実はラキ君とアリーちゃんが事前に欅君悪戯大作戦☆のお話し合いをしていたのです♪)
*『ドンマイ隊!』
蒼慈と時岬が女王の元へと駆けつけた後のシーン。
笙「我らが来たからにはALL OKでドンマイ!」
有「ドンマイ隊、イザ出陣!」
‥‥何時の間にか岬時が黒兎になっている‥‥ドンマイ♪
*『詠唱時間』
時岬にノってもらえない蒼慈がメソメソしながらアリスのお茶会へとお呼ばれするシーン。
ア「そんな時はお茶会だよ☆チャララチャッチャチャ〜ン‥‥(エンドレス)」
(スタッフが必死にお茶セットを準備している間中、口ずさみ続けるアリーちゃん)
笙「別にずっと言い続けなくても‥‥」
ア「ダメなんです!言い続けないと魔法が止まっちゃいます!」
多分止めてもスタッフさんは動いてくれるよアリーちゃん‥‥
*『これが噂の!』
愛しのエレたんを助けるぞ!と言うわけで、ジュリーのお仕置き中に脱走を図り、町を迷走した挙句なんとか女王達の元へと現れたロミオ。何故か卓袱台を囲んでのんびりしている蒼慈・エレ・アリス・兎・ジュリーにキョトンとするシーン。
ラ「ジュリー!!??な、なんでここに!?って言うか、エレたん!僕が助けるからそこ動いちゃダメだからね!!」
エ(アイリスちゃん)「いつもいつもエレたんエレたん‥‥(エンドレス)」
ラ「ジュリー?」
エ「酷いわ!私の心を弄んだのね!ぶっ飛ばしてやるーーーっ!!」
ラ「え、何このケヤッキーパターン」
欅「勝手にパターン化しないでください!」
エ「うりゃぁぁぁぁぁっ!!!!」
(華麗なる卓袱台返し→飛び散るお茶→吹っ飛ぶカップ&ポット= 惨 劇 )
ア「凄い‥‥生まれて初めて生卓袱台返し見ましたー!」
龍「と、とりあえず‥‥掃除をしましょう」
エ「わ、私も手伝います〜〜!!」
ラ「ジュリーが手伝うなら僕も手伝う〜!」
ア「私達も手伝おう、欅くん!」
有「よし、雑巾がけ勝負!」
卓袱台返し後は、皆で楽しくお掃除です♪
*『どうして?』
ペンキを投げるロミオとケーキロケランをぶちかますジュリーのシーン。
ラ「おお、ジュリー!ジュリーはどうしてDVなの!?」
エ「憎いからに決まってんでしょうがーーー!!!」
(→本来の台詞は「貴方を愛しているからよロミー!」)
ラ「え、どうして?」
エ「エレたんエレたん‥‥(エンドレス)どうしてジュリたんって呼んでくれないの!?」
え、ソコ!?
*『大人気』
突然黒兎に拉致られるアリスのシーン
有「アリスは預かったー!物語の主役を帰して欲しければ、大人しくピンクの猫‥‥」
ラ「わーい!僕とケヤッキーも拉致られるー!」
欅「え、俺も!?」
エ「ロミーが拉致られるのなら私も‥‥」
ユ「それじゃぁ、私も」
笙「んじゃ、俺も?」
有「え、ちょ‥‥何で皆こっちに走って‥‥!!」
この後有君は皆に拉致られて散々引きずり回されるのでした‥‥合掌。
*『蒼月法則2』
女王との本気バトル中に蒼慈がとある事に気付くシーン。
笙「大変だ!」
パ「どうかしましたか!?」
笙「ドンマイがよく見たら『ドソマイ』になってる!!」
ユ「じゃぁ、ドソマイ隊?」
有「何か、言いにくい‥‥はっ!もしやコレもおやっさんの罠!?」
エ「ドンマイ隊と言う恥ずかしい名前をさらに言い難くしたんですね!」
ラ「‥‥いったい何やったの笙さん!‥‥」
笙「いや、何も‥‥って、ちょっと待て!俺の責任なのか!?」
全「だって笙さんが蒼慈だし」
蒼慈の責任は笙君の責任。笙君の責任は笙君の責任(合掌)
*『水も滴る‥‥』
最後にコレでしめましょう!と言われ、何故か全員(女王も含む)ジャージに着替えさせられたメンバー。ブルーシートの上に立たされ、何故か四方をガードするスタッフ達。
『目は瞑った方が良いかも知れません』
ラ「え、何するの?」
ア「ちょっと待ってください、これって‥‥」
エ「え!?もしかして‥‥」
欅「ちょっ‥‥!」
上から大量に降り注ぐ赤い雨‥‥(ペンキではない)
全「わぁぁぁぁぁぁ!!!」
体験、女王の赤い雨攻撃♪