突撃!びっくり廃村アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 3Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/11〜07/13

●本文

『辿りついた廃村――其処は逃げ出したくなるほどに‥恐ろしい場所だった』

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「今回からの『突撃!』はユリアナではなく、キミで行く事にするよ。本条くん」

プロデューサーから言われ「違うわ!」と『本条 真夜』は叫ぶ。

「あたしは身体は男でも、心は乙女なんだから『本条さん!』って呼んでちょうだい」

別にどうでもいいだろう、そう言いかけてプロデューサーは口を閉ざし、今回の企画書を真夜に渡した。

「今回は廃村なのねぇ、怖いわぁ‥それにしても何で今回からあたしなの?」

「ユリアナも色々と忙しくなったようでね、女優業に専念させることにしたんだよ」

「それであたしなのね、ま!いいわ、楽しければOKよ」

そう言って真夜は出演者のリストに目を通し始めた。


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●募集事項
◎『突撃!びっくり廃村』はコメディ番組です。
◎此方では『出演者』の皆様を募集しています。
◎1人〜2人は真夜と同じ『仕掛け人』として参加してください。
◎何か質問がありましたらNPC『本条 真夜』に聞いてやってください。

それと『突撃!』は裏方と本編の話がリンクしています。
裏方の方で考えられた仕掛けなどが本編に登場します。

●今回の参加者

 fa0074 大海 結(14歳・♂・兎)
 fa0155 美角あすか(20歳・♀・牛)
 fa0634 姫乃 舞(15歳・♀・小鳥)
 fa2993 冬織(22歳・♀・狼)
 fa3846 Rickey(20歳・♂・犬)
 fa5331 倉瀬 凛(14歳・♂・猫)
 fa5345 ルーカス・エリオット(22歳・♂・猫)
 fa5556 (21歳・♀・犬)

●リプレイ本文

 今回は『それ行け、廃村探検隊』と言う偽番組をでっち上げてのドッキリ企画になる。
「今回は宜しくねぇ♪」
 そう言って仕掛け人の冬織(fa2993)とルーカス・エリオット(fa5345)の二人に挨拶をするのは同じ仕掛け人の本条 真夜(fz1053)だった。
「今回は皆で仲良く騙してやろうぞ」
 ふふふ、と邪笑を湛えながら呟くのは冬織だった―‥その姿は凄く楽しそうである。
「愛と平和と恐怖の仕掛け人、ランタン片手にいざ出動!」
 金平糖を食べながらルーカス達は出演者の所へと歩き出した。


「今回は宜しくお願いしまーす☆」
 元気一杯に挨拶をするのは虹(fa5556)だった、その後ろには怖がりながら虹に引っ付く大海 結(fa0074)もいる。
「‥聞いてた番組内容と違うような気がするんだけど‥怖いのは本当にダメなんだってば‥」
 今にも泣きそうな顔で結は虹にしがみ付く。
「とりあえず、清めの塩と聖水を持ってきたんで!」
 そう言ってルーカスは清めの塩を全員に渡し、霧吹きで聖水を吹き掛ける。
「‥えーと」
 困惑気味に呟くのは姫乃 舞(fa0634)だった、彼女は幽霊の存在は全く信じていなく、幽霊に対して怖いという感情は持っていない。
「とりあえず皆、宜しくね〜」
 そう言ってにっこりと笑いながら話すのはRickey(fa3846)だった。
「何かゲームの舞台みたいですね‥ホラーゲームの‥」
 美角あすか(fa0155)が呟くと「確かにそうねぇ」と本条も納得したように頷く。
「ゆ、幽霊とかより‥わるいひとがいそうで怖いなぁ‥」
 周りをキョロキョロと見渡しながら倉瀬 凛(fa5331)が呟く。確かに誰かが潜んでいてもおかしくない雰囲気である。
「‥って冬織さん、な、何ですか?」
 突然、読経を始めた冬織に舞が驚いたように問いかける。
「スタッフから村の伝承を聞いたからね、犠牲者を慰める為に冬織さんもしてるんじゃないかな?」
 冬織が読経していると、何処からともなく別の場所から冬織の声ではない読経が聞こえてくる。
「‥こ、このお経は誰が‥?」
 結が震えながら呟くと「え?」と本条が聞き返す。
「ルーちゃん、聞こえる?」
 聞こえないといった感じで本条が問いかけるが、ルーカスはある一点を見つめたままボーッとしている。
「ルーカスさん?」
 美角が「どうしたんですか?」と問いかけると「え?あ‥何でもないよ」と言葉を濁した。
「さて、そろそろ探検を開始しようかの」
 冬織が読経を終えて、村の中へと入っていく。


「あ、あんな所に石像があるよ、お地蔵様かな?」
 リッキーが駆け寄ってお地蔵様に触れる。すると首がゴトンと落ち、首があった場所から血がどろりと流れ出してきた。
「うわあああっ!」
 リッキーは驚きで首をポイッと放り投げ、その場に座り込む。
「やはり‥」
 小さく呟いたのは冬織、彼女は以前此処で起きた事件の事を話し始める。
「いやーっ!きゃーっ!聞きたくなーいっ!」
 そう叫びながら虹は、同じように怖がっている結に抱きつく。
「あ、あはは‥そんなありがちな‥」
 美角は引きつった笑みを浮かべながら呟く。その時女の子の歌が出演者達の耳に響いてきた。

 一つ、一の家くくられて
 二つ、古井戸、鎮めれば
 三つ、皆、首、はねられて
 四つ、死の道、誰ぞ行く

 手鞠をつきながら現れた金髪の少女、緋色の着物と髪とが映えており、言いようのない美しさを感じた。
「‥ふふ、次は誰――?」
 クス、と少女は笑みながら手招きをしながら奥の屋敷へと向かって走り出した。
「あっ‥」
 走っていく少女を追いかけて出演者達は走っていくが、中々追いつく事ができない。
「ちょ――いたっ」
 リッキーが少女を追いかけようとして派手に転び、手を擦りむいてしまう。
「だ、大丈夫!?」
 凛がリッキーに問いかけると「うん、大丈夫」に苦笑混じりに答えた。
「あ、井戸があるから水で泥を流させてもらおう」
 リッキーがポンプから水を出そうとするが―――出てきたのは水ではなく髪の毛。
「う、うわー‥髪の毛が出てきた」
「怖いって言うより‥気持ち悪い‥」
 意外と冷静に目の前の状況を解説する凛と「ひ‥」と言葉にならない悲鳴をあげている結がいた。
「ぎゃーっ、髪の毛が出てる!怖い!こ〜わ〜いぃぃっ!」
 ばたばたと騒ぎながら虹が舞にしがみ付く。
「‥これは‥気持ちのいいものではありませんね、衛生面も心配ですし」
 舞が現実的に状況を分析するがツッコミ所が違うと、その場にいた全員が思ったとか‥。
「‥な、何か光ってる」
 結が遠くで光るものを指差しながら震える。其方に視線を向けると、火の玉が空中を泳いでおり、それが段々と近づいてくる。
「さ、流石にあれはないです、火の玉なんて――」
 そう美角が呟いた瞬間、逆光を受けて奇怪な動きをする人影。
「な、何あれ!あれはナシ!誰かないって言ってよ!」
 美角はパニックになり、きゃあきゃあと騒ぎ出す。一通りの動きをすると人影はスッと消え、空へと飛んで消えていく。
「あれ、ランタンが――」
 ルーカスの持っていたランタンの光も消え、辺りは真っ暗になっていた。
「ちょっと待って、ライターの火をつけるわね」
 本条がライターの火をつけ、人数を確認するが一人足りない。
「‥‥‥あら、冬織ちゃんがいないわ」
 本条の言葉に「え?」と出演者達が周りを見渡す。しかし冬織の姿は何処にも見当たらない。
「もしかして先に行っちゃったのかな‥」
 一人消えた、その現状に恐怖を隠すことができない出演者達。やがて奥の大樹の所までやってきたが冬織の姿を見る事はなかった。
「んっ‥雨――?」
 虹が降ってきた雫を手に取ってみる。ライターの光で照らされたそれは――真っ赤な液体だった。
「うわあっ!」
 バッと勢いよく上を見ると大樹に磔にされている冬織の姿があった。
「きゃあああっ!」
 美角もペタリとその場に座り込んでしまう。
「まさか‥祟り‥?」
 流石のルーカスも驚いたようで冬織を凝視したまま震えている。
「だから‥こんな番組嫌だったんだよぉ‥」
 結が項垂れたまま磔られている姿を見ながら呟く。
「け、警察に‥‥」
 ルーカスが思い出したように呟き、村の入り口まで走り出す。
「ちょ‥一人じゃ危ないわ!」
 美角がルーカスを止めようとするが、突然現れた真っ黒な姿の人物に驚き再び腰を抜かしてしまう。
「な――」
 その人物は一瞬だけ現れた後、直にフッと消えてしまった。
「な、何なんだよ‥この村――。やっぱりわるいひとがいたんじゃ‥」
 凛が「ルーカスさんが危ない!」と出演者達は先に行ったルーカスを追って走り出す。


「ルーカスさん!」
 村の入り口でルーカスは立っており、その奥には――先ほど磔にされていたはずの冬織が立っている。冬織はふらりとした足取りで、弱々しく出演者達を出迎えた。
「きゃーっ!い〜や〜!悪霊がああっ!」
 虹がルーカスから貰った塩をばしばしと冬織に振りかけながら叫ぶ。
「もういいんじゃないですか?本条さん」
 ルーカスが笑いを隠し切れないのか、少し震えながら問いかける。
「そうね――実は‥」


「ええ!ど、どっきり!?」
 あの後、仕掛け人三人から『突撃!』の収録だったことを聞かされ、出演者達はへなへなとその場に座り込んだ。
「じゃあ‥冬織さんの怪我は‥」
「もちろん芝居じゃ、案ずる事はない」
 血まみれの姿のまま冬織が、してやったりといった表情で笑った。
「何だ‥心臓に悪いよ、ねぇ?」
 凛が結に問いかけると、結は言葉にならないのか仕掛け人三人を恨めしそうにじろりと見つめている。
「ごめんねー、お詫びにこれあげるから」
 そう言ってルーカスは持っていた金平糖を出演者皆に手渡した。
「はー‥でも良かった〜、冬織さんの姿見てドタバタまじモードに入ってたけど‥安心したら笑いが出てきた!」
 そう言って虹は凄くおかしそうに笑い出した。
「‥という事で今回の突撃!も大成功ね!」
 本条はけたけたと笑いながら手を叩いた。


END

「あ、虹ちゃん。ちょっと来てくれるー?」
 そう言って本条は虹さんを撮影終了後に呼び出した。
「何ー?真夜ちゃん」
「これをね、渡しておいてくれって言われたから」
 そういって本条は虹さんに『PILOT』の入所案内書を手渡した。
「もちろんこれは強制じゃないから、虹ちゃんの好きにしていいからね、入所するもよし、しないもよしだから」
 それじゃお疲れ様、そう言って本条は手を振りながら現場を後にした。