巡る温泉旅アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや難
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報酬 |
2.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/23〜07/25
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●本文
「日ごろの疲れを温泉でゆっくりまったり落としましょう♪」
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「温泉?」
ユリアナはプロデューサーに渡された番組企画書に目を通しながら呟いた。
「今回の企画はそのまま芸能人と一緒に温泉に入ろう!である」
何処の中国人よ、ユリアナの冷たいツッコミを受けながらプロデューサーはシクシクと気味の悪い泣き真似をする。
「それで?どうせ何か悪巧みがあるんでしょう?」
ユリアナの言葉に「ふふふ、実は――」とプロデューサーは別の企画書を渡してきた。
「企画は一泊二日の泊り込み撮影で、温泉には入れるが肝心のご飯を食べる為には出演者の皆にも協力してもらわなければならない仕組みになっているんだよ」
有名旅館を借り切っての撮影で、裏は山、もちろん川もある。
出演者達は自分で『晩御飯の材料』を調達してこなくてはいけないのだ。
「ちゃんと調理師はいるから、みんなは材料を取ってくるだけ。毒モノを取ってくるといけないから、安全な山菜図鑑を渡しておくように」
「めんどくさ‥インスタント食品持っていこうかしら‥」
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●募集事項
◎コメディ番組「巡る温泉旅」では出演者の皆様を募集しています。
◎参加に必要な制限はありません。興味のある方はぜひ参加してくださいませ。
※山&川で何か取ってこないと出演者全員の晩御飯はおあずけです。
※一人一つは何か持ってくるようにしましょう。
●リプレイ本文
「‥という事で晩御飯の材料は皆で取ってきてネ♪」
高級旅館を貸しきっての温泉撮影‥しかしそう簡単に休ませはしないというプロデューサーの嫌がらせなのか晩御飯の材料は自分達で取って来なければならないという嫌な企画であった。
「一応道具は持って来てあるけど‥使う人がいたら私に言ってね」
ユリアナ・マクレイン(fz1039))は出演者に言い残し、自分も材料を集める為の準備を始めた。
「今年最初のレジャーを満喫する為に来たのに‥自給自足ですか‥」
がっくりと肩を落としながら呟くのはMAKOTO(fa0295))だった。恐らく半数以上の出演者がそう思ってやってきた事であろう。
「ユリアナさん、背負い籠はあるか?」
問いかけてきたのは藤緒(fa5669))だった。その言葉に対して「ばっちりあるわよ」と答え、ユリアナは藤緒に背負い籠を手渡した。
「こうなったら一つと言わず、がばっと採って来てやろう」
背負い籠を背中に背負って藤緒はすたすたと外へ出て行った。
「旅館に入る前に身体検査、持ち物検査したから‥ないとは思うんだけど、食料の持ち込みが発覚した場合は材料集めても晩御飯は没収になるからね?その時はスタッフ全員、出演者の目の前で食べるって言ってるわ、気をつけてね」
ユリアナの言葉に「了解」と答えたのは双葉 敏明(fa5778))だった。
「じゃ、健闘を祈るわ」
ユリアナの言葉を合図に出演者達はそれぞれ動きだした‥。
●毒物には気をつけて!
「時期的に心配だけど‥私は山菜取りかな‥」
スコップを手に持って、山へ入るのは美角あすか(fa0155))だった。彼女はどうやら山菜をメインに採って行くつもりらしい。
「‥スコップにファーストエイドキットも持ったし‥何とかなるかな?」
「あら、珍しい物持ってるわね」
同じく山菜を取りに来ていたユリアナとあすかは鉢合わせする。そしてユリアナが指差したのはあすかが持っている大量の縄で口を縛った袋だった。
「あ、これはかつて陣中食として用いられたいもがら縄と言うもので、茹でれば食べられるんです!」
アイドルの手荷物にしては恐ろしく不自然なそれをあすかは一生懸命説明する。
「これは縄なので食べ物ではないんです!だから持込にはなりません!」
「そうねぇ、確かに食べ物にはならないわね―――口に入れなければ」
ユリアナはにっこりと笑って答える。
「口に入れたらアウトだからどんなに飢えても齧らないように!余計飢える事になるからね」
そう笑いながら「お互い頑張りましょ」と言って遠くへ行った。
「た、食べるのは撮影が終わってからにしよう」
いもがら縄を見ながらあすかは小さく呟いた。
「さて、それより山菜を取らなきゃ。フキとかならそこら辺に生えてそうなんだけど‥」
あすかはそう呟きながら山菜取りを再開した。
●まるで熊のような貴方に拍手!
「ほぉ、結構沢山採れたな」
背負い籠の中身を見て、藤緒はやや満足そうに呟いた。彼女が背負っている籠の中には山で刈り取ったフキ、ゲンノショウコ、シソ、そしてデザート用に毟り取ったキイチゴやヤマモモなどが入っていた。
「ん?マツタケもある、これは取らねば‥」
そう言って藤緒はざくざくと季節を無視したマツタケを取って、籠の中へポイした。
「次は魚か、色々といるらしいからな‥」
川の前に立ち、籠を下ろし、袖が濡れないように袖まくりをして仁王立ちをする。
「海水魚が何故いるのだろう‥」
ジーッと藤緒は見つめながら呟き、川では生きていけない海水魚が弱っていく様を見ている。そして魚が弱った所を‥‥。
パシ――――ンっ
気持ちの良い音を響かせながら藤緒は鯛を弾いて取る。
「ほう、鯛か―‥これは良い物を取ったな」
そして籠の中へポイする。もちろん言わなくても分かるとは思うが、藤緒の籠の中には今まで取った物が全部混ざっている。少しだけ中を覗くのが怖く感じる。
「ん?誰だ?今『クマか?』と言ったのは?」
遠くから見ていたスタッフが呟いた言葉が聞こえたのか藤緒はとても爽やかに笑みながら呟いた。
●アヤカ(fa0075))と楽子(fa5615))の楽しい山歩き(違)
「魚が釣れたニャ☆ノルマ達成ニャ」
そう言って魚の入った籠を持ちながら移動するのはアヤカだった。彼女は釣り道具一式を借りて、川で魚釣りをしていた。アヤカはアイドル歌手でありながらミミズなどにも簡単に触れるので釣りが適任だった。もちろんミミズなどは石の裏にいるような天然物である。
「あら、アヤカちゃん、魚釣りをしていたの?」
アヤカが山菜を取ろうと山に入った時、楽子と出会う。
「良かった、一人じゃ寂しいから‥良かったら一緒に探さない?」
楽子が言うと「いいニャ☆」とアヤカはにっこり笑顔で答えた。
「楽子さんは何を取るのニャ?」
「そうねぇ‥ヤマグワとかヤマモモとかデザートになりそうな物かしら、私は果実酒を作る為に色々な所に採りに行くから幾分か探し慣れてるの」
楽子が言うと「ニャ〜‥凄いのニャ」とアヤカが感心したように呟く。
「ほら、結構あるのよ」
言いながら楽子はどんどんヤマグワなどを採って籠に入れていく。流石に探しなれているだけあって、その手つきはベテランそのものだ。
「これだけあれば全員分のデザートになるわね、旅館に戻りましょうか」
楽子とアヤカは一足先にノルマ達成をして旅館へと戻っていった‥。
●自分に肉を寄越せ!
「むーぅ‥‥」
他の出演者達が魚や山菜を取っている間、モヒカン(fa2944))は肉を取る為に獣を探していた。この時期の獣は適度に腹を満たしている平和な奴らばかりのはず‥と彼は語る。だから完全獣化状態なら互角以上に戦えると考えているのだ。
「おっ!」
モヒカンの前を通るのは何故か牛、もちろんこれもスタッフが用意したものである。でなければ山を普通に牛(乳牛)が歩いているはずがない。その前に乳牛を食べていいのか?というツッコミは別な所に置いておこう。
モヒカンは完全獣化し、牛(乳牛)に戦いを挑んだ―――‥。
その結果は―――‥。
●レンジャー、デンジャー、レジャー
「レンジャーでの訓練に比べればまだマシですね、調味料を装備に持てるんだから‥ただ取り上げられたけど――‥」
がっくりと項垂れながら敏明は呟く。調味料は食料じゃないと主張しても「NO!」と言う言葉しか返ってこなかった。
「動物相手だからトラップに地雷だのを使わなくていいですねぇ」
仕掛けたトラップから少し離れた場所で敏明が呟く。トラップの中身は動物の足にダメージを与えて、行動不能、行動制限に追い込む為の落とし穴だった、落とし穴の中には釘を打ち付けた板を仕込んである。
「さて、これは一旦置いていくかな」
持っていたスコップを地面に置いて、猪などの肉を手に入れる為に移動を始めた。そして弓を手に持ち身構える。
「弓は銃と比べて古臭いと言う人もいるけど、武器として見ればそうじゃないのさ‥故障は少ないし、銃声がないから隠密に向いている――‥と今回の相手は動物だから隠密は関係ないかな?」
一人呟きながら向こうから歩いてきた猪目掛けて矢を放つ。
「結構簡単ですね、まぁレンジャーの仕事に比べれば当たり前ですか‥」
そう言って猪を引きずりながら川へと向かい始めた。
●視聴者サービスは私におまかせ♪
「そろそろ皆も旅館に戻り始めてる頃かな?」
足首くらいまで川に浸かる程度の浅い所にU字型の生簀を作る。これを作るのに意外と時間を食ってしまったのだ。その場所へ魚を追い込み、逃げ場を塞いでから網で魚を次々に取っていく。
「あ!逃げる!」
数匹が逃げようとした所を素手でバシンと弾いて取る。その際に着ていたTシャツがびしょぬれになってしまう。
「暑いからちょうどいいかも♪」
暑さで参っていた体に川の冷たい水は癒しで、びしょ濡れになってTシャツが透けるのもお構いなしでマコトは水遊びを始めてしまった‥。
●皆ごくろうさま!温泉で癒されてネ
半日以上が経過した頃、ようやく旅館に全員が集まった。
「皆お疲れ様でした、材料はスタッフに預けて温泉で疲れを落としてくださいね」
ユリアナが浴衣などを渡しながら説明していく。
「ここをまっすぐ行くと右が女性用、左が男性用の温泉になるわ、露天風呂もあるから温泉を満喫してね」
そして出演者達は次々に温泉へと向かい始めた。
「あ、モヒカンさん、双葉さん、これ預けておくわね、月見酒でも楽しんで」
そう言って熱燗などを渡してユリアナも温泉へと向かった。
「はー、生き返るね」
マコトが露天風呂の岩に背を預けながら「極楽極楽」と呟く。
「温泉も良いが、月見酒とはスタッフも気がきくな」
藤緒は空に浮かぶ月を見ながら酒をクイと飲む。
「気持ちいいのニャ☆」
「一日の疲れも何か許せる気がしますね」
あすかが呟くと「本当ね♪」と楽子が答えた。
「料理、どんな物に仕上がるか楽しみだな」
藤緒が「色々と採ったから豪勢な筈だ」と少し自慢げに呟く。
一方、男性二人は壁一枚で隔たれた向こう側から聞こえる女性陣の声に落ち着くことがなかったとか――‥。
そして、料理はマツタケご飯、猪鍋を始め、自分達で取ってきた材料だけで本当に作れたのかと思うほど豪勢なものに仕上がっていた。
「皆、お疲れサマでした♪」
END