OFFでGO!アジア・オセアニア
種類 |
ショートEX
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
フリー
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/28〜07/30
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●本文
『せっかくのお休み――貴方は何をして過ごしますか?』
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出演者各位
このたびは『OFFでGO!』に出演してくださり、ありがとうございます。
今回の企画は、普段オフの日に皆様がしている事をしてくだされば結構です。
買い物をする方、自分が出演したドラマなどのチェックをする方など、普段の休みの過ごし方――ありのままを撮影したいと考えています。
今回、出演者の皆様方に同行するのはユリアナという女優です。
彼女と一緒に普段の休みの過ごし方を行動してください。
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●募集事項
◎「OFFでGO!」では、出演者の皆様を募集しています。
◎今回の企画では、着飾る必要もありません。
◎自分の普段の姿を見せてくだされば結構です。
(買い物、ドラマなどのチェック、他にも様々あります)
◎せっかくの休みですが、ユリアナと一緒に行動していただく形になります。
(何か質問があれば、別スレをたててユリアナに聞いてください)
●リプレイ本文
●生粋の日本人:弥栄三十朗さん(fa1323)
「こんにちはー‥誰もいないんですかー‥?」
閑静な住宅街、芸能人のオフ日の取材でやってきたユリアナ・マクレイン(fz1039))は少し臆しながら小さな声で呼びかけた。
「取材は今日‥だったよね?」
ユリアナは自分のスケジュール帳を見ながら一人呟く。すると奥の方から「どちら様ですか?」と言いながら藍染の甚平姿で三十郎が姿を見せた。
「あ、取材でやってきたユリアナですけど‥」
ユリアナの言葉に「‥あぁ、此方へどうぞ」と優しい笑みを浮かべながら案内してくれた。
「‥‥失礼。せっかくの取材というのに、つい本を読むのに没頭していました」
苦笑混じりに呟くと「本がお好きなんですね」とユリアナが問いかける。
「恥ずかしながら、本がないと生きていけない人間ですから」
そう言って最初に案内された場所は本が部屋を埋め尽くしている書庫だった。
「凄い本の数ですね‥でもジャンルが統一されているわけではないんですね?」
ユリアナが本棚を見ながら呟く。本棚によって分けられてはいるが、中国物の歴史小説、日本の時代物、欧米の古典作品、最近評判になっているライトノベルから漫画も置いてある。
「ジャンルが不統一なのは、どの本にも貴賎はないからです。どんな本からでも得る所はいっぱいありますから、たとえそれが漫画であってもね」
へぇ、とユリアナは感嘆のため息を漏らした。勝手な偏見だったが、ユリアナの中で三十郎という人は難しい本しか読まないという印象があったのだ。まさに乱読家の名に相応しいほどだった。
「それに――‥こうして蓄えたものがいずれ何かの役に立つ事もあるのですから、まぁ‥趣味と実益を兼ねていると言った所でしょうか」
「そうなんですか、弥栄さんは博識な方なんですね、素晴らしい事だと思います」
にっこりとユリアナが答えると「そ、そうですか?」と少し照れたような笑みを見せた。
「そうそう、折角お出で頂いたのですからお茶室の方にどうぞ、知り合いのお菓子屋さんから新作の和菓子が届いていますので、一服如何ですか?」
三十郎の誘いに「わ、嬉しい、いいんですか?」と手を口の所で合わせながら呟いた。
「もちろん、こう見えてもお茶の師範から免状を頂いておりますので」
「お茶の免状も?何でも出来るんですね」
二人は話しながらお茶室の方へと移動する。お茶室は静かな雰囲気を持ち、とても落ち着く居心地の良い場所だった。
「さ、座ってください」
ユリアナは言われた通りに座り、三十郎がお茶を点てる様を見ていた。心地よい音と心地よい空間、その全てにユリアナは魅了されていた。
「どうぞ、お口に合うと宜しいのですが‥」
「でも、私‥お茶の知識なんか全然‥」
渡された湯飲みを受け取り、ユリアナがオロオロとしていると「好きなように飲んでくださって構いませんよ」とにっこりと笑顔で答えられた。
「それじゃ‥いただきます‥」
ず、と一口飲む。口の中に苦さはあるものの不思議とそれは全部飲み干してしまった。
「え、えーと‥こういう時は‥結構なお手前で‥って言うんでしたっけ」
しどろもどろに言われた言葉に三十郎は笑いを堪えきれずに含み笑いをしている。
「あ、冬織さん(fa2993)との待ち合わせ時間‥」
思わず時間を忘れてしまいそうな雰囲気にユリアナは慌てて「今日は取材協力ありがとうございました!」と頭を下げて呟く。
「いえいえ、此方も楽しかったです。今度宜しければ本の話をしませんか?」
「えぇ、喜んで」
そう答えてユリアナは三十郎宅を後にした――‥。
●元帰国子女のお嬢様!冬織参上!
「すみません!待ちました?!」
ユリアナは走りながら、目の前の女性・冬織に問いかける。
「わしも今来た所じゃ、気にする事はないぞ、ユリアナ殿」
冬織はにっこりと笑って答える。そしてユリアナが気づいた違和感。冬織の服装は和装、銀の髪、緑の瞳を持つ冬織だが凄く似合っているとユリアナは心の中で呟いた。
「あの‥そちら‥は?」
ユリアナが指差したのは冬織が片手に持っていた‥うさぎのぬいぐるみである。
「がお太郎じゃ、よしなに願うぞえ、ユリアナ殿」
「ヨロシクな!」
がお太郎もそう叫ぶのだが、冬織の口が見事に動いている。これは突っ込むべきところなのだろうか?
(「どうしよう‥言うべきなのかしら‥でも冬織さん凄く真剣な顔してるし‥」)
ユリアナが言うべきか、言わざるべきか悩んでいると「わしの買い物に付き合うて貰っても良いかの?」と冬織が話しかけてきた。
「え?も、もちろん!何処に行くのかしら?」
突然話しかけられ、ユリアナは挙動不審に答える。
「わしの休日は店巡りも多いぞえ、斯様な店じゃ」
待ち合わせの場所の近くにあった看板を指差しながら冬織は答えた。
その店は‥‥『日本刀』の絵が描かれた看板。
(「どうしよう!凄く意外だわ‥もしかしてツッコミが来るのを待ってる‥なんて事はないわよね?」)
ユリアナは一人ぶつぶつ呟きながら歩いていると「邪魔するぞえ」と冬織が店の中に入っていく。どうやら馴染みの店のようだ。
「わし自身も幾つか所持しておるが、美しいものじゃよなぁ」
飾られた日本刀を二人で見ていると「いらっしゃいませ」と店主らしき人物が話し糧着た。
「邪魔しておるぞえ、御店主」
冬織は店主と「やはり刀は古刀の方が良いな」と話している。他にも姿・地鉄・刃文、五箇伝の事などをユリアナに説明してくれるが、刀の事に詳しくない彼女にはとても理解しがたい言葉ばかりだった。
「―――と、まぁ奥深いものじゃで如何程見ても飽きぬ」
「そういえば先ほど言っていた古刀とか言っていたけど‥?」
「皆がよく名前を聞く刀は新々刀辺りが多いと思うのじゃが、わしは古刀の方が好みじゃな、無駄な装飾のないシンプルさが良い、さて次の店に行こうかの」
同じような店じゃが、そう言って冬織に連れていかれた店は、やはり刀の店。
(「意外と刀を置いてある店って多いのね‥」)
連れられた数店、それら全てが刀を扱う店という事にも驚いたが、それら全ての店主と知り合いという冬織にも驚いた。
「毎回休日にはこういう店に来ているの?」
「そうじゃの、時には博物館や展示会に参ることもあるのう、本日は案内できずに残念じゃが‥」
冬織の趣味は何でこんなに年寄りめいているのだろう、ユリアナは疑問に思ったが流石にそれは失礼に当たるので聞く事はできなかったが‥。
そして暫く買い物を楽しんだ後、タクシーで向かった先は‥冬織の自宅だった。
「此処がわしの家じゃ‥と言ってもマンションじゃがな」
冬織は自宅へと案内し、鍵を開け、扉を開いた瞬間―――‥ドーンと現れたのはマンションには少し不似合いな和風空間だった。
「わしはロック歌手だが、和装や日本家屋の方が落ち着くゆえのう、言葉遣いも大分の爺上の口調が移ったのじゃよ」
「へぇ、お爺様の‥」
「わし自身は幼少時は欧州育ちの帰国子女なのじゃが‥微塵も面影がないのう」
苦笑しながら呟く冬織の言葉にユリアナは、冬織が年寄りめいた趣味をしている事に納得していた。
「でも素敵なお爺様だったんでしょう?今の冬織さんを見ていれば分かるわ」
ユリアナが笑みながら呟くと「そ、そうかのう‥」と答える。
「さてと‥」
冬織が何かを始めようとしていたので「何をするの?」とユリアナが問いかけると「読経じゃ」と短く答えた。
「ど、読経!?」
「朝夕かかさず行っておるゆえ、ユリアナ殿もいざ共に。これが良き声を作る秘訣かのう」
さぁ、と言われユリアナは冷や汗を流しながら読経を始めたのだった――‥。
●クールビューティー神楽(fa4956)の休日の過ごし方
次の取材は見習いスタントの神楽、彼女とはスポーツクラブの競泳プールで待ち合わせをしていた。
「‥水着なんて久しぶりだわ」
着慣れない水着にユリアナが居心地悪そうにしているとプールから神楽が上がってきた。競泳用の水着を着て、スイムキャップを取りながら此方へと向かってくる。
「こんにちは、今回は宜しくね」
神楽が言うと「こちらこそ宜しく」とユリアナも挨拶を交わす。
「休日はプールに来ている事が多いの?」
ユリアナは先ほどの神楽の泳ぎを思い出しながら話す。プールから上がってくる前、神楽は力強いクロールで泳いでいたのだ。慣れていない事にはあんなに力強い泳ぎは出来ないだろう。
「‥‥そうね。夏の時期の休みはこうやって泳いでいる事が多いわ、暑さも凌げるし、身体も鍛えられて一石二鳥ね」
「そうなの?じゃあ涼しい季節は何をして休日を過ごしているのかしら?」
ユリアナの問いかけに「‥そうねぇ‥」と考えながら「山とかかしら」と答えた。
「山?」
「えぇ、緑ある山とか自然公園に出かける事が多いわ。基本的に身体を動かす事が好きなの」
神楽はプールに入りながら「ユリアナさんも一緒にどう?気持ちいいわよ」とプールに誘う。
「そうね。せっかく水着も着ているし、競争といかない?」
「あら、泳ぎに自信あるのかしら?」
「いえ、全く全然。泳ぎは苦手だけど、何となく勝負したくなっただけ」
ユリアナが笑いながら答えると「いいわ、受けてたちましょう」と神楽も笑いながら答え、ユリアナもプールに入る。
「よーい‥‥スタートっ!」
神楽の声を合図に二人は泳いでいく。二人の勝負には迫力があり、他の人間を惹きつけている――そして結果は‥。
「私の勝ちね」
プールから上がりながら神楽が言う。そう、勝者は神楽だった。
「さ、流石に無謀だったわ‥」
げほ、と咳き込みながらユリアナもプールから上がる。
「さて、そろそろ出ましょうか。近くに馴染みのフルーツパーラーがあるの、一緒にどう?」
確かにプールで疲れ、甘い物が欲しくなったユリアナだったので神楽と一緒にフルーツパーラーまで一緒に行く事にした。
「でも神楽さんが甘い物が好きなんて少し意外だったわ」
パーラーに向かう途中でユリアナが呟く。確かに神楽は見た感じ、甘い物は好まず、どちらかと言うと珈琲もブラックで飲みそうなほど大人の印象を見受けられた。
「キャラクターに合ってない?でも好きなモノは好きなの、自分には嘘をつけないから」
そうきっぱりと言い放つ神楽はどこか頼もしさを感じた。
「そういえば服装もいつもそんな感じなの?」
神楽の服装は男性モノの半そでシャツにハーフパンツという活動的なものだった。
「えぇ、動きやすいから」
神楽らしい答えに「なるほど」と答え、二人はパーラーへと到着した。
「此処のはどれも絶品だけど、身体を動かした後に食べるのは格別ね」
二人は『旬の果物を使った特製パフェ』を頼む。
「旬の果物って‥桃とかかしら?」
その後、やってきた桃のパフェを頬張りながら神楽の取材は終えた‥。
●新人マネージャーさん‥渦深 宵姫さん(fa5913)の休日
「あらあら‥新人マネージャーの私がレポート受けなんて‥いいのかしら?」
宵姫は苦笑しながら呟く。
「気にしないで、私も似たようなものなんだから」
ユリアナが「今回は宜しく」と言いながら宵姫に挨拶をした。
「えぇ、受けたからには精一杯頑張るわ‥って言ってもオフの事なのよね」
「普段のオフの日はどんな事をして過ごすの?」
ユリアナが問いかけると「そうね‥」と宵姫は考えながら呟く。
「オフの日は受け持っている子達と出かけたりするんだけど、彼ら‥今プライベートで出かけているみたいなの、だから今日はショッピングに行こうかと思って」
「ショッピング、だから外での待ち合わせだったのね」
二人が待ち合わせた場所は大型デパートから近い駅。
「そう、付き合っていただけるかしら?」
宵姫が問いかけると「もちろん、今日は何処でも付き合うわ」とユリアナが答える。
「人が沢山いるわね‥」
さすが大型デパートだけあって、店の中は人でごった返していた。
「洋服と雑貨を見たいの」
「じゃあまずは洋服から見ましょう」
女性服売り場は五階な為、二人はエスカレーターで五階を目指す。
「ユリアナさんって自分とかじゃ中々買わないような服も似合いそうで羨ましいわ‥やっぱり綺麗だし、この世界の人は一味違うわよね」
羨ましい、宵姫の言葉に「な、何を言ってるのよ」と照れながら呟く。
「仕事の時はスーツばかりだし‥いいなぁ‥」
「渦深さんだって綺麗じゃない、今日の服装も凄く似合ってるわ」
宵姫の今日の服装は夏らしく、女性らしい服装。それに比べてユリアナは相変わらずのストライプのシャツに黒のスーツ。
「私って女性らしい服装が似合わないのよね‥」
宵姫を羨ましそうに見ながらユリアナは呟く。
「そんな事ないわよ、ユリアナさんの方が綺麗だわ!」
「いいえ、渦深さんよ」
傍から見れば互いに謙遜しあう妙な二人組みにしか見えない。
「‥‥とりあえず他の人の目もあるし、ここらで謙遜は止めておかない?」
ユリアナが提案し「そ、そうね」と宵姫も頷き、二人は洋服売り場に到着した。
「あらあら‥この服可愛い♪」
宵姫が手に取ったのはイエローのアンサンブル。
「こっちの方もいいんじゃない?」
ユリアナが隣にあった薄いピンクのシャツを渡す。
「あ、ホント‥どっちも可愛い♪買っちゃおうかしら」
宵姫はそう呟き、数分悩んだが結局二着とも買う事にした。
「次は雑貨を見る?」
「そうね、あ――‥輸入雑貨の特設もあるみたい、せっかくだから見てもいい?」
「もちろん、私も雑貨とか見てみたいし♪」
雑貨売り場、其処には流行りのボディアロマなどが並べられていた。
「マンゴーの香りやベリーの香りのボディアロマとかあるの。疲れた身体を癒すのもオフの目的の一つだしオススメよ」
宵姫は幾つかのボディアロマを手に取りながらユリアナに説明をした。
「後は‥同じ香りでリップも置いてあるのよ、仕事で会ったモデルさんに紹介されたの、良い香りだしおいしそうよね」
クスと笑みながら宵姫はベリーのリップを手に取った。
「そういえば輸入雑貨ってやっぱりセンスが違うのかしら?カラフルで面白いものが多いわよね」
「こういう人形とか好きなの?」
ユリアナが問いかけると「大好きなの」と宵姫は答える。
「外国のキャラクターが好きで、部屋に人形が溢れかえってるのよね」
困ってるの、宵姫はそう言いながらも数個の人形を手に取っている。
「困ってるって言いながら買うのね」
ユリアナも苦笑しながら、自分用のボディアロマとリップを購入した。
「今日はありがとう、取材って事を忘れそうなくらい楽しかったわ」
宵姫がぺこりと頭をさげてお礼を言うと「こちらこそ楽しかったわ、今度は仕事抜きでご一緒したいくらい」と答え、二人は別れていった‥。
●ミュージシャン・水威 礼久さん(fa3398)の休日
「初めまして、ユリアナよ。今回は宜しくね」
ユリアナは礼久の家まで赴き、挨拶をした。
「お、こっちこそ宜しく。ところでさ‥」
挨拶を交わした後、礼久が神妙な顔で「一つ聞いていいか?」と話しかけてくる。
「何かしら?」
「女性と一緒で彼女と間違われたりしないよな?いくら普段軽い俺でもそこがちょっと心配だぜ‥」
本気で心配しているのか「うーん‥」と唸りながら問いかけてきた。
「‥ぷっ、あはは!緊張してるなとは思ったけど、もしかしてそれの心配だったの?」
けたけたと笑うユリアナに「人が真剣に話してるのに笑うなよ!」と顔を赤くしながら叫ぶ。
「あはは‥ごめんごめん、大丈夫じゃないかしら?それとも――‥私とウワサになるのは嫌?」
からかう様に呟くと「なっ!」と礼久は次の言葉が出ない。
(「凄くからかいやすくて楽しいわ!‥っと仕事仕事」)
ユリアナはゴホンと咳払いをして「今日は取材協力宜しくね」とにっこりと笑った。
「午前中は別の人の取材でこれなかったんだけど、何をしていたのか教えてもらえるかしら?」
「そうだな―‥とりあえず近くの喫茶店にでも行かねぇ?」
立ち話もなんだし、と礼久の提案に「それもそうね」と喫茶店に行く事にした。
「まずー‥朝食はパンと牛乳ですませただろー、それで早朝ランニングに行ったかな」
「水威さんはミュージシャンよね?何で体力作りみたいなことを‥?」
ユリアナの質問に「甘いな、ミュージシャンに体力は必須なんだぜ?」と礼久は答えた。彼の答えに「そうなんだ‥」と感心したように呟き、次の言葉を待った。
「ランニングの後は道場の雑巾掛けと溜め込んでいる洗濯物を洗ってーかな」
「道場?」
確かに彼の家には道場のような場所があった。何だろうと疑問に思っていたが質問する間なく喫茶店に来たため、聞きそびれていた。
「実家は剣道と合気柔術の道場してるんだ、ユリアナが来るまでは子供達に基本を教えていたな、俺にできるのはこれくらい‥っつーか真面目に習ってなかったからこれぐらいしか出来ねぇからな」
「道場は継いでいないの?」
「道場は姉貴が継いでるんだ、ちなみに俺だと子供達が真面目にやってくれなくて苦労してるぜ」
じゃあ何故女性のお姉さんなら真面目にするのだろう?心の中で思った事を礼久に問いかけると「‥なんつーか‥姉貴怖いんだよな」と小さく呟いた。
「姉貴が怖ぇから真面目に稽古してくれるんだけどな」
俺は子供達から玩具にされている気がする、と礼久は首を傾げながら呟いた。
(「ごめんなさい、水威さん‥子供達の気持ちが分かるわ‥」)
心の中でユリアナは呟くが、彼が怒りそうなので口にする事はなかった。
「これからは何をする予定なの?」
「ジムでベースを弾き続けてもバテないように筋力トレーニングやって身体をしっかり鍛えてから、後はひたすらベースの練習だな」
「‥もしかして休日の過ごし方がそれ‥なの?仕事並みにハードな一日じゃない‥凄いわね」
「そっか?俺はいつもこんな感じだから別にハードとは思わねぇけどな?」
そう呟く礼久の顔は凄く楽しそうだった。
「音楽、好きなのね」
「あったりまえだろ、好きじゃなきゃやってないって」
「そうね、ジムでの鍛錬‥見ていてもいいかしら?良い取材になりそうだし♪」
構わないぜ、礼久はそう言ってジムに行く為に準備をして、二人でとトレーニングジムへと向かった。
はっきり言ってジムの中での礼久は別人のように思えた。音楽をする為に身体作りをする――‥それは心から音楽が好きでなければ出来ない事なのだと思い知らされた。
「よっし、終了!シャワー浴びてくるから待っててくれよ」
そう言って礼久は汗だくのまま、シャワー室へと向かった。その後はベースの練習をしている礼久を取材して別れた。
「休みの日までベースの練習なんて凄いわね」
ユリアナがそう問いかけると礼久は「そうでもないぜ」と答えた。
「俺にとってはベースに触れているときが一番リラックス出来る時でもあるから、休日もベースに触れている事が多くなる。もっと上手くなりてぇし、これくらいしか能がねぇからさ、俺」
「そう‥これからも頑張ってね」
ユリアナはそう言って礼久と別れた‥。
●ツーリングでGO!
「いつもツーリングで休日を過ごすの?」
ユリアナは姫川ミュウ(fa5412)に問いかけた。
「う〜ん‥いつもはバイクの整備かツーリングだね、でも延々と整備するのを見ても興味ない人には微妙でしょ、それより丑の日も近いし鰻食べにバビューンといって来よう〜!」
そうミュウの提案により、二人はツーリングをする事になった。
「バイクの免許を持ってて良かったわ‥」
ユリアナが呟きながらヘルメットを着用する。
「まずは名古屋までかっ飛ばしてひつまぶしを食べよう♪あ、そうそう!タイムアタックに付き合ってね♪」
ミュウの『タイムアタック』という言葉に「?」とユリアナが首を傾げるとミュウは「ふふん」と不敵な笑みを浮かべた。
「名古屋まで二時間四十分を切ったら新記録なんだ♪ほら」
そう言ってミュウは今までの記録を書いたのだろうメモを見せた。そのどれもが二時間四十分という時間を切れていない。
「‥でも二時間四十分も早い方なんじゃないの?」
「そう?でも新記録出すのって気持ちいいよね♪」
かっ飛ばしていこう!そう言ってミュウは先にバイクを動かして行ってしまった‥。
「あらまぁ‥制限スピードを明らかに超えてそうね――‥」
高速道路が空いているという事もあったのか、ミュウはかっ飛ばしていってしまう。しかし番組的にスピード違反を堂々と放送するわけにもいかないので、残念ながら高速道路のシーンだけは放送しないようにした。
まぁ‥気になる結果としてミュウは新記録を出せなかった‥とだけ言っておこう。
「ん〜、美味しい♪」
名古屋に到着した後、二人はひつまぶしを食べていた。
「やっぱ、運動の後に食べる物は格別だね」
運動したかしら、ユリアナは心の中で呟きながらひつまぶしを食べる。
「これからはどうするの?」
食べながらユリアナが問いかけると「そうだね‥」とミュウが考え込む。
「浜松まで引き返して軽く温泉に浸かってから鰻食べない?」
そういえば最初の目的は鰻だったわ、ユリアナは呟き「温泉はいい考えね」と食べる箸を急がせた。
その後、二人は浜松まで引き返し決して高級とは言えないけれど温泉に入って休日を満喫した。
「いつもこんな感じで休日を過ごしているの?」
温泉に入りながらユリアナが問いかけると「うーん」と呟く。
「まあ大体はこんな感じ〜‥かな、たまに気まぐれで寄り道増やしたりするけど、大抵高速飛ばして何処かに何かを食べに行く‥って感じかな」
休日を楽しんでいるのね、ユリアナはそう答えて温泉から上がった。
「此処の鰻、美味しいんだよね」
呟きながらぱくぱくと食べるミュウ、痩せ型の彼女の一体何処にそれだけ食べられるスペースがあるのだろう‥とユリアナは苦笑しながら見ていた。
「今日は取材協力ありがとう、次は取材関係ナシでご一緒したいわね」
ユリアナはそう言ってミュウとの取材を終えた‥。
●ラブラブカップルの休日の過ごし方
「俺のオフでの行動は、日課でダンスの練習をしているな」
そう笑って答えるのはゼクスト・リヴァン(fa1522)だった。ダンサーの彼はオペラニストのマリエッテ・ジーノ(fa3341)という可愛い彼女がいる。
「今日はマリエッテさんとのデート‥なのよね?お邪魔虫の私がいるけどごめんなさいね」
ユリアナが苦笑しながら言うと「構わないよ」と短い返事が返ってくる。
「マリーは今頃発声練習の時間だろうから、俺はバイクでストレス発散を含めてドライブしてくるぜ」
もちろん法に触れない程度でな、とゼクストは呟いた。
「あ、アンタはマリーの所に行っててくれよ、もうじき終わるだろうから」
「貴方はどうするの?」
ユリアナが問いかけると「練習が終わったらマリーから電話が来るんだ」と答えた。
「じゃあ、私はマリエッテさんのところに行っているから、後で合流しましょう」
「おう」
二人は別れ、ユリアナはマリエッテのところへと向かい始めた。マリエッテが練習しているのは自宅から近い場所にいる歌の先生に稽古をしてもらっているのだと言う。
「オペラニストも大変なのね‥しかも遊びたい盛りじゃないの」
17歳の彼女は毎日休むことなく稽古をしている。
「ユリアナさん!」
稽古している場所で二十分ほど待っていると、奥からマリエッテが小走りでやってくる。
「ごめんなさい、待ちましたよね?せっかくの取材なのに‥」
「いいえ、気にしなくていいわ。それよりも稽古お疲れ様」
「ありがとうございます、ゼクストにも連絡したのでもうすぐ来ると思います」
マリエッテはそうはにかみながら笑う。
「今日は後ろからついていくけど、気にしないでね」
ゼクストにも似たような事を言ったわね、そう心の中で呟きながら言うと「いいえ、お構いなく」とやはり彼と同じことを言って見せた。
「近くのカフェで待ち合わせをしているんです」
美味しいんですよ、そう言ってマリエッテは歩き出した。二人の邪魔をしないようにユリアナは少し後ろから歩くことにする。
カフェに入ると、ゼクストは先に来て珈琲を飲んでいる。どうやら時間にはマメな方のようだ。二人の様子を見ていると、普通の恋人同士のように「待った?」「別に今来たところだよ」などと会話している様が見られる。
その後、二人は買い物に出かける為にカフェを出て大型デパートへと向かっていった。
「そういえば‥」
ユリアナは最初にゼクストに今日の予定を聞いた時に彼はこう答えた。
「買い物に付き合うのはいいんだが、時間が掛かりすぎだ、長いんだよ」
‥とため息混じりに呟いていた。だけどそれが彼の本心でない事はユリアナにも分かっている。何故なら‥そう呟く彼の顔は凄く嬉しそうだったのだから。
「‥あら、本当に長いわね」
最初は洋服を見ているが、マリエッテが結構悩んでいる姿が見える。しかし次に向かったアンティークショップではさらに長い時間を悩んでいる姿があった。
それでも楽しそうな二人の姿にユリアナは笑み、携帯を取り出した。
取材協力ありがとう、二人のラブラブっぷりが見て取れたわ(笑)
‥とマリエッテにメールを送り、そのまま帰還した。
今回のオフ取材、いかがでしたか?普段はテレビの中での姿しか分からない芸能人に親近感を覚えて人もいるのでは?
それでは、今回の取材を終えたいと思います。
ご協力してくださった芸能人の皆様、ありがとうございました。
END