サムライ×ブシドーアジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
水貴透子
|
芸能 |
3Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
普通
|
報酬 |
5.5万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
08/01〜08/03
|
●本文
『氷に覆われた魔氷の城――潜む敵を打ち倒せ!』
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『サムライ×ブシドー』というネットゲームが今、爆発的に人気を誇っている。
プレイヤーは『サムライ』と呼ばれるキャラクターを製作し、電脳世界『ヘイアン』の事件を解決していく。
ゲームの内容は至ってシンプルなもので、事件などは毎日のように更新されている。
これは――‥電脳世界『ヘイアン』に住むサムライ達の物語―――‥。
※※※
火のエリア:サラマンド
水のエリア:ウンデネ
風のエリア:シルフィール
土のエリア:ガイスアト
これが『ヘイアン』を分ける四つのエリアだ。
サムライ達は『御所』と呼ばれるギルドに登録して、仕事である依頼を探す仕組みになっている。
※※※
「今回の依頼はウンデネの都・アクロアの北西に出現した氷の城・ブリザードに潜む敵の殲滅よ」
ウンデネの御所主は依頼書を渡しながら呟く。
「男は気をつけなさい、敵は女で男を惑わせるらしいから」
御所主が言うには、今までに幾多もの男が魔氷城の敵に惑わされてきたのだとか‥。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
●募集事項
◎映画「サムライ×ブシドー」では出演者の皆様を募集しています。
◎今回の話に必要な役柄は以下の通りです。
・御所に所属する者(サムライ、ゲイシャ、フジヤマ)
・魔氷城の主(女性)
※魔氷城の主は女性となっていますが、演じる方が男性の場合女装していただく形になります。
※このシナリオではプレイヤーではなく『作成されたキャラ』を演じる方を募集しています。
よって『●●のPLを演じる』という事はできませんのでご了承下さい。
※設定など※
※サムライ→近距離攻撃を得意とする職業。
※ゲイシャ→中・遠距離攻撃を得意とする職業。
※フジヤマ→援護・回復系を得意とする種族。
○現在は上記三つの職業しか存在しません。
○それぞれの職業には『ブシドー』と呼ばれる特殊能力があります。
それぞれの職業に合わせた能力を自由に考えていただいて結構です。
●リプレイ本文
「さて‥今回の報酬と人員構成を教えてくださらない?」
御所主(ユリアナ・マクレイン(fz1039))に問いかけるのはエル(トール・エル(fa0406))だった。
「報酬はレア武器。今回一緒するメンバーはあっちに揃ってるわ」
御所主は御所の隅にいる団体を指差して呟く。其処にいたのはサツロー(マリアーノ・ファリアス(fa2539))、緋煉(日向翔悟(fa4360))、流輝(倉瀬 凛(fa5331))、タナカサン(高柳 徹平(fa5394))、チョウキ(姫川ミュウ(fa5412))、ミトラ(山南亮(fa5867))と結構な人数だった。
「あら、お久しぶりですわね」
エルが緋煉に向かって呟く。二人は少し前の『緋色の男』の依頼ぶりの再会なのだ。
「‥‥‥ん」
緋煉は首を縦に振り、返事をする。
「そういえば敵の規模や特性についてはどのくらい分かっていらっしゃるのかしら?」
エルが呟くと「俺が聞いといたぜ」と流輝が答えた。彼が聞いた情報とは敵は女で『湖槊姫(真紅櫻(fa4961))』という名前、そして『男を魅了』するという厄介な能力の持ち主でもあった。
「男を魅了―――‥厄介ね」
チョウキは男達を一瞥し、嘲るように呟く。
「敵に魅了される未熟な人なんて攻撃して目を覚まさせてやればいいんですわ」
エルはクスクスと笑って男達に呟く。笑ってはいるが、その言葉が本気なのだという事にぞっとした。
「母さんの仇を取る為に僕が頑張らなくちゃ!」
そう呟くのはミトラだった。彼は自らをウンデネの姫巫女の子供だと言い張り、いつも先陣をきりたがる困ったちゃんでもある。しかも彼の困ったちゃんぶりは色々な所で噂になっており、ミトラの話を信じている者はほとんどいなかった‥。
「クマサンハッツァン、氷の城たあ、涼しげじゃねえかい!」
魔氷城を見てサツローがど派手な着物を翻しながら叫ぶ。きっと彼は江戸っ子を演じたいのだろうが、明らかに何かが間違っている。
「わたくしだったらこんな城には住みたくありませんわね」
エルはため息混じりに呟く。
「さて、どんな悪女が出てくるやら‥」
流輝が呟きながら氷の門を開いた。城の内部は特に変わった所はなく、ただ真っ直ぐに道が続いているだけである。
「真っ直ぐしか道がないときは敵の退路を断つため――‥と聞いた事があるけど、この城はどんな意味で作ったんだろうね」
ミトラが戦闘を走りながら呟く。
「ようこそ、哀れな迷い人達よ」
「その首、おいらが、あ、いた〜だ〜く〜ぜぇ〜!」
サツローが『大見得』を使い湖槊姫の攻撃力を大幅に上昇させる。彼の『大見得』は敵の防御、命中、回避率を下げる代わりに攻撃力が大幅に上昇してしまう諸刃の剣である。おかげで湖槊姫の攻撃力は半端ないほどに上昇した。
「私を倒そうと言うのですか‥?殺っておしまいなさい‥」
湖槊姫が呟くと突然四匹の魔物が現れ、皆に攻撃を始める。
「チョウキ殿!何を突っ立っているでござるか」
ドン、と緋煉がチョウキを突き飛ばし敵の攻撃から守る。それに対しても無反応で「‥‥‥はっ!」と突然声をあげた。
「ごめんごめん、それじゃ打ち合わせ通りで!」
そしてチョウキはブシドーを発動する為に呪文詠唱を始める。これは詠唱する間、動けなくなるというもので、仲間が攻撃されていてもお構いなしで詠唱しなければならないものだ。
「ちょっとぉっ!何で僕の回復してくれないわけ!?」
ミトラが敵の攻撃を受け、気持ち程度のダメージを受ける。はっきり言ってミトラより大きな傷を負っている者は多数存在する。ミトラは困ったちゃんなので回復も自分中心でないと気がすまないのだ。
「さぁ、愚かな男達――‥私の目を見て」
湖槊姫はそう言うと『氷の魅縛』を発動し、男たちを魅了する。これは標的とされたら絶対に逃れられない技で『男』たちの動きが止まる。
「そう、良い子ね‥ふふ」
「下手な誘惑に引っ掛かるなんて‥わたくしの方がずっと美しいじゃないですか‥」
エルは呆れながらも湖槊姫に攻撃を仕掛ける。エルは気づいていた。四匹の魔物、確かにこれらは厄介であるが湖槊姫を倒さない限り、奴ら自身も倒すことができない。術者である湖槊姫さえいなくなれば自動的に滅びてしまう魔物なのだ。
「aaaaaaaa」
ブシドー発動の為に呪文詠唱をしていたチョウキが突然謎の声をあげる。
「はっ‥!寝オチしかけた」
危ない、と言いながら発動したブシドーは‥『氷雪乱舞』である。もちろん今回の敵の属性は氷、氷に氷をぶつけても意味がない。
「アレ‥やば‥使うの間違えた」
次は間違えないから!と言ってチョウキは再び呪文詠唱に入る。
「ふふ、おかしな子ね」
湖槊姫が呟き、湖槊姫が一瞬の隙を見せた時――‥緋煉が彼女の背後から襲い掛かる。緋煉は『氷の魅縛』を使用された際、彼女の目に映らない場所に潜んでいた。それゆえに術を受けることがなかったのだ。
そして一気に倒しにかかろうとした時――‥サツローの『影分身』が正気の彼らを邪魔する。
「な――っ」
「ナニが出るかな?ナニが出るかな?」
くけけけけ、と奇怪な声を出しながら『薬剤投与』で敵のHPを回復してしまう。そして彼の中でも最凶と言われる『亢龍天醒』を使用してしまう――‥。
「何をしてるんですの!」
エルがバシ!と日本刀で叩く。もちろん怪我をしないように鞘をつけた状態で。
「違う!誤解だ!今俺魅了状態だし!」
タナカサンは慌てて叫ぶが「今の状態の何処が魅了なんですの!?」と再度バシと叩く。
「私の魅了が‥攻撃されたくらいで治されるなんて‥」
湖槊姫が少しショックを受けたように呟くと『破魔弓』が彼女の頬を掠める。矢を放ったのは流輝、彼の戦法はヒットアンドウェイ方式で攻撃が終わったら、後ろへと下がる。
「皆!今から大技使うよ!覚悟しなさい!カウントが終わった時が貴方の最後の時よ!」
チョウキが叫び、10からカウントを始める。
「3‥‥2‥‥1‥‥終わりよ!私のターンが来た時に決着が!」
チョウキの攻撃にあわせるように緋煉も『烈火の斬撃』を発動させる。チョウキがもうじき発動‥という所で突然姿が消失する。
「はあああっ!?」
思わず緋煉もギョッとした顔で消えたチョウキを見る。
「一体今回はどうなっているんですの?」
エルがため息混じりに呟き「鬼一法眼京八流のエルがお相手しますわ」と刀の切っ先を向ける。
「あ、おいらもいるぜ〜ぇ〜!」
サツローも意味のない『大見得』と『影分身』を多用する。
「ちょ‥何で僕より目立っているんだよ!」
ミトラがサツローに詰め寄る。今回のメンバーは結構ちぐはぐ凸凹が多いようだ。
「敵が‥!」
流輝がエルの背後から襲いかかろうとしている敵に気づき叫ぶが「本体を倒せば問題ありませんわ!」と構わず攻撃を続けた。
緋煉、エル、流輝の三人同時攻撃により湖槊姫の身体を貫く。
「私が‥お前達なんか――‥」
倒れる間際、エルの洋服を掴みギッと睨みつける。だが次の瞬間に彼女は柔らかい笑みを浮かべていた。
「解放してくれて‥‥ありが‥‥とう」
呟いた後、ざぁっと氷が溶けたように水となって消えた‥。その場に沈黙が流れるが、その沈黙を打ち破ったのは――チョウキだった。
「ごめんごめん、家のミーちゃんに電源落とされちゃった♪」
悪びれた様子もなくけらけらと笑って現れたチョウキに全員の怒りメーターが上昇したのは言うまでもない。
「魔氷城の主を倒してくれたのね、ありがとう」
御所主はにっこりと笑って呟く。
「魔氷城の主は元はといえばウンデネの巫女だったわ、だけど魔物に殺されて‥身体と能力を奪われてしまったの。四匹の魔物がいたでしょう?彼らは巫女を守っていた護衛隊、巫女が操られている事に気づかず、魔物となってでも彼女を守りたかったのね」
御所主は寂しげに呟き「報酬よ」と差し出した。
「ちょっと待ってくださりません?あの方たちと同じ報酬が同額なのはおかしいのではなくて?」
エルが魅了された者たちを指差して呟く。確かにそれは正当な抗議だ。
「そうは言ってもねぇ‥報酬は渡しておくから、後は自分達で話し合って分け合ってね」
御所主はそれだけ呟くとエルに報酬を渡した。
「さて、皆さん?これ、どうやって分けます?」
END