動物使い 拾アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 2.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/01〜08/04

●本文

『彼女が目覚めるには、キミの力が必要だ――‥』

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「キミ達に問いかけるよ、炯都を甦らせたいかい?」

イザナギが龍と翡焔に問いかけてくる。

「それは‥もちろんです‥母様に生き返って欲しい」

龍が答え「キミは?」とイザナギが翡焔をちらりと見る。

「‥聞くまでもないだろう?」

「そうか、なら話は早い。キミ達二人で炯都を殺してくれ」

イザナギの言葉に龍と翡焔は目を見開く。

「羅喉、九曜、どちらが体を動かしていても構わない。どちらかの生体機能を止めれば炯都を甦らせることができる」

「‥どういう意味だ?」

「彼女達自身が気づいているかは分からないが、人格が変わるたびに僅かのズレが生じるのだよ、恐らく素早く切り替えができないのだろう」

それでも僅かな時間であることは変わりないけどね、とイザナギは苦笑しながら呟いた。

「その僅かな時間に僕が炯都を甦らせる、ナミの為に取っておいた禁術でね」

「ナミの為に‥?」

氷煉が驚いたような顔で呟く。

「何故、炯都を助ける――?」

翡焔が問いかけると「勘違いしないでほしいね」とイザナギが可笑しそうに笑いながら答えた。

「僕は阿修羅を倒したいだけ、阿修羅を倒せるのは炯都のみだからね」

そう言いながら「もうじき人形使いが来るだろう、戦闘準備」と呟きながら何処かへと行ってしまった‥。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
●募集事項
◎映画「動物使い」では出演者の皆様を募集しています。
◎今回の話に必要な配役は以下の通りです。
 ・炯都、翡焔、翠嵐、氷煉の四名です。
(阿修羅・イザナギはNPC扱いでも構いません)

※参加者の都合でツカワレと白の動物使いと二人一組にできない場合もあると思います。
 ですので、今回からは『二人一組』でなくてもOKです。
 ですが、相棒がNPCになると劇中の描写は出演者メインの視点になりますので、ご了承ください。


●動物使いの設定など

◎白の動物使いにはパートナーとなる『ツカワレ』が存在します。

◎『ツカワレ』を演じられる方は自分の戦闘形態になる動物をお書きください。動物の種類はPCの獣人の動物以外でも構いません。
例)羊、山羊などBNOで存在しない獣人でも構いません。

◎白の動物使いとツカワレには絆が存在します。絆が深ければ深いほどツカワレの能力も上がります。

◎白の動物使いは限りなく人に近い存在ですが、人ではありません。

◎ツカワレは普段、人の姿をしていますが限りなく獣に近い存在です。

◎必ず白の動物使いとツカワレは二人一組にしてください。

◎それとツカワレは動物となってますが、別に虫だろうが魚だろうが構いません。

◎ツカワレの方はパートナーと繰り出す必殺技を考えていてください。
例)ツカワレがサンマだった場合→自身を焦がしていい匂いをさせて敵の動きを止める‥など極端な話、こういうのでも構いません。
ですが、必ず描写されるという訳ではありませんので、その辺はご了承下さい。

◎それとツカワレの戦闘時についてなんですが外見は半獣化と思ってください。
(流石に完全に動物になってしまうとお笑いになってしまいそうな気がするので)

◎動物使いとツカワレの絆が最高潮になった時に『超必殺技』が使用可能となります。

◎ツカワレには動物使いは必須ですが、動物使いにツカワレは必須ではありません。
契約を済ませていない動物使い、まだ覚醒していない動物使いなどがいますので。

◎黒の動物使いですが、魔と契約した場合、契約した魔が何らかの理由で消失しない限りは契約は続行になり、次の魔と契約できません。

※ですが、イザナギは黒の動物使いの中で一番強い能力の持ち主で、彼の場合は複数の魔を使役する事が可能です。
複数の魔を使役できる能力ゆえに、彼は黒の中で最強となっています。

※イザナミはイザナギが人工的に作り出した魔です。それ故にイザナギ以外と契約を結ぶことが出来ません。

◎動物使いにも特殊能力はあります、ですがほとんどがツカワレの戦力を上げる能力になります。

◎黒の動物使いが魔を製作する時に必要なのは、己の魔力が満タン状態なのと、魔を生み出す赤い月が出ている事の二つのみです。



※プレイングの書き方※
例)動物使い
配役:白の動物使い
役名:水貴
一人称:私
二人称:〜さん
口調:です、ます、でしょうか?
対となるツカワレ:太郎
(出来れば台詞例も書いておいてほしいです)

例)ツカワレ
配役:ツカワレ
役名:太郎
一人称:俺
二人称:お前
口調:〜だ、〜じゃねぇ?
対となる動物つかい:水貴
(出来れば台詞例も書いておいて欲しいです)

‥‥と上記のようになりますが、あくまで例ですので皆様の書きやすい書き方でOKです。

●今回の参加者

 fa0467 橘・朔耶(20歳・♀・虎)
 fa0612 ヴォルフェ(28歳・♂・狼)
 fa2825 リーベ・レンジ(39歳・♂・ハムスター)
 fa3090 辰巳 空(18歳・♂・竜)
 fa4031 ユフィア・ドール(16歳・♀・犬)
 fa4728 レイス アゲート(26歳・♂・豹)
 fa4941 メルクサラート(24歳・♀・鷹)
 fa5757 ベイル・アスト(17歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文

 血が流れる。
 それが誰の血か、何の為に流れる血か―――今はまだ誰も知らない。


「やはり貴方には無気力な姿は似合いません」
 煌夜(ベイル・アスト(fa5757))が翡焔(ヴォルフェ(fa0612))に話しかける。炯都(橘・朔耶(fa0467))が甦る希望が見えてきたせいか翡焔は衰弱していきながらも以前のような力強さを見せていた。
「炯都を甦らせるには、羅喉か九耀を倒さなければならないけれどね」
 イザナギがため息混じりに呟く。はっきり言って彼女達の強さは尋常ではない。恐らくその気になれば黒の本部など一気に攻め落とす事など簡単な事だろう。
「ナギ‥その術は大丈夫なんですよね?貴方は死んだりしませんよね?」
 氷煉(ユフィア・ドール(fa4031))が心配そうに問いかける。禁術と呼ばれる術に手を出そうというのだ、相応の代償は支払わなければならないのだろう。
 だから今までイザナギも容易に使う事が出来なかった――彼女はそう考えていた。
「大丈夫だよ、心配性だね‥氷煉は」
「人形使いが何をしようと構わない、わしは奴らの邪魔をするのが生きがいでね」
 そう呟くのは黒の動物使い・公星(リーベ・レンジ(fa2825))、その隣には魔・赫月(メルクサラート(fa4941))も立っている。
「私は誰にも従わない‥けれど公星にだけは従う、それが私のすべき事だもの」
 ねぇ?と赫月は呟く。
「そういえば‥翠嵐(レイス・アゲート(fa4728))の様子はどうですか?」
 煌夜が氷煉に問いかけると「まだ本調子ではないみたいです」と答えた。
「彼には早く良くなってもらわないと困るね、数少ない戦闘要員なんだから」
 イザナギが呟くと同時に爆音のような音と建物全体を揺るがす地震のようなものが起きた。
「な――んだ!?」
 翡焔が叫ぶと「‥人形使いだ」とイザナギが低い声で呟く。
「術の準備をする――‥炯都を助けたければ、彼女達を倒す事だね、流石に僕も其処まではカバーできないよ」
 イザナギはそれだけ言い残すと奥の部屋へと向かっていった。


「さて‥そろそろ黒にも滅びてもらいましょうか」
 雪牙(辰巳 空(fa3090))は手に持った『断魔刀』を見つめ「斬れ味を試させていただきましょう」と呟く。
「‥無駄口を叩く暇はないで―――来る!」
 羅喉は呟くと同時に左へと飛ぶ。
「‥お前か、翡焔」
 攻撃を仕掛けてきたのは氷煉、そして羅喉は氷煉より少し後ろにいる翡焔の姿を見て小さく呟いた。
「‥羅喉――か?」
 翡焔が小さな声で問いかける。九耀は根っからの人形使いだが、羅喉は中立的な立場にいる。九耀よりは話がしやすい相手なのだ。
「止めてくれ‥羅喉、お前なら分かっているはずだろう?」
 翡焔が叫ぶ、そう羅喉には全て分かっていた。自分の体に関する事全て‥。
「私の存在を‥忘れてもらっては困りますね!」
 断魔刀で襲い掛かる雪牙の攻撃を防いだのは翠嵐だった。
「翠嵐!怪我は大丈夫なのですか!?」
 痛みに表情を歪める翠嵐に氷煉が問いかける。
「イテテ‥うーん‥動けるが本調子じゃねぇな?しかし人手不足だから働かないとヤバイだろ」
 風刀で雪牙を攻撃しながら翠嵐は答える。それから遅れて公星と赫月もやってきた。
「‥人形使いか」
「来い、化物め!戦ってやる!」
 赫月はそう叫び、雪牙に向かって走り出した。
「氷煉、此処は俺達に任せて、お前はあの女に行け。いくら龍と言えど‥キツそうだからな」
 翠嵐の言葉に「お気をつけて」と言い残し、氷煉は羅喉の方へと向かった。

「龍‥お前に私が倒せるのか?炯都と同じ顔をした私を――‥」
 羅喉が煌夜に問いかける。
「本当なら貴方と戦いたくありません、でも‥戦わねばならないというなら‥」
 躊躇いはしない、煌夜は口にこそしなかったが言葉にならない言葉は羅喉に十分伝わっていた。
「貴方は下がっていてください、あの人とは僕が戦います」
 翡焔を後ろに下がらせ、煌夜が呟く。翡焔は炯都のツカワレであり、今‥彼女はいない。酷い言い方になるが足手纏いにしかならないのだ。
「羅喉!炯都はイザナギの能力でも甦らせる事は可能なんだ!」
 だから――彼はその後、どんな言葉を言うつもりだったのだろう?炯都を甦らせる為には誰かが犠牲にならねばならない――無償で何かを得るなど出来るはずもないのに。
「やれやれ‥何を呆けているんですか?敵は滅する‥それだけの事なのに」
 目の前の赫月と公星を攻撃し、雪牙は呆れたように呟いた。
「貴方達に私は倒せませんよ、根本的な力が足りないのですから」
 雪牙が呟くと公星が「確かにそうかもしれんな」と短く言葉を返す。
「生き続けるには何かが足りないが、かといって能動的に死んでしまうにも気力が足りない‥不完全なものなのだよ、わしらは」
「ならば大人しく滅されるがいい」
「所詮は全てがゲーム‥誰が勝っても、次の勝者が現れる、終わりなど来る筈もないのだ」
 公星が呟きながら赫月を見やる。その視線で全てを悟ったのか「私は構わないわ」と答える。そして雪牙に向けて『脱力の舞』を発動させ、雪牙を倒すために走り出した。自滅行為なそれに翠嵐が「待て」と言いかけるが‥彼の言葉は間に合わなかった。
 やがて鈍い音と共に、赫月が倒れる。
「そんな‥顔をしないで――‥それでも公星‥私は貴方と一緒にいられて幸せだったわ」
 それだけ呟くと赫月は倒れ、消えていく。
「‥ったくどれだけの奴らを死なせれば気がすむんだ!何回も来てしつこいぞ!少しは遠慮ってモンを知らねぇのか!」
 翠嵐は風刀と風縛を使用して雪牙へと向かう。
「ちっ‥このままじゃ分が悪いか」
 雪牙は呟き、羅喉を支援するふりをして彼女を捕獲し炯都の魂だけを抜き取る――そして断魔刀‥彼女の本体である武器に魂を込め、蘇生させようと試みる。
「いまこそ‥阿修羅の剣よ――甦―――‥」
 言いかけて雪牙は言葉を止める、何故ならまだ炯都の魂は羅喉に残っているからだ。半端な魂では蘇生は完了しない、駄目かと思ったその時――‥羅喉の一瞬の隙をついて氷煉と煌夜が羅喉の体を貫いた。
「な――‥」
 彼女の体を貫いた二人は信じられない顔で互いを見合わせる。何故なら羅喉は自分から殺されにやってきたのだから。
「離れているんだ!」
 イザナギの言葉に二人は離れる、それと同時に禁術で炯都を甦らせる。
「ぐ‥このままじゃ‥」
 自分は殺られる、そう思った雪牙は混乱に乗じて逃げていった。


「‥翡焔‥?何、死にそうな顔しとんの」
 目覚めて話しかけてきたのは紛れもなく、あの時失ったはずの彼女だった。
「誰の‥せいだと思ってるんだよ」
 言葉が途切れがちなのは衰弱している体のせいか、それとも涙が混じった声のせいだったのか‥。
「何でやの!」
 叫んだのは九耀だった。
「アンタら許さへん!この手で八つ裂きにしても飽き足りんわ!」
 覚悟しぃ、そう言って九耀が攻撃を仕掛けようとした時に「止めるんだ」と低い声が響く。
「阿修羅‥何で止めるの!あいつらは羅喉大妹を!」
「いいから今回は退くんだ、言う事が聞けないのかい?」
 有無を言わさない阿修羅の言葉に「‥分かった」と九耀は諦めたように呟き、阿修羅と共に消えていった。


「とりあえず再契約しないと翡焔は死んじゃうんじゃないのか?」
 怪我の上から怪我を負った翠嵐が呟く。
「めんどくさ‥」
「お前、こんな時まで‥しかも俺の命が掛かっている時まで面倒臭いはないだろ」
 ため息混じりに呟く翡焔に「死ぬんは私やないし」と炯都は相変わらずの口調で答えた。
「今回の戦いでも失った者は多かったです」
 氷煉は公星を見ながら小さく呟く。彼の魔・赫月は‥。
「人形使いを倒せば赫月も浮かばれるだろう」
 公星は短く呟き「少し一人になるよ」と言って自室へ向かった。
「これで人形使いに対抗‥出来る‥」
 イザナギが呟いた時、彼はガタンとその場に倒れてしまう。
「ナギ!」
「‥おい、何だこれ‥アンタから力を全く感じなくなった‥?」
 翠嵐が眉間に皺を寄せながら呟く。他の皆も気を集中してイザナギの気を探るが、全く何も感じない。
 まるで‥人間のように。


 あれからイザナギを自室で休ませ、氷煉は翡焔と一緒にいた。
「翡焔、羅喉は何故‥あんな死に方を選んだのでしょうか‥」
「さあ‥彼女なりに炯都を助けようとしたんじゃないのか‥?妹の為に」
「しかし‥残った九耀は一筋縄ではいかないでしょうね」
 煌夜も呟きながら此方へと歩いてくる。
「炯都の所にいなくていいのか?」
「‥色々あって疲れたでしょうし‥休ませてあげたいんです」
 夜の空を見上げながら煌夜は呟く。


「炯都小妹は被奪去された!羅喉大妹は被殺了されたっ!何でやの‥何で奴があの術を使えるんや!?」
 人形使いの拠点に戻った後、九耀は荒れていた。
「落ち着きなさい、羅喉は残念だったが、炯都は奪い返せばいい――それに奴らは気づいていないだろう、あの術を使った者の末路を‥」
「阿修羅‥?」
「クク‥奴らが選んだのは未来への希望じゃない、過去の過ちを繰り返すだけさ」

 人形使いの拠点で、阿修羅の笑い声だけが大きく響いていた‥。


END