動物使い 拾壱アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
2.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
09/02〜09/04
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●本文
「何を求めて、何が欲しくて‥何処へ向かえばいいのか‥」
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「何処へ行く?」
人形使いの本拠地を密かに出て行こうとする九耀を阿修羅が呼び止める。
「‥姉妹たちを失った気持ち、アンタには分からへん‥この手で奴らを八つ裂きにして‥炯都小妹の目を覚まさせる」
「だけど、彼女の居場所は向こうだ‥彼女は白の動物使いだからね」
「けど私の妹や!羅喉大妹を失った今!私には炯都小妹しか残っていないんや!」
「‥どうせ言う事を聞くつもりなどないのでしょう、好きにするがいいさ」
そう言って阿修羅は九耀を見送り、自室へと戻っていった。
「急がなくとも炯都は戻ってくるのにね、相変わらず九耀はせっかちだ」
くく、と阿修羅が笑うが、彼の真意を知る者は‥いない。
たとえ、側近の九耀でさえ知らないだろう。
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●募集事項
◎映画「動物使い」では出演者の皆様を募集しています。
◎今回必要な必須配役は特にありません。話に沿って好きな役を演じていただいて結構です。
※参加者の都合でツカワレと白の動物使いと二人一組にできない場合もあると思います。
ですので、今回からは『二人一組』でなくてもOKです。
ですが、相棒がNPCになると劇中の描写は出演者メインの視点になりますので、ご了承ください。
●動物使いの設定など
◎白の動物使いにはパートナーとなる『ツカワレ』が存在します。
◎『ツカワレ』を演じられる方は自分の戦闘形態になる動物をお書きください。動物の種類はPCの獣人の動物以外でも構いません。
例)羊、山羊などBNOで存在しない獣人でも構いません。
◎白の動物使いとツカワレには絆が存在します。絆が深ければ深いほどツカワレの能力も上がります。
◎白の動物使いは限りなく人に近い存在ですが、人ではありません。
◎ツカワレは普段、人の姿をしていますが限りなく獣に近い存在です。
◎必ず白の動物使いとツカワレは二人一組にしてください。
◎それとツカワレは動物となってますが、別に虫だろうが魚だろうが構いません。
◎ツカワレの方はパートナーと繰り出す必殺技を考えていてください。
例)ツカワレがサンマだった場合→自身を焦がしていい匂いをさせて敵の動きを止める‥など極端な話、こういうのでも構いません。
ですが、必ず描写されるという訳ではありませんので、その辺はご了承下さい。
◎それとツカワレの戦闘時についてなんですが外見は半獣化と思ってください。
(流石に完全に動物になってしまうとお笑いになってしまいそうな気がするので)
◎動物使いとツカワレの絆が最高潮になった時に『超必殺技』が使用可能となります。
◎ツカワレには動物使いは必須ですが、動物使いにツカワレは必須ではありません。
契約を済ませていない動物使い、まだ覚醒していない動物使いなどがいますので。
◎黒の動物使いですが、魔と契約した場合、契約した魔が何らかの理由で消失しない限りは契約は続行になり、次の魔と契約できません。
※ですが、イザナギは黒の動物使いの中で一番強い能力の持ち主で、彼の場合は複数の魔を使役する事が可能です。
複数の魔を使役できる能力ゆえに、彼は黒の中で最強となっています。
※イザナミはイザナギが人工的に作り出した魔です。それ故にイザナギ以外と契約を結ぶことが出来ません。
◎動物使いにも特殊能力はあります、ですがほとんどがツカワレの戦力を上げる能力になります。
◎黒の動物使いが魔を製作する時に必要なのは、己の魔力が満タン状態なのと、魔を生み出す赤い月が出ている事の二つのみです。
※プレイングの書き方※
例)動物使い
配役:白の動物使い
役名:水貴
一人称:私
二人称:〜さん
口調:です、ます、でしょうか?
対となるツカワレ:太郎
(出来れば台詞例も書いておいてほしいです)
例)ツカワレ
配役:ツカワレ
役名:太郎
一人称:俺
二人称:お前
口調:〜だ、〜じゃねぇ?
対となる動物つかい:水貴
(出来れば台詞例も書いておいて欲しいです)
‥‥と上記のようになりますが、あくまで例ですので皆様の書きやすい書き方でOKです。
●リプレイ本文
「羅喉の事は本当にすまなかった‥」
翡焔(ヴォルフェ(fa0612))は炯都(橘・朔耶(fa0467))に申し訳なさそうに頭を下げながら呟く。翡焔は炯都が『死亡』していた時の事を話し、その中には羅喉の事も含まれている。炯都自身も覚醒と同時に全ての封印が解け、失われていた記憶も全て取り戻していた。
「さよか‥‥姐々達らしいな‥」
失ってしまった姉を思い、炯都は目を伏せながら呟く。
「腹、減ったろ。何か持って来てやるよ」
そう言って翡焔は部屋の外に出る、すると顔色の悪い氷煉(ユフィア・ドール(fa4031))と鉢合わせる。
「大丈夫なのか?無茶をするな‥」
「心配はいりません、私なら大丈夫です」
そう笑って答える氷煉だったが、無理に笑っている事は一目瞭然だった。自分の妹なのだから彼女の性格は分かっていた。だからそれ以上を言う事はしなかったのだが、やはり心配な気持ちには変わりない。
「それより何をして―――」
いるのですか?と続く筈の言葉は氷煉の口から出る事はなかった。何故なら突然人形使いの気配を感じたからだ。
「この気配は‥九耀と‥雪牙(辰巳 空(fa3090))の‥」
呟くと同時に氷煉は自分の主人であるイザナギの所へと向かう。彼は今――能力が使えないただの人間に過ぎない。
そんな彼を人形使いがほっとくとも思えなかったからだ。
「私はナギの所に、貴方は彼女のところへ――」
それぞれの守るべき人物のところへ向かい、戦いが始まる――‥。
「何か‥あったのですか‥?」
氷煉はイザナギの所へ向かう途中で、白の動物使い・ゆくる(湯ノ花 ゆくる(fa0640))とツカワレ月詠(月詠・月夜(fa5662))と出会う。
「人形使いです、ナギを守らなければ‥」
「‥一人では‥危険です‥ゆくる達も‥一緒に行きます‥」
月詠とゆくる達も氷煉と一緒にイザナギの所へと向かい始めた。
「翠嵐(レイス・アゲート(fa4728))は怪我で戦える状態じゃないというのに‥こんな時に‥っ」
氷煉は表情を歪めながら忌々しげに呟く。
「なるほど、わたしの相手は貴方ですか」
声が聞こえたかと思うと、吹雪と同時に窓から雪牙が侵入してくる。
「貴女が此処にいるという事はイザナギやイザナミも近くにいるのですね、今度こそ葬って差し上げましょう」
「そうはさせない、そのために私は此処にいる」
氷煉・ゆくる・月詠も戦闘態勢に入り雪牙との戦いを開始した。
「大丈夫ですか?」
沙貴(ベス(fa0877))が炯都に問いかける。人形使いが侵入してきたとの報せを受けて、彼女はまだ体調が本調子でないであろう炯都の所へと来ていた。
「雑魚が何人いようと、大した変わりはないんやで?」
ドアを蹴破りながら九耀が炯都・翡焔・沙貴のいる部屋へと侵入してくる。
「炯都小妹、返してもらおか」
びりびりと肌に伝わるほどの殺気を出して羅耀が攻撃を仕掛けてくる。
「お前は‥羅喉が何の為に命を捨てたか分からないのか!」
炯都が戻った事で能力を使えるようになった翡焔が九耀の攻撃を防ぐ。
「お前等が死なせたんやろがあっ!大事な家族を!炯都まで奪うのか!」
その言葉を聞いて「‥何で?」と言葉を返したのは沙貴だった。
「そんな家族を想う気持ちのある貴女が何故、白の統括府を‥家族を失うと辛いって分かっているのに‥‥どうしてっっ!?」
沙貴は今にも泣きそうな顔で羅喉に向かって叫ぶ。
「‥誰を犠牲にしても守りたいモンがアンタにもあるやろ?誰を殺してでも守りたいモンがなぁっ!」
そう叫びながら羅喉は沙貴に向かって攻撃を仕掛けるが――ツカワレが彼女を守る。
「私が白の動物使いだから戦うんじゃない‥白も黒も関係ない!あんな悲劇はもう見たくないの!」
統括府壊滅の時を思い出しているのか、少し下を俯き、そして次の瞬間に九耀を強く睨む。
「貴方を止めてみせる!」
その時、沙貴はツカワレとの絆が最高潮になり超必殺技を羅喉に向けて放った。そしてその攻撃に合わせるように翡焔も九曜に攻撃を仕掛けた。
「炯都‥お前は分かっているんやろ?このままじゃ自分が壊―――」
「面倒やなぁ‥」
九耀が炯都を連れ戻そうとするが、肝心の彼女は本気で面倒なのか返す反応は薄い。
「‥‥今日は帰る、けど‥諦めへんで。羅喉を失い‥残った最後の家族やからな」
そう呟くと九耀は痛む体を押さえて人形使い本拠地へと戻っていった。
「‥な――ん‥‥?」
一方、雪牙と交戦中の三人は目の前の出来事にただ驚くばかりだった。
ゆくる・月詠の二人が放った能力が雪牙によってかき消されたのだ。しかもただ消されただけではない。雪牙によって消された能力が使えなくなっているのだ。
雪牙、彼は今回命をかけてこの場所へと赴いてきた。彼が使用している吹雪と能力消去、この能力は今までも使う事が出来た。
しかし――‥それをすれば自分の命が危ないと感じていた為、使う事はなかったのだ。
「強いんですね、今まで使わなかったのが不思議なくらいです」
氷煉は頬を伝う嫌な汗を感じながら小さく呟く。
「無駄な話をしている暇はないのです」
氷弾を含む猛吹雪で三人を襲い、剣状に変化させた絶対零度の吹雪を叩きつける。
「其処を退きなさい。わたしが用があるのは――イザナギたちのみです」
息を切らせながら呟く雪牙に氷煉は妙な違和感を覚える。こんなにも絶対的な能力を持っているのに、何故か焦っているのは雪牙のほうなのだ。
まるで自分に時間がないかのように――‥。
「まさか――‥」
氷煉の中で一つの仮説が生み出され、それを証明する為に氷煉はゆくる達の力を借りて雪牙に攻撃を仕掛けた。
「やっぱり――――‥」
先ほどより雪牙の力は衰えている、強大すぎる力に自身の体が追いついていないのだ。
「まだです、まだやられるワケにはいきません――わたしの目的の為に!」
ごぉっと吹雪をゆくる達に向けて放つ。
「‥手に‥負えそうにも‥ないですね‥隠れておいた方が‥いいかも‥しれません‥」
メロンパンを食べながらゆくるが呟くと「‥強すぎます‥」と月詠も呟き、二人は一緒に何処かへと行ってしまった。
「あの二人っ‥‥」
「わたしが阿修羅ととって変わるつもりはが――こんな所で計画が――」
そう呟きながら彼の体は段々と塵になっている。恐らく力が尽きかけているのだろう。
「神は――二人といらない――」
その場に崩れ落ちながら雪牙が自嘲気味に呟く。
「‥わたしに出来る事はすべてやった‥それに勝ったのだから‥行きなさい‥阿修羅の元に」
それだけ言い残すと雪牙の体は完全に塵となって風に溶けていった――‥。
「おい、大丈夫か?激戦のだったみたいだな?しかし‥そろそろこちらから仕掛けないとヤバくないか?一気に来られると大変だぞ?」
全てが終わり、現れたのは翠嵐だった。彼の言うことは最もだ。このまま後手に回っていたら取り返しのない事になるのも遠くない未来だろう。
「まぁ‥お前等が戦っている間に人形使いのアジト、見つけておいたがな」
翠嵐は一枚の紙を皆に見せる。それには確かに人形使いのアジトが書かれていた。
「よく分かったね」
「‥‥‥‥‥‥まぁな」
口重そうに答える翠嵐を見て、あまり触れて欲しくないということが伺えた。
「とりあえず‥人形使いを倒して、終わらせよう」
誰かが言った言葉に皆は頷くばかりだった。
「何故、黙ってた?」
騒動が治まり、与えられた部屋で翡焔は静かに、そして低く呟く。
炯都から告げられた事実、それは元々一つの体で生きていたゆえか、彼女たちは長く離れて暮らす事は出来ないのだと言うこと。
「多分、永い間離れていたら‥壊れてしまうんやろうな」
「つまり‥今離れているどちらかの体に強制的に統合するということなのか――‥?」
炯都は何も答えない。
炯都と九耀、生き残るのはどちらか――‥。
黒と白、人形使いの未来は――?
そして、氷煉はイザナギの能力を取り戻す方法を見つけるため、白の統括府跡地へと来ていた。
彼女が持って帰る答えが、彼らにとって吉と出るか、凶となるか‥。
END