にゃんタッチアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 5.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/17〜09/19

●本文

「私は猫が嫌いなのよ!こんな部屋早く出たいわあああああっ!」


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猫部屋、此処にあるスイッチを押せば何故か猫が現れる。

トイレの水を流すと同時に猫が流れてくる。

目の前の猫を見殺しにするわけにもいかず、汚い水の中に手を突っ込んで猫を助ける。

言っておくが、私は猫が大嫌いだ。

にゃーにゃーぎゃおぎゃおー五月蝿いったらありゃしない。

しかし此処で出て行けば交通も不便になるし、何よりお金が勿体ない。

「‥大学まで十秒っていうのはかなり魅力的なのよね、猫以外は」

こんな私の悩み、どうすれば解決できるのかしら?

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●募集事項
◎映画「にゃんタッチ」では出演者の皆様を募集しています。
◎この話に必要な必須配役は『猫部屋で暮らす少女』のみです。
◎他の配役は皆様で決めていただく形になります。
※何か質問がありましたらユリアナに聞いてくださいませ。

●今回の参加者

 fa0115 縞りす(12歳・♀・リス)
 fa0470 橘・月兎(32歳・♂・狼)
 fa0640 湯ノ花 ゆくる(14歳・♀・蝙蝠)
 fa1463 姫乃 唯(15歳・♀・小鳥)
 fa2640 角倉・雨神名(15歳・♀・一角獣)
 fa2993 冬織(22歳・♀・狼)
 fa3605 ルージュ・シャトン(12歳・♀・猫)
 fa4002 西村 哲也(25歳・♂・ハムスター)

●リプレイ本文

「いやあああああっ!」
 朝、必ず真央(冬織(fa2993))の叫び声から一日は始まる‥。真央の住む部屋はスイッチを押すと同時に猫が出現するという世にも不思議な『猫部屋』という場所だった。猫好きなら特に問題もない(結構ある)かもしれないが、生憎真央は猫が大嫌いだった。煩いし餌代も馬鹿にならない、だが簡単に捨てるという事も彼女の性格上出来なかった。
「ど、どうしたんですか?」
 少し開いたドアから部屋を恐る恐る覗いてくるのは縞りす(縞りす(fa0115))だった。彼女は近所に住んでいる猫好きの女子高生で、アパートの近くにいた野良猫に餌をあげている時、真央の悲鳴が聞こえてきて、驚いて部屋の所までやってきたのだ。
「か、可愛い‥」
 部屋の中には至る所に猫・猫・猫・猫だらけ。だが縞りすは猫好きなので特に問題はない、むしろ真央を羨ましく感じるほどだった。
「‥あ、あの、何か手伝いましょうか?」
 外から見ていて真央が猫の世話に手馴れていないのだとすると縞りすは手伝いを申し出る。文字通り猫の手も借りたいほどだった真央は「お願い!」と手伝いをお願いする事にした。
 その時‥ピンポーンとインターホンを鳴らして「遊びに来たよ〜!」と親戚の奈々(姫乃 唯(fa1463))がやってきた。
 もちろん、インターホンによって猫が一匹追加される。
「いやああああっ!」
 真央の叫びを聞きながら奈々が「本当に増えるんだね」と楽しそうに呟きながら眺めていた。
「ニャーン☆!」
 猫出現と少し遅れて猫耳メイド服少女・にゃんこ(湯ノ花 ゆくる(fa0640))が煙と共に現れた。何故か手に『100にゃんタッチ記念のにゃんこです』というプラカードを持っていて、流石に真央もそれには大困惑の目でにゃんこを見ている。
「何かあったんですかー?」
 そこに現れたのは縞りすの後輩・紅葉(ルージュ・シャトン(fa3605))だった。彼女もまた真央の悲鳴を聞いてやってきた少女だった。
「可愛い〜☆メイドさんもいるんですか?」
 猫を抱きしめながらにゃんこを物珍しげに紅葉は見ていた。


「今日も猫部屋は賑やかなようですね‥」
 階段の所で箒を持ってしみじみ呟くのはアパート管理人の西岡(橘・月兎(fa0470))だった。彼は猫部屋について出た苦情などを真央に知られないように影で対処していた。それと同時に猫部屋から逃げ出してきた猫の世話なども。
「今日も真央ちゃんは騒がしいんだな」
 苦笑しながら猫缶を持って現れた青年は真央の大学の先輩・佐久間(西村 哲也(fa4002))だった。彼は卒論とゼミの単位だけを残しているだけなので自由時間が結構多いのだ。なので、真央のところに差し入れにきたりする事が多い。
「佐久間先輩〜〜!助けてください〜〜!」
 窓から叫ぶ真央に「今から行くよ」と苦笑して階段を上っていく。
「これはまた‥結構増えてるね‥てか折角来たんだし俺も押していい?」
 佐久間は真央の返事を待たずに電気のスイッチをポチッと押そうとするが、真央がそれだけは死守した。
「‥‥って言うか、どちらさん?」
 佐久間の指差した方を見るとにゃんこの姿。
「あのね、百回記念に出てきたにゃんこなんだって」
 縞りすが真央の代わりに答えると「これが流行のメイドか!」と佐久間は少しときめいているらしい。
 それを外で聞いていたのは探偵(の真似事が好きな)文子(角倉・雨神名(fa2640))だった。
「お姉さん、今日も猫部屋の調査に来たよ〜!」
 ばん、とドアを開けながら勝手に部屋の中に入る文子に真央はまた頭を悩ませた。
「何でこの狭い部屋にこんな人が沢山集まるのよ〜〜‥」
 もはや猫と人ですし詰め状態な為、歩く場所もままならないほどだった。
「キミはどこから来たのかな?」
 文子がにゃんこに問いかけるが「にゃ?」と人間の言葉を話そうとしない――いや、話せないのだろう。
「うむむ、言葉が通じないんだ‥逆に面白い☆」
 じゃあ、私が名前をつけてあげる!と叫ぶ文子に「もうどうにでもして‥」と真央は疲れた顔で答えた。
「名づけて妖怪猫娘?ううん、そんな感じじゃないなぁ‥」
 文子が悩んでいる間「猫の貰い手を俺も一緒に探すよ」と佐久間が真央に申し出る。
「あれ?ねぇ、猫が出なくなったよ?」
 紅葉が電気のスイッチを連打しながら真央に問いかける。いつもなら押した分だけ猫が出現するのだが何度スイッチを押しても猫は出てこない。
「もしかして、彼女が出たから猫出現が収まったんじゃないかな?」
 佐久間の言葉に「そ、そうなのかしら」と真央の中で僅かな期待が現れる。
「でも何で猫が出てき始めたんですかね〜」
 そう、このアパート、しかもこの部屋限定の猫スイッチ。原因不明で管理人に聞いても言葉を濁すだけで真央が欲しい答えを聞かせてくれる事はなかった。
「でも、猫が出なくなったなら良かったんじゃないかな」
 私は寂しいけど、と奈々が猫を抱きしめながら呟く。
「ん〜〜、このふかふか感がたまらない!」
 幸せそうに呟く奈々を見て「猫嫌いの私にアンタの気持ちは分からないわね、一生」とため息混じりに答えた。
「さて、私達もそろそろ学校に行かなくちゃ遅刻だね」
 紅葉と縞りすがそう言って立ち上がった瞬間―――――。

 ポンっ!

 ニャー

「‥‥‥にゃー?」
 真央が声の方へ恐る恐る視線を向けると‥一匹の白い猫が此方を切なげな目で見ている。
「少し落ち着いたって喜んでいたのに‥またああああああっ!?」
 スイッチを押せば猫が現れるのは収まったが、誰かが立ち上がれば猫が現れる(立っち)という新フラグが発生してしまったようだ。
「‥‥さ、さて!俺もそろそろ!」
「私も!」
「私も帰らなくちゃ!」
 佐久間と奈々、文子も立ち上がろうとするが、真央がそれを必死に止める。二人が立ち上がればさらに二匹の猫が現れるのは分かりきっているからである。
「俺、卒論を書かないといけないから!手を放すんだ!」
 立派な説明なのだが、佐久間の顔は「悪戯したろ」という顔にしか見えない。
「ああああああぁぁぁ‥」
 佐久間、奈々、文子が立ち上がると三匹の猫が現れる。
「あ、悪い、落とした」
 佐久間は財布を落とし、わざわざ座って再び立ち上がる(もちろん猫が増える)
 なぜ座る必要があるのかという真央の恨めしげな目に「頑張れよ!貰い手探しは手伝ってやるから」と笑いながら部屋を出て行った。


「結局残ったのはこの子だけ‥」
 真央が視線を向けた先にはにっこりと笑うにゃんこの姿。
 このあと、にゃんことの暮らしが始まった真央だったが、ゴキブリ退治や、真央を玄関まで送り迎えしたりなど結構な世話焼きであった。
「いいわね、これからこの部屋で立ち上がるのは厳禁よ!匍匐前進で進みなさい!」
 そう言いながら真央は匍匐前進で玄関まで向かう。
 しかし、この時点の彼女は気づいていない。料理したり、トイレに行くときは必ず立ち上がらなくちゃいけないということを‥。


「おや、猫部屋からやってきたんですか?」
 管理人・西岡は足元までやってきた猫に「煮干し食べますか?」と問いかけ、猫に煮干しを与える。
「しかし‥彼女はあんなに毎日叫んでよく疲れませんねぇ‥かなりの肺活量の持ち主なんでしょう、きっと」
 青空の下、一番幸せなのは縁側で緑茶を啜る管理人・西岡だけなのかもしれない。
「結構あなたもイイ性格をしてるのね、助けないなんて‥」
 話しかけてくる女性(ユリアナ・マクレイン(fz1039))に「面白いじゃないですか」と爽やか笑顔で答えていた。



「私のハッピーライフはいつになったらやってくるのかしらあああっ!」
 結局、真央の悩みは解決する事なく、それどころか悪化していくだけなのだった‥。



END