ソウル・ブレイカーアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
11/07〜11/10
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●本文
ソウル・ブレイカー〜アンダーシティ・ポリス3〜
◎この話はアンダーシティ・ポリスの続編になります。
ですが、前作との関連は全くないため、どなたでもご参加いただけます。
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太陽のかけらが隕石となりて、地球に降り注いだ現象―‥熱砂。
生きる事に絶望した人間達は地下に己たちの世界を切り開いた。
その地下世界を守る警察‥アンダーシティ・ポリス
彼らは今日も地下世界の平和を守るために活動を続ける。
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募集事項
●例によって、アクション映画になります。出演者(地下世界警察に所属する方)は『バムス』と呼ばれる特殊能力を持っています。
●出演者全員が『バムス』を持っている必要はありません。
●出演者全員が『地下世界警察』に所属する必要はありません。
●今回の主な登場人物はポリスに所属する人間、ポリスの上層部、ブレイカー、スラムの住人などでしょうか。ブレイカーに関しては一人限定とさせていただきます。
●上記以外にも適役がありましたら、お書きください。
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話の内容
数日前から地下世界警察に所属する人間のみが殺害されていくという事件が置き始めた。遺体に外傷はなく、心臓発作によく似た症状で死んでいるのだ。
「忙しい中に集まってくれてご苦労。今回の任務は『ソウル・ブレイカー』を見つけ、直ちに抹殺してくれというものだ」
その上司が語る『ソウル・ブレイカー』については以下の通りだ。
●ソウル・ブレイカーの手に触れると、魂を壊され死に至る。
●この情報は死ぬ間際に通信機で本部へ知らせた勇敢な警官からの情報。通信後、すぐに死んでいる。
●『ソウル・ブレイカー』は『魂壊』と呼ばれるバムスの持ち主で、滅多に現れない『異端者』でもあった。
●『異端者』とは普通の人間が持つバムスと異なった『消去系』のバムスの持ち主のこと。
●『ソウル・ブレイカー』によって殉職した警官は20人ほど。
「貴様らはポリスの問題児だが、非常に優秀なポリスでもあることは私が良く知っている。今回の任務で死ぬことは許さん。必ず生きて戻れ」
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●リプレイ本文
地下世界警察、地下書庫室‥ここに一人の捜査官が必死に書類を読み漁っていた。彼の名前はマイト(フィミア・イームズ(fa0036))、最近ポリスを狙った連続殺人犯ソウル・ブレイカー(咲夜(fa2997))によって友人を殺されていた。それ以来、書庫で関連の資料を読み漁っているのだ。
「マイトさん、この前の事件の資料は‥?」
そう言って書庫室にやってきたのは情報収集班のゼン(忍(fa4769))だった。マイトは「3列目の14番目の棚にあったと思います」と答える。するとゼンは礼を言いながら言われた場所を探る。
「ブレイカーが現れたんですか?」
ゼンが調べている棚、それはソウル・ブレイカーの資料を纏めた棚だった。
「いえ、今までの事件を見るとスラムでの事件が多いみたいだから調査に行こうかなと思って」
「何か分かったら教えてくださいね」
マイトがそう言うと「分かりました」と答えてゼンは書庫室から出て行った。
「さて、そうは言ったものの‥」
メモを見ながらゼンは呟く。スラム中心で事件が起きている、それは間違いない。しかしスラムの広さは尋常ではない。全てを探していても犯人は見つからないだろう。
「どうしたんだ?」
ため息をつくゼンの前に現れたのは捜査官の長老役のレンズ(リーベ・レンジ(fa2825))が目の前に立っていた。
「あ、レンズさん。ブレイカーについて調べようと思ってるんだけど‥広すぎて」
ふむ、とレンズは呟き思案する。そしてスラムの地図を広げバムスを開放する。レンズの能力は『シュレンディガーの猫』といい幸運を招き寄せるものだ。レンズは地図を壁に貼り、ダーツを投げた。
「この辺に何かある可能性が高い。まぁ‥当たるも八卦当たらぬも八卦という事だ」
闇雲に探すよりはマシだろう、レンズはそう付け加える。ゼンは「行ってきます」と言って署から出て行った。
「官憲が何の用?取り締まりだったら帰りな」
そう吐き捨てるのはスラムのビッグマム(青田ぱとす(fa0182))、スラムの人間は極端にポリスを嫌う。分かってはいたが目の前でこうも嫌悪されるのも気分がいいものではなかった。
「マム‥誰?」
ゼンがビッグマムと話しているときに部屋に入ってきたのはマリー(マリエッテ・ジーノ(fa3341))というボロ布のようなマントを羽織った少女だった。
「あぁ‥官憲さ。それで何の用だい?」
「最近ポリスが狙われている事件は知ってるよね?ソウル・ブレイカーって呼ばれてるんだけど、それの調査で‥」
調査のメモを見せながら言う。ビッグマムはそれを見てフンと鼻を鳴らした。
「触ると死ぬ?そんなおっかない奴がいたら、あっという間に叩き出されてるよ!ここをどこだと思ってんだい?」
凄い剣幕で怒るビッグマムに違和感を覚えたものの、これ以上は無駄だと思ったのかスラムを後にした。ゼンが出て行った後、ビッグマムはため息を吐き「そう‥いつも叩かれていたよね。あの子は」と小さく呟いた。マリーも悲しそうに表情を歪め、下を俯いてしまう。
その頃、レンズはパソコンと向き合い何か手掛りになるようなデータはないものかと探していた。すると引っ張り出したデータの中から『スラム住人誤認射殺事件』と記録されたページが出てきた。そして信じられない事実がデータの中に紛れ込んでいたのだ。
「戻りました」
肩を落としながら署に帰還してきたのはゼン、帰ってきたばかりのゼンを呼び、開いたデータを見せた。
「これはグラント捜査官(マサイアス・アドゥーベ(fa3957))の名前?」
「これはポリス連続殺人事件が起き始める少し前の事件だ、名探偵ならずとも点と点の間に線を結べた訳だ」
「レンズさん、囮捜査を許してもらえるなら買って出ようか?」
ゼンの言葉にレンズは「ふむ」と思案する。囮捜査をするなら、まさにゼンはうってつけの人物だ。彼はそういう能力を持っているのだから。
「無茶はしない‥という条件付つきでなら許可する。とりあえずはスラムに行け、そのビッグマムという人物は何か知っている可能性が高い」
りょ〜かい、そう言ってゼンはレンズが歩き出した方とは逆に走り出した。
―コンコン‥
「誰だ?」
「レンズだ、グラント捜査官にお尋ねしたい事があって参った」
レンズが扉越しに言うと「入っていいぞ」という声が聞こえ、部屋の中へと足を踏み入れた。
「珍しいな、ここに来るとは」
「これを見ろ、ポリス連続殺人事件の発端となった事件だ」
レンズがプリントアウトした物を見せながら低い声で言う。スラム誤認射殺事件、これはポリスによって隠蔽され、表に出なかった事件だ。
そして、これを隠蔽したのは―‥。
「わしだ‥あの時、射殺したのはわしが可愛がっていた部下だった‥。射殺されたスラムの青年には悪いとは思ったが、わしは部下を庇う為に事件を隠蔽するように指示した」
「今、ゼンが囮になってソウル・ブレイカーを引きずり出そうとしている」
「もし、ソウル・ブレイカーがあの時の青年の知り合いならば‥わしは詫びねばならぬ。レンズ、案内してもらおう」
「きゃあああっ!」
スラムに入って女性の悲鳴が聞こえ、ゼンはそちらへ向かって走ると一人の少女が地面に座り込んでいた。
「どうしたんだ?」
「あ、貴方‥ポリス‥?」
マントを頭から被っているため、表情は伺えなかったが声は震えている。誰かに襲われたか何かされたのだろう、声が震えている。
「あ?あぁ‥もう大丈―‥」
ザクっと少女がマントを破り、ゼンの頬をナイフが掠めた。
「まさか‥」
嫌な汗が頬を伝う。少女はゼンにポリスか?と問いかけてきた、それにポリスだと答えた途端に襲い掛かってきた。
「ソウル・ブレイカー‥なのか?」
「来ていない?」
レンズとグラントがビッグマムの場所まで行くと、既に到着しているはずのゼンの姿が見えない。問いかけると「そんな奴は来てないよ!」とビッグマムの怒声が響く。
「おぬし、何か知っているのか?」
グラントが隅で震えるマリーに気がつき、近づく。
「ソウル・ブレイカーについて何か知っているなら聞かせてくれないか?」
「何度も言わせるな!ここにそんな子はいやしないよ!」
「‥‥‥そんな、子?」
レンズがビッグマムの言葉に違和感を感じてジロリと見る。ビッグマムはハッとして口を慌てて塞ぐ。
「マム‥もう止めよう‥」
沈黙が続く部屋の中、マリーがポツリと呟く。
「ソウル・ブレイカーは‥私の姉、アリア‥お願い、お姉ちゃんを助けて‥」
その場に崩れ落ち、マリーは泣きじゃくりながら二人に助けを求めた。その言葉にビッグマムがフゥとため息をつき、言葉を紡ぎだし始めた。
「ここは秩序がぶっ壊れてるスラムだ。だからこそ人の心を持って他人の事を気にしなきゃいけない。そうやってあたし達は生きてきたんだ。そんなスラムの人間が警察を敵に回すなんて、とてもぞっとしない。あの子を‥アリアを楽にしてやっておくれ」
「何で、キミみたいな女の子が‥っ」
混乱する頭で、必死にアリアの攻撃を避けながらゼンは叫んだ。ソウル・ブレイカーの攻撃は手に触れると死に至る、つまり一回でも触れられたらそこで終わりという事になる。
「あっ!」
考え事をしているせいか上手く攻撃をかわせず、殺った、アリアがそう思ったときゼンが影の中へと消えた。そしてアリアの影から出てきて背後に立った。この影を操る能力こそがレンズが囮捜査を任せても大丈夫だと思った根拠だ。
「ゼン!」
スラムの方からレンズ、グラント、そしてマリーがやってきた。恐らくゼンが通った道とは別の裏道から二人はスラムへと向かったのだろう。
「お姉ちゃん!もう止めてっ」
「ポリス‥マリーに何をしてるの、私から彼だけではなく‥マリーさえ奪うというの!?」
そう叫びながらアリアがグラント達に向かって走っていく。
「この力はね!彼が私に残してくれたもの!復讐の為と、差別されるスラムの人達を磨耗ためにね!」
「お姉ちゃん!」
グラントにアリアの手が直撃する寸での所でレンズが能力を開放し、僅かな幸運をもたらす。アリアは足を滑らせ、グラントの体を僅かに逸らしてしまった。
「何で私の邪魔をするの!大体あんた達が私達の為に何もしてくれないからじゃない!挙句に彼まで奪って!彼を私に返して!」
その時、グラントが「全ての原因はわしだ」と言ってアリアの前に立ちはだかった。アリアはその言葉にナイフを投げるが、グラントの能力ハードボディの前には無効化だった。
「お主の友を殺した警官は‥自殺した、その罪の重さに耐え切れずに」
そして銃を構え、アリアに向ける。
「同情はする。しかし―‥ソウル・ブレイカーは存在してはならんのだ」
全てが終わった後、姉を抱きかかえるマリーの気が狂ったような泣き叫ぶ声が響いた。
「‥さっさと帰りな。アリアのした事は確かに許されるものではない。だけど‥あたしらはあんた達を許せない」
マリーに近づき、下を俯く。
「マム、お姉ちゃんが‥お姉ちゃんが‥」
「マリー‥」
三人の捜査官が言う言葉が見つからずに立っていると「お願い。どこか行って」とマリーが弱々しい声で呟いた。
「とっとと行きな!!」
凶悪な殺人鬼、ソウル・ブレイカー。
それは愛しい男を殺されて、復讐という闇に迷い込んだ哀れな少女だった。
今頃はきっと‥愛した男の元で笑っているのだろう。
そう、願わずにはいられなかった‥‥。
END