OFFでGO×4アジア・オセアニア

種類 ショートEX
担当 水貴透子
芸能 4Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 10.3万円
参加人数 8人
サポート 1人
期間 10/08〜10/10

●本文

「今回でOFF取材も最終回、最後の出演者は誰になるのか?」

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―出演者各位―

このたびは「OFFでGO×4」に出演してくださって、ありがとうございます。

今回で「OFFでGO」は最終回になります。

今まで沢山の芸能人の方に参加していただいていましたが、それも今回で終わりになってしまいます。

最後に芸能人の休日を視聴者の皆様にお送りしたいと考えています。

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●募集事項
◎「OFFでGO×4」では出演者の皆様を募集しています。
◎番組の内容は『芸能人の休みの過ごし方』です。
◎今回もユリアナが同行させていただきます。
◎それぞれの休日の過ごし方ですので、無理に誰かと行動しなければならないという事はありません。
(ユリアナがついていくのは必須です)
◎何か質問があれば、ユリアナに聞いてください。
(その際は別スレを立てていただけると有難いです)

●今回の参加者

 fa0597 仁和 環(27歳・♂・蝙蝠)
 fa0642 楊・玲花(19歳・♀・猫)
 fa1339 亜真音ひろみ(24歳・♀・狼)
 fa2640 角倉・雨神名(15歳・♀・一角獣)
 fa3728 セシル・ファーレ(15歳・♀・猫)
 fa3802 タブラ・ラサ(9歳・♂・狐)
 fa4559 (24歳・♂・豹)
 fa4852 堕姫 ルキ(16歳・♀・鴉)

●リプレイ本文

●三味線奏者は休日も稽古&食い意地大王登場

「‥‥此処でいいのよ、ね?」
 ユリアナ・マクレイン(fz1039)は前もって渡されていた地図を見ながら呟く。場所は浅草、観音裏の某家、此処が仁和 環(fa0597)の三味線のお師匠宅らしい。
 しかし、ユリアナを出迎えたのは4歳くらいの女の子だった。
「え、えぇと‥‥おはよう?」
 ユリアナが言うと女の子はニコッと笑ってユリアナの腕を引っ張り、家の中へと招いた。後から聞いた話だが、女の子は環からユリアナの事を聞いていたらしい。

「悪いな、待たせてしまった」
 待つ事、一時間ほどで環が稽古を終えて客室の方へ姿を見せた。
「いいえ、別に構わないわ――それより‥‥お師匠様って容赦ないのねぇ‥‥」
 ユリアナが稽古を少し見学させてもらったが、かなり厳しい人に見えた。
「でも仁和さんほどの人がまだ稽古しているなんて‥‥もう稽古とか必要ないほどに上手だと思うんだけど‥‥」
 すると、環は苦笑しながら答えた。
「俺は三味線奏者とは言え、手がける音楽はロックからポップス、クラシックと幅広い。でも基本は邦楽から始まった訳なので、其処は怠らず‥‥とね」
 こうやって時々初心に戻って、お師匠に絞られる――と呟く。
「どんなに有名になろうが、お師匠は永遠に俺のお師匠だから。バンド小僧にギターより三味線を選ばせた人だからね」
 環の言葉に「えっ!」とユリアナは少し大きめの声で驚きを表す。
「仁、仁和さんってバンド小僧だったの?」
「そう、彼女の三味線に惚れて上京し、弟子にしてくれと通いつめたんだ。今となっては良い思い出かな。今は引退してるけど、当時は現役の浅草芸者で弟子を取ってた訳じゃないから、俺の粘り勝ち」
 笑いながら言う環にユリアナは「本当にお師匠さんが大好きなのね」と呟く。
「状況して色々な出会いもあったな――って噂をすれば‥‥」
 環は視線を移し、入ってきた人物・椿にユリアナは少し驚く。
「ちなみに此処は彼の叔父さんの家で、さっきの女の子は彼の姪っ子なんだ、ちなみに出会った時から彼の食欲は変わらん、増す一方だ」
 環の言葉に「ヒドい!」と嘆く椿にユリアナはクスッと笑みを漏らす。
「折角だし、一緒に浅草散策でもどうですか?」
「あら、いいわね、是非ご一緒させて頂きたいわ」
 三人は浅草の街へと繰り出していったのだ。
「食べ物関係は彼にお任せ、観音裏は見番があって、今でも芸者さんの姿が‥‥って俺も普段着和装なんで違和感ないな」
 それから人力車で回りながら三味線や江戸小物を扱っている店に入ったりして時間を過ごした。
「ココの豆寒美味しいヨ♪こっちは揚げ餅――‥」
「‥食べ物ばかりね‥‥でも貴方らしいわね」
 帰る際、環はユリアナに扇子を見繕ってプレゼントしてくれた。
「ありがとう、凄く嬉しいわ」
 こうして彼の取材を終え、ユリアナは次の取材へと向かっていったのだ。


●尻尾さんは親父だった。

 二人目の取材者は、Mr尻尾こと笙(fa4559)だった。
「こんにちは」
 新宿駅南口で待ち合わせた二人は無事に合流し、簡単な挨拶を交わす。
「そういえば行き先は聞いてないけど‥‥何処に行くの?」
 ユリアナが問いかけると、とあるビルを指差し「ココ」と短く答える。
「看板の中の何処かだから当ててみたら?」
 笙の意地悪な言葉にユリアナは「‥‥笙さんって意地悪しっぽだったのね」と小さな声で呟く。
「‥‥何か聞こえたが、何か言ったか?例えば尻尾とか尻尾とか尻尾とか」
「いっ、言ってませんっ」
 早く向かいましょう、言いながら二人はビルの中へと入っていったのだった。辿り着いた先は『マッサージ』だった。
(「マッサージ‥‥へぇ、意外と親父くさい一面もあるのね」)
「‥‥親父くさいとか思ったら正直に言うように、自首する方が罪は軽いぞ?」
「い、いえ、全然そんな事思ってないわ!むしろ最近の若者のブームなのよね、マッサージ!」
 ユリアナが言うと「そうだろう」とうんうんと首を縦に振っている。
「此処はマッサージと言っても、マッサージと整体の両方の要素があるんだ。足つぼマッサージもあるからスーツのユリアナさんも気軽に出来る、アロマオイルとか使うからリラックスできるし、肌にもいいから試してみれば?」
 笙の言葉に「そうね」とユリアナも足つぼマッサージを試してみる事にした。
 しかし、それを直に後悔する事になった――。
「いぃぃぃったあああああっ!痛い痛い!やめて!痛いってば!」
 奇声を上げ、暴れるユリアナを笙はニヤリと見ていた。
「忙しい芸能人、体の疲労も相当なモンだ、しかも俺は三十路越えで歌って踊って演奏してだしな‥‥」
 32歳の俺にはちとキツい、そうため息混じりに呟く笙は確りと親父臭かった。
「‥‥何か妙な事を考えていそうだが、オススメはカラーストーン足浴かな」
「カラーストーン足浴?」
「自分に合った石を選んでくれて、体をゆっくりと温めて敷き詰めたストーンで足浴するんだ。石の力と色彩の力で、浄化・リフレッシュ‥‥と中々面白い」
 笙の言葉を聞いて「へぇ、そういう笙さんはどんな石だったの?」と問いかけた。
「俺は案の定、蒼系の石が多かった」
 それから二人はカラーストーン足浴を一時間ほどしてもらい、心も体もスッキリになった。ちなみにユリアナは赤系の石が多かったとか。
「――で、心身ともにスッキリしたら‥‥やっぱり一杯いきたいわけで」
「あら、いいわね。この辺でお洒落なバーが‥‥」
 ユリアナが言うと「ちょっと待った!」と笙が言葉を遮る。
「ここでお洒落なワインバーとか期待しているとがっかりするぞ」
 ユリアナは「?」と頭の上にハテナを浮かべながら連れられた場所は‥‥。
「‥‥居酒屋?」
「日本の心はやはり日本酒、俺は居酒屋派なんだよな」
 意外ね、てっきり笙は夜景が綺麗な場所で「ふっ」とか言ってそうだと勝手に認識していた。
「好き嫌いは殆どないが、特に日本酒と和食は好きかな――‥‥はい、親父くさいと思ったら‥‥」
「な、何も言ってないわよっ!」
 それから二人は居酒屋で過ごした後に別れ、取材を終えたのだった。


●メイドINジャパン! 

 三人目の取材者は『堕天使アイドル』として最近人気急上昇中の堕姫 ルキ(fa4852)である。
「今回はどうぞ宜しくお願いしまーっす♪」
 髪をポニーテールにして、ジーンズ+タンクトップ+ジャケットというラフな格好で彼女はやってきた。
「オフの取材ってコトだけどー‥‥折角だから色々楽しんじゃおうかなっと――とゆーワケで今日はユリアナさんと色々遊び倒そうと思いまっす♪」
「えぇ、此方こそどうぞ宜しくね」
 くるくると表情の変わるルキを見て、ユリアナも和むように笑う。
「それで今日は何処に行く予定なのかしら?」
「んー‥‥ゲーセン!それとコスプレショップに行きたいかなー」
 ルキは言いながら近くにあったゲーセンへと入り、格闘ゲームの所まで歩いていく。ゲーム台に『最新機種!』と書かれていた。
「どのキャラにしようかなー、あ、この子かわいーっ」
 ルキが選んだのは見た目からして素早そうな中国系の女の子だった。
「ね、ねぇ、向こうで他の人がしてるけど乱入っていいの?」
 ゲームに関して詳しくないユリアナがルキに問いかけると「いいのいいの」と笑いながら答えた。
「上手い人は人間同士で対戦するのを楽しみにしてるモンだから、勝手に乱入しても大丈夫だよー」
「‥‥人間同士の対戦って‥‥ストリートファイト!?」
 ユリアナが目を瞬かせながら呟くと、ルキはガクッと肩を落とす。
「違うよー、コンピュータ相手との対戦じゃなくて、同じ人間が操ってるバトルを楽しみたいって意味!何で格闘ゲームでストリートファイトにまで行き着くかなー」
 ルキが苦笑しながら呟くと「ご、ごめんなさいね」とユリアナが申し訳なさそうに言葉を返した。
 それからルキが格闘ゲームをしているのを見ると、彼女が操っているキャラは相手を反撃を許す間もなく倒していく。
「やった♪」
 ルキが勝利の余韻に浸っていると、次のチャレンジャーが乱入してくる。しかし、ルキの格闘ゲームのセンスは素晴らしいモノで、それからも三人ほどを倒し、四人目にやってきたチャレンジャーにルキが操るキャラは倒されてしまった。
「あ〜あ‥‥最後ちょっとミスったなぁ‥‥」
 まぁ、いいや、ルキは呟き「プリクラでも撮ろうよ♪」と提案し、プリクラ機のところまで歩いていく。
「あたし達付き合ってます♪みたいなの撮ろう♪」
 ルキの言葉に「ふふ、記念だしいいわね」とユリアナが呟き、二人はラブラブのプリクラを撮ったのだった。
「さぁーて、プリクラも撮ったコトだし、次はコスプレショップにいってみよ〜♪」
 最近、何かと仕事で色々な服を着せられているユリアナは少しだけ嫌な予感が過ぎった。
「家ではよくコスプレしてるの?」
「うん、いつも家でコスプレしてるよー、だってこれとかこれとか‥‥可愛いじゃん!」
 コスプレショップの中を物色しながら呟く。
「これ可愛くない?」
 ルキが取り出したのは『ピンク色のワンピースっぽいメイド服』と『薄桃色のブレザーと臙脂色のスカートのセット』だった。ブレザーの方にはスカートと同じ色の大きな帽子がついている、いわゆる学校の制服っぽいものだった。
「折角だからユリアナさんもどっちか着てみなよー♪絶対可愛いから!」
 確かに衣装は可愛い、凄く可愛い、しかしそれがユリアナに似合うかは置いておこう。
「え、で、でも私にはきっと似合わないわよ?うん、きっと絶対似合わないわよ、堕姫さんの方が似合うと―――」
 ユリアナが言いながら言葉を止めた、何故ならルキが『着ないの?』的な目で見ているからだ。
(「‥‥‥‥覚悟を決めましょう、これも仕事だわ!」)
 最近、ユリアナが何故かギャグ方面に向かっているのはきっと気のせいだろう。
「‥‥分かったわ、こっちのメイドさんを着るから、堕姫さんは学校の制服を着てちょうだい」
 本音を言えば、ユリアナはあっちを着ると犯罪的なモノになりそうだと感じた。
(「24歳であの格好したら‥‥いくらなんでもね。堕姫さんみたいに可愛ければ問題ないんだけど」)
 それから二人はコスプレした姿を写真に撮って取材を終えたとさ。


●女優兼名店『太狼酒楼』の娘!
 四人目の取材者は楊・玲花(fa0642)だった、最初の待ち合わせ場所は彼女の住んでいるマンションだったのだが、出かける間際にメールが入って待ち合わせ場所を変更して欲しいとの事だった。
 待ち合わせ場所は横浜中華街の一画にある知る人ぞ知る中華料理の名店『太狼酒楼』だった。
「‥‥此処って確か凄く美味しいって聞いたわ‥‥」
 少し気後れしながらユリアナが店の中に入ると「ユリアナ様ですね」と一人の従業員が丁寧に頭を下げて、店の一画に案内される。
 そこで出されたお茶を一口飲むと「美味しい」とユリアナは小さく呟く。それから待つこと数十分、豪華なチャイナドレスを着た玲花が現れた。
「待ち合わせ場所を変更してしまってすみません」
 玲花が謝ると「別に構わないわ、でもどうしたの」と問いかけると玲花は苦笑しながら答えた。
「急に大口でお得意様からの宴会の予定が入って、急遽私も接待役に狩り出されてしまったものですから」
「‥‥何で楊さんが接待役に?」
 ユリアナが聞き返すと「知りませんでした? 此処は私の実家ですよ」とさらっと答えた。
「ええっ!?」
「ふふ、お出しした料理はどうでした? お口に合っていれば良いのですが‥」
「え、えぇ‥‥もちろん美味しく頂いたわ‥‥でも大変ね、接待役に狩り出されるなんて」
「女優であると同時に私は『太狼酒楼』の料理長・楊太狼の娘であることを誇りにしていますから、だから時間があれば手伝うのは当たり前の事だと思っています」
 尤も最近では手伝うことはなくなりましたけど、と芸能人として忙しいことを呟く。
「でもいつも休日は家の手伝いで終わっているの?」
 ユリアナが問いかける。確かに休みといえど実家の手伝いをしていては体が休まる暇もないのではないだろうか? とユリアナは考えたのだ。
「いえ、いつもこうして手伝っているわけではないんです。多分‥‥同じ年頃の人と変わらないと思いますよ」
 玲花はにっこりと微笑みながら言葉を続ける。
「ウィンドウショッピングをしたり、友達と美味しいモノを食べに行ったり、映画やお芝居を見に行ったり、きちんと羽根を伸ばしていますよ」
 それに、と玲花は照れくさそうに呟く。
「こうして実家に帰って、父さんと母さんに甘えるというのも私にとっては休養になりますから」
「そうなの、じゃあ今日はゆっくりご両親に甘えてね」
「はい、ユリアナさんも料理を食べて行ってくださいね、娘の私が言うのもなんですが本当に美味しいですから」
 その後、ユリアナは『太狼酒楼』の料理を十分楽しんだ後、取材を終えたのだった。


●国民的バンドヴォーカルの休日

「オフの取材か、弟や友人が出た番組だな」
 彼女、亜真音ひろみ(fa1339)がユリアナを出迎えながら呟く。
「その節は弟さんをからかわせていただきました」
 ふふ、とユリアナが言うとひろみもクッと笑う。
「それで亜真音さんの休日の過ごし方ってどんなものなのかしら?」
「あたしのオフの過ごし方は‥‥早朝は継いでいる道場で素振りの稽古を一時間半、普段でも欠かさないようにしてるんだけど、最近は忙しくてなかなか集中してできないからね」
「そういえば何の道場だったかしら」
 ユリアナが問いかけると「剣術と合気道の道場だ」とひろみが短く答える。
「これでも戦国時代から続いている由緒正しい?道場だからね、あたしの代で廃れさせるわけには行かないよ」
 それからの過ごし方を聞いてみると、かなりハードなものだった。午前中は普段の雑用をこなし、昼からは買い物と甘味めぐりをするのだとか。
「和菓子はお使い物として持っていく事もあるから趣味と実益も兼ねて、かな」
 そして、夕方からは道場で門下生に稽古をつけるのだという。
「中学生までは基礎や体力作りを中心に、高校生からは実践を交えたものかな、あたし自身も門下生に相手してもらって稽古する時がある」
「そうなの‥‥でも聞いている限り、結構厳しそうな感じがするけど、やっぱり辞めていく人とかもいるのかしら?」
 ユリアナが問いかけると「そうだな‥‥」と手を口元に置きながら呟く。
「中途半端な気持ちで入った子は辞めてくのもいるけど、真剣にやってくれている子たちの顔を見るとつい顔が綻ぶね」
 彼女いわく『負けていられない』『気持ちを忘れちゃいけない』という気持ちになるのだとか。
「稽古の後はスイカや甘い物を用意しておくこともあるんだ、疲れた後は甘いものが一番だからね」
 ユリアナもちょっと稽古を体験してみるかい? ひろみが問いかけ「えっ!?」とユリアナが驚きの言葉を叫んだ。
「袴は貸すし、優しく教えてあげるから」
 ひろみはクスクスと笑いながら驚くユリアナを見ている。
 それから、稽古を少し体験したユリアナいわく「確かに優しかったのかもしれないけど‥‥普段し慣れていない私にとっては優しくなかったわよぅ!」と涙目で呟いた。
「さて、私はそろそろお暇させていただくわ、夜は何をするつもりなのかしら?」
 ユリアナが問いかけると「旦那と食事とかかな」と顔を少し赤くしながら呟いた。
「本当は休日でもスタジオとかで歌や発声の練習をしていたいんだけど、世話になったライブハウスの親父さんから『けじめをつけて喉を休ませる時はしっかり休ませろ』って言われてるからね」
「そうね、確りと休まなくちゃ。それじゃ旦那さんとラブラブしてね♪」
 そう言ってユリアナは亜真音宅を離れたのだった。


●純情恋愛ストーリー

「こんにちは」
 お昼を少し過ぎた頃、タブラ・ラサ(fa3802)の家に取材にやってきたユリアナは同じく取材対象の角倉・雨神名(fa2640)も家に来ていた。
「ラサ君、今日一人になっちゃうそうで‥‥とっても仲のいいお友達なので夕ご飯のお手伝いに‥‥」
 呟きながら雨神名は顔を赤くしている。
(「はっはーん‥‥これはお姉さんが一肌脱ぐべきかしら!?」)
 ユリアナは心の中でニヤリと黒い笑みを浮かべた。
「どうぞ、あがって」
 タブラが少し緊張気味に二人を家の中へあげた。家は結構広く、しかも小奇麗に片付けられていて清潔感溢れる家だった。
「本が多いのね」
 タブラの部屋には本が多く、読書好きだというのが一目瞭然だった。
「オフはこうやって本を読んでいる事が多いかな、いろいろ勉強にもなるし」
 ちなみに彼の話を聞く限り、本専用の書庫があり、そこにはこの部屋以上の本が存在するらしい。
「その書庫に案内しますね」
 タブラはユリアナと雨神名の二人を連れて書庫に案内する。そこには文芸作品や舞台関係の本を中心に、かなりの量がある。
「もともとは父さんが仕事と研究を兼ねて集めたものなんだけど、僕も大体は読んだよ」
 それからDVDなどがあるエリアに行き、いくつかを観ることになった。その中にはタブラと雨神名の二人で出演したものもあり、タブラは懐かしさでそれらを見ていた――のだが、隣にいる雨神名の様子が気になるのかちらちらと見ている。
(「もしかして二人は両思い!? 何てこと! 何と言う嬉しい展開なの!」)
 ユリアナは平然とした表情を見せつつも、心の中では『きゃーきゃー』と騒ぎ立てていた。
「ご、ご飯の用意しますねっ」
 突然、雨神名が立ち上がりパタパタと走り出して何処かへと行ってしまった。
「‥‥どうしたんだろう」
 タブラが『?』を頭の上に浮かべながら呟く。
「女の子はフクザツなのよ」
 しみじみ呟くユリアナにタブラはますますワケが分からなくなったとか。
「でも、台所とか何処にあるか分かってるのかな?」
 タブラが小さく呟き、映画鑑賞はやめて雨神名を追いかけていった。

「でも‥‥うかな、お料理得意じゃなかった‥‥」
 ガーン、と台所(周辺)で呟く雨神名をタブラが見つけ「皆で一緒に作ろう」と優しく問いかけた。
 それから雨神名の経験とタブラの知識を元に日本食を作り、三人で食卓を囲む。
「あれ? 携帯が鳴ってない?」
 ユリアナが呟くと「あ、うかなのです」と雨神名が携帯を開く。それと同時に「えええっ!」とけたたましい声が響いた。
「あ、姉の車が遠方で故障して迎えにこれないそうです〜‥‥」
「あ、じゃあタクシーでも‥‥」
 タブラが呟くと「駄目なんです、鍵は姉が持ってるので‥‥」としゅんとした表情で呟く。
「ラサ君、ちょっとこれを‥‥」
 携帯の画面を見せながら雨神名がタブラに小さく呟く。

 今晩、泊めてもらってもイイですか?


「どうかしたの?」
 ちょうどトイレに行っていたユリアナが戻ってきた。
「な、何でもないです! うかなの迎えは遅くなるので!」
「あら。そうなの? じゃあ私は食べた後、お先に失礼するわね」
 雨神名は心の中で『ごめんあなさい〜』と呟きながらご飯を食べていた。
 そして、ユリアナが帰り『今晩‥‥宜しくお願いします』と顔を真っ赤にしながら呟いた。
 雨神名ちゃん、他の人が見たら誤解しますよ?


●最後ははっちゃけ取材!

 最後の取材者はアイドル兼女優のセシル・ファーレ(fa3728)だった。彼女はファンタジーランドにやってきており、ユリアナと合流する約束になっていた。
「あ、ユリアナさ〜ん! こっちですよ〜」
 手を振りながらセシルがユリアナを呼ぶ。
 彼女の今回の服装は付け猫耳、付け猫尻尾、それにとびきりのアイドルスマイルだった。
「初めまして」
「はじめまして、今回は宜しくお願いします」
 ぺこりと丁寧に挨拶をする、アイドルといえど礼儀正しいのだとユリアナは感心していた。
「ホントはお兄ちゃんと約束していたんです‥‥でもキャンセルになっちゃいまして‥‥お仕事じゃ仕方ないです‥‥」
 しゅんと俯くセシルに「じゃあ、今日は私と目一杯楽しみましょ」とにこりと笑って呟く。
「はい! 今日はとことん付き合ってくださいね」
 クリーム色のキャスケットを被り、セシルはもうじき行われるショーを見る為にユリアナの腕を引っ張りながら向かった。
「あれ?」
 途中でぬいぐるみをメインに売っている店を見つけ、セシルは足を止めた。
「ぬいぐるみ、好きなの?」
「はい、可愛くてもふもふしてて、大好きです」
 ピンクのウサギのぬいぐるみを抱きしめながらセシルは呟く。
「あ、でもあっちも可愛い‥‥うーん、こっちがいいかな? それともこっちかな?」
 幾つかのぬいぐるみを前に置き、どれを買おうか迷っているセシルの姿にユリアナは少し笑みがこぼれた。
「じゃあ、こっちはセシルさんが買ったら? こっちのぬいぐるみは今日の記念に私からセシルさんにプレゼントするわ」
 ユリアナが言うと「本当に? ありがとうございますっ」とセシルはアイドルとしての笑顔ではなく、彼女個人の笑顔で礼を言った。
 それから二人は色々なショーを見た後にフードショップへと足を運んだ。
「あら? それは?」
 セシルの鞄の中から覗かせたものを見てユリアナが問いかける。
「これはフォトアルバムです。離れてても寂しくないようにって‥‥お守りなんです」
 セシルが呟き、フォトアルバムをユリアナに見せる。
「そうなの‥‥」
「そうだ、今日の記念にユリアナさんとも写真を撮りたいです」
 セシルはデジカメを取り出して、通行人にシャッターを頼み、記念写真を撮影した。

「今日は楽しかったです!」
「こちらこそ、仕事だと言うことを忘れて楽しませてもらったわ」
 そう言って二人は別れ『OFFでGO』の最終回となったのだった―――。


END

●ピンナップ


タブラ・ラサ(fa3802
PCツインピンナップ
卯月絵理