神様の言う通り!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
11/11〜11/14
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●本文
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話の内容
『さて、今宵は大宴会じゃ!』
今日は月に一度の大宴会。
ただし―‥普通の大宴会ではなく、集まる者は皆、伝説に名を馳せる神々たち。
「長老様、今日は何の話をいたしましょう?」
長老の補佐でもある、狐が呟く。
「ふ〜む、そうじゃのぅ。最近は退屈で面白い話もない」
長く伸びた顎鬚を撫でながら長老が、ため息混じりに呟いた。
「そうじゃ、みなの者、何か面白い話を致せ」
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募集概要
●今回は出演者とスタッフを募集しております。
●出演者は日本に古くから伝えられる『神様』の役をしていただきます。
●出演者の皆様は『長老』に面白い話をしなければなりません。
●面白い話の内容は出演者の皆様にお任せします。
●出来れば個人での話より、皆で共同の話をしていただきたいと思います。
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●リプレイ本文
今日は月に一度の大宴会、神々達は下界の不思議を語る―‥。
「最近、下界に降りたら不思議な事がありましたの」
口元に扇子を置いて話すのは秋の神である竜田姫(ベス(fa0877))、先日彼女は機織り機を求めて下界へと降り立ったのだという。
「どれだけ探しても見つからなかったので、訪ねましたら最近は反物を『こうじょう』という所で作るので機織り機は置いてないと言われましたの」
こうじょう、聞きなれない言葉に神々は互いに顔を見合わせながら首を傾げる。
「最近は戦もなく平和な時代だと聞き及んでます、だからお城で反物を作るみたいですわ。でも大きな鉄の織り機があるだけで人は誰もおりませんの、どなたが織っているんでしょうね」
「最近の下界は摩訶不思議な場所なんだね」
龍田姫の後ろで呟くのは佐保姫(月見里・神楽(fa2122))だった。春の神だけあって春霞の衣がよく似合っていた。
「皆様は他に下界の不思議な事、ありませんの?」
龍田姫が問いかけて「そういえば‥」と呟くのは禍津日神(巻・長治(fa2021))だった。
「この間のかぼちゃ祭りですか?あれは一体何なんでしょうね」
「確か‥はろうぃんとかいう異国の祭りですよ」
答えるのは建御雷命(サトル・エンフィールド(fa2824))、彼は雷を操る事が出来る、つまり電化製品も操る事が出来るのだ。今回集まった神々の中では一番確かな情報の持ち主だろう。
「やはりそうでしたか。そうだと思っていくつか災いを巻いてきました」
我々への崇拝も忘れるなんて言語道断だと思いましたので、と言葉を付けたす。
「災い、何をしてやったのござるか?」
災いに興味があったのか闇淤加美神(長束・八尋(fa4874))が問いかけると禍津日神は得意げにこう答えた。
「結び目を全て固結びにしてやりましたよ」
禍津日神が答えた瞬間、その場に少しの沈黙が流れる。
「結び目を変えただけですか?」
沈黙の後に問いかけたのは大物主神(百鬼・レイ(fa4361))だった。水神である彼はサンゴヘビのような体をしている。
「そうですよ?きっと衣装が脱ぎにくくて、さぞかし困ったことでしょうね」
クスクスと笑うが、実際に楽しそうなのは禍津日神だけで、他の皆は『子供の悪戯にしか思えない‥』と思ったとか。
「そういえば‥人間さんが乗ってる鉄のつづらって凄いよね。つりあがった顔とか驚いた顔とか、沢山あるよね」
佐保姫が思い出したように言うと「確かに」と大物主神が相槌をうつ。
「その鉄のつづらが何をしたいのやら私にはさっぱり分かりませぬ」
「鉄のつづらは何処かで必ず人間を吐き出しているようでござる」
闇淤加美神が呟くと「何と面妖な‥」と大物主神が言葉を紡いだ。
「人を喰うでなしに何がしたいのやら‥」
考えれば考えるほど人間の世界は理解不能な事ばかり。
「最近の分からない物って言えば銃犯罪ですね」
そう言うのは布都御魂(ヨシュア・ルーン(fa3577))、彼は建御雷命が扱う剣神で人の体ではなく剣そのものが体となっている。
「どういう事?布都御魂」
チラと視線だけを送りながら建御雷命が問う。
「鉄の塊から大きな爆音と共に人が倒れるんですよ?飛ばすのは鉛のつぶて。それで人が倒れるというのは不思議ではありませんか?」
まぁ、この青銅で出来た私には効果ありませんけどね。そう付け足しながら得意そうに言う。剣が体だから表情は分からないが何となく得意げにしているように見えた。
その時、スパーンっと大きな音が響いた。響かせたのはハリセンを持っている建御雷命、響かされたのは布都御魂。
「あのね、いくら鉛玉でも高速で飛ばせば印字撃ちにも勝る破壊力があるわけ。爆音はその反動で起こる音」
そう言って建御雷命は鉛玉を取り出して物凄い速さで投げつける。流石は神様と名乗るだけあって、投げられた鉛玉は壁を貫通して外へと飛び出していった。
「分かった〜?」
とりあえず飛び出した鉛玉がどこに飛んでいったのかは、この際置いておこう。
「‥確かに怖いでござるな、銃犯罪とやら」
闇淤加美神が呟く。
「‥確かに‥汗くさいな」
呟いたのは神直毘神(氷桜(fa4254))だったが、言葉の意味が分からずに誰も言葉を返せなかった。
「神直毘神さん、それを言うなら『水臭い』ですよ。しかも今使う言葉じゃないですから」
言葉を正したのは大物主神、だが神直毘神は「‥そうか」と返し、特に気にしている様子は見られなかった。
「そういえば下界では妙な儀式が流行っているのね」
佐保姫が言うと「どのような儀式でござるか?」と闇淤加美神が問いかける。
「ん〜とね。竜神さんみたいに水を操る人がいるの。その人が合図をするとお水が出て河が出来るの、凄いよね?」
「あ、それ俺も見たでござる!穴の開いた船に乗って下っていくやつでござろう?」
闇淤加美神が言うと「そう!」と相槌を打つ。
「ほぅ、そのような儀式をする暇があったら我々を敬えって感じですね。災い与えましょうか?」
フフと禍津日神が笑うと大物主神も便乗して「祟り‥食らわせちゃいましょーか」といい始める始末。
「や、止めるでござるよ!今日は宴会でござろう?ささ、お二方、飲んで食べて楽しむでござるよ」
「そ、そうですわ」
闇淤加美神と竜田姫が二人に飲み物と食べ物を勧める。二人はそれを受け取ると多少落ちついたのか冷静さを取り戻したようだ。
「そういえばヒコーキとか言う生物もいますね。人間が飼っているようで腹から出てくる所を数回見たけど‥」
佐保姫が言うと神直毘神が「‥あぁ」とおもいだしたように相槌をうつ。
「‥あの大きな声で鳴く鳥の事か。人間に食べて腹から出すのだな」
「どうでもいいかもしれませんが、人間『を』食べているの間違いですね」
大物主神がさりげなくツッコミを入れるが、話は構わずに進んでいく。
「ちなみにアレは飛行機と言って空を飛ぶ乗り物だよ。だから生物ではないぞ」
建御雷命がインターネットで入手した情報を言うと「へぇ‥」と感嘆のため息が漏れた。
「建御雷命殿、アレの事は知っているでござるか?」
闇淤加美神の言葉に「何のこと?」と聞き返すと、ジェスチャー付きで闇淤加美神は話し始めた。
「先日、海で魚とも人ともつかない物を見たでござるよ。鱗は色とりどりで尾びれは長い足にも見える大きな物でござった」
大物主神殿は知らぬでござるか?と視線を向けながら言うと首を傾げながら答える。
「さぁ‥そのようなどこぞの八つ首の大蛇より恐ろしい生物など‥見当もつかないですね」
「それは海女でしょう」
建御雷命の言葉に「アマ?」と聞きなおす。
「海に潜って貝や海草を取る女達のことですよ」
その時、自分の主人はやはり凄いのだなと布都御魂は思ったのだとか。
「それにしても下界は暫く見ないうちに様変わりしたものですわね」
ひらりと紅葉が描かれた着物を翻しながら竜田姫がため息混じりに呟く。
「やはり災いを‥」
「それは結構でござるって」
闇淤加美神が言うと「どうせ私は悪神ですからね」と拗ねたように呟く。
「私達が必要でなくなってきているのは悲しいけれど、平和ならそれでいいんじゃありませんの?」
ねぇ?と竜田姫が佐保姫に同意を求める、すると「そうだね‥」と笑いながら答えた。
最初はドタバタした騒ぎから始まったが、これからの人間世界を思うと多少だが寂しく感じる神がいてしんみりモードに入ってしまう。
しかし、宴会はまだまだ続く。神々達の見当はずれの下界の話は尽きることなく朝まで続いたとか‥。
今月の宴会はお終い、笑いを取る神々達の話に退屈していた長老は大満足だったと後に語る。
END