凍れる檻の眠り姫アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
2.5万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
11/19〜11/22
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●本文
凍れる檻の眠り姫:アンダーシティ・ポリス5
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太陽のかけらが隕石となりて、地球に降り注いだ現象―‥熱砂。
生きる事に絶望した人間達は地下に己たちの世界を切り開いた。
その地下世界を守る警察‥アンダーシティ・ポリス
彼らは今日も地下世界の平和を守るために活動を続ける。
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◎募集事項
●毎回の如くですが、アクション映画になります。出演者(地下世界警察)に所属される方はバムスと呼ばれる特殊能力を持っています。
●もちろん地下世界警察に所属していなくてもバムス所持はOKです。逆にバムスなしでもOKですが、地下世界警察に所属している方や話に重要な役をしている方がバムスなしだとアクションなしになりますので^^:
●出演者全員が地下世界警察に所属している必要はありません。
●今回の主な登場人物は『地下世界警察』『眠り姫』『銀の薔薇の人間』『スラムの住人』でしょうか。他にも適役がありましたらお書きください。
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◎話の内容
銀の薔薇と呼ばれる会社がスラム、東方に存在する。
この会社には幸運をもたらす眠り姫がいるのだと噂されている。眠り姫は眠ったままの状態でいれば周りに幸運をもたらす特別なバムスの持ち主だった。
元々はスラムの少女だったが、バムスの利用価値に気がついた銀の薔薇の人間達が彼女を連れ去り、スリープボックスに入れて強制的に眠らせているのだとか‥。
銀の薔薇は非道な事ばかりをする会社として、地下世界警察からマークされていた。
「今回の任務は『眠り姫』の救出を最優先にせよ、眠り姫の能力がなければ会社などすぐに消えていく存在だろう。しかし彼女の能力に護られた今の銀の薔薇は強敵だと思え」
上司から告げられたのは『眠り姫』の救出をせよ、だった。
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●リプレイ本文
上司から下された任務の為に捜査官5人は『銀の薔薇』本社前に来ていた。眠り姫ことアリス(あずさ&お兄さん(fa2132))の持つバムスを銀の薔薇が利用しているとの通報があり、救出すべく銀の薔薇にやってきた。
「アリスの持つ能力は睡眠中にのみ作動するんだ、だから起こせば効力は消えるんじゃないかな」
突入する前に呟いたのはゼン(忍(fa4769))、彼はスラム出身でスラム出身の能力者について多少の知識がある。
「眠り姫を起こせばいいのじゃな」
思案しながら言うのはレンズ(リーベ・レンジ(fa2825))、今回彼はエール(雅楽川・陽向(fa4371))とナハト(夜野・月也(fa4391))と共に乗り込む事になっている。それも二人の持つ能力の危険性が高いため、お目付け役で同行する事になったのだ。
「俺はゼンと一緒に潜入だな」
ヴィエラ(葛城・郁海(fa4807))が呟く。今回は二手に分かれた方が捜査しやすいという事から班を分ける事になった。
「行くよ!」
エールの言葉を合図にレンズ、ナハトが先に潜入する。
「たのもー!」
バンと扉を開くと会社内がざわりと騒ぐ。
「社長に会いにきたよ」
笑いながら言うが警備員から攻撃を仕掛けられる。それにレンズはため息をつきシュレンディガーの猫を発動させる。運を多少あげてもらったお陰で銃弾はエールには当たらずに全て壁へとめり込んだ。
「‥これって堂々過ぎない?もうちょっと潜入ならコソっと‥」
「ん〜‥じゃあ陽動組って事にすれば問題ない!」
にっこりと笑いながら作戦変更を伝えてくるエールにレンズは頭痛が激しくなるのを感じた。しかし頭痛を感じている暇はない。警備員達が銃器を持ってこちらへと向かってきているのだから。
「これからどうするんじゃ」
「決まってるだろ」
こうするのさ、と言って敵に向かっていったのはナハト、彼は滅多な事ではバムスを使用する事はない。仲間すらも巻き込む能力に使う事を躊躇っているのだ。次々と敵を殴り倒し、エールも同じく敵を倒していく。彼らがその気になれば全てを片付けるのに10分もかかることはない。
「さて、行こうか」
レンズが奥の扉に向けて歩き出す―‥が何故か入ってきた入り口に向かっている。
「ちょっと待ち!何でそっちに向かうの?」
エールの言葉にレンズは足を止め「‥分からん」と首を傾げる。彼が言うにはそちらに行かねばならないような気がしたのだとか。
「ふふっ、そう簡単には進ませないよ」
モニタールームで笑いながら呟くのはティア(各務・聖(fa4614))、彼女は精神操作という能力の持ち主でモニター越しにレンズ達の邪魔をしているのだ。
「あれ‥」
ティアが別のモニターを見て首を傾げる。二人組の男が別ルートから会社内に侵入してきたのだ。陽動作戦か、そう呟いてティアの標的はそちらへと移行する。
「‥誰もいないな」
ヴィエラがエンセフェロンを使い、状況を把握する。大丈夫だとゼンに合図をして眠り姫の場所までナビゲートを始める。
「そう、そこを右だ」
「了‥解‥?」
ゼンは辿り着いた場所を見て怪訝そうに眉を寄せる。そしてヴィエラに「どういう事?」と問いかける。
「何がだ?」
「何がって‥目の前はトイレなんだけど‥」
そう確かにゼンの目の前には『トイレ(男性用/覗き見禁止)』というプレートが下げられている。それをヴィエラに告げると「あれ?」という声が聞こえてくる。
「‥しっかりしてくれよ」
勢い良く辿り着いた場所がトイレだった事に脱力して引き返そうとした時―‥数人の警備員に襲われた。警備員は鈍器のような物を持っており、ゼンに殴りかかってくる。動き自体は鈍い為、避ける事は難なく行える。そしてシャドウツールで槍のような物を作り出し、構える。
「ヴィエラの方も心配だな‥」
先程からヴィエラに話しかけているのだが応答がない。テレパス能力のある彼が仲間からの声に反応しないとは考えられない。‥となると考えられる事は一つだけ。
「あっちにも敵が行ってるって事か」
呟きながら手にした槍で警備員をなぎ倒していく。そして慌ててヴィエラの所に戻ると警備員数人に銃で応戦しているヴィエラの姿があった。
「壁に隠れろ!」
叫ぶと同時に能力を発動し、ゼンは両手を前に突き出す。すると影の中から氷柱のように尖った物が数個現れ、警備員達に向けて飛ばす。背後からの攻撃に警備員達はなす術もなく床に伏していった。
「間一髪って所かな」
ふぅ、と息をもらしヴィエラを見ると何か言いたげにしている。
「ん?」
「いや、もう少し野蛮じゃない手は使えないものかと思ってな」
「んー、今のは不可抗力って事で」
あはは、と笑うゼンに呆れながらも潜入組は先に進む事にした。それを見ていたティアは「ちぇ‥」と呟いて陽動組に視線を移す。するとスカル(氷桜(fa4254))と戦闘態勢に入っているのが見えた。
「スカルさんっ」
ティアは慌ててモニタールームを飛び出し、スカルの場所まで走っていく。
「何、アンタも眠り姫の幸運欲しさに守ってるって訳?」
エールがゴーグルを触りながら問いかける。すると「‥違う。理由など‥ない」と答える。骸骨のマスクを被った彼は口だけをニィと笑ませ、長槍で襲い掛かってくる。
「当たらな‥」
ナハトが紙一重で避けると槍は長さを増し、頬を掠める。
「伸縮性の長槍か、面白い武器を使うな」
「レンズ、感心してる暇はないよ」
エールがレンズに言うと「‥お前‥面白い過去をしているな」とスカルが呟く。
「え?」
エールがスカルの方を向くとスカルの能力『アカシャの断片』が発動する。それは過去と未来を見る力、そして―‥エールにとって過去は最も見られたくないものだった。
「‥ほぉ、お前‥元は暗殺者か。しかも結構な実力者と見た」
「ナハト!止めろ!」
スカルの言葉を聞き「ど、どっちを!?」と叫ぶ。すると「どっちでもいい!今すぐに止めろ!」とレンズは慌てて叫んだ。エールに過去の話をしてはならないのだ。
「やめろぉぉぉっ!」
エールが頭を抱えて叫び、ゴーグルに手を伸ばす。それは本気で戦うという意味でレンズとナハトは必死に止める―が彼女は聞く耳もたずにゴーグルを装着した。すると突然起こる突風に骸骨のマスクに亀裂が入る。
「‥くく、はははははっ、これだ、このスリル感!これが戦いだ!」
長槍を伸ばし、エールに襲い掛かる。それを飛行で避け、カマイタチをスカルに食らわせる。
「こんなものか、お前の力はぁっ!」
叫ぶと同時にスカルはもう一つの能力を発動させて姿を変えていく。そして爪でエールを攻撃するが表情に変化はない。
「‥‥あの世に逝きな」
ごぅ、と嵐のような風を起こしスカルに向ける。しかしそれは雷撃によって阻まれた。
「スカルさん、大丈夫ですか、貴方‥敵を倒してください」
現れたのはティア、攻撃を仕掛けてきたのはナハト、彼はティアに操られ今はエール達の敵と化した。
ナハトの攻撃に驚いたエールの隙を突いてゴーグルを元の場所に戻す。すると「‥ごめんなさい」と素直に謝るエールの姿があった。
「もういい‥」
少しでも幸運を上げようとレンズは能力を発動させる。そしてエールはティアに向かって走り出した、しかしティアに辿り着く直前でスカルが攻撃を仕掛けてくる。
「くそ、打つ手なしか‥」
諦めかけたその時ナハトが「あれ?」と我に返る。その出来事に顔色を青くしたのはティア、彼女の能力は時間制限があり、その制限時間を過ぎてしまったのだ。
「余所見してる暇はないよ!」
叫びながらスカルに風で攻撃をする。その攻撃に敗れ、スカルは床に倒れる。
「ここが眠り姫の居場所だな」
今度こそ、とヴィエラが呟き扉を開ける。会社内にいる警備員は侵入者討伐に向かっているせいか誰もいなかった。部屋の中央に置かれている。するとそこに陽動組も姿を現した。
「この装置を止めればいいのかな」
ナハトが頭にコブを作りながら呟く。あの後、レンズとエールに思いっきり殴られたのだ。
「‥起きないぞ」
スイッチを切ったのを確認し、装置から眠り姫を救出するが起きない。
「眠り姫の眠りを覚ますには王子の接吻だと相場は決まっておる」
ちらりと若い捜査員を見て「わしは王子というには年を取りすぎているのでな」と無責任に呟く。
「え!ヴィエラ、行けよ!」
「俺に振るな!ナハト、お前が一番若者らしい格好をしている」
「服装は関係ないじゃん!ゼンさんが行けばいいじゃないか」
結局10分程度の口論の末にナハトがする事になり、眠り姫と唇がつく‥という所でぱちりと目を覚ます。
「おはようございますぅ」
しかし突然建物が崩壊を始め、眠り姫を抱き上げて全員で建物から脱出をする。
「あ!女の子!」
ナハトがティアの存在を思い出し、戻ろうと足を止めるがゼンによって「先に行け」と突き飛ばされる。
「私これからどうしたら‥」
何も答えないスカルに縋りつきながらティアは泣きじゃくる。そこをゼンが見つけ、ティアを連れて建物から逃げるようにするが、爆発が起こり建物は全壊してしまった。
「ゼン!」
ヴィエラが叫ぶと「呼んだ?」と背後の影から現れる。そして「奥の手は最後まで取っておく物」と笑いながら答えた。その後、説明されたアリスは助けてくれたお礼にとポリスの幸運を願いながら眠りに落ちた。
もちろん、覚めない眠りなどではなく―‥。