たまには休暇を‥アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
0.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
11/20〜11/24
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●本文
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たまには休暇を‥:アンダーシティ・ポリス(番外編)
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地下世界警察、それは年中無休で良い地下世界を創るために働く人間達のこと。
年中無休とは言っても休暇も有給休暇も存在する―‥が!!
絶える事のない事件に休暇が取れないポリスたちが大勢存在する。
「もう我慢できない!!」
バン!と机を叩いて叫んだのは一人の捜査官。
「何事だ?」
書類整理に追われる上司が、叫んだ捜査官を見やる。終わらない仕事のせいか少しやつれている様にも見える。
「何で自分達には休みがないんですか!」
それは最もな意見だと思う。有給休暇を取ろうとすれば「忙しいから」という理由で却下、久々の休みだと思えば「事件だ」という一言で休日出勤。
いずれ暴走するポリスがいるだろうとは誰もが予想していた。
「そろそろ誰かが言い出すと思ってたよ‥これを見ろ」
そう言って上司が広げたのは「招待券」と書かれた薄っぺらのチケット。
しかも先日オープンしたばかりの歓楽街の招待券。
「今まで頑張った褒美だといって上層部が特別に用意したものだ―‥が予算の都合で決められた人数しか歓楽街へはいけない」
だから、と上司は言葉を続ける。
「仕事を終わらせた順番にチケットを渡そうと思う」
上司の残酷な言葉に、その場にいた全員が猛スピードで仕事を終わらせようと始めた。
そして―‥今回の出演者は見事、仕事を早く終わらせて歓楽街招待チケットを手に入れた人物達である。
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◎募集事項
●今回は出演者のみを募集いたします。
●出演者は今回に限り、全て地下世界警察に所属していてください。
●歓楽街へは一泊のプチ旅行のような感じで行くことになります。
●今回の舞台は『カジノ』になります。
●カジノとは言ってもお子様でも遊べる機械を用意しておりますので、年齢制限はありません。
●アンポリ内ではバムスと呼ばれる特殊能力を持っています。しかしカジノでの不正行為などがないように『封印リング』をつける事になっています。
●カジノで大負けしたからと言って半獣化して暴れないようにお願いします。
●アンポリ(全て含む)は連作ですが同じ世界観を使っているだけなので、話に関連はありません。一話完結の連作です。
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◎プレイングに書いておいてほしいこと
●役名、口調、一人称、二人称
●今回に限りバムスは書かなくてもオッケーです、
●何で遊ぶか(カジノに年齢制限はありませんので、ご自由にお書きください)
●カジノで遊んだ結果
(勝ったか、負けたか、お子様がUFOキャッチャーで遊んだ場合何をゲットしたか)
●カジノには何でもあります。UFOキャッチャーからスロットゲームまで様々な機種をそろえております。
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●リプレイ本文
「ふふ、このカジノ来てみたかったのよね」
ボーナスを叩いて買ったドレスを翻しながら笑むのは草加(草壁・蛍(fa3072))、一見クールに見える彼女だが、心の中では勝負をする気満々である。
「別に私には必要なかったのだが‥」
持っているチケットを見てため息をつくのはホーク(水沢・鷹弘(fa3831))、彼はチケットを欲していたのではなく、偶然仕事を早く終わらせたに過ぎなかった。
「とりあえず中に入りませんか?」
中に入るように促すのは一条(葉月・珪(fa4909))、彼女は普段おっとりしているのに今回は何故か鬼のような速さで仕事を終わらせてここにいる。
「これは‥」
ゲートで渡された指輪を見て一条は首を傾げる。案内人が言うにはバムスによる不正防止の為の封印リングだという。
「‥私の能力は治癒能力ですから不正しようがないんですけど‥」
苦笑しながら呟くも一条は素直に指輪をつけた。ゲートを潜り中に入ると大勢の人間で溢れかえっていた。中に入るとそれぞれは目当ての場所へと移動をする。
「すみません、UFOキャッチャーって何処ですか?」
店員らしき男性に問いかけるのは刃霧(桃音(fa4619))だった。彼女は未成年という事もあり、子供でも遊べるコーナーに行こうと考えたのだ。店員は刃霧に丁寧に「あちらにあります」と答え、奥の方を指差した。刃霧は礼を言ってそちらへと歩き出した。
「‥あれ?」
目当ての場所に行く前に見かけたのは木村(K・ケイ(fa4786))でメダルゲームをしている姿を見かけた。その近くのテーブルではフランシス(ウィルフレッド(fa4286))がポーカーをしていた。
「あ、あった」
お菓子やぬいぐるみが沢山詰まったUFOキャッチャーを見つけ、お金を入れてアームを動かす‥が思うように取れず次のお金を投入。
「中々取れないもんだなぁ‥」
多少お金を使い、手に入れたお菓子は数個。しかし地道にプレイしていく内に確実に取れる個数は増えてきている。
「約束したからな、取って帰らなきゃ」
次のお金を入れて、刃霧はまたプレイしていく。
「あれ、エースが四枚揃ってるね」
ポーカーをしているフランシスが自分の手札を見てポツリと呟いた。その言葉に対戦している相手も、周りで見ている人もぎょっとしたような表情でフランシスを見る。それもそうだろう。わざわざ自分の手札をバラしているのだから。
「そんな小細工をしなくては勝てないのか?」
対戦している相手が嘲笑うかのように言うが、フランシスにとって小細工など必要ない。何故なら強力な運がついているのだから。これはバムスでも何でもなく、本人が生まれもった運という名の才能なのだから。
「とりあえず、全部かけてー‥っと」
その言葉にディーラーが顔を引きつらせる。彼の持っているのを金額に想定すれば百万ドルほどになる。これで勝たれてしまったら確実にカジノは潰れてしまう。近くにいた店員がオーナーを呼び「勘弁してください」と頭を下げてくる。フランシスは「これからが勝負だったのに‥」と少し拗ねたように呟くとあるだけ全部を換金した。
これからどうしようかとしていると自分の後にホークが席につくのを見かけた。暫く見ていようと思い、フランシスはギャラリーの中に紛れ込んだ。
「ふむ、どうしたものか‥」
ホークは自分の手札を見ながら一人呟く。このまま退けば儲けは出る。冒険をすればいいのだが、これが性格なのだから仕方がない。
「自分の性格などそう簡単に変えられないという事か、やはりこういう場所は私には向いていないな‥」
多少の儲けが出た所で止め、席を立つ。するとフランシスが手を振っているのが見えた。
「僕も終わったんだ、他の皆の所に行ってみない?」
その言葉にホークは頷き、他の捜査員がいる場所へと足を進めた。
「これを全部ぬいぐるみにお願いします」
交換所と書かれた場所に大量のコインを持ち、店員に言っているのは一条だった。彼女は皆と別れた後、スロットに行き一気に大量のコインを獲得した。それを全て使ってしまうのは勿体ないと考え、交換所でぬいぐるみと交換する事にしたのだ。
「お金はまだありますね」
財布の中を確認し、ふらふらと歩いていると刃霧が大きく手を振っていた。
「レイさーん、こっちに可愛いの沢山あるよーっ」
大量のぬいぐるみとお菓子を抱えている彼女に笑いが出て、ゆっくりとそちらへ歩き出した。
「この風!これこそがギャンブルよね!」
高い声で笑うのは草加、彼女は最初スロットやポーカーなどで適度に儲けを出していたが楽しんでいくうちにテンションがあがり、リミッターが外れて現在に至る。
「楽しんでいるみたいね、草加さん」
青のドレスを翻すのはクリス(椎名・硝子(fa4563))、彼女はルーレットで楽しんでいた。しかしクールをモットーにする彼女は予め使う金額を決めておいて、それがなくなったら止める気でいた。
「それにしても派手な掛け方ねぇ」
草加が後ろから覗きながら言う。クリスは一度に全部賭けるという人目を引く遊び方をしていた。
「また全部賭けたぞっ」
後ろで歓声が沸き起こり、クリスはフフと笑む。しかし世の中そんなに上手くは出来ていない。全てが終わった後には多少のコインが残るのみとなった。クリスはルーレットの席から立つと草加を探す。すると彼女はブラックジャックに座っていた。
「ふふ、ツイてきたわ」
手持ちのコインを見て、不敵に笑う。最初は手堅く遊んでいたが手持ちが増えると大きな勝負をしたくなるもの。この駆け引きが堪らないわ等と心の中で呟きながら大きな勝負に出た。
結果は―‥。
「勝った!勝ったわっ」
これでドレス代も出てお釣りまで来るわ、内心喜びながら優越感に浸りながらその場を後にした。
「お見事な勝負だったわね。他の皆はどうしているかしら」
探してみましょうか、と言いながら二人は他の捜査員の所へと向かい始めた。
「お、あっちにイイ女のディーラーがいるな」
呟くのは周防(日向・翔悟(fa4360))、スロットで大勝ちしたコインを片手に持って、何処に行こうかと思案していると美人ディーラーのいるブラックジャックに気がつく。
「どうせあぶく銭だし、どうせなら機械相手より美人な女に相手してもらいたいよな」
コインと美人ディーラーを交互に見比べ、決心したように呟き足を進めた。
「あら、お兄さん。あたしと勝負?」
金髪の髪を靡かせて笑う。周防は「あぁ、そのつもりだが」と答え、席に着く。それから暫くの間、勝っては負けてを繰り返し、互いが疲れた頃‥。
「いい加減、疲れたぜ。次を最後の勝負にしようじゃないか。勝っても負けても恨みっこナシだぜ」
そして―‥結果は手持ちのコインをほとんど失くし、酒代くらいのみが残った。
「あーぁ、ツイてねぇぜ。しゃあねぇ。誰かにヤケ酒付き合ってもらうかな」
そう言って周防は自分と同じく負けた捜査員を探すべく足を進めた。
「レイさん、すごいね」
UFOキャッチャーの前で騒ぐのは一条と刃霧、二人とも大きな袋いっぱいにぬいぐるみとお菓子を詰め込んでいる。
「この猫が取れてよかった」
刃霧は先程取った中型の黒い猫のぬいぐるみを抱きかかえて満足そうに呟く。
「私も自分好みのぬいぐるみが取れて良かった」
ふふ、と笑いかけながら言うと少し向こうで大きな歓声が沸き起こっていた。
「何でしょう」
「行ってみようか」
二人は袋を抱えて歓声の起こる方へ歩いていった。
「あら」
結局、散り散りになっていた捜査員はあるゲームの前で鉢合わせする事になった。
「あれは‥木村か」
ホークが人だかりの中心にいる人物を見て呟く。
「確かメダルゲームしてたはずなのに、何であんな所に‥」
刃霧が呟き、木村がプレイしているゲーム‥ドラムの音ゲーを見る。表情を見ると機嫌が良いようには見えない為、メダルゲームで惨敗したのだろう。そして周りの人間達がセッションしに行こうぜと呟いているのが聞こえる。音ゲーをする人間から見れば木村は凄いらしい。隣のギターやキーボードの音ゲーにも人が行き、幾つものゲームで一つの曲を演奏している。一種のショーにも見えるほどにサマになっている。
「どうせ、するんならもっと激しく行こうぜ!」
ダダダとドラムを叩きながら木村が叫ぶ。それは数十分にもおよび、観客達を楽しませていた。
そして帰る時、一条と刃霧は抱えていた袋がなくなっている。一条はカジノ内で何も取れなかった子供達にぬいぐるみを分け与え、刃霧は黒猫のぬいぐるみと棒付キャンディー以外全てをカジノ前で待っていた友人達に分け与えた。しかし二人は自分の気に入ったものが手元にあるため、とても満足そうだった。
「おい、クリス。奢るからヤケ酒に付き合えよ」
「そうね、ご一緒してもいいわよ」
クリスと周防はヤケ酒の為に行きつけの居酒屋へ。
「ホーク、今日は儲かった?」
「あぁ、気持ち程度だがな。まぁ、十分だろう」
「そう、私も儲かったの。お互い良い休暇になってよかったわね」
こうして、それぞれの休暇は終わっていった。
しかし、彼らはまだ知らない。帰った時に休んだ分の仕事が溜まりに溜まっている事を。
彼らがそれに気づくのは、明日の朝一番‥。