夢幻界廊アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 やや易
報酬 0.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/04〜12/07

●本文

夢幻界廊1 :そして夢を喰う

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●話の内容

人々が何故安心して夜を眠って過ごせるのか、キミは知ってるかい?

怖い夢を見る時『悪夢』を撒き散らす夢魔が夢を渡り歩いているんだ。

その悪夢は形を成し、人々を襲うのだ。

だけど、人々には心強い味方が存在する。

『夢喰い』と呼ばれる種族が存在し、夢魔を倒してくれているのだから。

そう―‥今日も一人『夢魔』に悩まされる少年が存在する。

彼の名は『大滝・健一』高校二年生だ。

彼の夢の中には一人の女性が現れる。その女性は健一の夢に現れるたびに彼から生気を奪っている。

このままでは、健一が命を落とすのも時間の問題だ。

そこで『夢喰い』の諸君、健一を狙う『夢魔』を倒して、健一に平穏な生活を戻してやって欲しい

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●募集内容
◎これはアクション映画です。
◎この話は出演者のみを募集します。
◎出演者の中に『大滝・健一』『夢魔の女性』は必ず出してください。
◎『夢喰い』の一族の人間は一つだけ属性を選んでください。
◎その属性に合う技を一つだけ持たせてください。
◎属性は何でも構いません。
例)鋼、魅惑など何でも構いません。
◎今回の登場人物は『大滝・健一』『夢魔の女性』『夢喰い』『戦いに巻き込まれる一般人』など。


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●今回の参加者

 fa0379 星野 宇海(26歳・♀・竜)
 fa0470 橘・月兎(32歳・♂・狼)
 fa1609 七瀬・瀬名(18歳・♀・猫)
 fa3366 月 美鈴(28歳・♀・蝙蝠)
 fa4478 加羅(23歳・♂・猫)
 fa4717 金緑石(21歳・♂・狐)
 fa4769 (20歳・♂・猫)
 fa4961 真紅櫻(16歳・♀・猫)

●リプレイ本文

 ここに一人の少年が存在する。彼の名は健一(金緑石(fa4717))、最近倒れたりして同級や教師などを心配させている少年だ。
「大丈夫ですか?一人で帰れますか?」
 建一に優しく問いかけるのは英語教師の久樹(橘・月兎(fa0470))、健一は「大丈夫です‥」と返事をして教室から出て行った。
「‥俺‥疲れてるのかな」
 教室を出た先で健一は一人呟き、ふらつく足取りで家路へと向かった。
「‥あれ、あの子」
 まだ授業中だと言うのに学校から出て行く生徒に気がつき、コウ(忍(fa4769))が呟いた。


 ペットショップ夢猫、ここは愛想の良い店長がいる事で有名な店だった。店と言っても生体の売買はなく猫缶やグッズなどを売っている。月に数回開かれるしつけ教室なども丁寧に教えてくれると言う事で好評だった。
「いらっしゃいませ♪」
 店長である瑞樹(七瀬・瀬名(fa1609))が笑顔で出迎えると、久樹が「‥地下へ」と小さく呟いた。
「はい、皆様お待ちになってますよ」
 久樹は学校を出る際に夢猫に連絡をして、仲間を集めておくようにと瑞樹に頼んでいた。
「では、休憩札を掛けてきますので先に行っていて下さい」
 久樹を先に地下室へ行かせ、瑞樹は休憩中の札を掛けてから地下へと向かう。


「‥俺もその健一って子は見たよ。憑かれてからまだ日は浅そうだけど‥早めに対処すべきだと思う」
 瑞樹が地下へ行くと既に話し合いは始まっていた。内容を聞く限り、夢魔に憑かれた学生がいるらしい。
「確かにそうだな。向かえるなら今夜にでも向かった方が良さそうだな」
 そう意見を言ってくるのは悠(加羅(fa4478))、隣で珈琲を飲んでいた春日(星野・宇海(fa0379))も「そうですね」と悠の意見に賛同した。
「決定だな。この大人数で行く訳にもいかないから実行班と補助班に分かれた方が良さそうだ」
 悠の言葉に集まった仲間達は互いの顔を見合わせる。
「私は属性的に後片付け役が良さそうね」
 癒しの属性を持つ春日が呟いた。結局数十分ほど話し合った結果は以下の通りになった。
 夢魔撃退班→悠、コウ。
 補助班→春日、久樹。
「私は何をしようかしら?」
 瑞樹が言うと「美味しい珈琲でも入れてて」とコウが答え、四人は店を出て行った。
「いってらっしゃい。本当は私も行きたかったんだけどな‥」
 瑞樹がポツリとぼやくが、四人は店を出て行った後で誰も聞く者はなかった。
「仕方ない、瑞樹特製珈琲でも入れて待ってよう」
 そう寂しく呟き、瑞樹は台所へと向かった。


「君は一体‥誰なんだ」
 目の前には最近よく夢の中に出てくる女性、紫雨(月・美鈴(fa3366))が立っている。
「これも夢なのか‥?」
 困惑気味に呟く健一だった、最初の頃は気味が悪いと感じていたのだが最近では紫雨に自ら会いたいと願うようになっていた。
「そんな事、気にしなくてもいいじゃない。ほら、私の目を見て‥ゆっくり楽しみましょうよ」
 紫雨の瞳に見つめられる度に理性という名の鎖が切れていくような感覚に陥るが、健一はそれさえもどうでも良くなってしまっていた。


「ここが健一の家だ、感じるか?」
 久樹が春日をちらりと見やりながら問いかけると「‥えぇ、夢魔がいるわね」と眉を顰めながら呟いた。
「コウと悠が中に入ると同時に結界を張る。夢魔を仕留めろ」
 いいな、と久樹が言うと「誰に言ってんの?当たり前っしょ」とコウがおどけながら言い、家の中へと入って行った。悠とコウが部屋に行くとベッドでぐったりとしている健一の姿を見つけた。
「喰われるスピードが速いな、夢魔がこっちの存在に気がついたか?」
「とにかく、夢の中に入ろう」
 コウが言い、二人は健一の夢の中へと入っていった。


「‥何、この感覚は‥いつもならこんな気配はしないわ」
「‥紫雨?」
 突然、意味の分からない事を呟き始めた紫雨に健一は戸惑いを隠せなかった。紫雨が「何でもないわ」と言い掛けた時、悠とコウが二人の所へやって来た。
「‥お前は今日の‥」
 そう、健一はコウと面識があった。‥と言っても倒れて頭を床に直撃する所を助けられただけなのだが。その時にコウは健一が見舞われている症状等を詳しく聞いてきた為に記憶にはっきりと残っていたのだ。
「そこのお姉さん?いつからここに?」
 コウが問いかけると「一ヶ月くらい前からかしら」と答える。
「ふぅん、健一の具合が悪くなり始めたくらいからだね。出来れば戦う事なく出て行って欲しいんだけど?」
 説得するコウに悠は「無駄だ」と短く告げる。そんな事はコウも分かってはいたが聞かずにはいられない性分なのだ。
「貴方、カッコイイからお願いを聞いてあげたいんだけどね。答えはNOよ」
「最初から出て行く気はないんだよな、どーせ」
 そう言ってコウは紫雨に向かって攻撃を仕掛けようとする―‥が。
「邪魔をしないでくれ!」
 そう叫んで紫雨とコウの間に立ちふさがってきたのは、他でもない健一だった。これには悠も驚いたらしくため息混じりに「やれやれ」と呟いた。
「俺は彼女と一緒にいたいんだ!なのに、何で邪魔するんだよ!」
 どうやら紫雨が施した魅了の術に健一は見事にハマっているようだ。
「もうここは私の領域なのよ、夢の主である健一を傷つければどうなるかしら?」
 勝ち誇ったように紫雨は言う。確かに彼女の言う通りだ。この夢の空間である健一を傷つければ彼だけではなく、こちらにも被害が来る可能性が高いのだから。
「退け、コウ。お前は甘すぎるんだ」
 そう言って健一の前に立ったのは悠だった。


「あ〜、つまんな〜い」
 夜の公園でベンチに座り叫ぶのはアリス(真紅櫻(fa4961))、紫雨の妹分の夢魔で彼女が健一の夢の中にいる時だけはこうやって暇を持て余しているのだ。
「‥姉様、まだかし―‥ら‥?」
 突然、胸を何かざわざわとした物が駆け巡る。こういう時の自分の勘は結構当たるのだ。
「もしかしたら、姉様に何か‥?」
 アリスは慌てて公園を出て、健一の家まで瞬間移動をする。すると夢喰いと思わしき人物が二人、家の前に立っていた。しかも家には結界が張られている。
「何よ、お前達は!」
 アリスが叫ぶと「‥もう一人夢魔がいたの‥?」と春日が呟く。
「その結界を解きなさいよ!」
 アリスは掌に炎を集め、久樹へと投げつける。強力な魔法は使えない半人前の身をアリスは呪った。
「久樹さん!」
「くそ、結界がっ」
 攻撃を避ける為に一時的に結界を解いてしまう、アリスはその隙をついて家の中へと入っていった。
「大丈夫?」
 春日が問いかけると「問題はない」と短く答え、結界を張りなおした。


「邪魔をしないでもらいたいね、健一君?」
 悠は呟くと能力を発動させる。悠の属性は糸、彼の糸に縛れぬ物は何もない。
「逃げろ、紫雨っ」
 健一の言葉にいち早く反応した悠は紫雨が逃げ出さないように足を糸で絡めて逃げる事が出来なくさせた。
「せっかくの食事の時間なのに‥」
 食事?と紫雨の言葉に反応したのは健一だった。
「食事って‥だって紫雨は俺の事が好きだから会いに来るって‥」
「馬鹿ね、食事よ。貴方の生気を毎日頂いていたの」
 美味しかったわ、その言葉に怒りを露にしたのはコウだった。属性能力を発動させると闇をカーテン状にした物が紫雨の体を包み込む。これで紫雨は倒した、そう思った矢先にアリスが乱入してきて攻撃を仕掛けてくる。まだ完全に発動されていなかった術はアリスの妨害により不発で終わった。
「よくも姉様を!」
 コウと悠に食って掛かろうとしたアリスだったが、半人前なのだからと紫雨に言われて大人しく引き下がった。
「夢喰いのお二人さん、あたしに傷をつけた事を後悔しないでね。次は倍にして返してあげる」
 そう呟くと紫雨はアリスの助力によってその場を切り抜けた。本気で無かった久樹の結界もアリスの瞬間移動の前では意味もなく夢魔二人を取り逃がしてしまう事となった。
「騙されてたのか、俺は‥」
 夢から出て、現実に戻って健一が呟いた一言だった。
「私達が担当した夢魔事件は被害者の記憶を消させてもらってるの。もちろん全てではなく悪夢だけを、だから貴方の記憶も消さないといけないの」
 春日の言葉を聞いて健一は「‥お願いします」と弱々しい声で呟いた。
 今回の事は彼にとっても忘れたい出来事なのかもしれない。大好きだった女性に裏切られたのだから。
「‥先生、先輩、皆さん、ありがとう」
 健一はそれだけ呟くと、涙を流しながら眠りについた。そして春日は鼻歌交じりで治癒を始める。暫くすると健一の額からきらきらした物が浮き出てくる。その中の幾つかが結晶化して春日の掌に飴玉として転がった。
「こっちは戻す記憶ね‥」
 全てを消してしまったら健一に影響が出るかもしれないと考えた春日は一番良い記憶だけを諦めた淡い恋心として健一の中へ戻した。
「さて‥この二つの飴玉は誰が食べます?」
 赤い飴玉を差し出しながら春日が問うと悠とコウの二人が手を上げて「俺が食う」と同時に言った。今回はご苦労様の意味も込めて二人に差し出した。


「店長!これは塩よ!」
 その後、夢猫に戻った四人は瑞樹特製珈琲を飲んでいたのだが、砂糖の代わりに塩が入っており、一番疲れた四人が最後の最後で瑞樹によって攻撃を食らった。


 そして、健一はというと晴れ晴れとした顔で毎日を過ごしていると久樹からの報告があった。


 今回の注意:瑞樹に珈琲を入れさすな。



END