動物使いアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
2.5万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
12/16〜12/19
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●本文
『信じあう気持ちが互いの力を高めてゆくのだ』
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●話の内容
月が赤く染まる時、ソレは生まれる。
赤き魔性の月より生み出された『魔』と呼ばれる生物達。
『魔』は動物の姿を形取り、黒の動物使いに操られ破壊を繰り返す。
使う者と使われる者、この二人に信頼も絆も存在しない。
しかし、黒の動物使いと『魔』を倒す事を使命とした人間達が存在した。
彼らは白の動物使いと呼ばれていて『ツカワレ』と一緒に戦う。
『ツカワレ』は普段は人の姿をしているが、戦闘になると動物の姿をして戦う。
もちろん『ツカワレ』だけで敵を倒すことは出来ない。白の動物使いと一緒に戦ってこそ、本来の力が発揮されるのだ。
今宵は、赤き魔性の月の日。
また『魔』が生み出される日だ。
「ふふふ‥お前に名を与えてやろう。ジェイスだ。僕についておいで、腐った人間たちを一緒に滅ぼすんだ」
ジェイスと呼ばれた『魔』は嬉しそうに男の手を取り、闇夜に消えていった。
そして、事件は次の日に起きた。
今日は休日で、公園に人がにぎわっていた。
「まずはこいつらから断罪してやろう、やれ‥ジェイス」
「はい、マスター」
ジェイスはザッと飛び、公園の中心にある街灯に乗って両手を前に差し出した。
「この空間はこれより閉鎖する。マスターの為に滅びろ。人間」
ブゥンと音が響き、公園一帯にドームのような空間が現れた。それに吸い込まれた人間達はそれぞれ悲鳴をあげて逃げだしたが、閉じられた空間から逃げる事は不可能となった。
白の動物使いたちよ、黒の動物使いと『魔』を打ち倒し、公園を開放せよ。
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●募集事項
◎この話はアクション映画で、出演者のみを募集します。
◎今回の登場人物は『ジェイス』と呼ばれる魔『黒の動物使い』『白の動物使い』『ツカワレ』になります。後は公園にいた一般人などでしょうか。
◎黒の動物使いが魔を引き連れているように、白の動物使いには必ず『ツカワレ』がいるようにしてください。詳しい説明は以下に書いておきますのでご参照ください。
●動物使いの設定など
◎白の動物使いにはパートナーとなる『ツカワレ』が存在します。
◎『ツカワレ』を演じられる方は自分の戦闘形態になる動物をお書きください。動物の種類はPCの獣人の動物以外でも構いません。
例)羊、山羊などBNOで存在しない獣人でも構いません。
◎白の動物使いとツカワレには絆が存在します。絆が深ければ深いほどツカワレの能力も上がります。
◎白の動物使いは限りなく人に近い存在ですが、人ではありません。
◎ツカワレは普段、人の姿をしていますが限りなく獣に近い存在です。
◎必ず白の動物使いとツカワレは二人一組にしてください。
◎今回、公園にいる人の役ですが、無理に出す必要はありません。逃がしたりするシーンでは役を決めなくても名前のないNPCとして登場させますので。ですから、皆様お好きな役を演じてください。
◎それとツカワレは動物となってますが、別に虫だろうが魚だろうが構いません。
◎ツカワレの方はパートナーと繰り出す必殺技を考えていてください。
例)ツカワレがサンマだった場合→自身を焦がしていい匂いをさせて敵の動きを止める‥など極端な話、こういうのでも構いません。
◎それとツカワレの戦闘時についてなんですが外見は半獣化と思ってください。
(流石に完全に動物になってしまうとお笑いになってしまいそうな気がするので)
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◎プレイングに書いて欲しいこと。
※役名/ツカワレの方は動物の種類/一人称/二人称/口調/
なるべくでいいのですが、プレイングは簡潔に書いてください。
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●リプレイ本文
「翡焔(ヴォルフェ(fa0612))‥大変な事になってしもた‥」
アジア料理専門店『ダエグ』の店長、炯都(橘・朔耶(fa0467))は電話を切ると大げさにため息をついて翡焔に話しかける。
「どうしたんだ‥?」
料理の本を見ていた翡焔は視線を炯都へと移すと「魔が現れたらしいわ‥」と肩を落としながら短く告げてきた。
「サボっても‥ええんとちゃうかな?」
「お、おい!それはマズイだろう!」
信じられない事を口走る炯都を何とか説得して魔が出現した場所へ向かう事になった。
「私と凛ちゃん(辰巳・空(fa3090))で向かえばいいんだね?分かりました♪」
電話で連絡を受けた奏杜(ユフィア・ドール(fa4031))は自分のツカワレである凛に連絡をして現場に向かう事にした。
しかし、凛は気の進まぬままに連れられてきた為に、自身でも分かるほど『絆』が安定していない。このまま戦闘を開始しても実力の半分も出す事は出来ないだろう。仕方ない‥と呟きながら凛は奏杜と共に黒の動物使いと魔が出現した場所へと向かい始める。
「ここですね‥」
結界に阻まれた公園の前に立ち、紫蘭(葉月・珪(fa4909))が小さく呟く。その後ろには弟であり紫蘭のツカワレでもある蓮(忍(fa4769))、彼は外界と結界の中を繋ぐ為に空間を切り裂き、紫蘭と共に結界内部へと侵入を果たした。中に入ると大勢の人間達が倒れていた。
「し、死んでいるのですか?」
紫蘭が驚いたように言い、蓮が確かめると「‥気を失っているだけみたいだ」と短く答えた。
「今日は見事な赤く美しい月ですね‥」
良い事がありそうだ、遠くで呟くのは暁闇(レイス・アゲート(fa4728))、その傍らには暁闇に『ジェイス(シヴェル・マクスウェル(fa0898))』と名づけられた魔が立っている。
「マスター、人間がいる‥人間?」
人間と呟いた後、感じる人以外の気配にジェイスは首を傾げながら暁闇を見る。
「‥白の動物使い‥ですね?これはまた厄介な人達が出てきましたね」
紫蘭と蓮を見て、暁闇は厄介だと言いながらも至極楽しそうに笑む。ジェイスは訳が分からないのか「‥しろ?」と暁闇に答えを求めるように聞き返す。
「白の動物使いは‥私達『黒の動物使い』の敵ですよ。ジェイス」
「敵‥?」
「えぇ‥そうですよ、敵です‥殺れ‥ジェイス」
暁闇の言葉を合図にジェイスが蓮へと向かって走り出す。ジェイスの攻撃は殴る・蹴るといった単調な物で先読みはしやすい―‥が戦闘能力は明らかに自分より勝っている。一人では危ないかもしれない、そう思ったときに一人のツカワレが結界内に侵入してきた。
「凛!戦闘を開始なさい!」
叫んだ女性‥奏杜は紫蘭の横に降り立ち、凛は魔へと走り出す。
「‥厄介ね」
突然呟いた奏杜に紫蘭は「え?」と聞き返す。
「ここは、あの魔が作り出した結界の中。魔は能力が増幅されるけど、白に属する者は能力が半減されるのよ」
そこで紫蘭はようやく蓮の能力が半分以下になっている事に気づく。どうすれば‥と慌てる紫蘭を見やり「ここは私達に任せなさい」と奏杜が不敵な笑みを見せながら答えた。
「凛!我らが絆の証たる、その力をここに示しなさい!」
奏杜の声が聞こえたのか、凛はツカワレの姿‥麒麟へと変化して技である『光の波動』を放つ。眩い程の光が結界内を照らしてジェイスの力を弱める。そして、能力が弱った時に蓮が間髪いれずに攻撃を加えた。
だが、絆の力が足りないのか光の波動はすぐに効果が消えてしまい、蓮はジェイスに叩きつけられてしまう。
「蓮!」
紫蘭が叫ぶと同時にジェイスがトドメだと言わんばかりに腕を振り上げた―‥。
「はー、何とか間に合ったな‥」
蓮は突如現れた翡焔によって直撃を免れ、ジェイスの腕は公園のベンチを真っ二つにしていた。
「炯都が面倒がるから、危なかったじゃないか‥」
抱えた蓮を降ろし、翡焔は背中に生えている翼で炯都の隣に立つ。
「固い事言いなや‥間に合ったんやから結果オーライやん」
けたけたと笑いながら言う炯都に頭を抱えつつため息を吐いた。
「んじゃ、しゃあないから‥翡焔、あの子と遊んだり♪」
炯都の言葉に「はいよっ」とジェイスに向かって一人で戦っている凛の応援へと行った。
「蓮、大丈夫ですか?蓮‥」
「大丈夫だって、姉さん」
いてて、と殴られた所を押さえながら立ち上がる。そして自分も戦うためにジェイスの所へと走っていく―‥そこを見ていた暁闇はフッと笑って「ジェイス、あっちの女性達を殺れ」と短く命令する。
「分かった、マスター」
ダンと強く地面を蹴り、凛、蓮、翡焔の三人の上空を飛び越えて、動物使いの方へと走り出す。動物使いとツカワレはどちらかが欠けてもいけない存在だ。
「待てっ!」
蓮が叫び、変化をして三人の所へと走る。猫のツカワレだけあってスピードは天下一品でジェイスに追いつく事が出来た。
「姉さんに触るなっ」
叫び、蓮の必殺技である『カマイタチ』が発動する。それと同時に凛も光の波動を発動させた。爪とは比較にならないその威力、しかも凛の技によって防御力も低下した今の状態で受けた傷ならとても無事とは言い難いだろう。
「‥まさか、ここまでの奴らとはね‥私の誤算でした。ジェイス‥最後の命令です」
最後と言う言葉に「え?」とジェイスは自分を見下ろす暁闇を見つめた。
「私は撤退します、ですから時間を稼ぎなさい」
「‥マ、マスター‥?私は‥?」
「‥私に逆らうのか?」
冷たく見下ろす暁闇にジェイスは苦しそうな表情を見せながら、ふらふらとツカワレに向かって行く。
「それでは、皆さん。ごきげんよう」
「‥何て男なの‥凛!」
奏杜の言葉に凛が暁闇、そして蓮と翡焔はジェイスに攻撃を仕掛ける。
「‥逃がしてくれる気は‥ありませんか?」
「‥貴方は絶対にしてはならない事をしてしまった‥奏杜さんを殺そうとした事です」
そう呟いて凛は腕を振り上げる。元来、麒麟という生物は心優しい聖獣だが、魔‥黒の動物使いに対しては『倒す』のではなく『壊す』という表現を以って制している。
「いい気にならない事ですね‥今回は私の負けです。しかし‥黒の動物使いは私だけではない、白という存在がある限り、黒も不滅なのですから‥」
「ほんなら、何度でも戦こうてやるわ、せやから‥大人しく消えてや」
ほな、晩安♪といいながら暁闇に手を振るのは凛が暁闇を倒しているか見に来た炯都だった。
「これは手厳しい‥」
クスクスと笑いながら暁闇はスゥと消滅していった。
「うわぁぁあっ」
突然、ジェイスが叫びだしその場にガクリと膝をつく。はっきりいって翡焔も蓮も大した攻撃はしていない。
不審に思った奏杜が遠くを見ると凛が暁闇を倒している姿が見えた。
「そうか‥黒の動物使いが消滅したから契約を結んでいる魔も自然と消滅していくんだわ」
奏杜がポツリと呟く。
「マスターは‥優しい人なんだ‥マス‥タ‥」
消えていく刹那、ジェイスの頬を流れているのは確かに―‥涙だった。絆など感じさせない男だった、だけど‥ジェイスの方はもしかしたら―‥‥。
その後、黒の動物使いとジェイスを倒したことにより公園の結界は消滅し、あと数時間もすれば意識を失っていた人間達も目を覚ます事だろう。
「ちょっと大人しくしてろ」
翡焔の特殊能力である癒しの力で蓮が受けた傷を治していく。
「面倒くさっ‥」
炯都の言葉に「炯都がするんじゃないだろ‥」と呆れながら呟いた。
「へぇ‥凄いんですねぇ‥」
紫蘭が感心したように傷を治していくのを見ながら呟いた。
「動物使いとツカワレは互いの絆によって能力も高くなるんやで。もちろん使える技もや」
「それはつまり‥貴方達の絆は相当高い、という事かな?」
奏杜の問いかけに翡焔と炯都は顔を見合わせ「どうやろな」と不敵に笑って見せた。
「せや、せっかく動物使いが三組も集まったんや。親睦会でも開こか。うちには良い腕の調理師がいるんや、な?翡焔」
炯都の提案に誰もが賛成し、一同は『ダエグ』へと向かいだした。
「そういえば、黒の動物使いと何を話してたの?」
ダエグに向かう途中で奏杜が凛に問いかける。
「え?や、別に。大人しく消えなさい‥?」
「何で疑問系なのよ‥確かにあの人たちも強くて素敵だったけど、私達には勝てないわよね。そうでしょ?凛ちゃん♪」
そう言って紫蘭や炯都の所へと奏杜は走っていく。それを聞いた凛は今回の勝利に釈然としないものを感じていたが、取り戻した青空の広さで次第に薄くなっていった。
「お疲れ様でした。蓮」
怪我はないですか?と心配性な紫蘭は何度か問いかけるが「大丈夫」という短い返事が返ってくる。
「蓮はいつも私を守ってくれますね、これじゃどっちが年上なのか分からないくらいです」
眉を下げて笑う紫蘭に「そんな事はないよ」と言葉を返した。
「いつも俺の意思を汲み取ってくれるじゃないか、俺はそれが凄く嬉しい」
だからお互い様だよ、と言って蓮は顔を背けた。それが照れ隠しだと分かっている紫蘭はにっこりと笑いながら呟いた。
「蓮のような頼もしい弟を持てて、私は幸せですよ」
その後、親睦会はいつの間にか飲み会へと姿を変え、騒ぎは夜中まで続いたのだとか‥。
「炯都!店、昼の休憩のまま閉店時間過ぎてるぞ!」
一人翡焔が叫ぶが、その声は誰にも届く事はなかった‥。
ほな、再見♪